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2013年11月25日月曜日

売れたま!特別編Vol.269 2013/11/25 夏休み特別号:BASiCSで商品開発 32

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━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.269(累計1071) 2013/11/25
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 ■■■__夏休み特別号:BASiCSで商品開発32__■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●ITESTはBASiCSを回すプロセスであり、永遠の学習サイ
 クル。商品に「想い」を込め よう!


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●大阪でもアイディア発想セミナー開催!

日時:2013年12月4日
場所:大阪商工会議所 北支部会議室

「売るためのアイデア発想と思考法」特別トレーニング

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ほとんどやらない、大阪でのセミナーです。関西近辺の方はぜひ!



●商品開発で必要なのは、やっぱり「アイディア」。ひたすらアイディ
アを出す1日です。

日時:2013年12月6日
場所:東京・飯田橋

ブレストで売れるアイディアが出るなら、誰も苦労しません。アイデ
ィア発想は、誰でもできる「スキル」です。来年のネタ作りに!

詳細は↓へどうぞ。
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◆夏休み特別号! BASiCSで商品開発!
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夏真っ盛り! 恒例の夏休み特別号は、あの本の登場人物に……

「新人OL〜シリーズ」の登場人物
・売多真子:イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」社長
・売多勝 :売多真子の親戚 コンサルティング会社経営
・上原望 :売多真子の同僚「そーれ・しちりあーの」役員

「経営戦略虎の巻 CD」付属小説の登場人物
・松井恵利:売多真子の友人 果物ジュース・ケーキショップ店長


○入門書:「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」佐藤義典
http://ow.ly/qBY9o
売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!

○戦略書:「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典
http://ow.ly/6s63d
真子が社長になり競合と戦う戦略構築〜実行プロセスを、物語で体感



●「BASiCSで商品開発」編

今回の特集は、「商品開発」! 多くの方が悩むところです。

・どんな製品を作れば売れるのか?
・どんなサービスを企画すれば人気が出るのか?

ポイントはもちろん、BASiCS!

このシリーズはどのくらいの長さになるかは、現時点ではわかりませ
ん。気長にお楽しみください。


(最近ご購読を開始された方へ)

この号は連載記事の続きです。1回目はこちらです↓

http://archive.mag2.com/0000111700/20130809012000000.html

このページから 次の記事 >> をクリックしていただくと、続きが
お読みいただけます。



●ここまでのあらすじ

イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」の社長「売多真子」
(うれた・まこ)と役員「上原望」(うえはら・のぞみ)、真子の友
人「松井恵利」(まつい・えり)は、真子の親戚にしてコンサルタン
トの「売多勝」(うれた・まさる)の「1人合宿」についてきた。

8月の初旬、4人の向かう先は、高原のペンション。4人は長野行き
の新幹線に乗り込み、4人席で早速勝の「講義」が始まった。

2日目は講義と自分たちの仕事を終え、夕食から講義再開となった。



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◆まずは、前号の復習から!
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高原のペンションに泊まって、2日目の夜。明日には帰京する4人は
最後の晩餐を楽しんでいる。

今日のディナーのメインは「地鶏のもも肉」。真子が椅子から立ち上
がりながら勝に声をかける。


「勝さん、私、ライスのおかわりもらってくるけど、勝さんは?」
「お、ありがと。じゃあオレのも頼む」

じゃーおかわりもらってくるねー、と空いた皿を2枚持った真子が、
小走りで宿のキッチンに向かう。

「真子はよく食べるねー、昔からだけど」
「恵利ちゃん、昔から真子ちゃんあんなに食べてたの?」
「うん、そうだね。男子顔負け、っていうか、一番食べてた」
「何だ、真子に食い負けるなんて、最近の男の子は少食なんだな」
「そ、そりゃ勝さんから見ればそうかもしれませんけど……」

「なになにー、私、カワイイって?」

ライスのお代わりを勝に渡しながら真子が話に加わる。

「そうそう、真子は昔からカワイイって言ってたの」
「うんうん、そーだよねー、わかってるわかってる」
「じゃあカワイイカワイイ真子ちゃん、復習から始めるぞ」
「それは望ちゃんの役割だもーん」



望 :うん、私やりたい。ではここまでの復習ですね。


望が、いつもどおりキレイにまとまったノートを開く。


○商品開発のプロセス ITEST(アイテスト)

