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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.170 2012/07/12
購読者:27,489 (まぐまぐ:16,633 メルマ!:956 めろんぱん:9,900)
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■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 3__■■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●密着軸は中小企業でもやりやすいから、密着軸の会社は多い。だか
らこそ、きちんと考えて差別化していく必要がある!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●今シリーズの登場人物3名
○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者
○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ
○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中
◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
http://ow.ly/89pSR
◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d
◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm
●密着軸の経営戦略特集!
恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!
恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。
連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。
http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html
今回は連載の3回目です。
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◆まずは、前号の復習から!
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恵利:前号の復習からですよね。今やってるのは戦略BASiCSを
貫く、3つの差別化軸。
恵利が自分のノートのある一部を指さす。
○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント
Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
Asset:独自資源 強みを競合がマネできない理由
Strength:強み 顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
i
Customer:顧客 自社が取引したい具体的顧客像
Selling message 強みを顧客に刺さるように伝える
↑ 大事なのは、5つの要素間の一貫性と、各要素の具体性!
○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法
手軽軸:競合より早い、安い
商品軸:競合より品質が高い、技術が新しい。一般的には高価。
密着軸:競合よりお客様の個別ニーズに応える
*「差別化」とはあくまで「お客様が選ぶ理由」を作ること! 「競
合との違い」を作ればいいというものではない!
○3つの差別化軸の「発想」の違い
手軽軸 : 最「安」 → 唯一無二のモノがある
商品軸 : 最「高」 → 唯一無二のモノがある
密着軸 : 最「適」 → 唯一無二のモノはなくお客様が決める
恵利:3つの差別化軸はそれぞれ「発想」が違うので、違う軸での両
立は難しく、どれかを選んで差別化します
真子:この3つは、まさに「軸」。BASiCSを貫いて「一貫性」
を取りやすくするんだよね。
恵利:うん。でも、選んだ軸以外でも、「平均点」は取らないとお客
様の「選択肢」に入れないので、「平均点」は必要。
真子:3つの差別化軸は、おでんの具を通すクシ。通すのは、はんぺ
んとか大根、つまり、BASiCSの5要素。
恵利:軸の存在は、BASiCSの5要素を通じて初めて見えるよう
になる。逆に言えば、BASiCSが無いと軸が見えません。
勝 :OK。素晴らしいまとめ。これでようやく本論に入れるな。
真子:やっとかあ……
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◆手軽軸の利益率は低い傾向にある
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勝 :で、この特集は「密着軸」特集なんだけど、「なぜ密着軸か」
という話から、だな。
恵利:あ、確かに。なんでですか?
勝 :ここにこんなデータがある。企業がどんな戦略をとっているか
というデータ。
勝がノートパソコンのマウスを操作したかと思うと、モニタを真子と
恵利に向ける。
*等幅フォント(MSゴシックなど)でお読みいただくと、数字の見
え方が揃い、見やすいと思います。以下同じです。
○顧客属性別に見た他社に対する優位性確保の戦略
コスト面で優位に立つ戦略 品質の差別化を図る戦略
全体 27.2% 72.8%
事業所・企業向け販売 25.3% 74.7%
(最終消費財)
事業所・企業向け販売 30.3% 69.7%
(中間財)
個人消費者向け販売 20.5% 79.5%
中小企業白書2003年
第2-1-39図 顧客属性別に見た他社に対する優位性確保の戦略
資料:中小企業庁「経営戦略に関する実態調査」(2002年11月)
www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H15/Z02-01-39-00.htm
真子:えっと……「コスト面で優位に立つ戦略」を取る企業が3割く
らいで、7割が「品質の差別化」をしてる……?
恵利:ここでいう「差別化戦略」ってどういう意味なんでしょう?
差別化しない戦略なんてあるんですか?
勝 :「コスト戦略」に対する「差別化戦略」だから、多分ポーター
先生のコスト、差別化、フォーカス、っていう3戦略の話かな
真子:あ、そう言えばそれポーターさんの本で読んだかも。
勝 :多分、ここでは「低価格戦略」と「何らかの高価格戦略」くら
いの区分で見ればいいんじゃないかな。
真子:「低価格戦略」が手軽軸で、「差別化戦略」が商品軸と密着軸
って感じでいーの?
勝 :そんな感じだと思うけどな。あくまでも目安、だけど。
恵利:これって対象企業は、大企業ですか? 中小企業ですか?
