アフィリエイト活動に役立つ優良ツールとマニュアルです。詳細説明

2012年7月31日火曜日

売れたま!特別編Vol.175 2012/07/30 夏休み特別号:密着軸の経営戦略 8

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
 〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.175 2012/07/30
購読者:27,513 (まぐまぐ:16,600 メルマ!:957 めろんぱん:9,956)

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 8__■■■■■
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「個別適合」で差別化する密着軸の顧客は、「個別適合」ニーズの
 強い顧客。「バラツキ」が大きな顧客を考えてみよう!


┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
┃単独でもお役に立てますし、本と併用されれば効果倍増!

┃図解 実戦マーケティング戦略 → http://tinyurl.com/a6ul5


○公開セミナー 「マーケティング脳を鍛えるトレーニング」

・日程:2012年9月6日(木) 10〜17時
・場所:青学会館  価格:47,250円(税込)

http://www.marken.co.jp/marken_seminar/2012/09/post_424.shtml



◆◆◆◆◆ 戦略BASiCS 少人数集中セミナー! ◆◆◆◆◆

●8月に「戦略BASiCS 2日間集中セミナー」 

今週末ですが、1名様のみの募集です


○日程:2012年8月4日(土)〜5日(日) 
○場所:東京・青山(最寄り駅は東京メトロ銀座線外苑前駅)


ご参加希望の方は、この売れたま!にそのままご返信いただければ、
私にメールが届きます。


詳細はこちらです(満席と書いてありますが、1名ご参加可能です)

http://www.sandt.co.jp/seminar-sb.htm



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●密着軸の経営戦略特集!

恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!

恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。

以下がその前提なる知識です


○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント

 Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
 Asset:独自資源     強みを競合がマネできない理由
 Strength:強み     顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
 i
 Customer:顧客     自社が取引したい具体的顧客像
 Selling message     強みを顧客に刺さるように伝える


○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法

手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
    → 競合より安い・早いで差別化する

商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える 
    → 競合より高品質・新技術で差別化する

密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
    → 競合より個別ニーズ対応で差別化する



●今シリーズの登場人物3名

○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者

○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ

○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中


◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
http://ow.ly/89pSR

◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d

◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
 戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm



●ここまでのあらすじ

高原のペンションに「山ごもり」して合宿を行った真子、勝、恵利の
3人。話し合っている最中に、ふとしたことから「密着軸」について
ペンションのテラスで勝の講義を受けることに。


連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。

http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html


今回は連載の8回目です。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆まずは、前号の復習から!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


高原のペンションに差し込む日は、西日をすぎ、どんどん落ちていっ
ている。

ペンションの奥の方のキッチンだろうか、そちらでは夕食の準備が進
んでいるようで、ガガガガ、というミキサーが回っている音などがし
ている。


恵利:なんか今ミキサーが回ってましたよね。野菜ジュースかな?

勝 :いや、野菜のポタージュとかじゃないかな。オレもミキサーで
   作ったりするからわかるんだけどさ。

真子:勝さん料理するんだよね。妙なところだけマメだよねー。机の
   上とかすぐ散らかすクセにさあ。

恵利:真子が人のこと言えた義理じゃないでしょ。

真子:几帳面な恵利と比べたら、みんなガサツなの!

勝 :ほら、続けるぞ。夕食までもう一息か。

真子:はーいセンセー、今回はマコが復習やりまーす!

勝 :はい、マコちゃん、珍しくやる気出してますねー。ご飯が近い
   と元気が出てくるのかなあ?

真子:そうでーす。前回は、密着軸の定義でした!

勝 :それで、何だったのかなあ?

真子:はーい、密着軸とは「個別適合」でーす!

勝 :具体的な定義は?

真子:はーい、覚えてませーん。でも恵利のノートに書いてありまー
   す! ね?

恵利:そうなると思ったわ。これですよね。


恵利がノートのある部分を囲んだ。


○密着軸戦略

売り物・売り方などの顧客への「個別適合度」を高めることで、「他
社より自分に合わせてくれる」と顧客に感じていただき、自社を顧客
に選んでもらう戦略


勝 :それでそれで?

