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2016年11月25日金曜日

売れたま!戦略編Vol.473 2016/11/24 食堂コンビニ:顧客視点での事業領域の定義

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 ■■■__食堂コンビニ:顧客視点での事業領域の定義__■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「自社は何屋か」を顧客視点で定義することで、ビジネスの「伸び
 しろ」は無限に作れる!


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◆好業績の福井のコンビニ
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●福井のコンビニ「オレボステーション」

福井に、あのセブン−イレブンなみの経営指標を誇るコンビニエンス
ストアがあるとのこと。

どんな店かと言うと……?


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『他の流通業を圧倒する競争力を持つとされる、最大手コンビニエ
 ンスストアのセブン─イレブン・ジャパン。だが主要な経営指標で
 同社を上回る数値をたたき出す異色コンビニが福井市にある。社名
 は大津屋』


◇『日経MJの15年度コンビニエンスストア調査で、大津屋は「既
 存店売上高伸び率」「1店当たり粗利益率平均」「平均客単価」で
 セブンを上回る。「1店当たり平均日販」こそ65万6000円の
 セブンの後じんを拝すが、63万8000円と肉薄している』


◇『平日の正午、オレボステーション米松(福井市)を訪れると目の
 前の鉄板で肉を焼いている。昼時にはサバの味噌煮などの総菜が
 30〜40品目「1グラム=1円」で量り売りされ、ラーメンやカ
 レーもある。ほとんどが店内で調理したもので、45席のイートイ
 ンで食べられる。菓子やペットボトル飲料、日用品など通常のコン
 ビニ商品も品ぞろえする。要するにバイキング形式も選べるレスト
 ラン付きコンビニだ。同店の売り上げの約65%を店内調理の食品
 が占める』


◇『会社員の渡瀬貞俊さん(49)は平日の昼、昼食をとりにほぼ毎
 日同店を訪れる。職場からは車で2〜3分で、途中にはコンビニや
 外食店も多数あるが「外食は高いし、コンビニ弁当を職場で食べる
 のは味気ない。ここは息抜きしながら食べられていい」と話す』


◇『大津屋の小川明彦社長は「車をコンビニの駐車場にとめて食事を
 する人がいかに多いか」と話す。「誰もが作りたてを安く、落ち着
 いて食べたいと思うはず。豊かな食生活をしたいという需要に応え
 れば、商機をつかめる」』


以下、記事からの引用部分は『』で括ります

2016/11/13 日経MJ P.1

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

大津屋が経営するコンビニの店名は「オレボステーション」。面白い
コンビニですよね!


「オレボステーション」と名のつく店舗数は、HP*によれば5店あ
り、うち4店は福井市内です。

http://www.orebo.jp/shop/index.html


コンビニの経営指標の1つ、「日販」で見ますと……

 セブン−イレブン・ジャパン  65万6千円
 大津屋       63万8千円
 ローソン      54万円
 ファミリーマート  51万6千円

(2016/07/27 日経MJ P.2)

そして既存店売上高増減率は、ダントツと言ってよい1位(同上)。


小規模ながら、あのセブン−イレブンなみの経営指標とはすごいです
よね。


ちなみに店名「オレボステーション」の「オレボ」は、同社の福井初
のコンビニ「オレンジBOX」*から来ているようです。

*同社HP www.orebo.jp/company/infomation.html



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◆オレボステーションは何屋か?
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●オレボステーション=「コンビニ+イートイン+総菜+定食」

このオレボステーション、非常に興味深いコンビニですよね。


ということで……福井にあるこの店、見てきました!!

福井はここのところ毎年BASiCSを教えに行っています。

そのときに、いつもお世話になっている方々に「面白いコンビニがあ
るんですよ」と教えていただいたんです。車でご案内いただき、あり
がとうございました!