 Idea Generation アイディア出し
 Test Marketing テストマーケティング
 Engineering   生産方法確立・生産
 Selling     上市・販売
 Tuning     市場の反応を見て改善・修正



望 :キッコーマン食品のヒット商品も、「I:アイディア」から、
   「T:テスト」を丁寧に進めています。

真子:思ったんだけど、とにかく何回もお客様の意見を聞くことが大
   事なんだな、ってことだよね。

勝 :そうそう。マーケティングは結局「確率」の問題。何が売れる
   かはわからない。

恵利:だからこそ、失敗要素は事前に排除しておくべき、ということ
   ですよね。

真子:ただ、あんまりそのプロセスを厳しくしちゃうと、アイディア
   をつぶしちゃわないかな?

勝 :違う違う、逆だ。真逆。たくさんの「矢」を放ちたい。だから
   こと、「T:テストマーケティング」で気軽にテストする。

真子:あ、そーゆーこと?

勝 :「I:アイディア」からいきなり「E:生産」「S:販売」と
   いうプロセスだと「試す場」がないだろ?

真子:あ、そっか。むしろ「試す」ハードルを下げてるんだ。

望 :面白いモノがあったら、気軽に試してみればいいんですね。

勝 :そうそう。冒険的なものほど、試してみる価値がある。しかも
   小さく、ね。だからテストマーケティングする。

望 :ね、真子ちゃん、うちでもさ、面白いメニューができたら、常
   連さんに試してもらってもいいかもね。

真子:あ、それいい!

恵利:常連さんを「試験台」にしちゃって大丈夫?

勝 :もちろんきちんと説明して、だけど、「商品開発に関われる」
   なんて、常連として最高のステータスじゃないか?

望 :不公平とかにならないように、きちんと公募制とかにしても良
   いかもしれないですね。考えてもいます。



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◆「マネされるとしてどうするか」と考える
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恵利:前号のドロリッチの事例も面白かったです。商品を出してから
   4年後に、大がかりな商品改善をしたんですよね。

望 :その間に競合が出てきたから、売れ行きが鈍って、その必要に
   迫られたんですね。

勝 :うん。新商品を出すのは「始まり」に過ぎない。すぐに次の
   ITESTのサイクルに入っていく。

真子:それが本当の「競合対策」でもあるよね。

勝 :お、いいじゃん。どういうこと?

真子:長期的にはどんな「強み」も「独自資源」もマネされるから、
   マネされる前にその準備をした方がいい、ってこと。

勝 :いいないいな。それ、経営者らしい発言だな。

真子:だって、私痛い目に遭ってるもん。そーれ・しちりあーのが頑
   張って作った「強み」をすぐにマネされて、さ。

望 :あ、あの「リアルシシリー」の話*だよね。

*新人OL、社長になって会社を立て直す P121


真子:うん。すっごい悔しかったねー。

望 :でも今考えると、簡単にマネされちゃう私たちがダメだったん
   だよね、真子ちゃん。

真子:あのとき、「マネされるとしてどうするか」って考えないとい
   けない、って痛感させられた、きゃははは

勝 :だから、繰り返すけど、ITESTを回し続けることが大事。

望 :ITESTを回すスピードが速い方が、お客様に選ばれ続ける
   ということですね。

勝 :マネされたとしても、その間に先に行ってればいいだけの話だ
   からな。

真子:か、カンタンに言わないでよ……それが大変なんだから。

勝 :カンタンに言ってないだろ。単純に言ってるだけだ。



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◆ITESTを回す西友の商品開発プロセス
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勝 :じゃあ、最後の事例。スーパーの西友が最近、商品開発プロセ
   スを変更したらしい。

真子:スーパーの商品開発、ってことは「PB」(プライベートブラ
   ンド)かな?