真子:はーい、「売り物」と「売り方」、それぞれに「個別適合度」
   を高める方法がありまーす。

勝 :そうだな。

真子:「売り物」の個別適合は、カスタマイズとかオーダーメードで
   そのお客様のため「だけ」のものを作ることでーす。

勝 :おお、いいじゃないか。それで「売り方」の方は?

真子:はーい、そのお客様のことを知って、名前で呼んだり、お客様
   の診断をして、合った商品を勧めたりすることでーす。

恵利:私は、「愛想の良い対応」が密着軸とは限らない、というとこ
   ろが意外でした。

勝 :愛想うんぬんじゃなくて、あくまで「個別適合」。愛想が良い
   のは、フツー。

恵利:はい、1人1人のお客様の違いに合わせる、というのが「個別
   適合」ですね。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆バラツキの端の方が密着軸のターゲットになる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :となるとさ、密着軸の顧客ってどんな方になると思う?

真子:え? それ、だって前にやったじゃん。

勝 :そうだっけ?

真子:うん。恵利、ノート貸して。確か、美容院の話をしていたとき
   だったと思うけど……


真子が恵利のノートをめくり、「あ、これこれ」と言って、あるペー
ジを開く。



1)(他社より)早い、安い、買いやすい
2)(他社より)品質が高い、技術が良い
3)(他社より)自分に合わせてくれる


勝 :お、シリーズ2回目のときだな。よく覚えてたじゃん。

真子:この、お客様が買うモノを選ぶ3つの理由、のさ、3つめのヤ
   ツが「密着軸」ニーズのあるお客様でしょ?

恵利:この「他社より自分に合わせてくれる」というニーズがあるお
   客様、ということ?

勝 :そうなんだけど、それをさっきの「前号の復習」でやった言葉
   で説明するとどうなる?

真子:へ?? 何それ??

恵利:あ、「個別適合度」ですね。

勝 :そうそう。

恵利:えっと……「個別適合度」のニーズが強いお客様が、密着軸の
   会社を選びやすい、ということですか?

勝 :そう! 「個別適合度」なんてどうでもいい、というこだわり
   のないお客様は、別に手軽軸の無難な商品でいいわけだから。

恵利:あ、なるほどぉ……平均からのバラツキ度合いの高いお客様の
   方がニーズがある、ということですね。

勝 :そう!!

真子:何2人で話してるのよ。私ワカンナイ!

勝 :んーとな、「売り物」の個別適合度、って何だっけ?

真子:だから「カスタマイズ」とかでしょ? 勝さん、スーツの胸ポ
   ケット大きくするとか言ってたじゃん。

勝 :だからそういうことだよ。スーツの胸ポケット大きくしたいと
   か思ってる人が、お客様になりやすいだろ。

真子:そういう細かいこだわりのある人、ってこと?

勝 :そう人はもちろんだけど、それだけとも限らない。恵利ちゃん
   は今どんな靴履いてる?

恵利:え、普通のパンプスですけど?

勝 :特に困ってない? 特注したりしたくならない?

恵利:え、ええ……普通の靴で十分ですけど……

勝 :真子は?

真子:私、足の幅が広いから、結構大変。

勝 :オマエ、態度だけじゃなくて、足の幅もでかいのか。

真子:態度は謙虚だもーん。

勝 :じゃあ真子、靴のオーダーメード、したくならないか?

真子:できるもんならしたいけど。

勝 :だろ? 実はオレもそうで、合う靴が無いからいつもガマンし
   てる。革靴でも、インソール変えたり、幅広げたり、大変。

真子:あ、私も横幅広げたりする!

勝 :平均的な足形の人は、普通の靴でいいわけだよな? 平均から
   の「バラツキ」が大きい人が困るわけだ。

真子:えっと……あ、そっか! スーツだってそうだよね! 標準の
   サイズだと入らない人の方がオーダーメードニーズが強い!

