売れたま！戦略編Vol.457 2016/09/19 小顔メークのコガオウ：戦略の振り切り

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.457(累計1361) 2016/09/19
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　■■■■＿＿小顔メークのコガオウ：戦略の振り切り＿＿■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆　今日のポイント　◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「顧客」と「強み」を振り切って、打ち手の一貫性を取ろう！


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◆ウテナの「コガオウ」が人気！
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●１０代向け「小顔メーク」の「コガオウ」が人気！

前回まで「夏休み特別号」でした。この通常の「戦略編」は約一ヶ月
ぶり、ということになります。


化粧品メーカーのウテナの「コガオウ」というブランドが１０代に人
気。

その名の通り、「小顔」に振り切ったブランドです。


−−−−−−−−−−−＜　記事引用　＞−−−−−−−−−−−−

◇『中堅化粧品メーカー、ウテナ（東京・世田谷）の小顔メークブラ
　ンド「コガオウ」が１０代に受けている。３月の発売から現在まで
　の売り上げは当初計画よりも４割以上多いという』


◇『コガオウ誕生のきっかけは「小顔に見せる」ヘアアレンジやファ
　ッションの流行だ。雑誌やサイトで小顔メークの方法などが紹介さ
　れていたが、小顔メークに的を絞ったブランドはないことに着目。
　他社が使っていない素材を探して、立体的にメークできる素材をみ
　つけて商品化した』『同社は美容部員もおらず、販路はドラッグス
　トアが主だが、身軽な中堅だからこそ、大胆な施策に打って出た』


◇『名前も商品パッケージも使い方も分かりやすくないと売れない。
　用途を説明し、記憶に残る名前として「コガオウ」とした。パッケ
　ージにも「小顔」　を大きく表示。「一目で分かるようにした」
　（マーケティング統括部の安達舞氏）』


◇『販路も広げた。ウテナは商品の多くをドラッグストアで売ってい
　るが、コガオウはポップなデザインのパッケージが好評で見た目を
　重視するバラエティーショップのバイヤーが注目した』『駅近のド
　ラッグストアやバラエティーショップなど若い世代が足を運ぶ店で
　売れている』『店頭価格は税別１２００〜１５００円』


◇『当初は２０〜３０代を狙ったが、値ごろ感やメーク技術がなくて
　も立体感を出せるとして特に１０代の心をつかんだ。「のばすと肌
　が引き締まる感じ。すっぴん感が強くて自然な仕上がりになるのが
　いい」（１８歳の女性）と好評だ』


◇『１０代にさらに売り込むため、東京・原宿で小顔メークを施した
　姿を写真撮影するイベントを催し、「１０代は化粧品を使い始める
　年代。できるだけ早い時期に接点を持ちたい」（安達氏）。コガオ
　ウを突破口に、ウテナの顧客層を広げようとしている』


2016/08/19 日経ＭＪ　Ｐ．７

以下、記事からの引用部分は『』で括ります

−−−−−−−−−−−＜　記事引用　＞−−−−−−−−−−−−


「小顔メーク」について、ざっと調べてみたところ、顔に陰影をつけ
ること（シェーディングと呼ばれるようです）で、顔に立体感を出し
て「小顔に見せる」ということのようです。

「平面的」な部分に陰影をつけて「奥行き感」を出すために、全体と
して小顔に見えるようになる、ということでしょうか。

そこに「特化」したブランドが「コガオウ」ですね。



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◆「Ｃ：顧客」と「Ｓ：強み」を振り切った「コガオウ」
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●復習：戦略ＢＡＳｉＣＳ　マーケティング戦略を考える５つの要素

経営戦略・マーケティング戦略で考えるべきポイントは以下の５つ。

Ｂattlefield：戦場・競合　→自社商品の代替選択肢
Ａsset：独自資源　　　　　→強みを競合がマネできない理由
Ｓtrength：強み　　　　　→お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
i
Ｃustomer：顧客　　　　　→強みを重視する相思相愛になれる人
Ｓelling message：メッセージ→強みの伝え方

