■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.077 2010/02/01
購読者:21,317 (まぐまぐ:15,561 メルマ!:674 めろんぱん:5,082)
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■■■_新春特別号:ボロが教える戦略BASiCS 8_■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●「答え」はお客様が持っている! お客様に聞いてみよう!
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◆新春特別講義 ボロが教える戦略BASiCS 〜 白ネコ 外伝
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「白いネコは何をくれた?」のメンター、白いネコのボロが教える、
戦略BASiCSの奥義。
希代の戦略家、ボロが教えるBASiCS実戦講座!
白いネコは何をくれた 「あれから3ヶ月後」
です。
今回は連載8回目、もはや「新春特別号」とは言えませんが……
●これまでのあらすじ
広告代理店、サンデー広告社は、大口取引先の化粧品会社を失うとい
うピンチを、営業担当(当時)の日向実直(ひなたさねなお)、制作
担当(当時)の鳥野智子(とりのともこ)、高見理香(たかみりか)
の活躍で何とか乗り越えた。
そのときのメンターが、言葉を話す白いネコ、「ボロ」。
(この活躍は、拙著「白いネコは何をくれた」でどうぞ)。
その活躍により、日向実直は初代戦略プランナー、鳥野智子は初代ク
リエイティブプランナーに就任。高見理香はアートディレクターに昇
進。3人で仕事を進めるようになった。
同時に、危機を乗り越えて共鳴しあった実直と智子は恋人同士として
その仲を深めていった。
実直は、あらたなクライアント、サンライズビルからの発注を得た。
サンデー広告が入居する超高層オフィスビルだ。その営業戦略と営業
ツールを見直して欲しい、という。
早速、実直と智子は戦略BASiCSで営業戦略を考えて行くことに
した。クライアントはオフィスビルなので、その顧客であるテナント
は法人。BtoCである化粧品と違い、BtoBの営業戦略の戦略提
案には戸惑いを感じた。
実直と智子は深夜まで会社の会議室で2人は議論を重ねるが、行き詰
まり、いつしか深い眠りへと落ちると、いつの間にか白いネコ、ボロ
が目の前に現れ、教えを授けると、消えてしまった。ボロの教えは、
やはりBASiCS。
それをヒントに、クライアントのサンライズビルにとっては顧客とな
る自分の会社の三出社長に、オフィスビルのニーズをヒアリング。つ
いに切り口が見えた!
その切り口に基づき、他のテナントさんにもヒアリングをついに開始
した……
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◆「3つの魔法の質問」のヒアリング、開始!
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実直、智子、理香のサンデー広告社代表と、クライアントであるサン
ライズビルの担当者は手分けして、ヒアリングしていった。
サンライズビルの担当者には、BASiCSを説明し、ヒアリング内
容はそれに基づいた質問であることを入念に打ち合わせし、同意して
もらった。
ヒアリングした会社は数十社に及んだが、なるべく実直もしくは智子
のどちらかは同席するようにした。
質問内容は、以下のBASiCSの内容を基本的におさえつつも、雑
談があればそれもメモしていった。
●質問1 B:競合
・前にどんなビルにいたのか、どこから引っ越してきたのか
・サンライズビル以外にどんな候補があったのか
●質問2 S:強み
・前にいたビルからサンライズビルに引っ越してきた理由は何か
・サンライズ以外の候補ではなく、サンライズに決めた理由は何か
●質問3 C:顧客
・サンライズビルに入っているのは、本社か、営業部などの部署か、
「使い方」は何か
・意思決定者は誰だったのか、社長か
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◆実直のヒアリング:コールセンター
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いざヒアリングを開始してみると、思っていたとおり、様々な発見が
あった。
例えば、インタビューは次のように進んだ。この会社は、あるサービ
ス業の会社、A社だ。A社の総務部長に、サンライズビルの担当者と
実直が一緒にヒアリングに行ったときのこと……
実直は自己紹介をし、ヒアリングの目的を話すとインタビューを開始
した。
実直:早速ですが、ここは御社の本社ではありませんよね?
A社:ええ、そうです。ここはコールセンターとして使っています。
実直:コールセンターと言うと……お客様からのお電話を受付する部
門、ということでよろしいでしょうか?
