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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.186 2012/09/06
購読者:27,354 (まぐまぐ:16,300 メルマ!:960 めろんぱん:10,094)
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■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 19__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●密着軸戦略では、顧客データベースは重要な独自資源。時間をかけ
て蓄積しよう!
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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●密着軸の経営戦略特集!
恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!
恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。
以下がその前提となる知識です
○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント
Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
Asset:独自資源 強みを競合がマネできない理由
Strength:強み 顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
i
Customer:顧客 自社が取引したい具体的顧客像
Selling message 強みを顧客に刺さるように伝える
○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法
手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
→ 競合より安い・早いで差別化する
商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える
→ 競合より高品質・新技術で差別化する
密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
→ 競合より個別ニーズ対応で差別化する
●今シリーズの登場人物3名
○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者
○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ
○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中
◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
http://ow.ly/89pSR
◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d
◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm
●ここまでのあらすじ
高原のペンションに「山ごもり」して合宿を行った真子、勝、恵利の
3人。話し合っている最中に、ふとしたことから「密着軸」について
ペンションのテラスで勝の講義を受けることに。
連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。
http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html
今回は連載の19回目です。
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◆まずは、前号の復習から!
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夏の高原のペンションの朝。日は既に昇り、鳥のさえずりがあちこち
から聞こえる。開け放たれている数々の窓から、朝の爽やかな風が建
物の中を吹き抜ける。
建物から突き出すベランダのような場所にある「半テラス」室では、
若い女性2人が楽しそうにはしゃいでいる。荷物を抱え、階段からゆ
っくりと下りてくる男性を見つけると、立ち上がって迎える。
真子:あ、勝さーん、おはよー!! 勝さん、おっそーい!
勝 :……
恵利:勝さん、おはよーございまーす!
勝 :………………あ………………おはよ………………はああ……
真子:もう、ホント朝弱いのは、昔っからだね、きゃははは。髪の毛
ボサボサだよー、だらしないなあ。レディーの前で。
勝 :ふああ……真子たちの前で気取ってどーする。何を今さらだ。
真子:ほら、目ヤニついてるよ。真子が取ってあ、げ、る♪
勝 :いや、いいって、やめろ、自分で……うわ、あぶね、オマエの
ツメは武器かよ。目に刺さるだろうが。
真子:ゴメンゴメン、あははは。でも、目ヤニ取れたよ。
勝 :何で朝からこんな恐怖体験をせにゃならんのだ。
真子:でも、目が覚めたでしょ、きゃははは。
勝は、あくびを1つすると、ペンションに備え付けのエスプレッソマ
シンを手慣れた手つきで操作する。エスプレッソでできると、その場
で立ったまま一気に飲み干した。緩慢な動作で真子達が座っているテ
ーブルにノートパソコンを置き、電源をつなげた。
真子:ねー、昨日の続きやるんでしょー? 待ってたんだからね!
勝 :ふう……効いてきた……カフェイン充填120%! やるか!