勝 :そうそう。それが「個別適合度」のニーズが高い人であり、そ
   れは「バラツキ」の度合いが大きい人、ってこと。

真子:なるほど! わかった。

勝 :オレさ、腕が短くて、首が太いから、ワイシャツのサイズがな
   いんだよ。バラツキが大きいんだな。

恵利:あ、標準体型なら、そんな悩みはない!

真子:ねー、体型が標準的じゃない人が密着軸のターゲットってこと
   になるの?

勝 :それだけじゃない。胸ポケットのサイズみたいな「特殊な好
   み」もバラツキの一種。いわゆる「こだわり」のある人。

真子:なるほどねー。こだわりが無い人は、別に普通のモノでいいん
   だもんね。

勝 :そうそう。そういう人は手軽軸の商品で十分。



勝が恵利のノートを「貸してね」と言って手に取ると、サラサラとノ
ートに書き込み始めた。

         ■
        ■ ■
        ■ ■
       ■   ■
       ■   ■
      ■     ■
    ■         ■
 
  密着軸   手軽軸   密着軸
  商品軸         商品軸




真子:何コレ? 富士山?

勝 :オマエは小学生か。顧客の「バラツキ」の分布のグラフだ。縦
   軸が顧客数で、横軸がバラツキの大きさ。

真子:へ?

恵利:あ、真ん中の数が多いところが「標準的な人」で、その方々は
   「手軽軸」の商品で間に合っちゃう!

勝 :そうそう。密着軸とか商品軸のお客様っていうのは、ある意味
   で特殊なニーズを持ってる、バラツキの大きい方々。

真子:これ、右の方がいい人ってこと?

勝 :密着軸の場合はいい悪いじゃなくて、バラツキの大きさ。例え
   ば右側はすごく足の幅の大きい方で、左側がすごく小さい方。

真子:あ、わかった! どちらにも靴の特注のニーズがあるんだ!

勝 :あ、そうそう。「特注」する必要のあるお客様、ってこと。バ
   ラツキが大きいと、悩みも大きくなるからその分お金を払う。

真子:じゃあやっぱり「体型」の違い?

勝 :「好みの違い」も入る、って言ってるだろ。例えば、車とかパ
   ソコンを、お金払ってでも自分好みの色にしたい人とかさ。

真子:あ、そっか。普通の色でいい人は、買ったそのままの色でいい
   んだもんね。

勝 :そうそう。この「バラツキ」がなければ「個別適合」の必要性
   はないからな。

真子:あ、そっか! 「人によってニーズが違うから個別適合する」
   んだ!

勝 :実は最初っからそう言ってるんだけど、そう言える、ってこと
   はちゃんとわかった、ってことだな。

真子:うん!

勝 :BtoBだってそうだぜ。例えば会社でITシステムを発注す
   るっていう場合は、個別適合ニーズが高い会社は?

真子:うーんとね、「特殊な仕事の仕方」をしてる会社、かな?

勝 :お、そうそう。特殊な仕事の仕方をしてると、既存の商品が使
   いにくいからな。「特注」の必要がある。

真子:私、転職してきたときに、結構会社による違いに驚いたから。

恵利:そうなんだあ。じゃあ、特殊な仕事の仕方をしている会社が、
   密着軸の会社に発注するわけですね。

勝 :そうなるね。

恵利:ただ、このグラフを見ると、バラツキが大きい人ほど人数が減
   ってますよね? そうなると、顧客数が減りますよね?

勝 :もちろんそうだよ。今の「特殊な仕事をしてる会社」の数は、
   少ないに決まってるじゃん。少ないから「特殊」なんだよ。

恵利:え? お客様の数が少ないと、大変なんじゃ……

勝 :えー……また恵利ちゃんまでそんなことを……

恵利:え?

勝 :まさか、真ん中あたりの、人がたくさんいるところの方が絶対
   的にラクだ、とか思ってないよね?

恵利:あ、あ、あの……そ、それは……

真子:恵利、そーゆー、人がたくさんいるところって競合もたくさん
   いるよ。手軽軸の競合はそこ狙ってくるし。

恵利:あ……あ、そうか! 顧客数が多ければ、競合も激しいんだ!

