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2016年12月20日火曜日

売れたま!戦略編Vol.479 2016/12/19 Blendyを買った味の素:独自資源は誰のモノ?

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.479(累計1387) 2016/12/19
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 ■■_Blendyを買った味の素:独自資源は誰のモノ?_■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「独自資源」をきちんと自分のものにしよう!


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◆味の素がBlendyなどの商標を取得!
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●味の素が259億円かけて、Blendyなどの商標を取得!

味の素が、子会社のAGFが使っている商標「ブレンディ」などの商
標権を、商標を持っている会社から買いました。

その金額は259億円!!


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『味の素は、子会社の味の素ゼネラルフーヅ(AGF)が使用して
 いる家庭用コーヒーブランド「ブレンディ」などの商標権をオラン
 ダ企業から全て取得した。国内での商品開発を効率化するととも
 に、海外でのコーヒー事業を加速していくのが狙いだ。259億円
 という巨費を投じ、国内外で攻勢に打って出る』


◇『AGFはインスタントコーヒーなどで「ブレンディ」や「マキシ
 ム」などのブランドを使用している。ただ、これらの商標権はこれ
 までオランダに本社を置くコーヒー会社、ジェイコブズ・ダウ・エ
 グバーツ(JDE)のグループ会社が保有していた』


◇『AGFは商標の使用料であるライセンス料を毎年、JDEに支払
 う必要があった。さらに、ブレンディなどのブランドで新商品を出
 す場合には、その都度、JDEに許可を得なければならないという
 制約もかかっていた。調整に手間取ることもあり、関係者は「商品
 開発が長期化する要因にもなっていた」と打ち明ける』


◇『商標権の取得で、AGFはブレンディのブランドなどを活用した
 商品開発を活発化させる。マーケティングの自由度が増すことで、
 味の素グループのほかの食品や飲料と組み合わせた販促もしやすく
 なる。ブレンディの名称の缶コーヒーを売り出すことなども可能に
 なるという』


2016/11/04 日経MJ P.14

以下、記事からの引用部分は『』で括ります

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


味の素の営業利益*は910億円。それから比べれば259億円とい
う金額はムリな金額ではないかもしれません。

*2016年3月期 決算短信

それでも、259億円はやはり巨額です。その投資に意味がある、と
読んだのでしょう。



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◆「独自資源」を自分のものにした味の素
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●「独自資源」を自分のものにした味の素

今回の商標買い取りにあたり、当の味の素からはこのようなコメント
が出ています。同社のリリースです。


−−−−−−−−−−−< HP引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『2015年4月、当社は、米国モンデリーズ・インターナショナ
 ル(以下、「モンデリーズ社」)が50%保有するAGF社の全株
 式を270億円で取得し、同社を連結子会社としましたが、
 「Blendy」「MAXIM」等AGF社製品の商標は、当初モンデリーズ
 社、その後モンデリーズ社からコーヒー事業を譲り受けたJDE社
 が権利を所有し、AGF社はライセンスを受け使用していました。
 このたび、当社がそれらの商標等をJDE社から買い取ることで合
 意しました』


◇『今回の商標取得により、新たな製品展開、ブランドロゴ、他社へ
 のライセンス等に関する制約が無くなり、味の素グループにおいて
 自由なブランド戦略の展開が可能となります。また、商標ライセン
 スが終了するリスクも回避できます』