で、私が見た店は調理スペースを除いた店内スペースの配分は……

・1/3がコンビニ(日用品含む)
・1/3が総菜コーナー(オリジン弁当の量り売りのような感じ)
・1/3がイートイン(テーブル・イス)

という感じです。

総菜コーナーも、手作り・作りたてのようで、おいしそうでした。

食券制の定食コーナーのようなものもあり、

・オレボカレー 390円
・醤油ラーメンは390円
・福井名物のソースカツ丼とおろしソバのセットは750円

と、外食より少し安めになっています。

イートインコンビニを越えて「食堂コンビニ」とすら言えそうな感じ
でした。



●オレボステーションは何屋か?

最近、コンビニでもイートインコーナーがある店があります。

オレボステーションは、コンビニにかなり広いイートインコーナーを
設置し、さらに

・オリジン弁当のような総在コーナー
・ラーメン・ソバなどの定食屋

をくっつけたような感じです。


オレボステーションは、「業種」としては非常にとらえにくいです。

 コンビニでもあり……
 弁当屋でもあり……
 レストランでもあり……
 定食屋でもあり……


もはや「何屋」かわかりません……。


オレボステーションの売り物は、

・コンビニで売っているもの
・総菜・弁当
・定食

です。

では、オレボステーションは「何屋」でしょうか?



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◆売り手は「お客様が買っているもの」屋
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●「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

「あなたは何屋か」

というのは、極めて本質的な質問です。

弁当屋は、弁当を売っています。では弁当屋は何屋でしょうか?

もちろん「弁当屋」という回答では、意味がありません。


結論から言うと、オレボステーションは

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

というのが、その1つの答えになります。

記事の「お客様の言葉」にその論拠があります。


『会社員の渡瀬貞俊さん(49)は平日の昼、昼食をとりにほぼ毎日
 同店を訪れる。職場からは車で2〜3分で、途中にはコンビニや外
 食店も多数あるが「外食は高いし、コンビニ弁当を職場で食べるの
 は味気ない。ここは息抜きしながら食べられていい」と話す』


お客様がオレボステーションを

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

として使っているから、そうなるわけです。



●お客様が買っているもの=売り手が売っているもの

お客様が買っているものが、あなたが売り手として売っているもので
すから、

○お客様が買っているもの=売り手が売っているもの

という当たり前の公式が成り立ちます。


先ほどの記事のお客様がオレボステーションで「買っているもの」は

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」

です。ですからオレボステーションが売っているものは

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」

となり、このお客様にとってはオレボステーションは、

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

となります。


これはまさに「お客様にとっての価値」(=ベネフィット)という考
え方です。


「自社は何屋か?」

の答えは……

「お客様にとっての価値屋」であり「ベネフィット屋」なのです。



●「価値」(=ベネフィット)は、使い方に現れる

売れたま!では「価値は使い方に現れる」という公理を提唱していま
す。


今回の場合も、お客様にとってのオレボステーションの「価値」は

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」

という「使い方」に現れていることがわかります。


○お客様が買っているもの=売り手が売っているもの

○お客様が買っているもの=価値=使い方


この2つの式から、

○売り手が売っているもの=価値=使い方

であり、それがゆえに

○売り手は「お客様にとっての価値」屋=「使い方」屋

となるわけです。



●お客様の「使い方」を見ていたオレボステーションの社長

そして……

オレボステーションの発想も、この「使い方」から出てきました。

記事のこの部分です。


『大津屋の小川明彦社長は「車をコンビニの駐車場にとめて食事をす
 る人がいかに多いか」と話す』


今はイートインスペースで食べられますが、それがなかったときには
このようなシーンを社長はご覧になっていたのでしょう。


だったら、

「コンビニに食事スペースを作ればいい」

という発想になったのだと思います。


お客様の「使い方」をきちんと観察していらしたのだと思いますが、
そうだったとしたらそれが素晴らしいと思います。



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◆あなたは何屋か? 事業領域を顧客視点で定義しよう
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●「戦場」=事業領域

