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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.269(累計1071) 2013/11/25
購読者:29,004 (まぐまぐ:16,229 メルマ!:944 めろんぱん:11,831)
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■■■__夏休み特別号:BASiCSで商品開発32__■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●ITESTはBASiCSを回すプロセスであり、永遠の学習サイ
クル。商品に「想い」を込め よう!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
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日時:2013年12月4日
場所:大阪商工会議所 北支部会議室
「売るためのアイデア発想と思考法」特別トレーニング
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◆夏休み特別号! BASiCSで商品開発!
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夏真っ盛り! 恒例の夏休み特別号は、あの本の登場人物に……
「新人OL〜シリーズ」の登場人物
・売多真子:イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」社長
・売多勝 :売多真子の親戚 コンサルティング会社経営
・上原望 :売多真子の同僚「そーれ・しちりあーの」役員
「経営戦略虎の巻 CD」付属小説の登場人物
・松井恵利:売多真子の友人 果物ジュース・ケーキショップ店長
○入門書:「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」佐藤義典
http://ow.ly/qBY9o
売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
○戦略書:「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典
http://ow.ly/6s63d
真子が社長になり競合と戦う戦略構築〜実行プロセスを、物語で体感
●「BASiCSで商品開発」編
今回の特集は、「商品開発」! 多くの方が悩むところです。
・どんな製品を作れば売れるのか?
・どんなサービスを企画すれば人気が出るのか?
ポイントはもちろん、BASiCS!
このシリーズはどのくらいの長さになるかは、現時点ではわかりませ
ん。気長にお楽しみください。
(最近ご購読を開始された方へ)
この号は連載記事の続きです。1回目はこちらです↓
http://archive.mag2.com/0000111700/20130809012000000.html
このページから 次の記事 >> をクリックしていただくと、続きが
お読みいただけます。
●ここまでのあらすじ
イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」の社長「売多真子」
(うれた・まこ)と役員「上原望」(うえはら・のぞみ)、真子の友
人「松井恵利」(まつい・えり)は、真子の親戚にしてコンサルタン
トの「売多勝」(うれた・まさる)の「1人合宿」についてきた。
8月の初旬、4人の向かう先は、高原のペンション。4人は長野行き
の新幹線に乗り込み、4人席で早速勝の「講義」が始まった。
2日目は講義と自分たちの仕事を終え、夕食から講義再開となった。
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◆まずは、前号の復習から!
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高原のペンションに泊まって、2日目の夜。明日には帰京する4人は
最後の晩餐を楽しんでいる。
今日のディナーのメインは「地鶏のもも肉」。真子が椅子から立ち上
がりながら勝に声をかける。
「勝さん、私、ライスのおかわりもらってくるけど、勝さんは?」
「お、ありがと。じゃあオレのも頼む」
じゃーおかわりもらってくるねー、と空いた皿を2枚持った真子が、
小走りで宿のキッチンに向かう。
「真子はよく食べるねー、昔からだけど」
「恵利ちゃん、昔から真子ちゃんあんなに食べてたの?」
「うん、そうだね。男子顔負け、っていうか、一番食べてた」
「何だ、真子に食い負けるなんて、最近の男の子は少食なんだな」
「そ、そりゃ勝さんから見ればそうかもしれませんけど……」
「なになにー、私、カワイイって?」
ライスのお代わりを勝に渡しながら真子が話に加わる。
「そうそう、真子は昔からカワイイって言ってたの」
「うんうん、そーだよねー、わかってるわかってる」
「じゃあカワイイカワイイ真子ちゃん、復習から始めるぞ」
「それは望ちゃんの役割だもーん」
望 :うん、私やりたい。ではここまでの復習ですね。
望が、いつもどおりキレイにまとまったノートを開く。
○商品開発のプロセス ITEST(アイテスト)
Idea Generation アイディア出し
Test Marketing テストマーケティング
Engineering 生産方法確立・生産
Selling 上市・販売
Tuning 市場の反応を見て改善・修正
望 :キッコーマン食品のヒット商品も、「I:アイディア」から、
「T:テスト」を丁寧に進めています。
真子:思ったんだけど、とにかく何回もお客様の意見を聞くことが大
事なんだな、ってことだよね。
勝 :そうそう。マーケティングは結局「確率」の問題。何が売れる
かはわからない。
恵利:だからこそ、失敗要素は事前に排除しておくべき、ということ
ですよね。
真子:ただ、あんまりそのプロセスを厳しくしちゃうと、アイディア
をつぶしちゃわないかな?