A社:まあそんな感じです。結構多くの電話回線をひきましたよ。サ
ンライズビルさんにもその節はお世話になりまして……
サン:いえいえ、お役にたてて何よりです。
実直は、ここから質問1 競合の質問を開始する。
実直:では質問させてください。コールセンターは移転されてきたん
ですか、それとも新設ですか?
A社:拡大、ですね。以前のオフィスが手狭になったので……
実直:なるほど。その際に、他に検討された場所はありますか?
A社:都内ではここだけですね。色々な設備がしっかりしてましたの
で……
実直:都内では、とおっしゃいますと……
A社:あ、そのとき、沖縄に移すかどうかも検討していたんですよ。
実直:え? お、沖縄ですか!?
A社:ええ……ご存じないと思いますが、沖縄はコールセンターの誘
致に積極的なんですよ。それで当社も……
実直:そ、そうなんですか……
A社:そうですよ。今でもコールセンターが沖縄にある会社、結構あ
りますよ。
実直は、ヒアリングシートに
競合:沖縄のビル
と書き込み、ヒアリングを続けた。
競合を確認したので、実直はヒアリングシートの「強み」の質問へと
移っていく。
実直:で、では、なぜその沖縄ではなく、サンライズビルに……
A社:やっぱり、コールセンターも東京にあったほうが便利だ、とい
う経営判断をトップが下しました。
実直:それはなぜですか?
A社:まず、近い方が色々と指示が出しやすい、ということです。す
ぐに見に行ったり、直接話せたりしますから。
実直:な、なるほど。
A社:それと、人材ですね。あ、沖縄がいい悪いということではなく
て、当社のお客様は都心に住んでいる方が多いので……
実直:えっと……コールセンターのオペレーターさんも都心に住んで
いる方が、お客様の事情がわかりやすい、と……
A社:そういうことです。あ、人材ということで言えば、サンライズ
ビルは池袋ですよね?
実直:え、ええ……
A社:当たり前だろ、って顔してますね、ははは。
実直:い、いえ……
A社:それって結構大事な要素なんですよ。埼京線、西武池袋線、東
武東上線などが乗り入れるターミナルですから……
実直:便利ですよね。
A社:まあそういうことなんですけど、女性社員が採用しやすいんで
すよ。
実直:そうなんですか?
A社:ええ、当社のオペレーターの主力は30代女性ですが、足下の
豊島区、練馬区、それに埼玉県から来てくれるんです。
サン:な、なるほど! そうか……女性が採用しやすいんだ……
実直:それで、埼京線、西武池袋線、東武東上線……私も西武線です
けど、確かに女性の多い住宅地が背後に控えてますね……
A社:そうなんですよ。その意味では、六本木などの山手線の内側よ
りは、ここの方がいいんですよ。
実直:あ……比較対象は沖縄のビルと同時に、六本木のビルでもある
ってことですか?
A社:一応検討はしましたよ。六本木とは限りませんが、そういった
ところにあるビルも。
実直は、競合の欄に「六本木のビル」と書き加えた。新たな競合が見
つかったということだ。
実直:では、その六本木のビルと比べて、サンライズビルにいらした
理由を伺ってもいいですか?
この質問の仕方は、実直はBASiCSの要諦を完全に抑えた、とい
うことを表している。つまり、
「強みは競合によって変わる。従って、強みを聞く場合は、競合を明
らかにしてから聞かなければいけない」
ということだ。だからいちいち「六本木のビルと比べて」と断りを入
れているわけだ。BASiCSの理解度は、このような何気ないとこ
ろに現れる。
A社:一つは、さっき言った人材の理由ですね。住宅地の人はむしろ
池袋の方が来やすい……
実直:はい。
A社:人材で続けると、あと、ショッピングセンターとかスーパーが
あるので、色々な意味で便利ですよね。
実直:なるほど……女性従業員にとってもありがたいですよね。
A社:あとは、地盤ですかね。
実直:はい? 地盤、って、地面に……?
サン:確かに、当ビルの地盤はしっかりしていますが……それは、他
のビルと比べてもまず負けませんが、それが……?
A社:相当詳細な資料をサンライズビルさんからいただきましたよね
サン:そういえばそんな記憶が……
A社:コールセンターには、相当大規模なITシステムを入れるんで
すよ。結構な投資なので……
サン:あ……耐震性ですね!
