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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
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━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.218(累計0994) 2013/02/28
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■■__年末年始特別号:セグメンテーション特集 19__■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●プロダクトライフサイクルは「顧客の変化」。マニアとビギナーの
切り口で市場を見よう!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
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◆年末年始特別号!
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2月になっても終わる気配のない、年末年始特別号!
実戦的セグメンテーションに深く彫り込んだ、日本でも珍しい特集で
す(ひょっとして日本で初めてかも……)。
我らがヒロイン「売多真子」(うれた・まこ)と、真子の親戚にして
そのメンター「売多勝」(うれた・まさる)です。2人は以下の本の
登場人物です。まだお読みでない方はぜひ!
○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
http://ow.ly/89pSR
売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングの最初の1冊としてオススメ。
○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
http://ow.ly/6s63d
上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!
例によってこのシリーズはどのくらいの長さになるかは、この2人の
活躍次第ですので、現時点ではわかりません。
今回の特集は、「セグメンテーション」! マーケティングで恐らく
は一番難しいことの1つです。
そのセグメンテーションにどう切り込むのか?
●あらすじ
大晦日の夜、売多真子と勝は、年末に売多家が集まる温泉宿へと一緒
に向かった。電車の中で、そして除夜の鐘を聞きながら続いた2人の
レッスン。
一夜明けて、お正月を迎えて……
今号はシリーズ第19回目です。
最近お読み始めになられた方は、バックナンバーからどうぞ。第1回
目はコチラです↓
http://archive.mag2.com/0000111700/20121228030000000.html
ここから「次の記事」をクリックしてお読みください。
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◆まずは、前号の復習から!
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*本編の「今の時間」は、年が明けた1月1日の夜です。
1月1日、昼は初詣に出かけ、寄ったカフェで続いた真子へのレッス
ン。夜に宿に戻り、食堂で食事しながらレッスンは続き……
「やっぱり、お正月は泊まってる人、多いよねー」
「そうだよな、この時間でも人が結構通るよな」
「みんなカラオケとかに行ってるんだよね。楽しそうでいーなー」
「今すぐやめてそっち行っても、オレはいいんだけどな」
「だーめ。勝さんは真子に教える義務があるの♪」
「じゃあ楽しそうでいーな、なんて言うなよな」
「真子はこっちも楽しいよ♪」
「何がこっち『も』、だ」
「ね、これ終わったらカラオケ行こうよ! 宿の中にあったよね?」
「そんなヒマあるか。大体、今日は激混みだぜ。入れねーよ」
「それもそっかー」
「あ、売多家親戚一同が行ってるかもしれないぞ」
「勝さんも行こーよー」
「親戚のオモチャにされるからヤだ。この年で未だに子供扱いだぜ」
「きゃははは、勝さんが歌うと盛り上がるもんねー」
「また真子とデュエットとか歌わされてたまるか」
「何よー、嬉しいくせにー。またう、た、お、う、ね♪」
「まあとにかくやろうぜ」
「うん!」
勝 :読者さんから、「今どこやってるのかわからなくなる」ってい
う声があったから、ちょっと全体をまとめよう。
真子:え、あ、確かに……私もわかんなくなるよ、きゃははは。
勝 :あのな……
真子:えっと、この特集はセグメンテーション特集でーす。
勝 :そこまで戻るのかよ……
真子:だってそーじゃん。で、セグメンテーションはお客様を「分け
る」こと。人によってニーズが違うから、分けて対応する。
勝 :そうだな。でも?
真子:でも、「分ける」というよりは「ニーズで括る」と言った方が
現在の日本では適してまーす。
勝 :それでその「括り方」が、セグメンテーションの「切り口」に
なるんだよな。どうやるんだ?
真子:顧客像を具体化して、そのニーズで括りまーす。
○セグメンテーションの「括って広げる3ステップ」
ステップ1:顧客像の具体化
ステップ2:ニーズの普遍化
ステップ3:ニーズで人を括る
勝 :OK。それで、その「括り方」っていうか「切り口」をずっと
やってきてるんだよな。ここまで、何があった?
真子:以下でーす。
切り口1:使い方・利用場面
・価値は使い方に現れる。逆に使い方を見ればニーズがわかる!
切り口2:困りごと
・どんなことに困っているのか、困りごとが同じならニーズが同じ!
切り口3:体質
・肌質・髪質・アルコールへの耐性などでニーズが違う!