勝 :違う違う、逆だ。真逆。たくさんの「矢」を放ちたい。だから
こと、「T:テストマーケティング」で気軽にテストする。
真子:あ、そーゆーこと?
勝 :「I:アイディア」からいきなり「E:生産」「S:販売」と
いうプロセスだと「試す場」がないだろ?
真子:あ、そっか。むしろ「試す」ハードルを下げてるんだ。
望 :面白いモノがあったら、気軽に試してみればいいんですね。
勝 :そうそう。冒険的なものほど、試してみる価値がある。しかも
小さく、ね。だからテストマーケティングする。
望 :ね、真子ちゃん、うちでもさ、面白いメニューができたら、常
連さんに試してもらってもいいかもね。
真子:あ、それいい!
恵利:常連さんを「試験台」にしちゃって大丈夫?
勝 :もちろんきちんと説明して、だけど、「商品開発に関われる」
なんて、常連として最高のステータスじゃないか?
望 :不公平とかにならないように、きちんと公募制とかにしても良
いかもしれないですね。考えてもいます。
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◆「マネされるとしてどうするか」と考える
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恵利:前号のドロリッチの事例も面白かったです。商品を出してから
4年後に、大がかりな商品改善をしたんですよね。
望 :その間に競合が出てきたから、売れ行きが鈍って、その必要に
迫られたんですね。
勝 :うん。新商品を出すのは「始まり」に過ぎない。すぐに次の
ITESTのサイクルに入っていく。
真子:それが本当の「競合対策」でもあるよね。
勝 :お、いいじゃん。どういうこと?
真子:長期的にはどんな「強み」も「独自資源」もマネされるから、
マネされる前にその準備をした方がいい、ってこと。
勝 :いいないいな。それ、経営者らしい発言だな。
真子:だって、私痛い目に遭ってるもん。そーれ・しちりあーのが頑
張って作った「強み」をすぐにマネされて、さ。
望 :あ、あの「リアルシシリー」の話*だよね。
*新人OL、社長になって会社を立て直す P121
真子:うん。すっごい悔しかったねー。
望 :でも今考えると、簡単にマネされちゃう私たちがダメだったん
だよね、真子ちゃん。
真子:あのとき、「マネされるとしてどうするか」って考えないとい
けない、って痛感させられた、きゃははは
勝 :だから、繰り返すけど、ITESTを回し続けることが大事。
望 :ITESTを回すスピードが速い方が、お客様に選ばれ続ける
ということですね。
勝 :マネされたとしても、その間に先に行ってればいいだけの話だ
からな。
真子:か、カンタンに言わないでよ……それが大変なんだから。
勝 :カンタンに言ってないだろ。単純に言ってるだけだ。
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◆ITESTを回す西友の商品開発プロセス
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勝 :じゃあ、最後の事例。スーパーの西友が最近、商品開発プロセ
スを変更したらしい。
真子:スーパーの商品開発、ってことは「PB」(プライベートブラ
ンド)かな?
