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2012年9月4日火曜日

売れたま!特別編Vol.185 2012/09/03 夏休み特別号:密着軸の経営戦略 18

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.185 2012/09/03
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 ■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 18__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●密着軸の3ステップ、ステップ3は「個別ニーズを覚える」。その
 中核となるのが、顧客データベース。


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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●密着軸の経営戦略特集!

恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!

恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。

以下がその前提となる知識です


○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント

 Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
 Asset:独自資源     強みを競合がマネできない理由
 Strength:強み     顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
 i
 Customer:顧客     自社が取引したい具体的顧客像
 Selling message     強みを顧客に刺さるように伝える


○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法

手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
    → 競合より安い・早いで差別化する

商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える 
    → 競合より高品質・新技術で差別化する

密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
    → 競合より個別ニーズ対応で差別化する



●今シリーズの登場人物3名

○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者

○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ

○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中


◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
http://ow.ly/89pSR

◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d

◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
 戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm



●ここまでのあらすじ

高原のペンションに「山ごもり」して合宿を行った真子、勝、恵利の
3人。話し合っている最中に、ふとしたことから「密着軸」について
ペンションのテラスで勝の講義を受けることに。


連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。

http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html


今回は連載の18回目です。



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◆まずは、前号の復習から!
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真子:ねー、夜になると、結構涼しいよねー。

勝 :夜は、日によっては寒いくらいだぞ。夏とは言え、な。

恵利:ホント東京とは別世界ですよねぇ。

真子:まー、だからこそわざわざ来たんだけどねー。

勝 :来るのはいいけど、オレと一緒の日に来るなよな。君ら2人で
   来ればいいだろうが。

真子:何よ、美女2人に囲まれて、嬉しいく、せ、に♪

勝 :はいはい、もーいーよ。前号の復習しよう。

恵利:前号では、「ミズノのカスタマイズゴルフクラブ」の実例を分
   析しました。典型的な密着軸の事例でした。

真子:ゴルフクラブまでカスタマイズできるなんてスゴイよねー。

恵利:うん、「密着軸の3ステップ」の通りの展開だったね。


いつの間にまとめたのか、恵利が美しく書き上げられたノートを真子
たちに見せる


◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る → スイングの特徴把握

 A)ニーズを引き出す → スイング診断による客観的測定
 B)ニーズに合った提案をする → 数百通りの組み合わせ候補

◇ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える →カスタマイズクラブ

 A)素材を調達・加工・組み合わせる → 自社工場の職人
 B)お客様と一緒に商品を作り上げる → 試し打ちを繰り返す


○アドバイザーの役割 → 「フィッター」というベテラン店員


勝 :OKOK。さすが。

恵利:こうやって数々の事例を見てくると、みんな本当に同じことを
   しているというか、共通点が多いですね。

真子:まーそうじゃなきゃ、「3つの差別化軸」なんて言えないから
   ね。34の差別化戦略とかになっちゃうよ、きゃははは!

勝 :あ、それは実は鋭いポイント。3つに共通化できる、つまり成
   功事例には共通点があるからこそ「3つの差別化軸」なんだよ

真子:わー、やった! 真子もたまにはいいこというじゃん♪

恵利:なるほど、業種業態を超えて、みんな同じことをしていること
   が、3つの差別化軸の普遍性を表しているんですね。

真子:アンタ何でそんな気取った言い方すんのよ。良い子ぶってさー

恵利:何よ、悔しかったら真子もすればいいのよ。大体真子だって…

勝 :もういーから、ほら、先進むぞ!

真子:はーい。



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◆日本企業の「国際戦略」としての密着軸
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勝 :でさ、このミズノのカスタマイズクラブは、「密着軸の戦略」
   という意味ですごい示唆的なんだよな。

真子:え? どういうこと?

勝 :ミズノが「カスタマイズクラブ」を始めたキッカケっていうか
   環境変化は何だっけ?

恵利:ええっと、確か……クラブの性能に上限が設けられたから、で
   したよね?