A社:そうなんですよ。地震でやられたら、社員もそうですが、シス
テム投資も大きいですから……
実直:なるほど……コールセンターは大規模IT投資だからがゆえに
耐震性のしっかりした場所を選ぶ、と……
A社:このビル、地盤も、ビル自体の耐震設計もしっかりしてます。
当社のコールセンターはミッションクリティカルなんです。
実直:ミッションインポッシブル?
A社:それは映画、ははは。ミッションクリティカルって、システム
止めたらシャレにならない、ってことなんですけど。
実直:す、すみません……
A社:ビルはともかく、地盤は変えられないですからね。
実直:!! そ、そうですよね! 確かに地盤は変えられません……
瞬間、実直は「地盤」はサンライズビルの「Asset」だと認識し
た。この近くにある大型ビルはサンライズビルだけであり、地盤は他
のビルはどうやってもマネできない。
「強み」である「耐震性」は、「地盤」というマネできない「独自資
源」に依って立っている、という関係だ。
しかし、この「独自資源」は、実直がいるサンデー広告社が気にした
とはあまり思えない。「絶対的な存在」と考えていた「独自資源」さ
え、顧客によって変わるのか……
A社:そのポイントは、結構大きかったんですよ。あとは、もちろん
価格ですね。予算はある程度決まってるので……
実直:サンライズビルをお選びになった理由は、大体そんな感じです
か?
A社:そうですね。
これで「競合」と「強み」の質問が終わり、実直は「顧客」へと質問
を移した。
実直:このビルに移る、という決定を下したのは、どなたですか?
A社:社内で、「コールセンター拡大プロジェクトチーム」を立ち上
げたんですよ。
実直:なるほど、引っ越しではなく、コールセンターの拡大が先にあ
ったわけですもんね。
A社:そのチームには私も入ってましたよ。総務代表で。それで色々
なことを議論して、社長に上申しました。
実直:最終決定者は社長ですか?
A社:正確には取締役会だと思いますが、実質社長でしたね。
実直:なるほど……
実直が時計の針をみると、既に1時間を回っていた。ヒアリングシー
トをざっと見て、聞きモレが無いことを確認すると、実直たちは丁重
にお礼を言ってA社を退出した。
サンライズビルの担当者も、非常に感心した様子だった。
サン:いやあ日向さん、面白かったですね! 私たちも全然気付きま
せんでしたよ、こんなこと!
実直:ええ、まさか沖縄のビルが競合になっていたなんて……
サン:既存テナントさんと話すことがこれほど勉強になるとは思いま
せんでした。日向さん、さすがですね!
実直:い、いえ……迷ったら顧客に戻れ、というのが私の師匠の教え
でして……
サン:なるほど……その師匠の方、きっとすごい方なんですね……
実直:え、ええ……まあ……
実直は戻ると、この内容をすぐ智子や理香と共有し、ヒアリングの仕
方などを話し合った。変な先入観をもたず、とにかくお客様の言葉を
多く引き出した方がよい、という結論に達した。
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◆智子のヒアリング:営業支社
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数日後、次は智子の番だ。智子とサンライズビルの担当者が、メーカ
ーの「営業支社」としてサンライズビルに入居しているB社にヒアリ
ングすることになっていた。
智子たちはB社に自己紹介などを行い、早速ヒアリングを始める。
智子:このオフィスは、城北地区営業支社、ということですよね?
B社:はい、そうです。カンバンに書いてある通りになります。
智子:「城北地区」とは、具体的にどのあたりを指すんですか?
B社:東京北部の豊島区、練馬区、このあたりと、埼玉の川口、大宮
あたりまでをカバーしています。
智子:なるほど……ではヒアリングさせてください。
智子は、ヒアリングシートをの、質問1 B:競合についての質問か
ら開始した。
智子:前はどんなビルにいらしたんですか?
B社:池袋駅近くのオフィスビルですね。ここから歩いてすぐのとこ
ろですよ。いわゆる雑居ビルみたいな感じのところです。
智子:そちらからサンライズにお引っ越しになる際に、他にご検討さ
れたビルはありますか?
B社:いえ、特にありません。城北地区では、サンライズビルが一番
名の通ったビルですからね。
競合を確認すると、早速智子は質問2:「強み」の質問を始める。
智子:では、その池袋駅近くのビルからこちらにお引っ越しになった
理由は何ですか?