恵利:最近、どこもPBを強化してるよね。

勝 :そうそう。小売りでも、「商品開発」をやらないと差別化でき
   なくなってる。


勝が、料理の残る皿をどかしながらノートパソコンを3人に向ける。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『西友はプライベートブランド(PB=自主企画)事業を強化す
 る』『新商品開発のスピードも上げ、2014年末には主力PB
 「みなさまの墨付き」の商品数を13年末見込み比2倍以上の
 800超にする』


◇『「お墨付き」では既存商品の質の維持・向上にも乗り出す。同
 PBは発売前に味や価格に関する消費者テストを実施し、70%以
 上の支持率を得たものだけを商品化している。同等のメーカー品よ
 りも1〜2割安く、店頭では支持率の数値も明示することで購買意
 欲を高めている』


◇『そのなかで「お墨付き」は消費者の声を数値で可視化するという
 新たな視点で売り場でも異彩を放つ。』『「お墨付き」とともに導
 入した「きほんのき」への支持もあり、今年1〜9月のPB全体の
 売上高は前年同期より2割増えたという』


◇『来年6月からは発売から1年半〜2年を経過した商品を対象に再
 テストを実施する。発売時と同じく消費者に商品を試してもらい、
 支持率が70%未満となった場合にはメーカーに改善を求め、さら
 にテストするか販売をやめるかを決める』


◇『消費者テストを経て商品化する仕組みは、親会社である米ウォル
 マート・ストアーズ傘下の英国のスーパーが実施しているのを取り
 入れた。英国では発売から再テストまでの期間は2〜4年だが、日
 本の消費者の品質や価格に対する厳しい見方を考慮し、より短期間
 にするという』


2013/10/21 日経MJ P.7

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


勝 :じゃあこれを、ITESTのプロセスで分解してみて。


「はい!」 3人がディスカッションをする間に勝は食べ続ける。3
人がうなずき合って「できました!」と言って勝にノートを見せる。



 I     T      E・S    T

開発 → 消費者テスト → 商品化 → 再テスト  →販売継続

            ↑             ↑
     70%の   ○  支持率  70%の   ○
     支持率?      を公開  支持率? 
            ×             ×
            ↓             ↓
           見直し          終売or改善



勝 :お、そうそう。こんな感じ。

真子:ホントITESTのプロセス、だねー。

恵利:商品化する前に、きちんと「お客様の意見」を聞いているんで
   すね。消費者の方に「テストマーケティング」して。

望 :でも勝さん、実際にタナに並べてみて売れ行きを見る、という
   方法ではダメですか?

勝 :その手もあるけど、お客様に「あそこのPBはおいしくない」
   と思われるリスクもあるでしょ?

望 :あ、なるほど……

勝 :いったんそう思われると取り返しがつかないしね。ただでさえ
   PBは「安いものだから」みたいな先入観もありそうだし。

恵利:逆に、「あそこのPBは外れがない」みたいに思ってもらえれ
   ばいいですよね。

勝 :そう。そして、西友がこのサイクルを回し続けると、どうなる
   と思う?

真子:店頭には、「支持率」が高い商品ばっかり並ぶ!!

望 :なるほど……人気商品ばかりになるんだね。

恵利:お客様も、「あそこのPBはおいしい」と思ってくれるように
   なるかもしれませんね。

勝 :そう! それこそが「PBのブランド化」だな。BASiCS
   では何になる?

望 :えっと……「A:独自資源」ですよね。ソフト資源かな……

真子:ソフト資源「O:外部との関係」の「お客様からの信頼」だね

勝 :そうそう。

恵利:ということは、ITESTを回し続けることは社内の仕組みと
   いうソフト資源の整備であると同時に……

望 :お客様からの信頼というソフト資源を蓄積する施策でもあるん
   ですね!

勝 :そうそう。ITESTを回した「結果」として、「あの店の商
   品はおいしい」と思ってもらえる。



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◆「新商品を作れる状態」を整備することが経営者の仕事
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真子:「結果」って?

勝 :だから、「売れる商品が出る」のは結果。そういう「結果」が
   出せるような組織とか仕組みを作るのが大事、ってこと。

真子:あ、「売れる商品」を作るよう頑張るのも大事だけど、「売れ
   る商品が出せる」ようにするんだ!

勝 :特に経営者の仕事はそうなるな。

望 :なるほど……こういう「プロセス」を整備することが大事なん
   ですね。

勝 :そうそう。ITESTで、「売れる商品が作れる力」をつける
   ということ。

恵利:西友の例でいえば、「おいしい商品」そのものを目指すという
   より、おいしい商品が作れる「状態」を整備するのですね。

勝 :そう! DOよりBE、ということ。

真子:え? 「する」より「ある」ってこと?