勝 :そうそう。「性能」による競争ができなくなった。つまり?

恵利:つまり……あ! 商品軸での競争ができなくなった!

勝 :そう! 「飛距離」っていう、「品質競争」ができなくなった
   んだよな。すると、どうなる?

真子:なーるほどぉ。そうすると、ミズノみたいに、カスタマイズす
   るか、ってなるんだぁ。

勝 :それもそうだし、他にも競争の仕方はあるだろ?

真子:他には……あ、価格勝負? 低価格競争だ! それって、手軽
   軸だよね……あ! 戦う方法が3つしかない!

勝 :そうそう。

恵利:つまり、商品軸での競争が難しくなったので、低価格、という
   手軽軸か、カスタマイズ、という密着軸しかなくなった……

勝 :そういうこと。競争の軸が、手軽軸の価格、商品軸の性能、密
   着軸の個別化の3つ、という典型的な例だよな。

真子:その時点で、カスタマイズっていう密着軸に走ったミズノがす
   ごいよね!

勝 :そうなんだよ。結構思い切ったよな。何でミズノだけにできた
   か、っていうのは前号で考えたよな?

恵利:はい、国内にある「養老工場」というハード資源、および、そ
   こにいる「職人」というソフト資源があるからですね。

真子:海外への委託生産だと、こーゆーカスタマイズはやっぱり難し
   いんだろーねー。

勝 :そういう意味では、こういう戦い方が「国内工場」の戦い方の
   1つだと思う。日本国内の雇用を守る、という意味も含めて。

恵利:あ、そうですよね。国内に生産拠点を持つ意味というか、必然
   性がありますよね。

勝 :さらに言えば、こういうビジネスモデルを海外展開して、日本
   で作ればいい。こういう細かい技は日本人が得意だからな。

真子:なーるほどぉ。そうすれば、国内での雇用も増えるよね。その
   意味でも、密着軸っていいね。

恵利:コスト競争で海外に勝つのは大変ですけど、こういう細かい芸
   当は、日本人ならでは、ですよね。

真子:日本人って、ホント器用だもんね。私らはみんなできちゃうか
   らあんまり気づかないけどさ。

勝 :そうそう。だから、ミズノのこのモデルは、個人的にはぜひ成
   功してほしいし、他業種でも見習うところがあると思う。

真子:じゃあ、密着軸は、日本経済を救うんだ! スゴイね!

勝 :それは言い過ぎにしても、日本企業としての、有力な戦い方の
   1つであるとは思うな。

真子:そっかあ……じゃあ、勝さん、頑張らないとね! 日本のため
   にも、さ。

勝 :へ? オレが、か?

真子:だって、こういう戦い方を広めるのが勝さんの仕事でしょ?

勝 :ふむ……確かにそうだな……じゃあ頑張るか!

真子:私も協力するから言ってね。 何でもしてあ、げ、る♪

勝 :いや、別にいい。自分でやる。

真子:またまた、照れちゃってー。真子が手伝ってあげるのにー。

勝 :恵利ちゃんには手伝って欲しいんだよな……

恵利:え? わ、私ですか?

勝 :うん。今まとめてもらってる内容をもとに、本書くから。

恵利:え、は、はい……これで良ければ……

真子:恵利ばっかりずるい、真子だってアイディア出してるのにぃ!

勝 :まあそれもそうだな。真子にも手伝ってもらうか。

真子:うん!

勝 :っていうか、この売れたま!も、密着軸を広めるために書かれ
   てるわけだから、真子と恵利ちゃんもガンバレ。

恵利:私たちの話が、少しでも日本経済に貢献できたら嬉しいね!

真子:そっかあ……それはホント嬉しいなあ……頑張ろうっと♪



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◆ステップ3)個別ニーズを覚える
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勝 :これでやっと密着軸の3ステップの、「ステップ2)個別ニー
   ズを叶える」が終わり。次は、ステップ3、な。

真子:ちょ、待ってよ、密着軸の3ステップは……恵利、貸して!