恵利:最近、どこもPBを強化してるよね。
勝 :そうそう。小売りでも、「商品開発」をやらないと差別化でき
なくなってる。
勝が、料理の残る皿をどかしながらノートパソコンを3人に向ける。
−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−
◇『西友はプライベートブランド(PB=自主企画)事業を強化す
る』『新商品開発のスピードも上げ、2014年末には主力PB
「みなさまの墨付き」の商品数を13年末見込み比2倍以上の
800超にする』
◇『「お墨付き」では既存商品の質の維持・向上にも乗り出す。同
PBは発売前に味や価格に関する消費者テストを実施し、70%以
上の支持率を得たものだけを商品化している。同等のメーカー品よ
りも1〜2割安く、店頭では支持率の数値も明示することで購買意
欲を高めている』
◇『そのなかで「お墨付き」は消費者の声を数値で可視化するという
新たな視点で売り場でも異彩を放つ。』『「お墨付き」とともに導
入した「きほんのき」への支持もあり、今年1〜9月のPB全体の
売上高は前年同期より2割増えたという』
◇『来年6月からは発売から1年半〜2年を経過した商品を対象に再
テストを実施する。発売時と同じく消費者に商品を試してもらい、
支持率が70%未満となった場合にはメーカーに改善を求め、さら
にテストするか販売をやめるかを決める』
◇『消費者テストを経て商品化する仕組みは、親会社である米ウォル
マート・ストアーズ傘下の英国のスーパーが実施しているのを取り
入れた。英国では発売から再テストまでの期間は2〜4年だが、日
本の消費者の品質や価格に対する厳しい見方を考慮し、より短期間
にするという』
2013/10/21 日経MJ P.7
−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−
勝 :じゃあこれを、ITESTのプロセスで分解してみて。
「はい!」 3人がディスカッションをする間に勝は食べ続ける。3
人がうなずき合って「できました!」と言って勝にノートを見せる。
I T E・S T
開発 → 消費者テスト → 商品化 → 再テスト →販売継続
↑ ↑
70%の ○ 支持率 70%の ○
支持率? を公開 支持率?
× ×
↓ ↓
見直し 終売or改善
勝 :お、そうそう。こんな感じ。
真子:ホントITESTのプロセス、だねー。
恵利:商品化する前に、きちんと「お客様の意見」を聞いているんで
すね。消費者の方に「テストマーケティング」して。
望 :でも勝さん、実際にタナに並べてみて売れ行きを見る、という
方法ではダメですか?
勝 :その手もあるけど、お客様に「あそこのPBはおいしくない」
と思われるリスクもあるでしょ?
望 :あ、なるほど……
勝 :いったんそう思われると取り返しがつかないしね。ただでさえ
PBは「安いものだから」みたいな先入観もありそうだし。
恵利:逆に、「あそこのPBは外れがない」みたいに思ってもらえれ
ばいいですよね。
勝 :そう。そして、西友がこのサイクルを回し続けると、どうなる
と思う?
真子:店頭には、「支持率」が高い商品ばっかり並ぶ!!
望 :なるほど……人気商品ばかりになるんだね。
恵利:お客様も、「あそこのPBはおいしい」と思ってくれるように
なるかもしれませんね。
勝 :そう! それこそが「PBのブランド化」だな。BASiCS
では何になる?
望 :えっと……「A:独自資源」ですよね。ソフト資源かな……
真子:ソフト資源「O:外部との関係」の「お客様からの信頼」だね
勝 :そうそう。
恵利:ということは、ITESTを回し続けることは社内の仕組みと
いうソフト資源の整備であると同時に……
望 :お客様からの信頼というソフト資源を蓄積する施策でもあるん
ですね!
勝 :そうそう。ITESTを回した「結果」として、「あの店の商
品はおいしい」と思ってもらえる。
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◆「新商品を作れる状態」を整備することが経営者の仕事
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真子:「結果」って?
勝 :だから、「売れる商品が出る」のは結果。そういう「結果」が
出せるような組織とか仕組みを作るのが大事、ってこと。
真子:あ、「売れる商品」を作るよう頑張るのも大事だけど、「売れ
る商品が出せる」ようにするんだ!
勝 :特に経営者の仕事はそうなるな。
望 :なるほど……こういう「プロセス」を整備することが大事なん
ですね。
勝 :そうそう。ITESTで、「売れる商品が作れる力」をつける
ということ。
恵利:西友の例でいえば、「おいしい商品」そのものを目指すという
より、おいしい商品が作れる「状態」を整備するのですね。
勝 :そう! DOよりBE、ということ。
真子:え? 「する」より「ある」ってこと?