切り口4:所有資源
・お金・時間・エネルギー・車などの持ち物などでニーズが違う!
切り口5:こだわり・マニアレベル
・ビギナーとマニアでニーズが違う!
真子:今は、この切り口5、でーす。ビギナーはわかりやすい製品を
簡単に操作したい。マニアはむしろ逆。
勝 :あと、「人」だけじゃなくて「使い方」も、だろ?
真子:あ、そうそう。マニアな「人」でも、ビギナー「的」な使い方
をするときはある。
勝 :例えば?
真子:例えば、エスプレッソマニアの勝さんが持って来てる携帯用エ
スプレッソマシン。ビギナー機種だけど、旅行中には便利。
勝 :そうだな。だから、マニア・ビギナーっていうのも、「人」だ
けじゃなくて「使い方」を見ていく、ってことだ。
真子:ってことは、さっきの「切り口1:使い方・利用場面」と組み
合わせて考える、ってゆーこと、なんだよね?
勝 :そう。この「こだわり・マニアレベル」はい実戦的かつ意外に
盲点になってるから、もうちょっと見ていこうぜ。
真子:うん!
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◆ビギナー「的」なTPOを狙う
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勝 :ビギナーの「TPO」を狙う、っていうのも、結構見る手段だ
な。「ビギナー的な使い方」を狙った商品。
真子:例えばどーゆーの?
勝が「例えばこーゆーの」と言いながら、ノートPCを真子に向ける
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
◇ミズノのアウトドアシューズ「WAVE ADVENTURE
GT」(1万3650円)が快走。2012年12月の発売後、年
間販売目標4千足に対して登山閑散期の1月時点で1700足を販
売。目標を2倍の8千足に修正。購買層は30〜50代と幅広い。
◇シューズ表面に防水や湿度調整に優れた「ゴアテックス」、靴底に
クッション性と安定性に優れた独自開発の素材を使用。鮮やかな黄
色など街中でも違和感のないデザインとした。「四駆で街中を走る
ような感覚」(同社)で、ジーンズなど普段着とも合わせやすい。
◇ふもとまで電車で行くような日帰り登山や野外音楽イベントなどが
浸透、「アウトドアが若者にも身近になっている」(同社)。ミズ
ノは「ウオーキングを基本にしながら、裾野を広げる商品を生み出
し」(同社)、アウトドア分野の事業を強化。SNSなどを通じ
て広く初心者層にも訴求する。
2013/02/18 日経MJ P.20
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
勝 :製品のHPはコレ、だな。
http://www.mizuno.co.jp/whatsnew/2012/12/20121212.html
真子:結構本格的だよね……靴底、なんかすごいねー。
勝 :だよな? 本格的だけど、アイゼンつけて山登りするほど本格
的ではなく、ライトなアウトドア、って感じじゃないかな。
真子:あ、それがビギナーのTPO、っていうこと? 日帰り登山、
とか、そういう感じの。
勝 :そうそう。「人」というよりは「使い方」として、ビギナー
「的」、ってこと。
真子:あ、なるほどね。マニアな人でも、ビギナー的なTPOのとき
にはいいんだ。
勝 :さらに言えば、別にこれで街を歩いたっていい、ていうか、そ
れを狙ってるんだろ。
真子:あ、雨のときなんかはいいかもね。ぬかるんだところでも平気
で歩けそう。
勝 :そうそう、アスファルトを歩く分にはオーバースペックでも、
そういうTPOはあるだろ。
真子:そっか、登山用の靴で、普通に街を歩く、ってことなんだ。
勝 :そんな感じなんだろうな。だから「普段着とも合わせやすい」
っていうデザインにしたんだろ。
真子:あ、確かに登山靴登山靴しちゃってると、街で浮いちゃうね。
勝 :マニア向け商品を普段使いに、っていう事例は結構ある。例え
ばマウンテンバイクで一般道を走るとか、そうだよな。
真子:あ、確かにマウンテンバイクって「マウンテン」用っぽいけど
普通に街でも乗ってるよね。
勝 :だろ? カシオのG−SHOCKもそうだな。普段の生活で使
う以上の性能っていうか、堅牢さっていうか……
真子:あーなるほど、G−SHOCKって、それこそ登山用みたいな
感じだけど、普通に使うもんね。
勝 :ジムで泳ぐときとかにはいいよな。ダイビングするほど本格的
じゃないけど、防水機能が必要なTPO。
真子:あ、なーるほどぉ。そういうTPOってあるんだね。
勝 :だから、マニア向け商品でも、ビギナーのTPOに合わせた売
り方をすれば、売れることもあるっていう事例。
真子:マニアとビギナーっていう「人」じゃなくて、それぞれの「使
い方」で考えるってことだね。
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◆「こだわり具合」で「買うモノ」が違う!