真子が恵利のノートを奪い取ると、ページをめくり、手を止めた。


◇密着軸の3ステップ

ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
ステップ2)個別ニーズを叶える
ステップ3)個別ニーズを覚える


真子:これで「ステップ2)個別ニーズを叶える」が終わって、ここ
   からは「ステップ3)個別ニーズを覚える」ってことだよね?

勝 :あ、そうそう。ナイスフォロー。じゃあ、フォローついでに、
   恵利ちゃん、ステップ3)でやること2つあったよね。

恵利:え? あ、はい……確か……

真子:そんなのやったっけ?

勝 :魚屋さんの喩えを使ったときにやっただろ。夕食の前にやった
   ことは、もう忘れてるんだな。真子はホントわかりやすいな。

真子:そ、そんなことないもん!

恵利:ありました。これですね。


○ステップ3)お客様の個別ニーズを覚える
 A)ニーズ・購買履歴を記録する
 B)会社全体で共有する


勝 :あ、それそれ。それが結論。じゃあ終わり、ということで。

真子:だ、ダメだよ、ちゃんと説明してよ。

勝 :冗談だよ、わかってるよ。じゃあこれ読んで。


勝が例によってノートパソコンのモニタを真子たちに向ける。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○男の着物ブームの仕掛け人、「銀座もとじ」の泉二弘明社長。サー
 ビス面でも旧習を打破。一点ものが多く、反物を選んであつらえる
 着物は、ワン・ツー・ワンマーケティング商材。しかし、顧客との
 接点は採寸の次はもう納品、というプロセスに疑問を抱いた。


○考え出されたのが業界初の仮縫い制度。採寸後に、洋服のオーダー
 メードに倣った仮縫いの工程を加えた。仮縫いで調整が必要になる
 のはほんの数ミリ。それでもコスト増となる仮縫いをするのは「お
 客様は体にぴったりのものを着たいとお考えになるものですし、手
 順を踏むことで仕上がりを待つ楽しみも増す」(泉二氏)。


○70%という高いリピート率の要因は、購入後のフォローアップ。
 初心者には素材や柄の合わせ方、ブランドバッグとのコーディネー
 ト等を丁寧にアドバイス。付き合いが長い顧客には、着物のクリー
 ニング、体形が変わった時の仕立て直しまで、至れり尽くせり。


○「お客様がお孫さんと七五三の着物をご覧に見えた際、お孫さんの
 お母様に当たるお嬢様の七五三の着物姿のお写真を出して当時のお
 話をしたところ、大変お喜びいただきまして……」


○こうした顧客管理を支えるのが「我が社の財産」(同社)と言う、
 顧客カルテ。カルテには、写真付きの購入履歴から顧客のサイズ、
 好みなどが事細かに記されている。1979年の創業時から始め、
 1万人分に上るという。


○カルテに登録された顧客には多様なイベントの案内が届く。和装で
 のマナー、着物で美術鑑賞、生産現場へのツアーなど。こうしたイ
 ベントに参加し、顧客はさらに、着物の世界へと入り込んでいく。


2012/02/24 日経MJ P.4

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:えー!? 「男の着物ブーム」なんてあるんだ?

勝 :よく知らないけど、オレの知り合いでも着てる方はいるな。

真子:そーなんだー。私も着物着たいな。ね、勝さん、どうかな?

恵利:真子、そこじゃないでしょ。まずは、「仮縫い工程」というと
   ころからですよね?

勝 :お、さすが恵利ちゃん。そう、この会社が「仮縫い工程」をわ
   ざわざ加えたことの意味は?

真子:お客様との接触のチャンスを増やしたいんじゃないの?

勝 :そうなんだけど、その「密着軸における意味」を聞いてる。

恵利:はい、「ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える」の「B)
   お客様と一緒に商品を作り上げる」ですよね。

勝 :そう!

