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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.175 2012/07/30
購読者:27,513 (まぐまぐ:16,600 メルマ!:957 めろんぱん:9,956)
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■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 8__■■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●「個別適合」で差別化する密着軸の顧客は、「個別適合」ニーズの
強い顧客。「バラツキ」が大きな顧客を考えてみよう!
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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●密着軸の経営戦略特集!
恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!
恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。
以下がその前提なる知識です
○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント
Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
Asset:独自資源 強みを競合がマネできない理由
Strength:強み 顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
i
Customer:顧客 自社が取引したい具体的顧客像
Selling message 強みを顧客に刺さるように伝える
○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法
手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
→ 競合より安い・早いで差別化する
商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える
→ 競合より高品質・新技術で差別化する
密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
→ 競合より個別ニーズ対応で差別化する
●今シリーズの登場人物3名
○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者
○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ
○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中
◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
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◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d
◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
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●ここまでのあらすじ
高原のペンションに「山ごもり」して合宿を行った真子、勝、恵利の
3人。話し合っている最中に、ふとしたことから「密着軸」について
ペンションのテラスで勝の講義を受けることに。
連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。
http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html
今回は連載の8回目です。
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◆まずは、前号の復習から!
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高原のペンションに差し込む日は、西日をすぎ、どんどん落ちていっ
ている。
ペンションの奥の方のキッチンだろうか、そちらでは夕食の準備が進
んでいるようで、ガガガガ、というミキサーが回っている音などがし
ている。
恵利:なんか今ミキサーが回ってましたよね。野菜ジュースかな?
勝 :いや、野菜のポタージュとかじゃないかな。オレもミキサーで
作ったりするからわかるんだけどさ。
真子:勝さん料理するんだよね。妙なところだけマメだよねー。机の
上とかすぐ散らかすクセにさあ。
恵利:真子が人のこと言えた義理じゃないでしょ。
真子:几帳面な恵利と比べたら、みんなガサツなの!
勝 :ほら、続けるぞ。夕食までもう一息か。
真子:はーいセンセー、今回はマコが復習やりまーす!
勝 :はい、マコちゃん、珍しくやる気出してますねー。ご飯が近い
と元気が出てくるのかなあ?
真子:そうでーす。前回は、密着軸の定義でした!
勝 :それで、何だったのかなあ?
真子:はーい、密着軸とは「個別適合」でーす!
勝 :具体的な定義は?
真子:はーい、覚えてませーん。でも恵利のノートに書いてありまー
す! ね?
恵利:そうなると思ったわ。これですよね。
恵利がノートのある部分を囲んだ。
○密着軸戦略
売り物・売り方などの顧客への「個別適合度」を高めることで、「他
社より自分に合わせてくれる」と顧客に感じていただき、自社を顧客
に選んでもらう戦略
勝 :それでそれで?
真子:はーい、「売り物」と「売り方」、それぞれに「個別適合度」
を高める方法がありまーす。
勝 :そうだな。
真子:「売り物」の個別適合は、カスタマイズとかオーダーメードで
そのお客様のため「だけ」のものを作ることでーす。
勝 :おお、いいじゃないか。それで「売り方」の方は?
真子:はーい、そのお客様のことを知って、名前で呼んだり、お客様
の診断をして、合った商品を勧めたりすることでーす。
恵利:私は、「愛想の良い対応」が密着軸とは限らない、というとこ
ろが意外でした。
勝 :愛想うんぬんじゃなくて、あくまで「個別適合」。愛想が良い
のは、フツー。
恵利:はい、1人1人のお客様の違いに合わせる、というのが「個別
適合」ですね。
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◆バラツキの端の方が密着軸のターゲットになる
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勝 :となるとさ、密着軸の顧客ってどんな方になると思う?
真子:え? それ、だって前にやったじゃん。
勝 :そうだっけ?
真子:うん。恵利、ノート貸して。確か、美容院の話をしていたとき
だったと思うけど……
真子が恵利のノートをめくり、「あ、これこれ」と言って、あるペー
ジを開く。
1)(他社より)早い、安い、買いやすい
2)(他社より)品質が高い、技術が良い
3)(他社より)自分に合わせてくれる
勝 :お、シリーズ2回目のときだな。よく覚えてたじゃん。
真子:この、お客様が買うモノを選ぶ3つの理由、のさ、3つめのヤ
ツが「密着軸」ニーズのあるお客様でしょ?
恵利:この「他社より自分に合わせてくれる」というニーズがあるお
客様、ということ?