勝 :データの元を見たけど、両方入ってるみたい。手軽軸は大企業
じゃないと取りにくいから、大企業も入ってるだろうね。
真子:なるほど。それでも3割、って多い感じがするよね。3割の会
社が「価格勝負」をしてるんだ……
勝 :そうなんだよ……こんなに多くの企業が「価格勝負」をしてる
となると、当然「価格競争」になるよな。
恵利:BtoBやBtoCに関わらず、大体2〜3割の企業が「価格
勝負」をしてるんですね。
勝 :数字そのものより、そういう競争構造が業種業態問わず起きる
ってことが大事。で、「価格勝負」をするとどうなるか……
勝が再びノートパソコンを自分の方に向けて、マウスをいじったかと
思うと、真子たちに向け直す。
勝 :それぞれの戦略の、利益への影響を調べたデータ。
真子:へー、そんなのあるんだ。どれどれ……?
○企業の差別化行動と利益率
業種 コスト戦略 差別化戦略
全体 −0.21% 0.1%
事業所向け(最終財) −0.05% 0.03%
事業所向け(中間財) −0.33% 0.16%
個人向け −0.11% 0.06%
中小企業白書2003年 第2-1-40図 企業の差別化行動と利益率
資料:中小企業庁「経営戦略に関する実態調査」(2002年11月)
www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H15/Z02-01-40-00.htm
真子:えー、どう見ればいいのかわかんなーい!
恵利:えっと……「コスト戦略」を取っている会社は「差別化戦略」
を取っている会社より利益率が低い……ということですか?
勝 :そうみたいだね。
真子:あ、「コスト戦略」の方はマイナスの数字ばっかりってそうい
うことなんだ! でも……コンマ何%の差だよね?
勝 :そう。だからあくまでも目安。ただ、BtoB、BtoCに関
わらず一貫して同じ結果が出てる、というのは興味深い。
真子:あー、勝さんがよく言ってる「戦略の普遍性」ってヤツね。戦
略に関しては普遍性・法則性がある、っていう……
勝 :そうそう。「低価格戦略」は、直観的に「儲からない」ように
見える、ということがある程度確かめられたってこと。
恵利:なるほど、「低価格戦略」つまり手軽軸はやっぱり利益率は下
がりやすい、ということですね……
真子:まーそりゃそうだよね。低価格をウリにしてると、価格競争に
なってくもんね……
勝 :もちろん手軽軸で稼いでいる会社もあるはずだけどね。全体と
してみると、利益率は低くなる傾向にあるとは言えそうだ。
真子:そんなの当たり前じゃん。価格勝負したら、利益率は下がって
当然よ。
恵利:真子、当たり前のことをきちんと数字で立証するって大事なこ
とだよ。
勝 :そうそう。さすが恵利ちゃん!
真子:はいはい、さすが恵利ちゃんですねー。
恵利:何よ。じゃあここで一旦まとめておきますね。
恵利が手許のノートにサラサラと書いていく。
○低価格戦略だと、利益率が低くなる傾向にある
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◆「売り物」勝負の大企業、「売り方」勝負の小規模企業
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恵利:勝さん、このデータって大企業も入ってるんですよね? とい
うことはもし企業規模別に見たら……
勝 :そのデータは見つけられなかったんだよね。利益率とは別に、
「競合企業に対する自社の強み」の自己認識ならあった。
恵利:「自己認識」っていうことは、自社が自分でどう思っているか
ということですか?
勝 :そう。ちょっとこれを見て。
勝が再びノートパソコンを真子たちに向ける。
○競合企業に対する自社の強み
価格 製品企画 技術・開発 設備
全体 9% 9.4% 21.4% 10.1%
0〜5人 11.6% 5.3% 7.6% 2.3%
6〜20人 10.2% 7.4% 14.0% 7.1%
21〜50人 9.8% 11.5% 19.5% 7.9%
51〜100人 8.7% 9.6% 20.2% 10.7%
101〜300人 8.6% 9.3% 26.7% 12.2%
301人 7.9% 11.0% 24.8% 9.2%
中小企業白書2003年
第2-1-30図 競合企業に対する自社の強み
資料:中小企業庁「経営戦略に関する実態調査」(2002年11月)
www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H15/Z02-01-30-00.htm
勝 :これが、「競合企業に対する自社の強み」を従業員数別に見た
データ。
恵利:勝さん、「価格」と「設備」を同列に比べるのは、ちょっと違
和感があるんですが……
勝 :うん。「設備」が「低価格」を可能にする、というような関係
にあるわけだから、言葉のレベル感が違う。
恵利:あ、だから「価格」っていう「強み」の話と、「設備」ってい
う「独自資源」という分類をきちんとしないと……
勝 :「強み」と「独自資源」を別の質問で聞いていれば、クロス集
計でその組み合わせが見られるから面白いけどな。
恵利:それに、さっきのデータでは「コスト戦略」を取る会社は3割
くらいあるのに、このデータだと1割以下って……??