真子:あー、そういうことか! 「仮縫い」って1ステップ増やすこ
   とで、よりお客様と「一緒に」作り上げる感、を出してる!

勝 :そうそう。より「自分に合ったものを作ってもらってる」って
   いう感じがするよな。

真子:なーるほどねー。そこのコストを惜しんじゃいけないんだ。

勝 :お、鋭いな。密着軸だと「一緒に」作り上げる感のための投資
   が必要になる。そういう投資は優先的に行う。

恵利:なるほど、密着軸で行くなら、そこでの差別化に必要な投資は
   優先的に投資していく、ということですね。

勝 :うん。どこに投資すべきか、も差別化軸次第。だから、資金調
   達の前に、差別化戦略が先に来るな。

真子:そうだよねぇ。何にお金を使うかがわかんなければ、いくら必
   要かもわかんないよね、きゃははは!

勝 :それがさ、きゃははは、じゃすまなくて、差別化戦略がないの
   に、なぜか投資計画が決まってることは結構あるぞ。

真子:そ、そうなんだ……

恵利:私も気を付けないといけないですね……

勝 :あとさ、この「仮縫い工程」って、どの業界からヒントを得た
   んだっけ?

恵利:あ、はい、「洋服のオーダーメードに倣って」ですよね。

勝 :ということは……?

真子:え? ということは……?

恵利:あ! 差別化軸が同じなら、洋服と和服っていう違いを超えて
   学ぶところがあるんだ!

勝 :そうそう。学ぶべきは差別化軸が同じ他業種。

真子:でもさ、洋服と和服って互いに近いからできたんじゃないの?
   さすがにウチみたいな飲食店が「仮縫い」は、ムリだよねえ。

勝 :んなことないだろ。レストランだって、最後に味付けする前に
   お客様に好みの味付けを確認しに行ってもいいだろ。

真子:え……あ、た、確かに! 料理の「仮縫い」かあ……できるも
   んだ……先生、大変失礼いたしました!

恵利:はい……できない、と思ってしまうからダメなんですよね……
   私も気を付けないと……



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◆ステップ3)個別ニーズを覚える:顧客データベース
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勝 :じゃあ、今回の本題の「ステップ3)個別ニーズを覚える」に
   ついて考えていこうか

真子:勝さーん、個別ニーズを「覚える」って言われても、真子には
   ムリだよー。

勝 :まあそうだよな。個人店とかなら自分のアタマで覚えてもいい
   けど、基本的には「記録する」ということになる。

真子:メモを取る、っていうこと?

勝 :それでもいいけど、いわゆる「顧客データベース」を作る、っ
   ていうのが基本になるな。

真子:顧客データベース?

勝 :そう。組織として「個別ニーズを覚える」っていうのは、基本
   的には顧客データベースを作る、ということになる。

恵利:さっきの事例の「顧客カルテ」も、データベースの一種、と考
   えていいでしょうか?

勝 :そうだね。顧客データベースを顧客ごとに切り出したのがカル
   テ。逆に、カルテの集積がデータベース、ってこと。

真子:ねー、顧客データベースって何? 何となくはわかるけど……

勝 :「使いやすくまとめられた顧客情報」っていう感じかな。

真子:そ、そんなざっくりした感じなんだ?

勝 :そうだよ。江戸時代に使われていたって言われてる「大福帳」
   だって顧客データベースだからな。

真子:えー? 江戸時代からなの?

勝 :ああ。日本は「商売」においては先進国だからな。

恵利:「顧客データベース」は、いわゆる「顧客リスト」とは違うん
   ですか?

勝 :基本的にはステップ3の「A)ニーズ・購買履歴の記録」とそ
   の「B)会社全体での共有」ができればいいってこと。

恵利:あ、顧客の名前や住所だけじゃなくて、ニーズや購買履歴が記
   録されてないとダメなんですね。

勝 :ダメっていうか、何がしたいか、によるな。「やりたいことが
   やりやすくできる」っていうのがカギ。

真子:へ? 「やりたいことがやりやすくできる」って?