勝 :そうなんだけど、それをさっきの「前号の復習」でやった言葉
で説明するとどうなる?
真子:へ?? 何それ??
恵利:あ、「個別適合度」ですね。
勝 :そうそう。
恵利:えっと……「個別適合度」のニーズが強いお客様が、密着軸の
会社を選びやすい、ということですか?
勝 :そう! 「個別適合度」なんてどうでもいい、というこだわり
のないお客様は、別に手軽軸の無難な商品でいいわけだから。
恵利:あ、なるほどぉ……平均からのバラツキ度合いの高いお客様の
方がニーズがある、ということですね。
勝 :そう!!
真子:何2人で話してるのよ。私ワカンナイ!
勝 :んーとな、「売り物」の個別適合度、って何だっけ?
真子:だから「カスタマイズ」とかでしょ? 勝さん、スーツの胸ポ
ケット大きくするとか言ってたじゃん。
勝 :だからそういうことだよ。スーツの胸ポケット大きくしたいと
か思ってる人が、お客様になりやすいだろ。
真子:そういう細かいこだわりのある人、ってこと?
勝 :そう人はもちろんだけど、それだけとも限らない。恵利ちゃん
は今どんな靴履いてる?
恵利:え、普通のパンプスですけど?
勝 :特に困ってない? 特注したりしたくならない?
恵利:え、ええ……普通の靴で十分ですけど……
勝 :真子は?
真子:私、足の幅が広いから、結構大変。
勝 :オマエ、態度だけじゃなくて、足の幅もでかいのか。
真子:態度は謙虚だもーん。
勝 :じゃあ真子、靴のオーダーメード、したくならないか?
真子:できるもんならしたいけど。
勝 :だろ? 実はオレもそうで、合う靴が無いからいつもガマンし
てる。革靴でも、インソール変えたり、幅広げたり、大変。
真子:あ、私も横幅広げたりする!
勝 :平均的な足形の人は、普通の靴でいいわけだよな? 平均から
の「バラツキ」が大きい人が困るわけだ。
真子:えっと……あ、そっか! スーツだってそうだよね! 標準の
サイズだと入らない人の方がオーダーメードニーズが強い!
勝 :そうそう。それが「個別適合度」のニーズが高い人であり、そ
れは「バラツキ」の度合いが大きい人、ってこと。
真子:なるほど! わかった。
勝 :オレさ、腕が短くて、首が太いから、ワイシャツのサイズがな
いんだよ。バラツキが大きいんだな。
恵利:あ、標準体型なら、そんな悩みはない!
真子:ねー、体型が標準的じゃない人が密着軸のターゲットってこと
になるの?
勝 :それだけじゃない。胸ポケットのサイズみたいな「特殊な好
み」もバラツキの一種。いわゆる「こだわり」のある人。
真子:なるほどねー。こだわりが無い人は、別に普通のモノでいいん
だもんね。
勝 :そうそう。そういう人は手軽軸の商品で十分。
勝が恵利のノートを「貸してね」と言って手に取ると、サラサラとノ
ートに書き込み始めた。
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密着軸 手軽軸 密着軸
商品軸 商品軸
真子:何コレ? 富士山?
勝 :オマエは小学生か。顧客の「バラツキ」の分布のグラフだ。縦
軸が顧客数で、横軸がバラツキの大きさ。
真子:へ?
恵利:あ、真ん中の数が多いところが「標準的な人」で、その方々は
「手軽軸」の商品で間に合っちゃう!
勝 :そうそう。密着軸とか商品軸のお客様っていうのは、ある意味
で特殊なニーズを持ってる、バラツキの大きい方々。
真子:これ、右の方がいい人ってこと?
勝 :密着軸の場合はいい悪いじゃなくて、バラツキの大きさ。例え
ば右側はすごく足の幅の大きい方で、左側がすごく小さい方。
真子:あ、わかった! どちらにも靴の特注のニーズがあるんだ!
勝 :あ、そうそう。「特注」する必要のあるお客様、ってこと。バ
ラツキが大きいと、悩みも大きくなるからその分お金を払う。
真子:じゃあやっぱり「体型」の違い?
勝 :「好みの違い」も入る、って言ってるだろ。例えば、車とかパ
ソコンを、お金払ってでも自分好みの色にしたい人とかさ。
真子:あ、そっか。普通の色でいい人は、買ったそのままの色でいい
んだもんね。
勝 :そうそう。この「バラツキ」がなければ「個別適合」の必要性
はないからな。
真子:あ、そっか! 「人によってニーズが違うから個別適合する」
んだ!