恵利:な、なるほど……そういうプロセスが「BE」として整備でき
ていれば、結果として「DO」という商品開発につながる……
勝 :そうだね。ミサイルの「発射台」みたいなイメージ。売れる商
品が発射される確率、当たる確率を高めていく。
望 :あ……「発射台」……ミサイルを打て、という前に、発射台を
整備しないといけない……
勝 :そうそう。そしてその「発射台」を作るのが経営者の仕事。
望 :私、誤解してました。「新商品を出そう!」とハッパをかける
のが私の仕事だと思っていましたが……
勝 :それは「DO」を目指しちゃってるね。現場層はそれでもいい
けど……
望 :経営層の仕事は、その「DO」ができる「BE」を整備する、
ということですね。
真子:そっか……それがすなわちITESTっていうプロセスの整備
ということなんだね。
勝 :で、もちろんその根幹にあるのがBASiCS、だからね。
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◆総まとめ:ITESTはBASiCSを回すプロセス
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真子:ね、ITESTって結局、BASiCSをグルグル回しするプ
ロセスってことでいいんだよね?
勝 :もちろん。ITESTのどのプロセスでも、BASiCSを考
えることになる。
望 :ITESTのプロセスによって、BASiCSのどの要素を考
えるかは違ってきますよね?
勝 :そうだね。じゃあ最後のまとめとして3人に考えてもらおう。
ITESTは、BASiCSをどう考えるプロセスなのか。
真子:う、うわ、また最後に大きいお題だね……
恵利:でも、まとめにふさわしいお題だから、がんばろ。
望 :うん。
勝が「オレが満腹になるのとどっちが速いかな、あはは」と言って、
ライスのお代わりをもらいに勝は席を立った。3人は、ノートをひっ
くり返しながらディスカッションを続ける。
勝が何回かお代わりを繰り返した後、3人が「できた!」と叫び、勝
にノートを見せた。
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<ITESTの総まとめ!!>
◆I:アイディア出し
○BASiCSで商品を考える
・B:戦場・競合 どの市場からもってくるか
・A:独自資源 どんな独自資源を作るか
・S:強み どんな選ぶ理由を作るか
・C:顧客 どんなお客様に買っていただきたいか
・Sm:メッセージ お客様に強みをどう伝えるか
○I:「アイディア発想」の3つの源泉
1)ニーズ発想 → 「顧客」からの発想
・顧客が元々欲しいものだから成功の確率は高い
・逆に、大きなリターンは期待できない
2)シーズ発想 → 「自社」からの発想
・顧客が欲しいかどうかはわからないから成功の確率は低い。
・当たれば大きなリターンが期待できる
3)他業界発想 →「他業界」からの発想
・成功すれば「革新的」だが、自業種では初めてなので大変
・他業種に既に成功事例があるので、それが参考になる
○ニーズ発想 → 「C:顧客」からの発想
1−A)ニーズを捉える:顧客の行動や言葉から気づきを得る
1−B)「行動仮説」を作る:どんな提案ができるかを考える
1−C)「行動仮説」を検証する「調査」を行う
→この3つを貫く「利用場面」=TPO:Time,Place,Occasion
TPO:いつどこでどう使うか。ニーズは使い方に現れる!
○シーズ発想 → 「A:独自資源」からの発想
2−A)ハード資源からの発想:技術・設備
2−B)ソフト資源からの発想:SHOP
○「発想を引き出す体制作り」
・アイディアを出してくれる人
A)社内のスタッフ
B)社外:お客様、取引先、パートナー
・商品開発の担当者:顧客の気持ちがわかる人
・アイディアの評価者:「顧客」または「顧客の代弁者」
○BASiCSと「アイディア発想の3つの源泉」
B 競合発想・他業界発想(自業界にないものから発想)
A シーズ発想(自社の「独自資源」から発想)
S 競合発想・他業界発想(自業界にないものから発想)
C ニーズ発想(顧客像・TPOから発想)
S ニーズ発想(メッセージから始まる発想)
◆T:テストマーケティング
○BASiCSを1回小さく試して、実際の顧客の反応を得る
・B:戦場・競合 実際にどんな商品の代わりに使われるか
・A:独自資源 実際に生産・販売はできるのか?