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勝 :ここまで「マニア」「ビギナー」っていう切りやすい言葉を使
ってきたけど、いわゆる「こだわり」もこの切り口の一部。
真子:どんな「こだわり」があるの?
勝 :真子の会社のビジネス、イタリアンレストランでいえば、季節
感とか記念日の食事とかへの「こだわり」
真子:それはそうだと思うけど、どーやればわかるのかな?
勝 :例えばこんな調査もあってだな……
勝がノートパソコンを真子に向ける。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
◇日経産業地域研究所の調べでは季節感のある食を「プチぜいたく」
に生かす「シーズナリスト(造語)」は行事食や旬の食材を使う料
理のほか、記念日の食事を楽しむ意向が高い。
◇「シーズナリスト」と「非シーズナリスト」
A.季節感は、プチぜいたくを楽しむ際の大事な要素の一つだ
B.食べ物で季節感を楽しむことが多い
「シーズナリスト」は、A,Bの双方とも「あてはまる」または「ま
ああてはまる」と回答した人
◇「シーズナリスト」とそれ以外の「非シーズナリスト」では、年代
別構成比で突出した層はなかった。男女別構成比では、シーズナリ
ストは女性が57・7%に達し、自身が商品の買い手となる機会が
多い女性に多いことがわかった。
◇「店頭に出回り始めると、すぐに買うか」で「必ずすぐに買う」ま
たは「割とすぐに買う」
シーズナリスト: 55・0%
非シーズナリスト:24.6%
◇12年に何で楽しみたいか(楽しむ意向のある人)
おせち料理 栗ご飯
シーズナリスト 58.0% 44.9%
非シーズナリスト 49.7% 23.0%
(数字は記事の図表から筆者が再計算)
◇12年に「結婚記念日(既婚者のみ)」や「自分や家族の誕生日」
に「食事の予定があるか(何かしたいか)」も尋ねた。これらの場
合も、楽しむ意向を持つ割合はシーズナリストの方が高かった。
2011/12/14 日経MJ P.2
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:「シーズナリスト」って面白い言葉だねー。「シーズン」から
取ってるんだろうね。
勝 :そうだろうな。「季節性」は「Seasonality」(シーズナリテ
ィ)って言うしな。
真子:シーズナリストっていうのは……食への「こだわり」が強い人
っていうことかな?
勝 :食っていうよりは、「イベント食へのこだわり」かな。季節感
とか記念日の食事、とか、そういうの。
真子:あ、なるほど。「イベント食」ね。それいーな♪
勝 :で、これ、うまく切れてそうな感じがする切り口だわ。
真子:うん、「栗ご飯」作るかどうか、なんて確かに、食を楽しんで
る人、って感じがするよね。
勝 :この定義の何がいいって、「定義する方法があること」なんだ
よな。
真子:へ? そんなの当たり前じゃないの?
勝 :んなことないぞ。世間では「高感度な人」とかっていう、曖昧
模糊としたターゲット描写がまかり通ってるぞ。
真子:ダメなの? 高感度な人って、実際いるじゃん。
勝 :だからそれを定義しろ、ってこと。定義できるんならいいよ。
真子:できないの?
勝 :いや、できるよ。例えば週2回以上は、大規模繁華街に行く、
とかさ。大規模繁華街を定義した上で、だけど。
真子:あ、そういうことか……
勝 :で、シーズナリストの定義も、「性別・年代」とは関係ないよ
な。何で切ってる?
真子:だから「こだわり」でしょ? この質問にYESの人!
A.季節感は、プチぜいたくを楽しむ際の大事な要素の一つだ
B.食べ物で季節感を楽しむことが多い
勝 :そうそう。「イベント食へのこだわり」。
真子:でもさー、このこだわりの強い人、じゃあどんな人かわからな
いよね?
勝 :そう、だから「この人達は、どういう人か」って、ここから再
定義していく。その結果、性別・年代になれば、それはOK。
真子:あ、いきなり性別・年代だとダメだけど、こういう切り口から
入っていって、性別・年代になるのはいいんだ?