勝 :真子、さっきの着物の事例で、何がすごいと思った?

真子:あ、お子さんのお母さんの七五三の写真を見せる、ってすごい
   と思った! 2、30年前の写真を持ってたんだよね。

勝 :そういうこと。そういう応対がしたいのであれば、そういう
   「やりたいことをやりやすく」する仕組みを作る、ってこと。

真子:そういうことか! この「写真を見せた」のって、すっごい密
   着軸的だよね! 家族ぐるみのおつきあい、って感じ!

勝 :そうそう、まさに「売り方」の個別化、のなせるワザ。それが
   やりたいなら、そういう仕組みを作ればいい。

恵利:でもそれをやるのはカンタンじゃないですよ……私、自分の子
   供の頃の写真ですら、どこにあるのか……

勝 :ホントそうなんだよ。だから、ステップ3の「個別ニーズを覚
   える」ことを組織としてできるようにすることが大事。

恵利:その、「覚える」のベースになるのが、先ほどの顧客カルテの
   ような顧客データベース、ということですね。

勝 :そう。「何がしたいか」が先。繰り返すけど「やりたいことを
   やりやすく」、だから「やりたいこと」が先にくる。

真子:ど、どういうこと?

勝 :「データベース」を作る前に、「何がしたいのか」を考えて、
   その実行手段としての顧客データベースを作る、ってこと。

真子:それって当たり前じゃないの?。

勝 :いや、データベースを作って、いざ使おうとしたら……みたい
   な話は耳にするよ。色々と事情があるんだろうけどさ。

恵利:確かに、実際にやってみないとわからないことはありますよね

勝 :そうそう。あと、経理や管理の目的で作った顧客データをマー
   ケティングに転用しようとすると、結構大変だったりする。

真子:そっか、元々の目的が違うからか。

勝 :そう。顧客データベースは、最初に作り込むより、使いながら
   作っていく、っていう方がいいな。

恵利:その、「何がしたいか」という意味では、先ほどの記事では、
   こういうことが「したいこと」に当たるんですよね?


恵利がノートパソコンの画面の上を指でなぞるように動かす。


○カルテに登録された顧客には多様なイベントの案内が届く。和装で
 のマナー、着物で美術鑑賞、生産現場へのツアーなど。こうしたイ
 ベントに参加し、顧客はさらに、着物の世界へと入り込んでいく。

(同上)


勝 :あーそうそう、そういうこと。「何がしたいか」っていうのは
   「どんなマーケティング活動がしたいか」ってことね。

真子:確かにこれ、面白いと思った。楽しそうなイベントだね。ね、
   これって着物の「使い方提案」だよね?

勝 :そうだな。それに「生産現場へのツアー」みたいな、マニアッ
   クなのもある。顧客の「マニア化」を促進してるんだな。

真子:どういうこと?

勝 :お客様が「マニア」になれば、着物により興味を持ってもらえ
   るし、買い替える気持ちにもなりやすくなるだろ?

恵利:あ、確かに「マニア」ほど高額商品買ったりしますよね。

勝 :そうなんだよね。それは「密着軸の3ステップ」ではどういう
   ことになる?

恵利:はい、「アドバイザー」としての役割を果たしています。

勝 :そういうこと。で、こういうことがしたい、だから、こういう
   情報が入ったデータベースが必要、と考える。

真子:あー、なるほどね。DMを送るには住所と名前が必要だし……

恵利:何を買ったかがわかれば、それに合ったイベントをご案内でき
   ますよね。

勝 :そうそう。そうやって考えて行く。

真子:わかった! だから、さっき勝さんは顧客データベースは「使
   いやすくまとめられた顧客情報」って言ったんだ!

勝 :へー、よく気づいたな。どういうことだ?

真子:結局「使える」ことが大事だから、「使いやすく」ってわざわ
   ざ言ってるんでしょ?