「あなたは何屋か」「あなたは何を売っているのか」

という問いは、

「あなたはどこで戦っているのか」

という、「戦場」=「事業領域」を問う質問でもあります。

事業領域、いわゆる「ビジネスドメイン」の定義は、戦略で重要なポ
イントの1つ。

BASiCSでは、

・戦場はどこか? どの競合と戦うか

となります。

ここで戦略BASiCSと「戦場価値公式」を復習しておきます。



●復習:戦略BASiCS マーケティング戦略を考える5つの要素

経営戦略・マーケティング戦略で考えるべきポイントは以下の5つ。

Battlefield:戦場・競合 →自社商品の代替選択肢
Asset:独自資源     →強みを競合がマネできない理由
Strength:強み     →お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
i
Customer:顧客     →強みを重視する相思相愛になれる人
Selling message:メッセージ→強みの伝え方

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●復習:戦場価値公式:戦場・競合=価値=嬉しさ=使い方

「お客様の嬉しさ」を中核に置く戦略フレームワーク、BASiCS
の中核理論の1つが「戦場価値公式」。

戦場は「価値」(=嬉しさ)で定義すべき、というのが「戦場価値公
式」です。

価値は使い方に表れます。お客様は「使う」ために買うのですから
「使うとき」がお客様にとって重要=価値が現れるときです。

そして、その「使い方」によって「戦場・競合」が定義されます。あ
る「使い方」のときに、比較対象である競合が決まります。


○「戦場」=「お客様のアタマに浮かぶ選択肢の括り」
     =「その商品・サービスの使い方・TPO」=価値

○「競合」=「その使い方(TPO)のときの、代替選択肢」
     =「その価値を巡って争う相手」


「戦場」は「価値」で定義され、「価値」は「使い方・TPO」に現
れるため、「戦場」は「使い方・TPO」で定義されるのです。



●顧客視点での事業領域の定義

ここまでをまとめますと……

○売り手が売っているもの=価値=使い方

○売り手は「お客様にとっての価値」屋=「使い方」屋

○「事業領域」=「戦場」=「価値」=「使い方」

となります。つまり

「あなたは何屋か」
「あなたは何を売っているのか」
「あなたの事業領域はどこか」

という質問は、全て同じ質問になるのです。


オレボステーションの場合は、

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

というのが、1つの定義になります。

これがまさに「顧客視点での事業領域の定義」です。

自社をこのように定義することで、

・コンビニで売っている飲み物
・量り売りの総菜
・カレーやラーメン

などが、違和感なくまとまります。


事業領域を「外食」などの業種で定義することがあります。

が、「外食」は「手段」でしかありません。

果たしたい「目的」(=価値)は、「平日に低価格で息抜きしながら
食べられる昼食」です。

「うちは外食屋だ」という事業領域の定義は、自社を「手段」で定義
しているため、「手段」に囚われてしまう、という本末転倒の状態に
なります。

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

は、自社をお客様の「手段」ではなく「目的」(=価値)で定義して
います。

事業領域を「価値」=「使い方」で定義することで、お客様にとって
の「価値」を高めやすくなる=選ばれやすくなるのです。


それがオレボステーションの戦略であることは、記事中のこの部分か
らわかります。


『「誰もが作りたてを安く、落ち着いて食べたいと思うはず。豊かな
 食生活をしたいという需要に応えれば、商機をつかめる」』


これがオレボステーションの社長が考える事業領域なのでしょう。



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◆事業領域を顧客視点で定義し、他の業種から取ってこよう!
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●「外食」から取ってくるオレボステーション

そして、この事業領域の定義にすることで、オレボステーションは
「外食需要」から市場を取る(=お客様に選ばれる)ことができてい
ます。


実際、先ほどのお客様の声がそれを証明しています。


『会社員の渡瀬貞俊さん(49)は平日の昼、昼食をとりにほぼ毎日
 同店を訪れる。職場からは車で2〜3分で、途中にはコンビニや外
 食店も多数あるが「外食は高いし、コンビニ弁当を職場で食べるの
 は味気ない。ここは息抜きしながら食べられていい」と話す』