すかさず恵利が、ノートを取り出して勝に見せる。
◇密着軸の3ステップ
ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
ステップ2)個別ニーズを叶える
ステップ3)個別ニーズを覚える
○ステップ3)お客様の個別ニーズを覚える
A)ニーズ・購買履歴を記録する
B)会社全体で共有する
恵利:前回は、「密着軸の3ステップ」の、「ステップ3)個別ニー
ズを覚える」をやりました。
真子:そのカギが「顧客データベース」なんだよね。今、恵利と話し
てたんだー。
勝 :前号の、着物屋さんの記事をもう1回見ておこう。これな。
勝が今電源を入れたノートパソコンを操作し、真子たちに向ける。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
○男の着物ブームの仕掛け人、「銀座もとじ」の泉二弘明社長。サー
ビス面でも旧習を打破。一点ものが多く、反物を選んであつらえる
着物は、ワン・ツー・ワンマーケティング商材。しかし、顧客との
接点は採寸の次はもう納品、というプロセスに疑問を抱いた。
○考え出されたのが業界初の仮縫い制度。採寸後に、洋服のオーダー
メードに倣った仮縫いの工程を加えた。仮縫いで調整が必要になる
のはほんの数ミリ。それでもコスト増となる仮縫いをするのは「お
客様は体にぴったりのものを着たいとお考えになるものですし、手
順を踏むことで仕上がりを待つ楽しみも増す」(泉二氏)。
○70%という高いリピート率の要因は、購入後のフォローアップ。
初心者には素材や柄の合わせ方、ブランドバッグとのコーディネー
ト等を丁寧にアドバイス。付き合いが長い顧客には、着物のクリー
ニング、体形が変わった時の仕立て直しまで、至れり尽くせり。
○「お客様がお孫さんと七五三の着物をご覧に見えた際、お孫さんの
お母様に当たるお嬢様の七五三の着物姿のお写真を出して当時のお
話をしたところ、大変お喜びいただきまして……」
○こうした顧客管理を支えるのが「我が社の財産」(同社)と言う、
顧客カルテ。カルテには、写真付きの購入履歴から顧客のサイズ、
好みなどが事細かに記されている。1979年の創業時から始め、
1万人分に上るという。
○カルテに登録された顧客には多様なイベントの案内が届く。和装で
のマナー、着物で美術鑑賞、生産現場へのツアーなど。こうしたイ
ベントに参加し、顧客はさらに、着物の世界へと入り込んでいく。
2012/02/24 日経MJ P.4
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:「男の着物」というのも面白いけど、この店の「売り方」が輪
をかけてすごいよね!
恵利:私は、この「カルテ」という考え方が、カルテ、という表現を
含めて面白いな、と思いました。
勝 :へー、そっか。結構「顧客カルテ」っていう言い方は使われる
し、オレも言うけどね。
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◆「顧客カルテ」の意味:顧客データベースの使い方
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真子:そうなんだぁ。「顧客カルテ」って、病院のカルテと考え方が
近いのかな?
勝 :お、いい質問だ。な、お医者さんが「カルテ」を作るのは何で
だと思う?
真子:なぜって、病状とかの記録を残しておくためじゃないの?
勝 :もちろんそうだけど、その目的は何だ?
真子:え? カルテの目的?
勝 :じゃあちょっと戻って、そもそもカルテには何を記録するんだ
ろうな? オレも医者じゃないからよく知らないけどさ。
恵利:えっと……まずは、そのときの病状ですよね? いつ、どうい
う病気やケガをしたのか。
真子:あとさ、どんな薬飲んでるか、とか、薬を飲んで、特定の症状
が出たか、とかも聞かれるよね。
恵利:あとは、昔かかった病気とか、両親のかかった病気とか? 体
質を知るためでしょうか……
勝 :そうだよな。それでカルテの目的がわかるよな?
恵利:正確な治療をするため、ですか?
勝 :「正確」ってどういう意味? どんな人にもあった治療法、っ
てあるの?
恵利:あ……その人にあった治療をするため、ですね!
勝 :そう。ある薬に反応する人もいれば、しない人もいるだろ。遺
伝とかそういうのもあるだろうし。
真子:そーかー。その人のことを知れば知るほど、その人に合った治
療ができるもんね。
勝 :そう! それが「カルテ」の意味。じゃあ、それはマーケティ
ングにおいてはどうなる?
真子:うん。どんな人で、何を買ったかとか、どんなものが好き、と
か、わかれば、その人に合った売り物や売り方がわかる!
勝 :そういうこと。その意味で、「カルテ」という喩えは、密着軸
と相性がいいんだよな。
真子:なーるほどねー。
勝 :それからさ、真子、オマエ自分がどんな病気をしたか、とか、
覚えてるか?
真子:ぜんっぜん! あ、そっか! カルテは「記録」でもあるんだ
ね。忘れないための記録。
勝 :そう。さらに言えば「共有」するための記録でもある。カルテ
を残しておけば、お医者さんの間で共有できるだろ?