勝 :質問の仕方が違うんじゃないかな。さっきは、「コスト」と
「差別化」の2択みたい。こっちは選択肢が多い。
恵利:あ、なるほど……
真子:もー、データに文句言ってもしょーがないじゃん。データ見よ
うよ。
勝 :あ、真子が珍しく真っ当なこと言った。じゃあ、真子、データ
見ろよ。
真子:私、数字ワカンナイ。恵利、データ見てよ。
勝 :オマエ、何がデータ見ようよ、だよ。
恵利:もう……あれ、「製品企画」「技術・開発」「設備」のどれも
企業規模が大きくなるほど、数字が上がってますね。
真子:え……ホントだ!
勝 :まあ、どれもある程度の企業規模が無いと、人員をおいたり、
設備を買ったりできないからね。
恵利:あれ、小規模企業でも「価格」を強みにしてる会社が結構ある
んですね。
真子:え? 手軽軸って、大企業の戦い方かと思ってたけど……
勝 :一般論としてはそう。このデータの読み方も、「技術・開発」
がやりにくいから価格勝負せざるを得ないのかもしれない。
真子:あー、そういう見方もあるか……
勝 :あと業種にもよる。製造業だと大規模設備を持つ大企業が価格
勝負しやすいが、サービス業なら小企業でも価格勝負ができる
恵利:そうなんですか?
勝 :士業とかデザイナーとかで、自宅兼オフィスみたいな会社なら
固定費が低い分を反映して、低価格にできる場合もある。
真子:あー、なるほどー。勝さんみたいな士業も、サービス業だね。
1人でやってる方が価格勝負できるよね。
恵利:あ、そういう会社だと小規模であること自体が、固定費が低い
という独自資源になるんですね。
勝 :ただ、そういう会社が価格勝負すると、自分の給料を削ること
になるから、価格勝負はしないにこしたことはないけどな。
恵利:このデータは、製造業とサービス業とを分けてみた方がいい、
ということですよね。
勝 :うん、オレはその切り口で見てみたい。
真子:でも「価格」のところで大業と小規模企業とですっごく差があ
るわけじゃないよね。他の要素の方が、違いが大きいよね?
勝 :お、いーじゃん。例えばどこだ?
真子:「技術・開発」なんかだと、大企業の方が強みとしての認識が
高いよね? すごく差があるよ!
恵利:え……ホントだ! やっぱり企業規模がある程度はないと、専
門の技術開発部門なんかを持てないんだろうねぇ……
真子:ね、「技術・開発」って、商品軸かな? 密着軸かな?
恵利:手軽軸でも低価格にするための「技術・開発」っていうのはあ
り得るんじゃない?
勝 :そうだね。でも、企業規模が大きくなるにつれて「価格」での
勝負が増えてるわけじゃないから、商品軸か密着軸だろうね。
恵利:商品軸か密着軸か、どっちなのかはわからないですよね……
勝 :うん。わからない。「技術・開発」の内容次第で「商品軸」に
なることも「密着軸」になることもある。
真子:ねー、大企業が「技術・開発」っていうんなら、小規模企業は
どうするの?
勝 :どうすると思う?
真子:「技術・開発」以外で差別化する!
勝 :当たり前だろ。だからどうやって、だよ?
真子:えー、勝さん、ヒントぉ!
勝 :ヒントは、「技術・開発」は「売り物」での差別化。技術・開
発は最終的には「製品」に落とし込まれるわけだから。
真子:あ、わかった! 「売り物」に対しては「売り方」! 小規模
企業は「売り方」で差別化するんだね。
勝 :そう! さっきと同じデータなんだが……
技術・開発 販売・サービス
全体 21.4% 20.7%
0〜5人 7.6% 33.8%
6〜20人 14.0% 24.6%
21〜50人 19.5% 21.7%
51〜100人 20.2% 20.9%
101〜300人 26.7% 17.1%
301人 24.8% 20.5%
(データは同上)
真子:やっぱりそうだ! 小規模企業は「販売・サービス」で勝負し
てる割合が大きい!