恵利:な、なるほど……そういうプロセスが「BE」として整備でき
   ていれば、結果として「DO」という商品開発につながる……

勝 :そうだね。ミサイルの「発射台」みたいなイメージ。売れる商
   品が発射される確率、当たる確率を高めていく。

望 :あ……「発射台」……ミサイルを打て、という前に、発射台を
   整備しないといけない……

勝 :そうそう。そしてその「発射台」を作るのが経営者の仕事。

望 :私、誤解してました。「新商品を出そう!」とハッパをかける
   のが私の仕事だと思っていましたが……

勝 :それは「DO」を目指しちゃってるね。現場層はそれでもいい
   けど……

望 :経営層の仕事は、その「DO」ができる「BE」を整備する、
   ということですね。

真子:そっか……それがすなわちITESTっていうプロセスの整備
   ということなんだね。

勝 :で、もちろんその根幹にあるのがBASiCS、だからね。



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◆総まとめ:ITESTはBASiCSを回すプロセス
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真子:ね、ITESTって結局、BASiCSをグルグル回しするプ
   ロセスってことでいいんだよね?

勝 :もちろん。ITESTのどのプロセスでも、BASiCSを考
   えることになる。

望 :ITESTのプロセスによって、BASiCSのどの要素を考
   えるかは違ってきますよね?

勝 :そうだね。じゃあ最後のまとめとして3人に考えてもらおう。
   ITESTは、BASiCSをどう考えるプロセスなのか。

真子:う、うわ、また最後に大きいお題だね……

恵利:でも、まとめにふさわしいお題だから、がんばろ。

望 :うん。


勝が「オレが満腹になるのとどっちが速いかな、あはは」と言って、
ライスのお代わりをもらいに勝は席を立った。3人は、ノートをひっ
くり返しながらディスカッションを続ける。

勝が何回かお代わりを繰り返した後、3人が「できた!」と叫び、勝
にノートを見せた。


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<ITESTの総まとめ!!>


◆I:アイディア出し

○BASiCSで商品を考える
・B:戦場・競合  どの市場からもってくるか
・A:独自資源   どんな独自資源を作るか
・S:強み     どんな選ぶ理由を作るか
・C:顧客     どんなお客様に買っていただきたいか
・Sm:メッセージ お客様に強みをどう伝えるか


○I:「アイディア発想」の3つの源泉

1)ニーズ発想 → 「顧客」からの発想
・顧客が元々欲しいものだから成功の確率は高い
・逆に、大きなリターンは期待できない

2)シーズ発想 → 「自社」からの発想
・顧客が欲しいかどうかはわからないから成功の確率は低い。
・当たれば大きなリターンが期待できる

3)他業界発想  →「他業界」からの発想
・成功すれば「革新的」だが、自業種では初めてなので大変
・他業種に既に成功事例があるので、それが参考になる


○ニーズ発想 → 「C:顧客」からの発想

1−A)ニーズを捉える:顧客の行動や言葉から気づきを得る
1−B)「行動仮説」を作る:どんな提案ができるかを考える
1−C)「行動仮説」を検証する「調査」を行う

→この3つを貫く「利用場面」=TPO:Time,Place,Occasion
 TPO:いつどこでどう使うか。ニーズは使い方に現れる!


○シーズ発想 → 「A:独自資源」からの発想

2−A)ハード資源からの発想:技術・設備
2−B)ソフト資源からの発想:SHOP


○「発想を引き出す体制作り」

・アイディアを出してくれる人
 A)社内のスタッフ
 B)社外:お客様、取引先、パートナー
・商品開発の担当者:顧客の気持ちがわかる人
・アイディアの評価者:「顧客」または「顧客の代弁者」



○BASiCSと「アイディア発想の3つの源泉」

 B 競合発想・他業界発想(自業界にないものから発想)
 
 A シーズ発想(自社の「独自資源」から発想)
 
 S 競合発想・他業界発想(自業界にないものから発想)
 
 C ニーズ発想(顧客像・TPOから発想)
 
 S ニーズ発想(メッセージから始まる発想)