恵利:あ! カルテにして管理すれば、ステップ3の「B)会社 全
体で共有する」が可能になるんですね。
真子:そっか、そうしないと、同じ病院に行っても「あの先生がいな
いとわかりません」みたいなことになっちゃうんだね。
勝 :そうそう。真子の店でもさ、常連のお客様がいらして、あるス
タッフはわかって他のスタッフがわからない、はまずいよな。
真子:そうだよねえ……
勝 :個人の手帳のメモだと、「会社全体での共有」ができない。
「共有する」意味でも、「データベース」は大事。
真子:そうだよねー。うちの店のあるスタッフが覚えてるだけじゃ、
そのスタッフがいなくなったら困るもんね。
勝 :そういうこと。だから、「A)ニーズ・購買履歴を記録する」
と、「B)会社全体で共有する」の両方が大事。
恵利:その意味でも、ITの役割は大きそうですね。
勝 :そういうこと。必ずしもIT化しなくてもいいけど、「会社全
体で共有する」ための仕組みは考えておかないとね。
真子:でもさー、IT化するのって大げさじゃない? 店が1つ2つ
だったら、紙でもいいんじゃないの?
勝 :もちろん。IT化するのが目的じゃないからな。
真子:いちいちパソコン見るのは結構面倒じゃないかな?
勝 :カフェなんかだと、ノートを作って、それにお客様の好みとか
よくする注文をスタッフで共有してるところもあるみたいだぜ
真子:へー、そうなんだー。カフェも頑張ってるんだね。
勝 :逆に、データを作ることが目的化しちゃうこともある。
恵利:そうなんですか?
勝 :うん。データベースはあくまで手段。要は、「売り物」の個別
化、「売り方」の個別化ができればいい話。
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◆顧客データベースに入れるものは「戦略」と「戦術」から考える
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真子:ねー、その「顧客データベース」って、何を記録するの?
勝 :基本的には、1)個人情報、2)購買履歴、3)ニーズ・好み
だな。できれば、4)競合利用状況、もあればいいけどな。
真子:えー、結構あるんだ……
勝 :真子の店みたいな飲食店はわかりやすい。考えてみな。
恵利:真子の店なら、お客様の名前・ご住所が個人情報で、何を食べ
たか、が購買履歴、だね。
真子:それで、その人の味の好み、好きな席なんかが「ニーズ・好
み」だね。それも把握してるよ。
勝 :競合利用状況はわからないか? 他に行ってる店とか。
真子:うーん、わかることもあるけど、積極的には聞いてないなー。
確かに、さりげなくでも聞いてみた方がいいね。
勝 :競合がわからなきゃ、それとの相対的な比較としての自社の強
みがわからないだろ?
真子:た、確かに……誰と比べられてるか、によって強みは変わるん
だもんね。
勝 :あとは、そのお客様からのリクエストとか、会話内容。クレー
ムも記録したほうがいいな。
真子:えー……キリがないじゃん。
勝 :いや、そうでもない。実際に行動に落とし込める情報だけあれ
ばいい。
真子:どういうこと?
勝 :例えば、電話をかけないのであれば、電話番号を聞いても意味
がない。お客様が不審がるだけ。
真子:あ、なるほど! DMを出すのなら住所がいるし、メールで販
促するんなら、メルアドがいる、ってことだ。
勝 :そうそう。前号でもやったけど「何をしたいか」、つまり「戦
術」によって、必要な情報が決まる。
真子:他にはどんな例があるの??
勝 :例えば化粧品メーカーが顧客データベースを作るとして、お肌
の状況に合った商品を勧めるには何がいる?
真子:お肌の状況でしょ? だから肌診断のデータとか?
勝 :そうだよな。だから、肌診断の結果の経年変化を蓄積しておい
た方がいいだろ?
恵利:あ、なるほど、「去年の夏はこんな結果でしたので、今年は、
この商品を……」っていう勧奨ができますね。
勝 :そういう顧客応対をしたければ、肌診断の結果をデータベース
に入れるし、しないのであれば、別にいらない。
真子:なるほどねー、何がしたいか、によって必要なデータが決まる
ってそういうことか。
勝 :そう、どんな情報が必要か、顧客データベースに何を入れるか
というのは、何がしたいか、という「戦術」次第だな。
恵利:え、でも戦略が決まらなければ、戦術は決まらないですよね?