勝 :それがニーズの違いを表しているわけだからな。ただ、シーズ
ナリストでは性別・年代ではあんまり明確に出てないよな。
真子:じゃあどうすればこの人達に到達できるの?
勝 :何言ってんだ、そういう「イベント食」を訴求すれば、シーズ
ナリストの人達が反応するだろうが。
真子:あ、そうか、「メッセージ」を出せば、反応してくれるんだ!
勝 :そうそう。変な話、別に顧客を描写できなくてもいいんだ。ニ
ーズがわかれば、メッセージが出せるから。
真子:そっかあ。ね、ね、じゃーうちの店でもさ、季節感を出したメ
ニューとかをやればいいってこと?
勝 :そう!! それを前面に打ち出せば、そういうのが好きな人に
は刺さるだろ。
真子:なるほどねー。
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◆プロダクトライフサイクルと「ビギナー」「マニア」
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勝 :じゃあ、この「切り口5:こだわり・マニアレベル」の最後の
事例。多分最後。
真子:何、「多分」って?
勝 :後で気が変わるかもしれないから。
真子:でたー、無計画なんだから……
勝 :無計画なんてオマエに言われたくねーよ。この事例だな。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
◇「無印良品」を運営する良品計画は、男性用スキンケア化粧品を
2006年から販売開始。2011年、刷新に向けて男性社員の意
見を集めると「自分がどういう肌質なのかわからない」「1日に何
種類も使うのが面倒だ」などの声が出た。
◇2012年3月、男性用スキンケア化粧品を刷新。男性が迷わずに
商品を選べるように、肌タイプ別の品ぞろえを廃止、商品種類を約
半分の7品目に集約。男性があまり使わない乳液やリップクリーム
などを廃止し、洗顔と化粧水を基本とするシンプルな商品構成にし
た。
2012/02/29 日経MJ P.6
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:あれ? これって前号でやった「ビギナー開拓策」と同じじゃ
ないの? ビギナー向けにわかりやすく、選びやすく。
勝 :そうだけど、「男性化粧品」ってどんな市場だ?
真子:どんな市場って、ビギナーが多そうだけど……
勝 :だからそういうこと。
真子:え?
勝 :これさ、経産省が発表してる男性用化粧品の市場規模、な。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
男性用化粧品(出荷ベース)
販売金額(百万円) 伸び率
2007 15,061
2008 17,600 +17%
2009 16,134 − 8%
2010 19,391 +20%
2011 21,694 +12%
(経済産業省 化学工業統計 伸び率は筆者が計算)
www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/
02_kagaku.html
www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/
resourceData/02_kagaku/nenpo/h2dbb2011k.xls#化粧品!EK6
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:すごい勢いで伸びてるねー。2009年のマイナスはリーマン
ショックかな? でもその後はすごい伸び率だね。
勝 :そう、いわゆる「プロダクトライフサイクル」でいう、導入期
とか成長期にある市場なんだよ。
真子:あ! そういう市場だと、ビギナーが多いんだ!
勝 :そう! ライフサイクルのどこにいるか、でもその割合が結構
違ってくる。
真子:なるほど、時間を経るにつれてマニアが増える!
勝 :だよな。スキーは成熟期か衰退期だけど、マニアばっか。ゲレ
ンデ出ると、みんなビュンビュン飛ばすよな。あぶねー。
真子:勝さんだっていい年して超飛ばしてんじゃん。同類だよ。
勝 :そうなんだけどさ。マニアトラップって、要は成熟期から衰退
期に起きる。
真子:そっか、時間の変化、っていうのも考慮にいれる必要があるん
だね。
勝 :正確に言えば、「プロダクトライフサイクル」っていうサイク
ルが「ある」わけじゃない。
真子:え? ないの? よく本に載ってるよ?
勝 :サイクルがあるかのように見えるような「顧客の変化」がある
ってことだ。逆じゃないぞ。
真子:あ、そっか。顧客が変化していくのが、プロダクトライフサイ
クルなのか。
勝 :逆に言えば、顧客を見ておけばいい、って話。当然、マニアが
増えてくると、「サイクルが進んでいる」ってことになる。
真子:なーるほどぉ。サイクルが進むから顧客が変わるんじゃなくて
その逆なんだぁ!