・S:強み 実際にどんな選ぶ理由があったか
・C:顧客 実際にどんなお客様に買っていただけるか
・Sm:メッセージ 実際にどんなメッセージが刺さったか
○「T:テストマーケティング」を「E:生産」の前に行う理由
1)リスク管理をして、大損害を回避できる
・新商品は売ってみないとわからない。暗闇で進むようなものだから
一気に進まない。
・大きな意思決定である「E:生産」の前に行うことで「大損害」を
防ぐ。ドカンと作って、売れるかな、はギャンブル。
・リスク管理をしているからこそリスクが取れる。損害を限定すると
多くの矢を放てる。
2)仮説検証を速く回せる
・Tでダメなら、すぐにIに戻れるから改善が早く回せる。E・Sは
時間がかかる
3)顧客の反応を早いタイミングで得る
・実際の商品を、実際の顧客に試して、実際の反応を得ることで「正
確な」評価が得られる。
◆E:生産方法確立・生産
○A:独自資源を作る:実際に生産は可能か?
それはB:競合にはマネできないか?
○ここで得られたA:独自資源を次の「I:アイディア出し」に活用
◆S:上市・販売
○BASiCS+マインドフローを総動員
◆T:市場の反応を見て改善・修正
○C:顧客の実際の反応を見て、BASiCSを継続的に回す
・B:戦場・競合 実際にどんな商品の代わりに使われるか
・A:独自資源 実際に生産・販売はできるのか?
・S:強み 実際にどんな選ぶ理由があったか
・C:顧客 実際にどんなお客様に買っていただけるか
・Sm:メッセージ 実際にどんなメッセージが刺さったか
○誰が買っている・どう使っているのかを把握する
・気の利いた使い方をするリードユーザーをつかむ
・気の利いた使い方を拡大展開する
○商品開発時から、改善を考える
・新商品の発売自体が大きな意味でのテストマーケティング
○競合の出現への対応
・「B:競合」が出てきて、「S:強み」「A:独自資源」が弱くな
ったら再度「A:独自資源」を再構築する。
・最初の「S:上市・販売」の時点で、次の「矢」を考え、次の
「A:独自資源」の構築を始めておく
・「B:競合」に対する「S:強み」のある新たな「Sm:メッセー
ジ」を出して、差別化を再強化する
◆大きなITESTを回す
他の商品への応用を考える
・A:独自資源 構築した独自資源を他に転用できないか?
・C:顧客 獲得した顧客に他の商品を販売できないか?
===============================
勝 :おー、すごいすごい。よくまとまった。こういうこと。
真子:商品開発って大変だねえ……ここまで考えないといけないんだ
勝 :こう整理すると複雑に見えるけど、要はBASiCSができて
いく過程、と捉えればいいだけ。
恵利:ITESTの全てのプロセスで、BASiCSを練り続ける、
ということですよね。
勝 :そう。こういうこと。
I: BASiCSで考える
↓
T: BASiCSで試す
↓
E: BASiCSで作る
↓
S: BASiCSで売る
↓
T: BASiCSで改善する
望 :な、なるほど……
勝 :それに、さっきのまとめにもあったけど、アイディア発想の3
つの源泉も、BASiCSのどこから考えるか、ってだけ。
恵利:BASiCSのどの要素を、どのプロセスでどう考えるか、と
いう体系がITESTなんですね。
勝 :そうそう。言ってしまえば「BASiCSのどの部分をどうや
って考えるか」ってだけの話。
真子:うわ、BASiCSって、使いでがあるんだねー……
勝 :何を今更……っていうか、それが伝わってなかったから、この
シリーズを始めたわけだけどさ。
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◆「学びは終わらない」。ITESTは永遠の学習サイクル
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勝 :繰り返すけど、ITESTは「手法」というより「プロセス」
であり「サイクル」。
恵利:BASiCSなどと同じ「グルグル回し」ですね。
勝 :そうそう。商品開発において大事なことは、「一発勝負」じゃ
ないってこと。失敗も含めた、継続的学習サイクル。
望 :はい、「学びは終わらない」、ということですね。
真子:きゃー、望ちゃんカッコイー! 学びは終わらない、だって!