勝 :その通り。だから、戦略・戦術・データベースは全部連動する
ってこと。
恵利:あ、じゃあ着物屋さんの例の「大昔の写真」を残しておくかど
うか、も、そういう対応をしたいかどうか、で決まるんですね
勝 :そうそう。情報を集めるほど、色々なことができるけど、その
分管理の手間とコストが膨れあがる。
真子:そうだよねー。写真残して管理するなんて、たいへーん。
勝 :だから、ITを使うわけ。その「写真」だって、スキャンして
データベースに取り込んでおけば、保存もラク。
真子:そっか、「個別ニーズを覚える」って、別に自分の脳みそで覚
えなくてもいいんだね!
勝 :もちろん。そんなの真子にできっこねーだろ。
真子:うん、認める! そーだよね、きゃははは!
勝 :個人ビジネスなら個人のアタマで覚えてもいいけど、組織とし
て密着軸をやるなら、きちんと「記録する」ことが重要。
恵利:実際にどうやってデータベースを作っていけばいいんですか?
勝 :まずは、手書きでもエクセルでもいいから、小さく作ってみる
といいよ。いきなり大規模なものを作るのはお勧めしない。
真子:なんで?
勝 :そもそもどのデータが必要か、が最初はわからないから。実際
に行動に落とし込んでみないと、何が効くかわからない。
恵利:あ、最初は手書きで作って、それを実際に使ってみながら、必
要な追加項目とか不要な項目を考えればいいんですね?
勝 :そうそう。最初は小さく産んで、大きく育てる感じ。
真子:そっかあ……最初に大規模に作っちゃうと、後からの修正が大
変だからか……
勝 :そうなんだよな。それってデータベースを作る際の、失敗要因
の1つ。
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◆密着軸では、「顧客データベース」は重要なソフト資源
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真子:ね、勝さん、お客様とのおつきあいが長いほど、データベース
に情報がたまっていくよね?
勝 :そう! つきあいが長いほどその人のことがよくわかるだろ?
それと同じ。
真子:うん、勝さんは、真子のことで知らないことはないもんね♪
真子の産まれたときからのこと、ぜーんぶ知ってるよね。
勝 :……まあそうなるな。全く嬉しくないが。
真子:真子も、勝さんのこと、何でも知ってるよ、はーと♪
勝 :じゃあ、戦略BASiCSの考え方も全部わかる、ってことだ
よな。すげーな。じゃあ後は全部自分できるな。
真子:え、あ……もう、意地悪! そういう意味じゃないもん。
勝 :話を戻すと、その「つきあいの長さ」とか、それに基づく情報
の蓄積、は一朝一夕にはできないよな。
恵利:さっきの着物屋さんも、大分時間をかけて……データベースを
貯めていったんですよね。確か……あ、これですね。
恵利が、勝のノートパソコンのモニタの一部を指でなぞる。
○こうした顧客管理を支えるのが「我が社の財産」(同社)と言う、
顧客カルテ。カルテには、写真付きの購入履歴から顧客のサイズ、
好みなどが事細かに記されている。1979年の創業時から始め、
1万人分に上るという。
(同上)
真子:ひゃああ、1979年から、っていうと……30年以上だ!