B社:いくつかありましたが、車での交通の便がいい、というところ
ですね。
智子:そうなんですか? 駅近くの方が便利なのではありませんか?
違和感があったら、それは素直に質問としてぶつけてみるのがポイン
トだ。それによって、さらに深い情報が出てくることもある。
B社:電車で動く場合はそうですけど、当社の営業は車ですから、高
速の入り口がすぐ近くにあると便利なんです。
サン:なるほど……首都高の東池袋出入り口が、ビルの真横にありま
すからね。
B社:ええ。すぐ埼玉にも出られるんですよ。そうなると、埼玉に営
業所を持つ必要もなくなりますし。
智子:なるほど! 埼玉営業所の分のコストメリットもあったわけで
すね! それなら、サンライズビルの方が家賃が高くても……
B社:そうですね、まあモトが取れる、ってことですかね。鳥野さん
は車で池袋の駅周辺を動くことあります?
智子:いえ、あまり……
B社:あのあたり、日中はすごく混雑するので、結構時間のロスにも
なるんですよ。それよりその分営業してほしいですからね。
智子:な、なるほど……営業の生産性も上がるわけですね……
サン:あと、地下の駐車場をご契約いただいていますよね。結構な台
数で……
B社:あ、それを言い忘れてました。前のビルでは、駐車場が離れた
ところにあったので、不便だったんですよ。
サン:なるほど……ここだとまとめて駐車場がありますし、雨に濡れ
ませんよね。
智子:それはやはり、ここが営業拠点だから、ですか? 車での営業
をされることが多い……
B社:そうですね。それに、お客様をお呼びするときに便利、という
のはありますね。
智子:とおっしゃいますと?
B社:よくお客様を呼んでプレゼンをしたりしますが、そういうとき
ですね。車寄せなんかもしっかりしていますし。
智子:なるほど……車寄せ、ですか……
智子は、思いも寄らなかった言葉が次々に出てくることに驚きながら
も、必死でメモを取っていった。
サン:御社は当ビルの貸し会議室をかなりご利用いただいていますが
それも、そういった理由ですか?
智子はそう言えばサンライズビルには、自分では使ったことは無かっ
たが、1フロアまとめて貸し会議室となっているフロアがあることを
思い出した。
B社:あ、そうですね。隣のサンライズシティに、イベントホールが
ありますよね
サンライズビルとつながった形で、ビルの横にはショッピングセンタ
ーやイベントホールがある「サンライズシティ」が存在する。
サン:はい。イベントホールが中にあるオフィスビルってそうありま
せんよね。
B社:そうなんですよ。で、当社もよくそこでお客様向けの展示会な
んかをするんですが、そのときに貸し会議室を使います。
智子:そこで商談されるわけですね。
B社:商談とか、具体的な説明会なんかをします。
智子:社内には会議室はないんですか?
B社:少しはありますが、ここの高い家賃を会議室にするのはもった
いないんですよ。
サン:高いかどうかはともかく(笑)、とおっしゃいますと?
B社:だって、会議室が必要なときって限られますよね。だったら、
固定費じゃなくて、変動費にしたほうがいいじゃないですか。
智子は顔には出さなかったが、驚いていた。そういう発想が自分には
全く無かったからだ。貸し会議室は、都度の費用だから変動費。だっ
たら、会議室は使うときだけ、お金を払ってでも借りた方がいい。
言われてみれば当たり前だが、自分では出てこない発想だった。やは
り、答えは「お客様」のところにしか無いのだ……実直が狙っていた
のはこれだったのか……
隣では、サンライズビルの担当者が必死になってメモを取っていた。
自分たちの営業方法として、このお客様の声は直接使える。
智子:先ほどのサンライズシティのイベントホールですが、これも、
サンライズビルに引っ越す理由の1つですか?
B社:いえ、それはむしろこっちに引っ越してからわかりました。結
構色々なイベントが開かれてるんですね。
智子:ということは、事前にそれをお伝えすれば……
B社:もちろん魅力的なアピールポイントになったと思いますよ。私
どもにとっては幸運でしたね。
サン:な、なるほど……ついでと言っては何ですが、貸し会議室の使
い勝手はどうですか?? 何かご要望があれば……
B社:えっと特には……あ、そうだ、無線LANなんかを入れていた
だくとありがたいですね。会議室を使う人には無料で……
サン:なるほど……はい、次の改善のときのポイントにあげさせてい
ただきます。
智子:すみません、基本的な話で恐縮ですが、貸し会議室って有料で
すよね?