外食代わりに使っているとおっしゃっています。そして外食よりは安
いということがこの方にとっては1つの「強み」になっています。

これは「テイクアウト」とも特に矛盾しません。

食べる場所がなければオレボステーションで食べればいいです。家や
オフィスで食べたければ、テイクアウトすればいいだけです。

お客様にとっては「業種」「業態」は関係ありません。

「外食」も「テイクアウト」も、「満足のいく食事」の手段にしかす
ぎません。


「価値」で事業領域を定義することで、他の「業種」から売上を取る
ことができるようになるわけです。


これにより、「売上の伸びしろ」は格段に増えることになります。

これがオレボステーションの好調の要因の1つだと考えられます。



●オレボステーションのしたことから学ぼう

最後に、オレボステーションがやってきたことを振り返りながら、そ
の方法を普遍化しておきます。


1)顧客の「使い方」から「価値」を考える

まずお客様の「使い方」から、お客様が求めていることを考えます。

オレボステーションは、

『大津屋の小川明彦社長は「車をコンビニの駐車場にとめて食事をす
 る人がいかに多いか」と話す』

と、お客様の「使い方」から、求める「価値」に気づきました。



2)顧客視点で事業領域を定義する

その「価値」に基づく「事業領域」を定義します。

オレボステーションの場合は

「平日に低価格で息抜きしながら食べられる昼食スペース」屋

というのが1つの定義になります。

「1つ」でなく多数ある場合は、優先順位をつけておきます。



3)その事業領域にあった売り物・売り方・売り場・売り値を実現

そして、その事業領域にあった4P(売り物・売り方・売り場・売り
値)を実現します。


 売り物:コンビニの飲み物、作りたて総菜、ラーメン・カレー
 売り方:何らかの広告・販促(ここでは詳細は不明)
 売り場:店・イートインスペース
 売り値:外食よりは安い


オレボステーションのやっていることは一見奇抜なように見えて、実
は「お客様の価値」に忠実な、セオリー通りの正攻法であることがわ
かりますね。



★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたの「事業領域」は、顧客視点で定義されていますか? 「手
段」ではなく「目的」で定義されていますか?


ぜひお考えになってみてください!


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◆今日のまとめ
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●「自社は何屋か」を顧客視点で定義することで、ビジネスの「伸び
 しろ」は無限に作れる!

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ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。


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▼今日の日記▲

今日は都心も大雪! 昨日の夜3時ごろは何も降っていませんでした
が、朝起きたら一面の銀世界! 11月の積雪は観測史上初らしいで
す。

予報でも雪だったので覚悟はしていましたが、積雪自体はそれほどで
もなかったですね。電車も遅れてはいましたが、大パニックというほ
どではなかったようですし。

それよりも、寒さがすごかった! 朝も寒くて目が覚めましたし、昼
間はもう真冬の寒いときの寒さでした……。さすがにコートを出して
きました。


でも、夜にはもうやんでいて、空気がキレイでした!!

もう本格的な冬支度を始めた方が良さそうです。



●今日のiPod Tune:スーパームーンを記念して 月の歌特集!

11月14日は、スーパームーンが観測できる(かもしれない)と話
題になった日。

満月としては68年ぶりの地球との近さだとか。


それを(強引に)記念して、月の歌特集!

今日の曲は……


○ Arthur's Theme (Best That You Can Do) by Christopher Cross


1981年リリース、全米1位を始め世界中で大ヒットしたバラード
曲。彼の代表曲になりました。邦題は「ニューヨーク・シティ・セレ
ナーデ」として、日本でも大ヒット。


タイトル通り、映画"Arther"のテーマ曲。彼はSailingでグラミーを
取っていますが、この曲はグラミーではなく、なんとオスカー(アカ
デミー賞)をとっています。

美しいピアノのイントロに、透明な男性ボーカルが重なって盛りあが
っていく名曲。後生に聞き継がれていくスタンダードナンバーになっ
ていくことでしょう(もうそうなったかな?)


「月」との関係は、もちろんサビ。「月とニューヨークの間で迷った
ら恋に落ちるしかないのさ」(私訳)。


空気がキレイな月夜に、月を見上げながら浸りたい曲♪



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