勝 :うん。顧客数も大事だけど、競合の激しさとか、戦いやすさを
   合わせて考えないとダメ。

恵利:あ……あ! そうだ! BASiCSの要素は切り離して考え
   てはいけないんですね。

勝 :うん。どこに言っても競合はある。長期的に見れば、競合がな
   い戦場なんてまず無いからね。

恵利:なるほど……競合の存在を忘れがちなので、私、注意しないと
   いけないですね。

勝 :それに、「バラツキ」が大きい、ってことは、顧客の悩みも大
   きいかもしれない。だから高単価にしやすい。

真子:確かに、服とか靴で、サイズの問題は深刻だよね……

勝 :逆に、端っこの人が少ないところが競争がラクとも限らない。
   密着軸ニーズがなければ、それは諦めた方がいいかも。

真子:ねー、勝さん、でもスタバって密着軸なのに、あんなに大きい
   よね? 売上1000億円規模だよね?

勝 :それでも手軽軸のマックよりは小さいぞ。マックで5000億
   円規模だからな。

恵利:あ、そっか。外食産業自体が大きい市場だからですね。

勝 :そうそう。外食産業で20兆円規模って言われる。するとさ、
   少々「端っこ」を狙っても、結構大きいニーズがある。

真子:あ、だから2万円のディナーとかの商品軸ニーズがあるんだ。

勝 :大都市なら、な。ニーズがあるかどうかは、差別化軸というよ
   りも、戦場次第。

恵利:あ、はい、差別化軸は、あくまでもBASiCSの5要素のク
   シであって、そのものではないんですよね。

勝 :そういうこと。じゃあ恵利ちゃん、ここまでを一旦まとめてく
   れるかな?

恵利:はい。



○密着軸は「個別適合度」を高めて差別化するため、その顧客は「個
 別適合」ニーズが強い方となる

○標準から離れた「バラツキ」が大きい方は、「個別適合」ニーズが
 強くなる。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆差別化軸ごとの「お客様の意思決定」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

勝 :じゃあ、この「個別適合」ニーズが強いお客様、というのを具
   体化していこうか。

真子:それって、こだわりの強いお客様、っていうことじゃないの?

勝 :「こだわり」って言っても、商品軸的なこだわりもあるだろ。

真子:あ、そっか。

勝 :さっきの「お客様が買うものを選ぶ理由」があったでしょ?


恵利が「はい、これですよね」と言いながら再度ノートを見せる。


1)(他社より)早い、安い、買いやすい
2)(他社より)品質が高い、技術が良い
3)(他社より)自分に合わせてくれる


勝 :そうそう。これを具体化していこう。他の差別化軸と比較して
   いった方が、密着軸の特徴がわかりやすいからな。

真子:あ、なるほどね。他の差別化軸と比べると違いが出るね。

勝 :例として、恵利ちゃんの店で作って出してる、フレッシュフル
   ーツジュースについて考えてみようか。

恵利:あ、はい、お願いします。絞りたての、生のジュースを売って
   ます。ジューススタンドのようなものですけど。

勝 :まず、手軽軸だったら、どんな感じかな。生ジュースどころか
   コンビニのパックのジュースでいいんだろうな。

真子:そうだろーねー。

勝 :じゃあそのときの「お客様の意思決定」を具体化しようぜ。

真子:え?

勝 :だからさ、その場合なら、コンビニでフルーツジュースを買う
   ときのココロのつぶやきを言語化する。

真子:あ、つぶやきイメージね。


*つぶやきイメージは、拙著「実戦マーケティング思考」で!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm


勝 :ただ今回はちょっと変則的。「フレッシュフルーツジュース」
   を基準として、なぜそれを買うのか、にする。

真子:え?

勝 :だって、コンビニでフルーツジュースを買う理由を普通にイメ
   ージすると「甘くておいしいから」になるだろ?

真子:うん。それじゃダメなの?