恵利:ということは、これから競合がマネしようとしても、それには
30年かかる、ということですね。それはマネできませんね。
勝 :そう! 今の、すごい鋭い。独自資源の蓄積には時間がかかる
からこそ、マネできない。1万人、という数についても同じ。
恵利:競合が30年かけてデータベース蓄積しても、このお店は、さ
らに30年かけて、60年データを蓄積するから……
真子:永遠に追いつけないってことかあ……
勝 :顧客データは、時間がたつほど、新規顧客の分の顧客が増える
し、既存顧客とのつながりが深くなるんだよな。
恵利:となりますと、密着軸では、「顧客データベース」はとても重
要なソフト資源なんですね。
勝 :そうだな。何かあっても、顧客データとお客様からの信頼さえ
残っていれば、事業は再建できるかもしれない。
真子:うん、きっとこの「1万人」のお客様がこの着物店を支えてく
れてるんだよね。
恵利:だから「密着軸の3ステップ」のステップ3が「お客様の個別
ニーズを覚える」で、その中核が顧客データベースになる……
勝 :そういうこと。顧客データーベース及びそれを蓄積するための
仕組み作りが、密着軸においては重要な独自資源。
真子:顧客データって、ホント「財産」なんだあ……うちの店も、1
回ちゃんと見直してみないとダメだな。うん、そうしよう。
ぐうう。真子のお腹が鳴った。
「やだ、お腹が鳴っちゃった……朝ご飯、まだかなー」
「あ、遅めにしてくれ、って言ってあるからな」
「ええええ! そんなあ……ひどーい!」
「夜あんだけ食べといて、朝早くからそんなに食えるか」
「私は食べたいの!」
「そんなの知るか。ちょっとくらいガマンしろ。大体だな、食べると
胃に血が行って、アタマの回転が鈍くなるだろうが」
「もー……じゃあエスプレッソでも飲むか……」
真子が立ち上がると、勝は「あ、オレのも頼む」と声をかける。「ふ
ーんだ。意地悪な勝さんの分なんかいれてあげないよーだ」と、憎ら
しげに応じる。
すかさず恵利が立ち上がって「じゃあ、私がいれてきますね」と言う
と、勝は「あ、ありがと。恵利ちゃんはやさしーなー」と嬉しそうに
微笑む。真子はあわてて、「い、いいよ、私がやるから」と恵利を牽
制する。「何よ、さっきやらないって言ったじゃない。私いれるよ」
と恵利も譲らない。
窓からは朝の光が差し込み、小鳥のさえずりがあちこちから響いてき
た。朝のさわやかな風が、3人を包み込むかのように吹き抜けた。
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◆今日のまとめ
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●密着軸戦略では、顧客データベースは重要な独自資源。小さく産ん
で、実行しながら、大きく育てていこう。
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▼今日の日記▲
今週初めは、九州出張。農業関係者の方々に、戦略BASiCSをは
じめとするマーケティングのお話をして参りました。
日本の農家の数は約150万戸。農家を主な収入源とする主業農家は
たった34万戸。その方が、我々の胃袋を支えてらっしゃるわけです
ね。
私には、「作り方」のアドバイスは出来るはずもありませんが、「売
り方」のアドバイスであれば、少々はできます。農家の方々により稼
いでいただけるよう、頑張ってお話をしてまいりました。
農業は、今まで生産に力点が置かれており、マーケティング的な取り
組みはあまりされていなかったようです。ですので、マーケティング
の研修会のようなイベントは画期的なんですよね。すぐ翌日の業界新
聞にもとりあげられたそうです。主催者の方のご英断ですね。
非常に熱心なご参加者が多く、様々なご質問などをいただきました。
色々な意味での危機感をお感じになられていらっしゃるようです。
私には応援することくらいしかできませんが、ぜひ頑張ってください
ね!!
●今日のiPod Tune:夏を偲ぶ歌
いつの間にか、もう9月。まだ暑いとは言え、もう夏は終わり……
暑くて暑くて「早く終わって欲しい」と思っていた夏も、終わってみ
ると、寂しいものです……
というわけで、夏を偲びながら聞きたい曲特集!
今日の1曲は……
○潮騒 (THE WHISPERING SEA) by 山下達郎
1978年リリースのアルバムGO AHEAD!からの1曲。その後、シン
グルのB面としてシングルカット。
(私の中では)RIDE ON TIME(この曲も衝撃的でした)と並ぶ、山下
さんの超名曲。隠れた名曲とは、まさにこういう曲のことを言うので
しょう。
Chicago のIf You Leave Me Nowを思わせるイントロからピアノ主体
の伴奏でボーカルを聞かせる、美しいメロディ。今聴いても、聞き惚
れてしまいます。
甘いラブソングの中に漂う、一滴の哀愁。結婚式で男性側から歌われ
ても全く違和感はないですね。
夏の甘い甘い思い出を振り返りながら聞きたい曲♪
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◆次号予告:密着軸の経営戦略 20
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●次号は、「顧客データベース」を使った密着軸の「稼ぎ方」を見て
行きましょう!
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!
▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!
▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!
売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……
〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
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