勝 :実は最初っからそう言ってるんだけど、そう言える、ってこと
はちゃんとわかった、ってことだな。
真子:うん!
勝 :BtoBだってそうだぜ。例えば会社でITシステムを発注す
るっていう場合は、個別適合ニーズが高い会社は?
真子:うーんとね、「特殊な仕事の仕方」をしてる会社、かな?
勝 :お、そうそう。特殊な仕事の仕方をしてると、既存の商品が使
いにくいからな。「特注」の必要がある。
真子:私、転職してきたときに、結構会社による違いに驚いたから。
恵利:そうなんだあ。じゃあ、特殊な仕事の仕方をしている会社が、
密着軸の会社に発注するわけですね。
勝 :そうなるね。
恵利:ただ、このグラフを見ると、バラツキが大きい人ほど人数が減
ってますよね? そうなると、顧客数が減りますよね?
勝 :もちろんそうだよ。今の「特殊な仕事をしてる会社」の数は、
少ないに決まってるじゃん。少ないから「特殊」なんだよ。
恵利:え? お客様の数が少ないと、大変なんじゃ……
勝 :えー……また恵利ちゃんまでそんなことを……
恵利:え?
勝 :まさか、真ん中あたりの、人がたくさんいるところの方が絶対
的にラクだ、とか思ってないよね?
恵利:あ、あ、あの……そ、それは……
真子:恵利、そーゆー、人がたくさんいるところって競合もたくさん
いるよ。手軽軸の競合はそこ狙ってくるし。
恵利:あ……あ、そうか! 顧客数が多ければ、競合も激しいんだ!
勝 :うん。顧客数も大事だけど、競合の激しさとか、戦いやすさを
合わせて考えないとダメ。
恵利:あ……あ! そうだ! BASiCSの要素は切り離して考え
てはいけないんですね。
勝 :うん。どこに言っても競合はある。長期的に見れば、競合がな
い戦場なんてまず無いからね。
恵利:なるほど……競合の存在を忘れがちなので、私、注意しないと
いけないですね。
勝 :それに、「バラツキ」が大きい、ってことは、顧客の悩みも大
きいかもしれない。だから高単価にしやすい。
真子:確かに、服とか靴で、サイズの問題は深刻だよね……
勝 :逆に、端っこの人が少ないところが競争がラクとも限らない。
密着軸ニーズがなければ、それは諦めた方がいいかも。
真子:ねー、勝さん、でもスタバって密着軸なのに、あんなに大きい
よね? 売上1000億円規模だよね?
勝 :それでも手軽軸のマックよりは小さいぞ。マックで5000億
円規模だからな。
恵利:あ、そっか。外食産業自体が大きい市場だからですね。
勝 :そうそう。外食産業で20兆円規模って言われる。するとさ、
少々「端っこ」を狙っても、結構大きいニーズがある。
真子:あ、だから2万円のディナーとかの商品軸ニーズがあるんだ。
勝 :大都市なら、な。ニーズがあるかどうかは、差別化軸というよ
りも、戦場次第。
恵利:あ、はい、差別化軸は、あくまでもBASiCSの5要素のク
シであって、そのものではないんですよね。
勝 :そういうこと。じゃあ恵利ちゃん、ここまでを一旦まとめてく
れるかな?
恵利:はい。
○密着軸は「個別適合度」を高めて差別化するため、その顧客は「個
別適合」ニーズが強い方となる
○標準から離れた「バラツキ」が大きい方は、「個別適合」ニーズが
強くなる。
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◆差別化軸ごとの「お客様の意思決定」
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勝 :じゃあ、この「個別適合」ニーズが強いお客様、というのを具
体化していこうか。
真子:それって、こだわりの強いお客様、っていうことじゃないの?
勝 :「こだわり」って言っても、商品軸的なこだわりもあるだろ。
真子:あ、そっか。
勝 :さっきの「お客様が買うものを選ぶ理由」があったでしょ?
恵利が「はい、これですよね」と言いながら再度ノートを見せる。
1)(他社より)早い、安い、買いやすい
2)(他社より)品質が高い、技術が良い
3)(他社より)自分に合わせてくれる
勝 :そうそう。これを具体化していこう。他の差別化軸と比較して
いった方が、密着軸の特徴がわかりやすいからな。
真子:あ、なるほどね。他の差別化軸と比べると違いが出るね。
勝 :例として、恵利ちゃんの店で作って出してる、フレッシュフル
ーツジュースについて考えてみようか。
恵利:あ、はい、お願いします。絞りたての、生のジュースを売って
ます。ジューススタンドのようなものですけど。
勝 :まず、手軽軸だったら、どんな感じかな。生ジュースどころか
コンビニのパックのジュースでいいんだろうな。
真子:そうだろーねー。
勝 :じゃあそのときの「お客様の意思決定」を具体化しようぜ。
真子:え?