勝 :フレッシュフルーツジュースとの比較にならないからダメ。

真子:あ、そっか。競合を恵利の店のジュースにしたときに、という
   ことね。

勝 :そうそう。ターゲットは真子でいい。20代女性で仕事が忙し
   い、大都市に通勤する人。ちょっと健康も気になってる。

真子:じゃあ、やってみるね。まずは手軽軸からだよね。

勝 :恵利ちゃん、ノートとって。始まるぞ。


恵利がもう準備できてます、と言わんばかりに構えている。

真子の口から言葉がマシンガンのように流れ出る。


「あー、最近野菜とってないなー。あ、そういえば口内炎ができたの
 もそのせーかも……野菜ジュースにするか……でも甘いのがいいか
 らフルーツジュースに……そうだ、野菜が入ってるフルーツジュー
 スにしようっと」


勝 :待て、フレッシュフルーツジュースと比べて、だってば。その
   状態で、恵利ちゃんにフレッシュジュースを勧められたら?

真子:あ、そっか。じゃーねー……


「フレッシュジュースでもいーけどさー、そこまでしなくてもいーや
 って感じかなー。1杯何百円はちょっと高いしー、そんなにお金か
 けたくないよなー。いつも行くコンビニで買えるんだからさ。え?
 色んな果物が選べる? いーよそんなの。選ぶのめんどくさいし。
 有名なメーカーが作ってるんなら、きっと無難だしー……とりあえ
 ずこれでいーや」


勝 :OKOK。そんな感じだろうな。

真子:多分ねー、手軽軸のお客様なら、フレッシュとかどうでもよく
   って、そこまでこだわらない。選ぶのもテキトー。

勝 :そうだな。買うのも選ぶのも面倒で、無難なものを選ぶ。

恵利:真子、すっごーい!

勝 :じゃあ、商品軸を選ぶお客様だったら?

真子:うーんとね……うん。



「濃縮還元じゃないフレッシュな絞りたてジュース? そんなの当然
 じゃないの。産地はどこなの? 無農薬は当たり前よね? え? 
 無農薬じゃないけど減農薬? じゃあまあ一応合格か。産地は?
 え? いいじゃないの。アナタ、わかってるじゃない。そこが一番
 おいしいのよ。え? それ以上にこだわってる? うん、値段は高
 いけどそれだけのことはあるわね。っていうか、むしろ安い感じが
 するわ。あ、お金払うから、毎日届けてくれない?」


勝 :OK。いーぞ。

真子:商品軸のお客様は、きっと色んなところにこだわるんだろうな
   と思って。

勝 :そうそう。商品軸は高品質ニーズだからな。最高の果物を使う
   っていうことになるな。いーぞいーぞ。


「へへーん、当たり前じゃないの」と返す真子の隣で、恵利が必死で
メモを取っている。



真子:じゃあ最後に密着軸のお客様のつぶやきだよね?

勝 :おう。


「フレッシュジュース? それで、それにリンゴは入ってる? あ、
 入ってるんだ。じゃあいいわね。リンゴのあの繊維がお腹にいいの
 よ。医者いらずっていうし……私はリンゴが入ってないとダメ。あ
 あとアセロラは? ビタミンCたっぷりなのよ。え? ないの? 
 じゃあ次は仕入れてよ。少しくらい高くてもいいんだから。そうす
 ればホント「マイジュース」って感じになるね」


勝 :いーぞいーぞ。何でリンゴとアセロラなんだ?

真子:私が好きだから。

勝 :ま、いっか。それがいいかどうかはともかく、「自分好み」の
   ものがそれがほしい、っていうのはそういう感じかな。



楽しそうに話す真子の隣で恵利が必死でまとめている。


勝 :あ、ごめん、恵利ちゃん、大丈夫?

恵利:は、はい……もう少しで…………できました!