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●「Ｃ：顧客」＝１０代の顧客に振り切った「コガオウ」

ではここからは、コガオウの戦略を見ていきましょう。

まず、コガオウの「顧客ターゲット」は、１０代の女性です。１０代
と言っていますが、現実的には小学生などは入らないので、高校生以
上の「１６〜１９歳」でしょう。

「Ｃ：顧客」をこの「１６〜１９歳」に振り切っています。

面白いな、と思ったのは、実は最初から１０代に振り切ったわけでは
なかった、ということ。


記事中の

『当初は２０〜３０代を狙ったが、値ごろ感やメーク技術がなくても
　立体感を出せるとして特に１０代の心をつかんだ』

という部分です。

１０代に人気が出たので、素早く方向転換したわけですね。

これは別に悪いわけではなく、想定と狙っていた顧客層に人気が出た
場合、その理由が明らかであれば方向転換する手はあります。

最初から狙った顧客層にうまくいくとは限りません。

そして、今では１０代向けに原宿で「小顔メークイベント」などをす
るようになりました。「原宿」は、もちろん１０代の「聖地」です。

現在の顧客ターゲットは「１０代」に振り切っている、ということで
すね。



●「Ｓ：強み」＝「小顔」に振り切ったコガオウ

そして、「Ｓ：強み」は、最初から「小顔」に振り切っています。

記事中の

『小顔メークに的を絞ったブランドはないことに着目。他社が使って
　いない素材を探して、立体的にメークできる素材をみつけて商品化
　した』

というところですね。

この「小顔メーク」は「Ｂ：戦場・競合」がいなかったわけです。と
なると、「小顔に魅せたい人」にとって、選択肢は「コガオウ」しか
ない、ということになります。



●「Ｃ：顧客」か「Ｓ：強み」のどちらかは振り切ろう！

コガオウのキーワードは２つ。「１０代」と「小顔」です。

そして、それは実は、

「１０代」→「Ｃ：顧客」の振り切り

「小顔」　→「Ｓ：強み」の振り切り

と、「顧客」「強み」をそれぞれに振り切っているのです。


戦略は「振り切る」のがポイントです。

「顧客はシニア層……だけれども若い層も欲しくって、それだけじゃ
　なくて、中年層も少しは……」

というのは、振り切れていません。


今回の「コガオウ」は、

○Ｃ：顧客　１０代（現実的には１６〜１９歳）女性

○Ｓ：強み　小顔に魅せる

○Ｂ：戦場・競合　今のところなし

と振り切れています。


それにより、戦略が非常にシンプルに描写できます。

「１０代女性向けの唯一の小顔メークブランド」

と、一言で描写できるのですね。


「勝てる戦略は美しい」

というのが、私の経験則です。戦略がシンプルに描写できないようで
あれば、それはどこかに問題があります。

「振り切る」ことで、戦略がシンプルになり、打ち手に落ちやすくな
ります。


「Ｃ：顧客」「Ｓ：強み」の両方、少なくともどちらか片方は振り切
った方が良いです。


ちなみに、これから先の将来は「競合にマネされるかどうか」という
「Ａ：独自資源」次第になります。



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◆振り切ったからこそ取れた、打ち手の「一貫性」
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●４Ｐの一貫性