勝 :そうそう。顧客データベースは、あくまで「手段」だからさ。
   あくまで「やりたいことありき」

恵利:そう考えると、データベースってそれほど難しいものではない
   ように思えてきました!

勝 :うん。ただ、顧客データベースは、密着軸戦略においては極め
   て重要な存在だから、真剣に考える必要はあるね。



真子と恵利は「はい!」と元気よく答える。


ふと勝が時計を見ると、既に深夜になっている。

「うわあ、いつの間にかこんな時間だ!」 勝が叫ぶ。
「え……わあ! 気づかなかったよ……」 と、真子も続く。
「オレはいつまでやってもいいけど、君らはお風呂とか入るよな?」
「うん。お肌を磨いて来るから、楽しみにし、て、て、はーと♪」
「誰が」
「私はまだ続きが聞きたいんですが……」 恵利が真子を遮る。
「じゃあ真子は風呂入って来いよ。オレと恵利ちゃんでやってるよ」
「だ、ダメよ、そんなの! 何よ恵利、またアンタはねー……」
「真子には明日教えてあげるわよ」
「そ、そんなのずるい! わ、私だって聞きたいもん……」
「しょーがねーな……じゃあ、明日、朝ご飯から続けるか」
「うん、それがいいよ。勝さんも自分の仕事、したいでしょ?」
「ああ。やっと自分の作業ができるな……」
「あ、す、すみません……じゃあ勝さん、お先に失礼します」
「ほら、恵利、お風呂入りに行くよ。じゃあね、勝さん!」
「ああ、お疲れ」


勝は、ふう、と息を吐き出すと、白紙を取り出し、考えを巡らせては
書き出していく。階上で、若い女性2人の楽しそうな声が響く。

夜の高原のペンションは再び静けさに包まれ、勝が紙に書く、カサカ
サという音だけが響いていた。



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◆今日のまとめ
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●「密着軸の3ステップ」のステップ3は「個別ニーズを覚える」。
 顧客データベースを作って、個別ニーズを組織として覚えよう!


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▼今日の日記▲

数か月前に足首を捻って以来、ずっと足首に違和感を感じながら生活
したり、ジムで走ったりしていましたが、痛みがあまりに長びくので
遂にお医者さん(整形外科)に行ったところ……足首の靱帯損傷、と
のことでした……単なる捻挫だろう、と思って甘く見ていたのですが
思いの外、重傷でした(というか、自分で悪化させたんですけど)。

お医者さんには「もっと早く来てください」と、あきれたように言わ
れました(当たり前ですけどね)。

というわけで、突然、足首をサポーターやテーピングで固定した生活
になりました。特に生活に支障があるわけではないのですが、若干不
便ではあります。ここでしっかり治しておけば、また思いっきり運動
できると思って、しばらくは気を付けるようにします。

これが冬だったら、スキーが全然できなかったわけですから、不幸中
の幸いと思うことにしましょう。


明日からは、九州出張。九州でもBASiCSを広めるべく、頑張っ
てまいります。九州と一口に言っても広いわけですが、どこに行って
もラーメンはおいしいのが、九州の素晴らしいところ。そちらにもち
ょっと期待しています。行って来ます!



●今日のiPod Tune:夏を偲ぶ歌


いつの間にか、もう9月。まだ暑いとは言え、もう夏は終わり……

暑くて暑くて「早く終わって欲しい」と思っていた夏も、終わってみ
ると、寂しいものです……


というわけで、夏を偲びながら聞きたい曲特集!

今日の1曲は……


○SUMMER CANDLES by 杏里


1988年7月リリース。大ヒット、という感じではありませんでし
たが、名曲として歌い継がれていますね。90年代でも、カラオケで
歌われるのを結構聞いたように思います。

永遠の愛、を誓うような歌詞から、結婚式などでも歌われるようです
ね。こんなに熱い想いは、やはり夏だから、でしょうか。

暑かった夏の熱い想いを振り返りながら浸りたい曲♪



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