勝 :だからさ、その場合なら、コンビニでフルーツジュースを買う
ときのココロのつぶやきを言語化する。
真子:あ、つぶやきイメージね。
*つぶやきイメージは、拙著「実戦マーケティング思考」で!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm
勝 :ただ今回はちょっと変則的。「フレッシュフルーツジュース」
を基準として、なぜそれを買うのか、にする。
真子:え?
勝 :だって、コンビニでフルーツジュースを買う理由を普通にイメ
ージすると「甘くておいしいから」になるだろ?
真子:うん。それじゃダメなの?
勝 :フレッシュフルーツジュースとの比較にならないからダメ。
真子:あ、そっか。競合を恵利の店のジュースにしたときに、という
ことね。
勝 :そうそう。ターゲットは真子でいい。20代女性で仕事が忙し
い、大都市に通勤する人。ちょっと健康も気になってる。
真子:じゃあ、やってみるね。まずは手軽軸からだよね。
勝 :恵利ちゃん、ノートとって。始まるぞ。
恵利がもう準備できてます、と言わんばかりに構えている。
真子の口から言葉がマシンガンのように流れ出る。
「あー、最近野菜とってないなー。あ、そういえば口内炎ができたの
もそのせーかも……野菜ジュースにするか……でも甘いのがいいか
らフルーツジュースに……そうだ、野菜が入ってるフルーツジュー
スにしようっと」
勝 :待て、フレッシュフルーツジュースと比べて、だってば。その
状態で、恵利ちゃんにフレッシュジュースを勧められたら?
真子:あ、そっか。じゃーねー……
「フレッシュジュースでもいーけどさー、そこまでしなくてもいーや
って感じかなー。1杯何百円はちょっと高いしー、そんなにお金か
けたくないよなー。いつも行くコンビニで買えるんだからさ。え?
色んな果物が選べる? いーよそんなの。選ぶのめんどくさいし。
有名なメーカーが作ってるんなら、きっと無難だしー……とりあえ
ずこれでいーや」
勝 :OKOK。そんな感じだろうな。
真子:多分ねー、手軽軸のお客様なら、フレッシュとかどうでもよく
って、そこまでこだわらない。選ぶのもテキトー。
勝 :そうだな。買うのも選ぶのも面倒で、無難なものを選ぶ。
恵利:真子、すっごーい!
勝 :じゃあ、商品軸を選ぶお客様だったら?
真子:うーんとね……うん。
「濃縮還元じゃないフレッシュな絞りたてジュース? そんなの当然
じゃないの。産地はどこなの? 無農薬は当たり前よね? え?
無農薬じゃないけど減農薬? じゃあまあ一応合格か。産地は?
え? いいじゃないの。アナタ、わかってるじゃない。そこが一番
おいしいのよ。え? それ以上にこだわってる? うん、値段は高
いけどそれだけのことはあるわね。っていうか、むしろ安い感じが
するわ。あ、お金払うから、毎日届けてくれない?」
勝 :OK。いーぞ。
真子:商品軸のお客様は、きっと色んなところにこだわるんだろうな
と思って。
勝 :そうそう。商品軸は高品質ニーズだからな。最高の果物を使う
っていうことになるな。いーぞいーぞ。
「へへーん、当たり前じゃないの」と返す真子の隣で、恵利が必死で
メモを取っている。
真子:じゃあ最後に密着軸のお客様のつぶやきだよね?
勝 :おう。
「フレッシュジュース? それで、それにリンゴは入ってる? あ、
入ってるんだ。じゃあいいわね。リンゴのあの繊維がお腹にいいの
よ。医者いらずっていうし……私はリンゴが入ってないとダメ。あ
あとアセロラは? ビタミンCたっぷりなのよ。え? ないの?
じゃあ次は仕入れてよ。少しくらい高くてもいいんだから。そうす
ればホント「マイジュース」って感じになるね」
勝 :いーぞいーぞ。何でリンゴとアセロラなんだ?