恵利が真子と勝にノートを見せる。


○差別化軸ごとの「お客様の意思決定」


手軽軸:
・こだわりはそんなにないので、それほどお金をかけたくない
・買いに行くのも、商品を選ぶのもラクな方がいい
・とりあえず無難なものを選ぶ


商品軸
・「良い」ものにこだわる
・最高に良い、という品質に対して厳しい目と知識を持ち、自分の目
 に叶えば、お金を払っても良いと考えている


密着軸
・「私向けのもの」にこだわる
・私の(特殊な)個別リクエストに応えてほしい。そのリクエストに
 応えてもらうことに対して、お金を払っても良いと考えている



勝 :うん、よくまとまってる。

恵利:この「お客様の意思決定」に自社が合わせられれば、お客様に
   選んでいただける、ということですね。

勝 :うん。あとは、さっきやった「バラツキ」が大きいこだわり客
   がどんな人で、どこにいるか、を具体化していく。

真子:そっか、そうやって考えていけばいいんだ。「特注」を頼む人
   はどんな人、っていうことだね。

勝 :そうそう。

恵利:勝さん、これがさっきの「グラフ」の理由ですか?

真子:どういうこと?

恵利:「こだわる人」っていうのは、やっぱり少ないですよね……

勝 :あ、それもあるね。マニアよりビギナーの方が圧倒的に多い。

真子:でもさ、そういう「こだわり」のある人に選んでもらうために
   は、こちらも努力しないといけないか大変だよね−。

勝 :そうそう。このご時世、ラクに戦える、儲かる、なんていうこ
   とはありえない。

恵利:はい……頑張らないといけないですね!



ペンションのキッチンから、何やら良いにおいが漂ってくる。


真子:食べ物の話してたら、おなかすいちゃったなあ……

勝 :夕食の時間まであとちょっとか。もう少しやるか。

恵利:はい!



(次号に続きます)



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「個別適合」で差別化する密着軸の顧客は、「個別適合」ニーズが
 強い顧客。「特注」を発注する顧客を具体的に考えていこう!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売れたま!を解除するには
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

売れたま!は、以下の3つの配信会社さんから配信されています。

こちらには読者様のアドレスはわかりません。配信会社さんをご確認
の上、以下から解除をご自身にてお手続き下さい


○まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000111700.html

○melma!
http://www.melma.com/backnumber_92209/

○めろんぱん
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=010361


ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ 「事例でわかる! 実戦マーケティング戦略ワークブック」 ◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

有料メルマガ発行中! BASiCSの本当の実戦演習! 実際の事
例をとりあげて、私がBASiCSを「添削」する、まさに読む「コ
ンサルティング」。BASiCSを「使う力」を身につけたい方はぜ
ひどうぞ。

お申し込み・詳細はこちらから↓

http://biz-spice.jp/public/detail/1004/1004/

●発行頻度 月1回 、420円/月

●誌上コンサルティングを応募中!

誌上で取り上げる事例を募集中です。BASiCSに関する質問にも
誌上でお答えしますのでぜひどうぞ。

この売れたま!にご返信いただければ、私にメールが届きます。


**************************************************************
▼今日の日記▲

先日、あるお客様に「そば懐石」のお店につれていっていただきまし
た。(数少ない)土地勘のあるエリアで、その店の存在はずっと以前
から知っていたのですが、入る理由もないので入ったことがありませ
んでした。

で、初めてだったのですが……おいしい店でした!! そば懐石の店
ですので、そばがおいしいのは当然ですが、焼き鳥がおいしかったん
ですよね……豚肉を思わせるくらいに脂のノリがよく、玉子をつけて
食べる、なんていうのも(親子焼き鳥?)初めてでした。1本300
円以上するだけのことはあります。

席はもうほぼ全部埋まっている感じでした。

そのエリアは飲食店の激戦区なので、はやり廃りが激しいのですが、
お世辞にも立地が良いとは言えない場所で、これだけ繁盛している店
には、やっぱり繁盛するだけの理由があるんですね……また行ってみ
たい、と思うすばらしいお店でした。ありがとうございました!



●今日のiPod Tune:猛暑を楽しもう! 夏のHot Tunes 2012

関東もいきなり梅雨明けかと思ったら、いきなり猛暑!

ということで、今年も始めました! 夏の歌2012!

今日も「熱い」曲です!