味の素 プレスリリース
www.ajinomoto.com/jp/presscenter/press/detail/2016_10_31.html

以下、記事からの引用部分は『』で括ります

−−−−−−−−−−−< HP引用 >−−−−−−−−−−−−


まず、AGF社を味の素の100%子会社としました。それまでは、
50%は他社(モンデリーズ社)のものだったわけです。

それでも、Blendyなどの商標は自社のものではなく、他社
(JED社)からのライセンスでした。

今回の商標取得で、はれて「全て自社のもの」となった、ということ
ですね。


味の素が、AGF社、Blendyなどの商標を「自社のもの」にし
ていこうとする意図がわかります。


その目的の1つは、最初の記事にあるように、

『マーケティングの自由度が増す』

ということでしょう。商品開発などにおいて、ライセンス元の許可を
得なくて良くなりますから色々な展開がやりやすくなります。



●自社のものではない「独自資源」は危うい

もう1つ、大きな意味があると思います。

上記リリースで見逃せない一文がこれです↓

『また、商標ライセンスが終了するリスクも回避できます』


さらっと書いてありますが、かなり大きい意味を持つ一文です。

味の素・AGFがBlendyなどの商標を失うと、すさまじい痛手
になる可能性があります。

Blendyの利用権が他社に行くと、せっかく自社で育ててきた商
品が、ほぼそのままとは言いませんが、その「認知」などが他社のも
のになってしまいます。


自社のBlendy関連商品の売上がほぼそのまま他社に行くような
ことになると、おそらくAGF史上最悪の危機となるでしょう。

商標をまごうことなく「自社のもの」とすることで、そのリスクを事
前に摘み取ったわけです。



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◆「自社のものではない独自資源」の危うさ
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●「自社のものではない独自資源」に依存する危うさ

Blendyという商品はある意味で自社の独自資源です。

が、厳密にいえば、必ずしも「自社の独自資源」とは言えませんでし
た。

と申しますのも、他社からのライセンスですので、そのライセンスを
切られたらそれで「自社のもの」ではなくなるからです。


そのような「自社のものではない独自資源」に依存するリスクが顕在
化した例が結構見られます。



●バーバリーを失った三陽商会

バーバリーを日本で育ててきたのは三陽商会と言われます。

が、2015年6月末にバーバリーとの契約が終了。

そのダメージは甚大。契約終了前の2014年と比べてみます*

        売上高(億円)  営業利益(億円)

2014    1110     102
2016予想   700     −68

*2015年決算短信
www.sanyo-shokai.co.jp/company/ir/pdf/27_73_renketu.pdf

*2016年第3四半期決算短信
www.sanyo-shokai.co.jp/company/ir/pdf/28_74_3gaikyo.pdf

となっています。

三陽商会も、色々な手は打ちましたが、やはり屋台骨であるバーバリ
ーを失うのは痛手だったわけです。


バーバリーを育てたのは三陽商会だったのかもしれませんが、それは
「自社の独自資源」ではなく、あくまでも「他社のもの」だったわけ
ですね。



●リッツ、オレオを失った山崎製パン

山崎製パンが、自らが育ててきたリッツやオレオを失ったというのも
今年のニュースです。

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『山崎製パンは12日、子会社のヤマザキ・ナビスコが「ナビス
 コ」ブランドを保有する米モンデリーズ・インターナショナルと
 結ぶライセンス契約を8月末で終了すると発表した。これによ
 り、同ブランドのビスケット菓子「オレオ」や「リッツ」など4
 ブランドの国内での製造・販売を打ち切る』
 

◇『1970年の提携から46年』『製造・販売を打ち切る4ブラン
 ドの日本での売上高は年間約150億円。1兆円企業の山崎製パン
 にとって大きな事業ではない。ただ、営業利益ではヤマザキ・ナビ
 スコが全社の1割強を稼ぎ、「今期と来期の利益を押し下げる影響
 は無視できない」(SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリス
 ト)との見方もある』


2016/02/13 日本経済新聞 朝刊 P.11

以下、記事からの引用部分は『』で括ります

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

このニュースは、消費者に根付いている商品だけに結構ネットなどで
話題になったように思います。

先日、リッツを手に取ったらもう山崎ではありませんでした。

46年続いた関係でも、なくなるときはあっけないものですね。



●クロムハーツを失ったUA

このような例は結構あるものです。

人気アクセサリーブランド、クロムハーツを育てたのはユナイテッド
アローズ(以降UA)と言われます。

が、UAはそのライセンスを失います。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『12月上旬、東京・銀座の米アクセサリーブランド「クロムハー
 ツ」の店舗は、若いカップルや外国人客でにぎわっていた。都内在
 住の男性(40)は10年来のファン。「いつの時代も使えそうな
 デザインがいい」。この男性が初めてクロムハーツを買ったのはユ
 ナイテッドアローズだったという』


◇『同社はこれまで、国内でクロムハーツをほぼ独占的に販売してき
 た。「知る人ぞ知る」というレベルのブランドだった1992年か
 ら取り扱いを開始。07年3月期に30億円だった売り上げは16
 年3月期には114億円に成長した。まさにセレクトショップの
 「目利き力」の象徴とも言えるが、今年9月にはライセンス契約が
 失効。ユナイテッドアローズは事業を引き継ぐためにつくった新会
 社の全ての株式を24年末までに米国側に譲渡することになった』