真子:私が好きだから。
勝 :ま、いっか。それがいいかどうかはともかく、「自分好み」の
ものがそれがほしい、っていうのはそういう感じかな。
楽しそうに話す真子の隣で恵利が必死でまとめている。
勝 :あ、ごめん、恵利ちゃん、大丈夫?
恵利:は、はい……もう少しで…………できました!
恵利が真子と勝にノートを見せる。
○差別化軸ごとの「お客様の意思決定」
手軽軸:
・こだわりはそんなにないので、それほどお金をかけたくない
・買いに行くのも、商品を選ぶのもラクな方がいい
・とりあえず無難なものを選ぶ
商品軸
・「良い」ものにこだわる
・最高に良い、という品質に対して厳しい目と知識を持ち、自分の目
に叶えば、お金を払っても良いと考えている
密着軸
・「私向けのもの」にこだわる
・私の(特殊な)個別リクエストに応えてほしい。そのリクエストに
応えてもらうことに対して、お金を払っても良いと考えている
勝 :うん、よくまとまってる。
恵利:この「お客様の意思決定」に自社が合わせられれば、お客様に
選んでいただける、ということですね。
勝 :うん。あとは、さっきやった「バラツキ」が大きいこだわり客
がどんな人で、どこにいるか、を具体化していく。
真子:そっか、そうやって考えていけばいいんだ。「特注」を頼む人
はどんな人、っていうことだね。
勝 :そうそう。
恵利:勝さん、これがさっきの「グラフ」の理由ですか?
真子:どういうこと?
恵利:「こだわる人」っていうのは、やっぱり少ないですよね……
勝 :あ、それもあるね。マニアよりビギナーの方が圧倒的に多い。
真子:でもさ、そういう「こだわり」のある人に選んでもらうために
は、こちらも努力しないといけないか大変だよね−。
勝 :そうそう。このご時世、ラクに戦える、儲かる、なんていうこ
とはありえない。
恵利:はい……頑張らないといけないですね!
ペンションのキッチンから、何やら良いにおいが漂ってくる。
真子:食べ物の話してたら、おなかすいちゃったなあ……
勝 :夕食の時間まであとちょっとか。もう少しやるか。
恵利:はい!
(次号に続きます)
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◆今日のまとめ
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●「個別適合」で差別化する密着軸の顧客は、「個別適合」ニーズが
強い顧客。「特注」を発注する顧客を具体的に考えていこう!
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誌上でお答えしますのでぜひどうぞ。
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▼今日の日記▲
先日、あるお客様に「そば懐石」のお店につれていっていただきまし
た。(数少ない)土地勘のあるエリアで、その店の存在はずっと以前
から知っていたのですが、入る理由もないので入ったことがありませ
んでした。
で、初めてだったのですが……おいしい店でした!! そば懐石の店
ですので、そばがおいしいのは当然ですが、焼き鳥がおいしかったん
ですよね……豚肉を思わせるくらいに脂のノリがよく、玉子をつけて
食べる、なんていうのも(親子焼き鳥?)初めてでした。1本300
円以上するだけのことはあります。
席はもうほぼ全部埋まっている感じでした。
そのエリアは飲食店の激戦区なので、はやり廃りが激しいのですが、
お世辞にも立地が良いとは言えない場所で、これだけ繁盛している店
には、やっぱり繁盛するだけの理由があるんですね……また行ってみ
たい、と思うすばらしいお店でした。ありがとうございました!
●今日のiPod Tune:猛暑を楽しもう! 夏のHot Tunes 2012
関東もいきなり梅雨明けかと思ったら、いきなり猛暑!
ということで、今年も始めました! 夏の歌2012!
今日も「熱い」曲です!
○ff (フォルティシモ) by HOUND DOG
1985年の大ヒットシングル。HOUND DOGというと、やっぱ
り「夏」のイメージが強い感じがしますが、そんな彼らの代表曲です
ね。
80年代後半には、よく歌われたり聞いた曲の1つです。この頃は、
本当に「みんな知ってる曲」というのがヒット曲でしたね。
フォルティシモは当然「極めて強く」の意味ですね。この夏も力強く
乗り切っていきましょう!
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品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
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ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
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物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
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●「図解 実戦マーケティング戦略」 佐藤義典 著
マーケティング戦略入門:戦略はここから
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●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
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●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
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●「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
日本能率協会マネジメントセンター
右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
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◆次号予告:密着軸の経営戦略 9
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●次回は、密着軸を実行する際の3つのステップ、「密着軸の3ステ
ップ」です!
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!
▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!
▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!
売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……
〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
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