サン:ええ、有料ですが、テナントさんには半額でお貸ししてます。
サンデー広告さんはあまりお使いいただいてませんが(笑)
B社:結構便利ですよ。カフェなんかもありますから、お茶も出せま
すしね。
智子:ふふふ、便利そうですので私どもも使わせていただきますね。
サン:ええ、ぜひ。
智子:まとめますと、サンライズに引っ越された理由は、車での移動
や車寄せ、イベントホール、貸し会議室、ですが、他には?
B社:そんなものですかね……
智子:最初に、名の通ったビル、とおっしゃいましたが、それは重要
でしたか?
B社:あ、まあありがたいと言えばそうですが、それだけのためには
引っ越さないですよね。
智子:ちなみに価格的には、安くはなってないですよね?
B社:ええ、もちろん(笑)。サンライズさんがいる前では言いにく
いですが、前のビルよりは結構高いですよ。
サン:それは申し訳ありません(笑)
智子:それは、先ほどの埼玉営業支社を兼ねるとか、営業生産性など
のメリットが上回る、という判断ですよね?
B社:さすがですね、おっしゃるとおりです。
これで「競合」と「強み」の質問が終わり、智子は「顧客」へと質問
を移した。
智子:このビルでは、営業支社以外の業務ってされてらっしゃいます
か?
B社:いえ、してません。営業専門です。
智子:このビルに移る、という決定を下したのは、どなたですか?
B社:えっと、そのあたりの経緯はあまりよく知りませんが、前の営
業支社長がここに移りたい、と社長に直談判したようです……
智子:なるほど……最終的には社長判断ですね……社員の方はご満足
されてますよね?
B社:ええ、飲食店が多く入っているので、飲み会もしやすいですし
便利に使ってるみたいですよ。
智子:なるほど、レストランですね。昼はいつも混んでますけどね、
ふふふ。
B社:ええ、でも夜はお客様もお連れできますし、会議のあとそのま
ま接待にも使えますから。
智子:あ……それも大きいメリットですか? 接待に使える……
B社:あ、そういえばそうですね。会議室のあと、そのまま濡れずに
行けるので便利ですね。
智子:飲食店はもっぱら接待ですか?
B社:いえ、支社長と営業担当との飲みニケーションにも役だってま
す。同じ屋根の下ですから会社にも戻りやすいですしね。
智子:なるほど……本日はありがとうございました!
智子が厚くお礼を言って部屋を出ると、やはり時間は1時間を大幅に
超えていた。
サンライズビルの担当者は、実直のときと同様、興奮した面持ちで智
子に話しかけてきた。
サン:鳥野さん、面白かったですね! 日向さんとのときもそうでし
たが、これは本当に聞いてみなければわからないことばかり。
鳥野:ええ、そうでしたね。営業所だと車寄せとか、高速の出入り口
に貸し会議室……聞いてみれば当たり前なんですが……
サン:いや、これは聞かないとわからないですよ。実は、社内でも、
貸し会議室で1フロア使うことは議論になってたんですが……
鳥野:もったいない、ということですか?
サン:そうなんですよ。つぶしてしまえという声もあるはあるのです
が、それも考えものですね……
鳥野:今のお話を伺った限りでは、大きい強みの1つになりそうです
ね、やり方次第では。
サン:ええ。会議室を変動費化する、というのは私にとっても、目か
らウロコの発想でした。
鳥野:やはりヒアリングをしてみてよかったですね。
サン:ええ、本当にそう思います。お客様によってこんなに違うとは
思いませんでしたよ。
鳥野:日向のときは、テナントさんがコールセンターでしたから、耐
震設備、今回は営業支社さんなので、駐車場に車寄せ……
サン:鳥野さんたちがやりたかったことがわかってきましたよ。今後
も楽しみです!