勝 :そうそう。「プロダクトライフサイクル」は「現象の描写」で
あって、ドライバーではない。
真子:わかんなーい。そんな難しい表現は使わないでくださーい。
勝 :だから同じこと。顧客が変化する、っていうのが本当に起きて
いることで、その現象を描写しているのがライフサイクル。
真子:本質は顧客の変化、ってこと?
勝 :そういうこと。これがいい例だ。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
◇2013年2月開催の東京マラソンは過去最高の30万人超が申し
込み、ランニング関連消費に息切れ感はない。ブーム定着で拡大す
る中上級ランナー層向けの商品が充実、ランニングシューズの販売
競争が新たな段階に入った。
◇アディダスジャパンの新ブランド「エナジーブースト」は、膝や腰
への負担が少ないトレーニングに適した新商品。同社はアシックス
を定年退職した技術者、三村仁司氏とアドバイザー契約を結び、中
上級者向けランニングシューズの開発に注力。本来のファッション
性に機能性を加えて、強みとする中上級市場を攻める。
◇プーマの2月発売の新ブランド「モビアムランナーエリート」は靴
底の横幅を着地時に広げ、蹴り出す時に収縮し蹴り出す力を補助、
ランナーの負担を減らす。「上級者層が厚みを増しており、ファッ
ション性だけでなく技術力でランナーに訴える」(同社)。
◇国内勢として最後発のデサントは2月からランニングシューズ市場
に参入。英スポーツブランド「イノヴェイト」と組む。同ブランド
は山道を走るトレイルランニング用シューズで知られ、トレイル用
の需要増もにらんで同ブランドを展開する。
◇中上級者向けのランニングシューズでトップシェアをもつアシック
スも「製品性能だけでなく、練習メニュー作成サービスも加えた総
合力で引き離す」(同社)考えだ。
2013/02/27 日経MJ P.7
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:へー、ランニング市場は逆にマニア化しつつある、ってこと?
勝 :マニア化とまではいかないかもしれないが、中上級者が増えて
るってことだな。昔のビギナーがベテランになってきてる。
真子:そうすると、「技術」とか「機能」が大事になってくるんだ。
勝 :知識と経験を持ってるから、製品の「判断力」が高まるんだよ
な。前にやったマニアとビギナーの比較表、あるか?
真子が「これだよね」と言いながらノートを開く。
マニア ビギナー
所有資源 多い 少ない
投資金額 多い 少ない
知識 豊富 少ない
言葉遣い 専門用語 普通の言葉
情報収集 積極的 マニアに聞く
作業 自分で行う マニアに頼む
好み 細かい好み こだわらない
必要な機能 高機能 必要最低限
勝 :そうそう、これこれ。まさにこのランニングシューズはこの話
だろ。知識が増えて、高機能を好む中上級者が増えてる。
真子:ホントだ! きっとランニングフォームとかさ、そういうのに
も詳しいんだろうね。
勝 :着地の時に、足のどこで着地するか、とかでも色々あるらしい
ぜ。
真子:へー、そうなんだ。ビギナーにはわからなくても、マニアには
大事なことなんだろうね。
勝 :ざっくり言うと市場が変わって来てる、ってことだけど、具体
的にはこのビギナー・マニアの話で説明できるよな。
真子:うん。マニアトラップの逆だよね。マニア対応が必要になって
きてる戦場なんだね。
勝 :そういうこと。「市場の見方」という意味でも、この切り口は
大事だな。
真子:そうだよねー。
勝 :ということで、この切り口も終わり。次の切り口に入ろうか。
「ねー、疲れた。ちょっと一休みしよーよ」
「そうするか」
「ね、またエスプレッソいれてよ。勝さんの携帯マシンで」
「よく夜にそんなカフェイン飲んでも大丈夫だな……」
「真子ちゃん、全然へーき」
「じゃあ、お湯もらってこいよ。お湯がないといれられない」
「はーい」
勝が準備を始めると、真子が軽くなったお湯のポットを持って行く。
「お湯がきたよー」
「おう……じゃあ……ほら」
「わあ、ありがと」
勝もおやつをつまむ。
「ある人が面白いこと言ってた。コーヒー豆については、庶民もアラ
ブの大富豪と同じ、世界最高の豆が買えるって」
「あ、確かに! 世界最高の肉なんて手に入らないけど、世界最高に
近い豆は買えるよね」
「そういう意味でも、コーヒーって面白いよな」
「うん、庶民の贅沢だ」
「ちなみにラーメンもそうじゃないか、って思ってる。世界で一番う
まいラーメンでも、せいぜい千円ちょっと」
「あ、確かに! 勝さんが好きなのってそんなのばっかだねー」
「だってさー、切ないだろ、1万円の高い肉食べて、他の肉がおいし
くなくなっちゃったら」
「きゃははは、そういう考えもあるかー。じゃあさ、勝さんは、女の
子を見る目が厳しくなっちゃって、た、い、へ、ん♪」
「まさか、「世界一カワイイ真子ちゃんをいつも見てるから」とか言
わないよな?」
「きゃはは、やっぱりそう思ってるんだ、世界一カワイイ、って♪」
「オレがそう思ってるんじゃなくて、オマエがそう思ってそうだ、っ
ていうのがわかるだけだろうが」
「いーじゃん、世界一の女の子が目の前にいると思えば、それは錯覚
だとしてもすっごく幸せでしょ?」
「オマエすげー開き直りだな。そこはホントすげーよ」
「じゃーエスプレッソおかわり!」
「もうやめとけ。いくらなんでも飲み過ぎだ」
「何か飲んべのダンナと奥さんみたいな会話だ♪」
「オマエと話すのはホント疲れるよ……」
次号に続きます!