「１０代」「小顔」に振り切ったことで、打ち手の「一貫性」が明確
になります。

「コガオウ」の４Ｐ（売り物・売り方・売り場・売り値）について、
関連部分を記事から見てみましょう。


○売り物＝小顔に魅せるメーク

『他社が使っていない素材を探して、立体的にメークできる素材をみ
　つけて商品化した』

と、立体的にメークできるようにすることで、小顔に魅せられること
をウリにした商品です。


○売り方＝１０代に小顔メークをＰＲ

『原宿で小顔メーク』

と、「１０代」の聖地原宿で、「小顔」に絞った販促をしています。


○売り場＝１０代が来るドラッグストア・バラエティーショップ

『駅近のドラッグストアやバラエティーショップなど若い世代が足を
運ぶ店』

と、「１０代」の顧客が来る店舗に商品を置いています。


○売り値
『税別１２００〜１５００円』

と、１０代の顧客でも買いやすい値付けにしています。


全て「１０代」「小顔」というキーワードを軸に、一貫性が取られて
います

だからこそ、

『３月の発売から現在までの売り上げは当初計画よりも４割以上多い
という』

という成果を出しているのでしょう。



●成果を出す戦略：振り切る、やり切る、割り切る

成果を出せる戦略のポイントは、

１）振り切る
２）やり切る
３）割り切る

ことです。


「１０代」「小顔」と振り切ることで、打ち手（＝４Ｐ）に落ちやす
くなり、打ち手の一貫性が取りやすくなります。「ブレ」がないこと
が上の４Ｐからもわかります。


「振り切る」ことで、打ち手に落として「やり切る」ことができるよ
うになります。

そしてそのためには、「その他はいらない」と「割り切る」ことが必
要になります。


つまり、「やり切る」ためには「振り切る」ことが必要になり、その
ためには「割り切る」ことが必要なのです。


「コガオウ」は、「１０代」「小顔」に振り切ることで、打ち手とし
て「やり切る」ことができるようになったのだと思います。



●ウテナの「Ａ：独自資源」

最後に、なぜウテナが「振り切れたのか」、について触れておきたい
と思います。

ポイントの１つは、「身軽さ」でしょう。

記事によれば、

『同社は美容部員もおらず、販路はドラッグストアが主だが、身軽な
中堅だからこそ、大胆な施策に打って出た』

とのこと。

ちなみに、ウテナの社員数は１４０名＊。

＊ウテナ社ＨＰ　２０１６年９月時点
　http://www.utena.co.jp/company/outline/index.html

そして

『ウテナの１５年２月期の売上高は５７億円』（2016/01/25　日経産
業新聞　Ｐ．１８）。

この規模だからこそ、動きやすく、「振り切る」ことができたのかも
しれません（それに社風などももちろんあるでしょう）。

この「動きやすさ」がウテナの「Ａ：独自資源」なのであれば、大手
メーカーにはやりにくい戦略、ということになりますね。



「振り切る」ことの重要性がよくわかる、学ぶことの多い事例だった
と思います。


★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたは、戦略を「振り切る」ことができていますか？


ぜひお考えになってみてください！


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◆今日のまとめ
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●「顧客」と「強み」を振り切って、打ち手の一貫性を取ろう！


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▼今日の日記▲

今日は、敬老の日。３連休ですので、外出された方も多かったかもし
れませんね。

我が家も、久しぶりに両親（私の方）と食事。私の両親は元気に動け
ますので、外で食事しました。やっぱり、シニアの方とそのご家族と
いう組み合わせが目立っていたように思います。

飲食店では「敬老の日　シニアセット」ばかり……なのかと思いきや
むしろそういった掲示はあんまりなかったですね。

都心のターミナルに出かけていったのですが、３連休ですので激混み
かと思いきや、普通の混雑でした（もちろん空いてはいませんでした
が）。天候が下り坂になっていくと報道されていたのが影響したのか
もしれません。

帰って来たら、案の定、雨に。妻の実家にも電話をいれ、どちらの親
とも連絡を取れたので、良かったです。



●今日のiPod Tune：９月に似合う歌！　２０１６

さあ、ついに９月。まだ残暑は厳しいですが、確実に季節は移ろいつ
つあります。

９月に似合う歌、大特集！　今日の歌は……


○覚悟の秋 by 中森明菜


ご存じの方の方が少ないと思いますが、１９８３年の明菜さんの４枚
目のアルバム「ＮＥＷ　ＡＫＩＮＡ　エトランゼ」の最後を飾る曲。

この頃の明菜さんのアルバムはどれもすごく好きで、ＣＤ化された後
に、レンタルレコード屋さんで中古ＣＤを買いあさりました（お金が
なかったので）。今でももちろん持っています。

当時トップアイドルのアルバムだからか、このアルバムの作詞作曲陣
はものすごく豪華。この曲も谷村新司さんの手になります。

この曲、親子のことを歌ったかなり重い曲で、「アイドルの曲」とい
う感じではまったくありません。

敬老の日にあえて選んだ、親子の「想い」を伝える名曲♪



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