2016/12/11 日経MJ P.1

以下、記事からの引用部分は『』で括ります

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

ライセンス契約の失効により、114億円の売上を失うことになった
のは、やはり痛手でしょうね。



●「社員」ですら「自社のもの」とは限らない

ライセンス契約だけではありません。

「自社の社員」ですら、必ずしも「自社のもの」とは言えません。

お客様が「社員」についているような場合、その社員を失うと、お客
様も失ってしまうことがあります。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『109系ブランド、セシルマクビーを運営するジャパンイマジネ
 ーション(東京・渋谷)は「モデルよりも販売員が(SNSなど
 の)写真で着ている商品の方が売れることもある」と話す』


◇『とはいえ、カリスマ育成にはリスクもある。今年、大手セレクト
 ショップのカリスマが退職した。フォロワー数は10万超。そのま
 まごっそり消費者がいなくなるわけではないが、「痛手になるのは
 間違いない」(同業幹部)』


2016/12/16 日経MJ P.1

以下、記事からの引用部分は『』で括ります

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


優秀な営業スタッフが転職したら、お客様もそちらについていってし
まう、というようなことはあり得ますよね。


「自社の独自資源は人材だ!」と言っても、その「人材」にやめられ
てしまったら、「独自資源」を失ってしまうわけです。



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◆「独自資源」を自社のものにしよう!
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●「独自資源」を自社のものにしよう!

こう見てくると、味の素の投じた259億円は、ここまでを見越して
のことなのかもしれません。

Blendyなどの商標を「自社のもの」にすることで、独自資源を
「自社のもの」にしたわけです。


要は、「独自資源」を本当の意味で「自社のもの」「自分のもの」に
することが必要なのです。


最後の例の「社員」の場合は、例えばお客様の「名刺」の管理を自社
の営業スタッフ任せにしていると、営業スタッフがやめるとその名刺
ごと失ってしまう、というようなことがあり得ます。

ですので、きちんと「顧客管理」をすることで、「顧客リスト」を
「自社のもの」にすることができます。


ライセンス契約の場合は、ライセンスを失うリスクは常につきまとい
ます。

そのような場合は、1つの商標・ブランドの依存度を上げると危険が
高まります。三陽商会も、バーバリーへの依存度が高かった(とされ
ている)から問題だったわけです。

「一本足打法」ではなく、3本程度の柱があれば1つを失っても「何
とかなる」くらいにはなるかと思います。


「独自資源」によって「自分のもの」にするやり方は色々あると思い
ます。

重要なのは、「独自資源」が本当に自分のものなのかをチェックした
上で、自分のものにするべく、手を打っていく、ということです。


「独自資源」は「自分のもの」となってこそ「独自資源」なのです。



★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたの「独自資源」は、本当にあなたのものですか?


ぜひお考えになってみてください!


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◆今日のまとめ
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●「独自資源」をきちんと自分のものにしよう!


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▼今日の日記▲

もうすっかり年末。挨拶回りの季節でしょうか?? オフィス街では
数名の方々が外出しているのを多く見るようになった気がします。

私も、やることはたくさんありますが、お客様のところに伺って何か
をする、というようなお仕事はかなり少なくなってきました。


さて、今日は私のオフィス近くの会社さんを初訪問。

駅をはさんで反対側にある会社です。使っている駅とは言え、いつも
はほとんど行かない場所ですので、色々と新鮮でした。

「こんなお店があったんだー、今度行ってみよう」と思うような店も
ありました。

いつもの駅でも、少し足を伸ばしてみるだけで、発見があるものです
ね。また今度、歩いてみようかな??



●今日のiPod Tune:クリスマスに聴きたい曲! 2016

さあ、ついに12月! いつの間にか年末!

売れたま!の風物詩、クリスマスソング特集!


もう週末はクリスマス! この特集ももう残りわずかとなりました。

今日の曲は……


○クリスマス・イブ by 山下達郎


言わずと知れた、日本を代表するクリスマスソング。イントロを聴い
ただけで、誰もが「あ、あの曲」とわかる曲の1つ。

曲が良いのはもちろんですが、色々なところに様々な仕掛けがある曲
ですよね。だからこそ聴いていても飽きないのだと思います。

色々な意味で、奥が深い名曲です。


雪のクリスマスに聴きたい曲♪



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 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
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◆次号予告:ロレアル「ノーシャンプー」
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●話題になりつつある「ノーシャンプー」。これだけ聞くと「シャン
 プーをしない?」となってしまうので、どうしたかというと……?


▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!

▼彼氏・彼女・家族との、知的な話題づくりに!

▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!


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