恵利:なるほど……小規模企業だと「売り物」勝負が難しいから、
「売り方」勝負になるんですね。
勝 :そういう傾向にあるとは言える。「売り方」の差別化は、顧客
の個別ニーズに応える「密着軸」に向くことが多い。
真子:となると、やっぱり小規模企業だと、密着軸がいい、ってこと
になるの?
勝 :正確に言うと、密着軸が「いい」と言うよりは、手軽軸・商品
軸がやりにくい、という感じだな。
恵利:えっと、手軽軸は、メーカーだと大型の「設備」が必要になり
サービス業だと自分の給料を削ることになる……
真子:でも、商品軸だと、「技術・開発」が必要になる……だから、
やりにくい、ってことでいいの?
勝 :そう。両方とも小規模企業にはやりにくいことは、上のデータ
から、明確にではないにしても言えそう。
真子:でもさ、なんかこう、「ぱきっ!」って決まるデータがないよ
ね……「密着軸が儲かる」とかってデータないの?
恵利:真子、そんなこと言うなら自分で調べてみなよ。こういうの、
大変なんだよ。
真子:そ、そりゃわかってるけどさ……
勝 :確かに、「密着軸」に関するデータってあんまり見ない。差別
化は大体「価格」と「品質」の2極だけで語られるからな。
恵利:あ……密着軸的な差別化、っていうのがあまり明確に意識され
てないんですね、世の中的に。
勝 :そう思う。例えば密着軸の「カスタマイズ」が「高品質」かっ
て言われると、それとはちょっと違うだろ?
真子:あ、うん、品質の良し悪しより、「自分に合う合わない」だよ
ね。
勝 :そういうこと。まさに「軸」が違う。まあ密着軸的な発想があ
まり語られないからこそ、こうやって特集してるわけだ。
勝 :当たり前だ。ちょっとここまでデータが続いたから……
恵利:はい。じゃあここまでをまとめてみますね。
勝 :うん、お願い。
恵利が再びノートにまとめていく。
○大企業:「製品企画」「技術・開発」「設備」 →売り物で差別化
○小規模企業:「販売・サービス」 → 売り方で差別化
→「売り方」の差別化は「密着軸」に向くことが多い
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◆「強み」は作るモノ
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真子:ね、勝さん、実際のところ、密着軸の会社ってどれくらいある
んだろうね?
勝 :「どの軸で差別化してますか」って聞くと、大体、手軽軸:
1〜2割、商品軸:2〜3割、密着軸:6〜7割位になる。
恵利:やっぱり密着軸の会社が一番多いんですね……
勝 :感覚的にはね。だからこの密着軸特集やってるわけ。
真子:特に中小企業にはやりやすいんだろうね。
勝 :ああ。ただ、密着軸の会社が多いってことは似たような戦い方
をしてる競合が多いってことだから、勝ちやすいとは限らない
真子:あ、そうか、同じ軸で戦ってるってことは、差別化しにくい、
ってことだもんね。
勝 :だからこそ、密着軸での差別化を、「何となく」じゃなくて、
「きちんと」考える必要がある。
真子:うん。でも、うまい話はないのか……
勝 :当たり前だ。手軽軸も、商品軸も、密着軸も、どの軸で戦うの
も大変。楽な戦い方なんてないぞ。
真子:うーん、厳しいなあ……
勝 :でも、巷間言われる、「低価格」か「高品質」以外にも戦い方
はある、っていうのはいい話だろ?
恵利:確かに、「低価格」と「高品質」しか差別化できないっていう
のなら、世の中の大抵の企業は生き残れないですよね。
勝 :そうそう。でも決してそんなことはない。
真子:となるとさ、密着軸のこと知らないと、「ウチには技術は無い
し、価格勝負はできないし……」って落ち込んじゃいそうだ!