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◆今日のまとめ
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●プロダクトライフサイクルを引き起こすのは顧客の変化。その重要
な切り口が「マニア」「ビギナー」。顧客の変化をよく見よう!
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誌上でお答えしますのでぜひどうぞ。
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**************************************************************
▼今日の日記▲
昨日は、全日本DM大賞の「贈賞式」でした。私も審査員として参加
させていただいたので、審査員の1人として壇上でプレゼンターを勤
めました。ちなみに審査員長は、マーケティングをしている人なら知
らない方はいらっしゃらないであろう、あの嶋口教授。私は最年少の
審査員で、他の審査員さんは大先輩の方々です。
http://www.dm-award.jp/
その後の懇親会で、受賞された某巨大広告代理店の方々とお話したり
しましたが、ダイレクトマーケティング向けの局(部かもしれません
が)を1つ作るなど、相当力を入れてきているようです。今後も楽し
みです。
ちなみに、私自身は数年前は、この贈賞式で表彰される側だったので
すが(しかもクリエーターとして)、今は表彰する側になった、とい
うのは我ながら面白い変化、ですね。
今年も多くの優秀なDMが応募されて、審査が非常に面白かったと申
しますか、感心しながら見ていたりしました。受賞作品は今後汐留で
展示されますので、ご興味のある方はぜひ行かれてみてくださいね。
○1000号間近! 勝手にカウントダウン
*今号で(多分)累計994号 1000号まであと6号!
●売れたま!1000号に向けてその8:独立&会社設立!
iPodコーナーはちょっとお休みして、記念すべき1000号に向けて
過去をつらつらと振り返ってみたいな、と思います。
売れたま!を書き始めた2003年当時は、私はまだ普通の勤め人で
した。しかも、当時は外資系の会社にいて、ものすごく忙しかったの
で、売れたま!を書く時間をひねりだすのが本当に大変でした。
売れたま!は、各号で書く時間は大体6〜7時間前後です。それと、
ネタを集める時間がかかります。
週2回ですので、12〜14時間+αの時間がかかります。私は当時
1日13〜14時間労働でしたので、1日分がまるまる売れたま!に
使われることになります。
土日を使うか、夜中に帰ってきてから書き始めるか、いずれにしても
命を削って書いているような感覚がありました。しかも本業にマイナ
スの影響を与えてはいけないわけですから。
そして、2006年6月に独立、ストラテジー&タクティクス株式会
社を設立します。
仕事の内容がものすごく変わったというわけではなく、自分がやりた
いこと&得意なことに特化しただけなので、精神的には大分ラクにな
りました。時間的には、土日が休みという感覚が無い分、勤務時間は
減らないのですが、時間のコントロールは効くようになりました。そ
の意味では、売れたま!を書くのは少しラクになりましたね。
当然お客様がいらっしゃるから独立してやっていけるわけで、本当に
ありがたいことで、感謝感謝ですね。
売れたま!が、というわけではありませんが、独立は「雇われない生
き方を選んだ」という意味で、転機になった出来事でした。
このコーナー、1000号まで(勝手に)続きます。
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