智子は、戻ると興奮気味に実直や理香とこの内容を共有した。想像以
上の収穫に、実直も驚いた。
やはり、「答えはお客様が持っている」のだ、と再認識した。
さらに、BASiCSに基づき、仮説を立ててヒアリングをすること
により、これほど充実したヒアリングになるとは……顧客ニーズを探
るとは、こういうことなのか……
<次号に続く>
えっと……終わりには近づいているはずなのですが……私にも、あと
何号で終わるか、はっきりわかりません……(笑)。
もう少しだけ続きますので、お楽しみくださいね! 多分あと2号く
らいだと思います。
これ、きちんと書くと戦略BASiCS BtoB編として、1冊の
本に出来そうですね。BtoBの本はいずれきっちり書くことにして
います。
ぜひご感想をお待ちしています!
さて……お気づきかもしれませんが、この「外伝」にはモデルがあり
ます。そうです……拙著「経営戦略立案シナリオ」のZビルの事例で
す。
●「経営戦略立案シナリオ」 佐藤義典 著 かんき出版
経営戦略のガイドブック:経営者は必読!
http://www.sandt.co.jp/scenario.htm
本には結果だけを載せていますが、実際には私が悩み苦しみながら、
考えていきました。
もちろんボロはいませんでしたし、彼女とこんなに楽しそうに打ち合
わせしながら進めたわけでもありませんが、考え方のプロセスは割と
リアルにシミュレーションしています。
経営戦略立案シナリオのケースの背景にある考えるプロセスとしても
この「外伝」はお楽しみいただけます。お持ちの方、今一度経営戦略
立案シナリオを読み返してみてください。
サエナイ主人公、日向実直と、アイスドール 鳥野智子、アイアンレ
ディー 高見理香の3人が織りなす珠玉のラブロマンス……ではなく
て人生戦略物語!
「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm
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▼今日の日記▲
先週は1週間、おなかを壊していまして、ポカリスウェットだけで生
きていたようなものですがようやく復調してきました。普通のモノが
食べられるようになりました。とりあえず人間は3,4日はポカリス
ウェットだけで生きられるという人体実験終了です(良い子の皆さん
は絶対マネしないでくださいね)。
とにかく、胃袋が小さくなりました。妻がパスタを作ってくれたので
すが、50g(乾麺)で十分! 前は、乾麺300gだったのに、で
すよ!? (前が食べ過ぎ、とかそういうのはおいといて)。食べな
と、胃袋、小さくなるんですね〜。さすがにこの量だとそのうち栄養
失調にでもなりそうなので、胃袋は大きくなっていくでしょうが、し
ばらくは小さいままの方が良さそうですね。
で……これも妻が作ってくれたトリュフのおいしかったこと!! 生
きてて良かった、とまでは言いませんが、食べられる幸せ、というの
をあらためて感じました。
次は……ラーメンかな、やっぱり(笑) 人間は己の好きなモノで滅
ぶ、とよく言われますが、私の場合はラーメンとコーヒー?
●今日のiPod Tune:ココロあたたまるポップスソング!
今日から2月ということもあり、新シリーズ!
もうすぐ立春とはいえ、まだまだ寒いです。気候が寒くても、お財布
の中が寒くても、ココロの中さえあたたかければ幸せ!
ということで、ココロあたたまるポップスソング特集! 和洋問わず
ココロあたたまる曲(例によって独断と偏見で)をとりあげていきま
す!
最初の曲は……
ひだまりの詩 by ル・クプル
1997年の大ヒット曲。Le Coupleの名の通り、夫婦のお二人の曲
です(HPによると離婚されたようですが……)
ピアノを中心にしたシンプルなアレンジが、素朴な歌詞にぴったりで
す。まさに「ひだまり」にいるかのように温かくなれる曲です。
このような曲は将来にずっと歌い継がれていってほしいですね。
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品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
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ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
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----------------< マーケティングの思考法 >----------------
●最新刊 「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
日本能率協会マネジメントセンター
右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm
-----------------< 超わかりやすい入門書 >-----------------
●「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm
●「ドリルを売るには穴を売れ」 佐藤義典著 青春出版社
マーケティング入門:読みやすい小説
http://www.sandt.co.jp/drill.htm
●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
http://www.sandt.co.jp/kotowaza.htm
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◆次号予告:新春特別号 その9
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●この長編小説も、そろそろ終了……か?? (笑) もう少し続き
ます。お楽しみに!
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!
▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!
▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!
売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……
〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
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