勝 :そうそう。Never Ending Storyっていう映画があったけど、ま
さにNever Ending Learningだよな。
恵利:「学びは終わらない」かあ……
勝 :そうそう。オレだって、全然学習の途中。先は長いよ。ってい
うか、1回の人生じゃたどりつけないな。
望 :勝さん、生まれ変わっても同じことしそうですね。
勝 :そうそう。次は「白いネコ」に生まれるかもな、あははは。
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◆「商品」に「想い」を込める
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望 :あの……ITESTには「生産」とかも入っていますよね?
「販売」も入ってますよね?
真子:の、望ちゃん、何を今さら??
望 :ということは、ITESTは、商品を「考えて」「作って」
「売る」という、経営のほとんどが入ってるのかな、って……
勝 :そう!! やっと気づいたか。
真子:た、確かに……ITESTって、開発、生産、販売……ほとん
ど経営の全部じゃん!
恵利:そういう意味では、そのプロセスを通じて、BASiCSをど
う実行していくか、経営するか、という「実行方法」ですね。
勝 :そうそう。BASiCSを作り上げていく「時間軸」という切
り口がITESTとも言えるね。
恵利:あと、ITESTの分析単位は「商品」ですよね。
勝 :そうだね。
恵利:その意味では「1つの商品を作るプロセスにBASiCSをど
う反映させるか」という考え方でもありますよね
勝 :まさにそう。1つ1つの「商品」には「想い」がそれぞれに固
有の「想い」がこもっている。それを練り上げるプロセス。
真子:なるほど……「商品」には想いがこもっている……
勝 :1つの商品に、その商品にしかない「想い」をどうこめていく
か、ということでもある。
望 :1つ1つの商品に込められた想い……
勝 :商品・サービスには、形があろうとなかろうと「エネルギー」
が込められている。
恵利:「エネルギー」とは?
勝 :例えば「モノ」の場合は、原料、それから生産の工程で物的な
エネルギーが込められているよね。
恵利:あ、はい、そういう意味では、「サービス」の場合でも、そこ
でサービスを提供する人の「エネルギー」が込められますね。
真子:なるほど! ITESTは商品に「エネルギーを込める」プロ
セスでもあるんだねー。
勝 :そう。そしてそれには「情報」も含まれる。例えば「モノ」に
は「作り方」とかの「情報」が込められている。
望 :サービスもそうですよね。接客するときに、接客の方法という
情報だったり、目の前のお客様の情報を考えてやりますから。
勝 :そうだよね。ITESTは、BASiCSを使って、商品にど
のような「想い」を込めるか、ってことだ。
恵利:物的には、それが「エネルギー」だったり「情報」だったりす
るわけですね。
勝 :そう。商品を考える、お客様に営業する、全てはBASiCS
をどう使うかであり……
望 :ITESTはBASiCSの使い方の一類型、ということなの
ですね!!
勝 :まさにそれが言いたかったこと。ITESTはBASiCSの
使い方の一類型。
真子:い、一類型ってことは、他にもあるの?
勝 :無限にあるだろ。「広告メッセージの考え方」とか「市場分析
の方法」とかさ。全部BASiCSだぜ。
望 :ごく……じゃ、じゃあこの合宿も、無限に続けていただけるん
ですか? BASiCSの使い方の類型がなくなるまで……
勝 :……それはまた考えよう。ということで、「BASiCSで商
品開発」終了!!
3人:ありがとうございました!!