○ff (フォルティシモ) by HOUND DOG

1985年の大ヒットシングル。HOUND DOGというと、やっぱ
り「夏」のイメージが強い感じがしますが、そんな彼らの代表曲です
ね。

80年代後半には、よく歌われたり聞いた曲の1つです。この頃は、
本当に「みんな知ってる曲」というのがヒット曲でしたね。

フォルティシモは当然「極めて強く」の意味ですね。この夏も力強く
乗り切っていきましょう!



**************************************************************
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
 品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
●無断転載は禁じますが企画や会議のネタにぜひどうぞ。全文転送な
 ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
●メルマガの内容の実行は、読者さんの責任でお願いします。
●自社の売上向上のために使うのは歓迎ですが、このメルマガの内容
 の販売・コンサルティングへの利用で利益を得る行為は禁じます。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<発行者情報>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●発行者:佐藤義典   ●発行頻度:月・木の週2回目標
●感想、質問、実行の結果などは uretama@mpara.com へどうぞ!
http://www.mpara.com(マーケティングパラダイス)
 マーケティングパラダイスはエルパラ(www.Lpara.com)傘下サイト
●購読の登録・解除はまぐまぐ、メルマ!、Macky! の各サイトか、
 http://www.mpara.com/mag.htm (マーケティングパラダイス)で
●バックナンバー抜粋 http://www.mpara.com/backno.htm

マーケティングコンサルティング・研修・セミナーは
ストラテジー&タクティクス株式会社へ
http://www.sandt.co.jp/index.htm

Copyright 2003-2010 Yoshinori Sato

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売れたま!提携メルマガ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以下は、売れたま!独自の基準で厳選している提携メルマガです。

●あなたは一国一城の主!小さな会社を成功させる方法
http://www.mag2.com/m/0000111010.html

お奨め書 「売りこむな!期待をくすぐれ!!」
http://tinyurl.com/4vyk4

●行列のできるお店のためのマーケティング戦略
http://www.mag2.com/m/0000122871.html

●エンジニアがビジネス書を斬る!
http://www.mag2.com/m/0000132223.html

●後悔しないための読書【ビジネス書の本格的書評】
http://www.mag2.com/m/0000125885.html

───────────────────────────────

ご参加希望のメルマガ発行者は売れたま!にご返信ください。

提携メルマガオーナーに声をかけます。提携基準は厳しいので、提携
できるとは限らないこと、あらかじめご了承ください。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売れたま!発行者 佐藤義典 の本 : 合わせて読めば最強!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●最新刊! BtoBマーケティングの標準テキスト

「事例でわかる 実戦BtoBマーケティング」 
 佐藤義典著 日本能率協会マネジメントセンター

サブタイトルは「お客様に頼られる存在になるための戦略実行」。お
客様に頼られる存在になる手法が満載!

http://ow.ly/7Wvdq

─────────< 経営戦略の最高峰 >──────────

●「経営戦略立案シナリオ」 佐藤義典 著 かんき出版
経営戦略のガイドブック:経営者は必読!
http://www.sandt.co.jp/scenario.htm


●「売れる数字 〜組織を動かすマーケティング〜」 
 佐藤義典著 朝日新聞出版

戦略を実行に落とし込み、組織を動かそう!
http://ow.ly/32zKP

──────< 物語でわかるマーケティング >────────

●「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 マーケティング入門:読みやすい小説
http://ow.ly/89pSR

●「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
 で物語で体感!
http://ow.ly/6s63d

●「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
 物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm

─────< マーケティング戦略のベストセラー >──────

●「図解 実戦マーケティング戦略」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略入門:戦略はここから
 日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/jissen.htm

●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
 日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/check.htm

●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
 ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
http://www.sandt.co.jp/kotowaza.htm

────────< マーケティングの思考法 >────────

●「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
 日本能率協会マネジメントセンター
 右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆次号予告:密着軸の経営戦略 9
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●次回は、密着軸を実行する際の3つのステップ、「密着軸の3ステ
 ップ」です!


▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!

▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!

▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!


売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……

〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
のバックナンバー・配信停止はこちら
http://archive.mag2.com/0000111700/index.html

0 件のコメント:

コメントを投稿