◆T:テストマーケティング

○BASiCSを1回小さく試して、実際の顧客の反応を得る

・B:戦場・競合  実際にどんな商品の代わりに使われるか
・A:独自資源   実際に生産・販売はできるのか?
・S:強み     実際にどんな選ぶ理由があったか
・C:顧客     実際にどんなお客様に買っていただけるか
・Sm:メッセージ 実際にどんなメッセージが刺さったか


○「T:テストマーケティング」を「E:生産」の前に行う理由

1)リスク管理をして、大損害を回避できる

・新商品は売ってみないとわからない。暗闇で進むようなものだから
 一気に進まない。
・大きな意思決定である「E:生産」の前に行うことで「大損害」を
 防ぐ。ドカンと作って、売れるかな、はギャンブル。
・リスク管理をしているからこそリスクが取れる。損害を限定すると
 多くの矢を放てる。


2)仮説検証を速く回せる

・Tでダメなら、すぐにIに戻れるから改善が早く回せる。E・Sは
 時間がかかる

3)顧客の反応を早いタイミングで得る

・実際の商品を、実際の顧客に試して、実際の反応を得ることで「正
 確な」評価が得られる。



◆E:生産方法確立・生産

○A:独自資源を作る:実際に生産は可能か?
           それはB:競合にはマネできないか?

○ここで得られたA:独自資源を次の「I:アイディア出し」に活用



◆S:上市・販売

○BASiCS+マインドフローを総動員



◆T:市場の反応を見て改善・修正

○C:顧客の実際の反応を見て、BASiCSを継続的に回す

・B:戦場・競合  実際にどんな商品の代わりに使われるか
・A:独自資源   実際に生産・販売はできるのか?
・S:強み     実際にどんな選ぶ理由があったか
・C:顧客     実際にどんなお客様に買っていただけるか
・Sm:メッセージ 実際にどんなメッセージが刺さったか


○誰が買っている・どう使っているのかを把握する
・気の利いた使い方をするリードユーザーをつかむ
・気の利いた使い方を拡大展開する


○商品開発時から、改善を考える
・新商品の発売自体が大きな意味でのテストマーケティング


○競合の出現への対応
・「B:競合」が出てきて、「S:強み」「A:独自資源」が弱くな
 ったら再度「A:独自資源」を再構築する。
・最初の「S:上市・販売」の時点で、次の「矢」を考え、次の
 「A:独自資源」の構築を始めておく
・「B:競合」に対する「S:強み」のある新たな「Sm:メッセー
 ジ」を出して、差別化を再強化する



◆大きなITESTを回す

他の商品への応用を考える
・A:独自資源   構築した独自資源を他に転用できないか?
・C:顧客     獲得した顧客に他の商品を販売できないか?


===============================



勝 :おー、すごいすごい。よくまとまった。こういうこと。

真子:商品開発って大変だねえ……ここまで考えないといけないんだ

勝 :こう整理すると複雑に見えるけど、要はBASiCSができて
   いく過程、と捉えればいいだけ。

恵利:ITESTの全てのプロセスで、BASiCSを練り続ける、
   ということですよね。

勝 :そう。こういうこと。


 I: BASiCSで考える 
       ↓
 T: BASiCSで試す
       ↓
 E: BASiCSで作る
       ↓
 S: BASiCSで売る
       ↓
 T: BASiCSで改善する


望 :な、なるほど……

勝 :それに、さっきのまとめにもあったけど、アイディア発想の3
   つの源泉も、BASiCSのどこから考えるか、ってだけ。

恵利:BASiCSのどの要素を、どのプロセスでどう考えるか、と
   いう体系がITESTなんですね。

勝 :そうそう。言ってしまえば「BASiCSのどの部分をどうや
   って考えるか」ってだけの話。

真子:うわ、BASiCSって、使いでがあるんだねー……

勝 :何を今更……っていうか、それが伝わってなかったから、この
   シリーズを始めたわけだけどさ。



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◆「学びは終わらない」。ITESTは永遠の学習サイクル
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勝 :繰り返すけど、ITESTは「手法」というより「プロセス」
   であり「サイクル」。

恵利:BASiCSなどと同じ「グルグル回し」ですね。

勝 :そうそう。商品開発において大事なことは、「一発勝負」じゃ
   ないってこと。失敗も含めた、継続的学習サイクル。

望 :はい、「学びは終わらない」、ということですね。

真子:きゃー、望ちゃんカッコイー! 学びは終わらない、だって!