勝 :お、真子、鋭い! 実はそうなんだよ。さっきのデータなんだ
けど、こんな項目もあってさ……
強みはない
全体 7.1%
0〜5人 25.0%
6〜20人 15.7%
21〜50人 8.9%
51〜100人 5.7%
101〜300人 4.7%
301人 1.6%
(データは同上)
真子:うわあ……小規模企業だと「うちには強みなんかない」って思
っちゃうんだねー……
恵利:はい……気持ちはわかります……ウチもそうでしたから。
勝 :「強みはない」なんてことは絶対にない。というか、そう信じ
ないとダメ。
真子:そんなこと言われても……ねえ……
勝 :強みが無かったら作ればいい! 大体それが経営だろうが。
恵利:例えばどうすればいいんですか?
勝 :「売り物」とか「売り値」で大企業にかなわなくても、「売り
方」で差別化はできるでしょ。
真子:あ、そうか。「売り物」で差別化できなくても「売り方」で差
別化できるっていうのは、意外に盲点だよね。
恵利:あ、それで、それがやりやすいのが「密着軸」なんですね。
勝 :そういうこと。だからそういうことも含めて、「密着軸」の話
をしたかったんだよ。
真子:ねー、数字ばっかりで疲れたよー!
勝 :はいはい、オレはオマエの相手に疲れたよ。じゃあ一息いれよ
うか。
(次号に続きます!)
※参考資料:ご興味のある方はどうぞ!
○中小企業白書2009年版
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h21/h21/html/
k2210000.html
○中小企業白書2003年版
中小企業のマーケティング活動とその企業業績に与える効果
www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H15/02-01-03-03.html
中小企業の内的強みと企業パフォーマンス
www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H15/02-01-03-02.html
経営戦略に関する実態調査の調査対象:平成13年経済産業省企業活動
実態基本調査名簿、平成10年商工業実態基本調査名簿
www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shozai/a/a17-1s.html#1
○平成10年商工業実態基本調査:中小企業が主な調査対象
www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c5k0aj.html
○経済産業省企業活動実態基本調査:従業者50人以上かつ資本金額又
は出資金額3,000 万円以上の会社を調査対象としている。
www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/gaiyo/pdf/
chosahani_h20.pdf
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◆今日のまとめ
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●中小企業にとっては、密着軸は「やりやすい」選択肢。ただ、密着
軸の会社が多いほど、きちんと差別化する必要がある!
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▼今日の日記▲
今日は昼食を取るヒマが無かったので、夕食をガッツリ食べようと思
って、一風堂の某店へ。この店、夕食の時間帯には結構混んでいるの
ですが、今日も行列。「相変わらず並んでるな……」と思い、とりあ
えず列に並び、並ぶ人用の椅子に座り「売れたま!書きながら、待つ
か……」とパソコンを開こうとすると……
前に並んでいる方々がことごとく複数で来店されていたので、1人で
待っていた私は待たずにすぐカウンターの一人席へ。
「ラッキー」と思ったのですが、え? 一風堂って、そんなにペアと
かグループで行く店だったっけ? と……トンコツラーメンって、1
人で行って、ざっと食べて、替え玉して、すぐ出てくるものではなか
ったか、と……
一風堂って、その意味では、トンコツラーメンに市民権を与えた、と
言うか、「キャズム」を越えましたよね。男性が1人で食べる、とい
うものだったのが、カップルとか女性グループとかファミリーが複数
で来店するんですよね……食べやすいようにしたのか、スープとかの
ギトギト感も薄れた感じもしますし……
と言いつつ、替え玉して、ギョーザ食べて、堪能してきました。替え
玉1回だけだとやっぱり後でおなか減りますね……替え玉券があった
ので、替え玉もっとすれば良かったかな?
●今日のiPod Tune:Enjoy the Rainy Season! 雨に似合う歌2012
沖縄は梅雨明けしたようですが、本州はまだまだ梅雨……
今日も東京は大分暑くなりましたが、梅雨明けはまだのようです。
ということで、続きます! 雨に似合う歌!
○Purple Rain by Prince and The Revolution
80sを代表するアーティストの1人、Princeの代表曲ですね。
このシングルを収録したアルバムPurple Rainは、超大ヒット。
1984年を代表するアルバムであり、1980年代を代表するアル
バムの1つでもあります。同時代を過ごした洋楽ファンなら知らない
人はいないですよね。
シングルカットされたこの曲も、全米2位を獲得。
ギターとドラムスだけのシンプルな進行の中に重層的にからみあう様
々な仕掛け。何回聞いても発見がある深みのある曲。この大ヒットア
ルバムの最後を締めるのにふさわしい曲♪
**************************************************************
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く考えていきましょう!
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
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