勝 :おつかれ。
真子:ふう……本当に終わりかあ……
充実感が漂うテーブルにオーナーが現れ、お皿を片付ける。
「お待たせしましたー、デザートをそろそろお持ちしますね」
「やったー!」
「食事は足りましたでしょうか? ご飯ならまだありますよ」
「真子ちゃん、足りてる?」
「私そんな大食いじゃないもん。フツーだもん」
オーナーがさっそくデザートを配膳していく。
「今日のデザートは地元でとれた桃のプリン、ブルーベリーのシフォ
ンケーキ、それにチョコチップ入りバニラアイスになります」
「きゃああ、おいしそーだぁ!」
「最後まで、地元づくしなんだ……」
「お茶には、消化にいいハーブティをご用意しました。ではごゆっく
りどうぞ」
「デザートまでたっぷりあるね」
「勝さんが、朝食を遅くされるのもわかりますね。夜にこれだけ食べ
たら、明日の朝は遅くても大丈夫ですね」
「でしょ? 確かにそれもあるんだ」
「今日は最後の晩餐かあ……」 望が寂しげにつぶやいた
「の、望ちゃん、どーしたの? まだ明日があるじゃん」
「そうだけど……楽しいときはすぐ終わっちゃう……」
「この旅行、そんなに楽しかったんだ!?」
「旅行っていうか、自分が知らなかったことがこんなにあった、って
いうのがわかって、それがすっごく楽しかったの」
「じゃあ、勝さんにまたやってもらおうよ」
「オマエが決めるなよ。大体、望ちゃんに今まで声かけてこなかった
のは真子だろうが」
「だ、だって望ちゃんがそんなに勉強熱心だったなんて……」
「オマエを基準に考えるなよな……まあ、また機会があったらね」
「また勝さんにはうちの店に来てもらえばいーよ、ね?」
「まあ、望ちゃんに会うためならいいかもな」
「あ、ぜひいらしてください!」
「ホントは真子に会いに来たいんだよねー、て、れ、や、さん♪」
「ホントはデザート食いに行きたいだけ」
「ね、勉強も終わったことだし、今日の夜はみんなであそぼーよ!」
「遊ぶって、何して?」
「一杯あるじゃん! 枕投げとか、トランプとか」
「ま、枕投げ?」
「オマエは小学生かよ……騒ぐと周りに迷惑だからやめろ」
「じゃあ、大貧民しよう! トランプ持って来たよ!」
「あのなあ……あ、そういえばさ、BASiCSゲーム作ろうとか思
ってたんだよな」
「そ、そんなのあるんですか?」
「いや、だから作ろうと思ってる」
「じゃあ、その企画をみんなで考えよう!」
「あ、面白そうですね」
「それならオレはありがたいな」
「じゃあ、お風呂入ったあとはそれにしよう!」
4人の長い夜はまだ始まったばかりだ。
(シリーズ、完結! お疲れ様でした!)
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◆今日のまとめ
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●ITESTはBASiCSを回すプロセスであり、永遠の学習サイ
クル。商品に「想い」を込め よう!
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○melma!
http://www.melma.com/backnumber_92209/
○めろんぱん
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=010361
ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。
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▼今日の日記▲
もうすっかり冬、ですね。11月はじめからクリスマスデコレーショ
ンをするような店もあり、アメリカより早いですね……
冬の楽しみは、冬季限定のお菓子。
ポルテとかラミーはもう定番ですが、今結構注目してるのが、ブルボ
ンのブリリアントトリュフ。
ブルボンは、2〜3年前に出していた生チョコがすごいおいしかった
んですがどうやらあまり売れなかったようで、もう出てきません……
このトリュフもおいしいです。今年は「味わいミルク」と「深み抹
茶」の2商品みたいですね。
エスプレッソと、このトリュフが2粒あれば、結構幸せなコーヒーブ
レークになります♪
●今日のiPod Tune:秋に似合うバラード2013
本編の世界はまだ「夏休み」ですが、こっちの世界では大分寒くなっ
てきましたね……
肌寒くなっていく季節に似合うのは、やっぱりバラード。
ということで、「秋に似合うバラード2013」!
今日の曲は……
○Don't Cry for Me Argentina by Madonna
バラードというか、「Evita」というミュージカルの曲です。曲
名はご存じなくとも、スタンダードナンバーですので耳にされたこと
があるでしょう。
私が最初に知ったのは、リチャード・クレイダーマンのピアノのカバ
ーでした。
最近ですと、1996年にマドンナがカバー。カバーというか、同名
の映画の主人公として歌いました。
マドンナらしく艶っぽく歌い上げるカバーです。
秋の夜長にしっとりと聴きたい1曲♪
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