勝 :そうそう。Never Ending Storyっていう映画があったけど、ま
   さにNever Ending Learningだよな。

恵利:「学びは終わらない」かあ……

勝 :そうそう。オレだって、全然学習の途中。先は長いよ。ってい
   うか、1回の人生じゃたどりつけないな。

望 :勝さん、生まれ変わっても同じことしそうですね。

勝 :そうそう。次は「白いネコ」に生まれるかもな、あははは。



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◆「商品」に「想い」を込める
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望 :あの……ITESTには「生産」とかも入っていますよね?
   「販売」も入ってますよね?

真子:の、望ちゃん、何を今さら??

望 :ということは、ITESTは、商品を「考えて」「作って」
   「売る」という、経営のほとんどが入ってるのかな、って……

勝 :そう!! やっと気づいたか。

真子:た、確かに……ITESTって、開発、生産、販売……ほとん
   ど経営の全部じゃん!

恵利:そういう意味では、そのプロセスを通じて、BASiCSをど
   う実行していくか、経営するか、という「実行方法」ですね。

勝 :そうそう。BASiCSを作り上げていく「時間軸」という切
   り口がITESTとも言えるね。

恵利:あと、ITESTの分析単位は「商品」ですよね。

勝 :そうだね。

恵利:その意味では「1つの商品を作るプロセスにBASiCSをど
   う反映させるか」という考え方でもありますよね

勝 :まさにそう。1つ1つの「商品」には「想い」がそれぞれに固
   有の「想い」がこもっている。それを練り上げるプロセス。

真子:なるほど……「商品」には想いがこもっている……

勝 :1つの商品に、その商品にしかない「想い」をどうこめていく
   か、ということでもある。

望 :1つ1つの商品に込められた想い……

勝 :商品・サービスには、形があろうとなかろうと「エネルギー」
   が込められている。

恵利:「エネルギー」とは?

勝 :例えば「モノ」の場合は、原料、それから生産の工程で物的な
   エネルギーが込められているよね。

恵利:あ、はい、そういう意味では、「サービス」の場合でも、そこ
   でサービスを提供する人の「エネルギー」が込められますね。

真子:なるほど! ITESTは商品に「エネルギーを込める」プロ
   セスでもあるんだねー。

勝 :そう。そしてそれには「情報」も含まれる。例えば「モノ」に
   は「作り方」とかの「情報」が込められている。

望 :サービスもそうですよね。接客するときに、接客の方法という
   情報だったり、目の前のお客様の情報を考えてやりますから。

勝 :そうだよね。ITESTは、BASiCSを使って、商品にど
   のような「想い」を込めるか、ってことだ。

恵利:物的には、それが「エネルギー」だったり「情報」だったりす
   るわけですね。

勝 :そう。商品を考える、お客様に営業する、全てはBASiCS
   をどう使うかであり……

望 :ITESTはBASiCSの使い方の一類型、ということなの
   ですね!!

勝 :まさにそれが言いたかったこと。ITESTはBASiCSの
   使い方の一類型。

真子:い、一類型ってことは、他にもあるの?

勝 :無限にあるだろ。「広告メッセージの考え方」とか「市場分析
   の方法」とかさ。全部BASiCSだぜ。

望 :ごく……じゃ、じゃあこの合宿も、無限に続けていただけるん
   ですか? BASiCSの使い方の類型がなくなるまで……

勝 :……それはまた考えよう。ということで、「BASiCSで商
   品開発」終了!!

3人:ありがとうございました!!

勝 :おつかれ。

真子:ふう……本当に終わりかあ……


充実感が漂うテーブルにオーナーが現れ、お皿を片付ける。

「お待たせしましたー、デザートをそろそろお持ちしますね」
「やったー!」
「食事は足りましたでしょうか? ご飯ならまだありますよ」
「真子ちゃん、足りてる?」
「私そんな大食いじゃないもん。フツーだもん」

オーナーがさっそくデザートを配膳していく。


「今日のデザートは地元でとれた桃のプリン、ブルーベリーのシフォ
 ンケーキ、それにチョコチップ入りバニラアイスになります」
「きゃああ、おいしそーだぁ!」
「最後まで、地元づくしなんだ……」
「お茶には、消化にいいハーブティをご用意しました。ではごゆっく
 りどうぞ」


「デザートまでたっぷりあるね」
「勝さんが、朝食を遅くされるのもわかりますね。夜にこれだけ食べ
 たら、明日の朝は遅くても大丈夫ですね」
「でしょ? 確かにそれもあるんだ」


「今日は最後の晩餐かあ……」 望が寂しげにつぶやいた
「の、望ちゃん、どーしたの? まだ明日があるじゃん」
「そうだけど……楽しいときはすぐ終わっちゃう……」
「この旅行、そんなに楽しかったんだ!?」
「旅行っていうか、自分が知らなかったことがこんなにあった、って
 いうのがわかって、それがすっごく楽しかったの」
「じゃあ、勝さんにまたやってもらおうよ」
「オマエが決めるなよ。大体、望ちゃんに今まで声かけてこなかった
 のは真子だろうが」
「だ、だって望ちゃんがそんなに勉強熱心だったなんて……」
「オマエを基準に考えるなよな……まあ、また機会があったらね」
「また勝さんにはうちの店に来てもらえばいーよ、ね?」
「まあ、望ちゃんに会うためならいいかもな」
「あ、ぜひいらしてください!」
「ホントは真子に会いに来たいんだよねー、て、れ、や、さん♪」
「ホントはデザート食いに行きたいだけ」


「ね、勉強も終わったことだし、今日の夜はみんなであそぼーよ!」
「遊ぶって、何して?」
「一杯あるじゃん! 枕投げとか、トランプとか」
「ま、枕投げ?」
「オマエは小学生かよ……騒ぐと周りに迷惑だからやめろ」
「じゃあ、大貧民しよう! トランプ持って来たよ!」
「あのなあ……あ、そういえばさ、BASiCSゲーム作ろうとか思
 ってたんだよな」
「そ、そんなのあるんですか?」
「いや、だから作ろうと思ってる」
「じゃあ、その企画をみんなで考えよう!」
「あ、面白そうですね」
「それならオレはありがたいな」
「じゃあ、お風呂入ったあとはそれにしよう!」


4人の長い夜はまだ始まったばかりだ。


(シリーズ、完結! お疲れ様でした!)



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◆今日のまとめ
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●ITESTはBASiCSを回すプロセスであり、永遠の学習サイ
 クル。商品に「想い」を込め よう!


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▼今日の日記▲

もうすっかり冬、ですね。11月はじめからクリスマスデコレーショ
ンをするような店もあり、アメリカより早いですね……

冬の楽しみは、冬季限定のお菓子。

ポルテとかラミーはもう定番ですが、今結構注目してるのが、ブルボ
ンのブリリアントトリュフ。

ブルボンは、2〜3年前に出していた生チョコがすごいおいしかった
んですがどうやらあまり売れなかったようで、もう出てきません……

このトリュフもおいしいです。今年は「味わいミルク」と「深み抹
茶」の2商品みたいですね。

エスプレッソと、このトリュフが2粒あれば、結構幸せなコーヒーブ
レークになります♪



●今日のiPod Tune:秋に似合うバラード2013

本編の世界はまだ「夏休み」ですが、こっちの世界では大分寒くなっ
てきましたね……

肌寒くなっていく季節に似合うのは、やっぱりバラード。

ということで、「秋に似合うバラード2013」!


今日の曲は……


○Don't Cry for Me Argentina by Madonna


バラードというか、「Evita」というミュージカルの曲です。曲
名はご存じなくとも、スタンダードナンバーですので耳にされたこと
があるでしょう。

私が最初に知ったのは、リチャード・クレイダーマンのピアノのカバ
ーでした。

最近ですと、1996年にマドンナがカバー。カバーというか、同名
の映画の主人公として歌いました。

マドンナらしく艶っぽく歌い上げるカバーです。


秋の夜長にしっとりと聴きたい1曲♪



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 佐藤義典著 朝日新聞出版

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──────< 物語でわかるマーケティング >────────

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 マーケティング戦略入門:戦略はここから
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●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
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◆次号予告:映画館の新しい使われ方
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●最近、映画館は「映画」を観る場所とは限らないようです。どんな
 ことをするかというと……??


▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!

▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!

▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!


売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……

〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
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