■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.074 2010/01/21
購読者:21,247 (まぐまぐ:15,527 メルマ!:671 めろんぱん:5,049)
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■■■_新春特別号:ボロが教える戦略BASiCS 5_■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●会社のニーズは、部署によって違う。BtoBのセグメンテーショ
ンは細かく考えよう!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
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◆新春特別講義 ボロが教える戦略BASiCS 〜 白ネコ 外伝
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「白いネコは何をくれた?」のメンター、白いネコのボロが教える、
戦略BASiCSの奥義。
希代の戦略家、ボロが教えるBASiCS実戦講座!
白いネコは何をくれた 「あれから3ヶ月後」
です。
今回は連載5回目!
●これまでのあらすじ
広告代理店、サンデー広告社は、大口取引先の化粧品会社を失うとい
うピンチを、営業担当(当時)の日向実直(ひなたさねなお)、制作
担当(当時)の鳥野智子(とりのともこ)、高見理香(たかみりか)
の活躍で何とか乗り越えた。
そのときのメンターが、言葉を話す白いネコ、「ボロ」。
(この活躍は、拙著「白いネコは何をくれた」でどうぞ)。
その活躍により、日向実直は初代戦略プランナー、鳥野智子は初代ク
リエイティブプランナーに就任。高見理香はアートディレクターに昇
進。3人で仕事を進めるようになった。
同時に、危機を乗り越えて共鳴しあった実直と智子は恋人同士として
その仲を深めていった。
実直は、あらたなクライアント、サンライズビルからの発注を得た。
サンデー広告が入居する超高層オフィスビルだ。その営業戦略と営業
ツールを見直して欲しい、という。
早速、実直と智子は戦略BASiCSで営業戦略を考えて行くことに
した。クライアントはオフィスビルなので、その顧客であるテナント
は法人。BtoCである化粧品と違い、BtoBの営業戦略の戦略提
案には戸惑いを感じた。
実直と智子は深夜まで会社の会議室で2人は議論を重ねるが、行き詰
まり、いつしか深い眠りへと落ちると、いつの間にか白いネコ、ボロ
が目の前に現れ、教えを授けると、消えてしまった。
ボロの教えは、やはりBASiCS。それを使って、既存テナントの
ヒアリングをすることになったが、その前に、自社自身が既存テナン
トでもあるので、なぜサンライズに入居したのか、自社の社長、三出
にヒアリングすることにした。
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◆わからなかったら聞いてみよう!
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朝早く出社してきた、サンデー広告の社長、三出(さんで)をつかま
え、挨拶もそこそこに、実直と智子は社長室で、サンライズビルに引
っ越してきた理由を尋ねた。
三出:なるほどな……サンライズビルさんにとって、うちは顧客だか
ら、その顧客ニーズを知りたい、と……
実直:はい。意思決定者は社長ですよね? このビルに移る、ってい
うときは?
三出:うむ、そうだな。総務部長にも色々調べてはもらったが、最終
的に決めたのは私だ。大きな決断だからな。
実直:サンライズビルに来る前には、どんなところにいたんですか?
三出:君らが入社する少し前の話だが、いわゆる雑居ビルみたいなと
ころにいたよ。
智子:それで、何で引っ越してきたんですか?
三出:そりゃ、手狭になったからだよ。人員を拡張しようと考えてい
たしな。まあそれで君たちを採用したわけだが。
実直:なるほど、きっかけは、拡張ですね。人員の採用をするから…
そのあたりの発想は僕には浮かばなかったですね……
智子:でも、同じビルの別フロアを追加で借りることもできましたよ
ね? 何でわざわざサンライズビルに……
三出:変な話だが、会社の「格」を上げたかったというのかな……
実直:「格」ですか?
三出:ああ、会社を拡張するわけだから、その分「格」も上げておき
たかったんだよ。
智子:確かに、いいビルに入っている方が「格」が高そうです。
三出:お客様をお呼びするときに、このビルにお招きすると、第一印
象が違うよな。信頼感があるな。
実直:なるほど! 確かに……貸会議室も充実してるから、ゴージャ
スな感じですよね。
三出:ギガ広告と違って、うちみたいな中小企業だと、見た目を整え
ることは大事なことはわかるよな。
実直:は、はい……そういえば、「あのサンライズビルに入ってるん
ですか」ってよく言われます。
智子:な、なに、なおくん、じゃあ、わかってたんじゃない……
実直:う、うん……ごめん、今気付いたけど、確かに初めてのお客様
には、紹介はラクだよ。
三出:このビルに入るには、もちろん審査があるから、変な会社は入
れない。だから、それなりの信頼にはつながる。
智子:そうだったのね……社長のニーズは、会社にとってどういう好
影響があるか、っていう……考えてみれば当たり前だわ。
三出:ああ、君たちだって、サンライズビルに入っている会社にいる
という方が、友達に紹介するときにいいだろ?
智子:はい……夜景がキレイっていうと、友達は羨ましがりますよ。
三出:だろ? そうなると、君たちのような優秀な人材を引き留めら
れる。君たちの言葉では、人材がうちの「独自資源」だからな
実直:そ、そうか……僕らに気になるのは、働きやすいかどうかだけ
ど、それは、社長にとっては……
智子:うん! 独自資源であるところの人材への投資、とも言えるわ
三出:広告代理店みたいに、人材が競争力に直結する会社は、みんな
そうじゃないのかな。
実直:確かに、外資系の広告代理店はみんな一流のビルに入ってます
よね……恵比寿とか、広尾とかの……
三出:いい人材はそれなりの職場環境を求めるからな。
智子:それが社長の視点なのね……
実直:それって、やっぱりうちの会社が中小企業だからですか? 人
材の引き留めに苦労する……
三出:ははは、そうはっきり言ってくれるなよ。君らは他にこのビル
のメリットって感じないか?
実直:僕は、営業に行くのに便利でいいですよ。池袋はターミナル駅
ですから、電車もいっぱいありますし。
三出:だろ? 社長としては君らが営業にたくさん出てくれないと困
るからな。
実直:は、はい……なんかやぶ蛇ですね、ははは。
智子:ということは、社長、それでモトが取れるってことですか?
このビルに入って家賃上がりましたよね?
三出:そういうことだ。家賃だけ見れば3〜4割くらいは高いが、そ
れで信頼感が上がったり、人材が定着するなら、安いものだ。
実直:安いって言うのは、本当に安いんですか?
三出:君らに言うのも何だが、人材の採用、育成っていうのはものす
ごいお金がかかるんだ。辞められると、それが全部パアだ。
実直:そ、そうなんですね……
三出:ははは、だからやめないでくれよ。
智子:そ、そんな……
三出:私は社長だから、トータルで考えるよ。家賃が上がっても、そ
れで、新しい人材を雇うコストより安ければそれでいい。
実直:なるほど!! それが社長の視点なんだ!! 家賃が高い安い
じゃなくて、それが他のコストと比べてどうなるか……
智子:そうか……トータルのコストを管理してるんだもんね。人件費
と家賃は別の費用じゃないんですよね。
三出:そりゃそうだろ。結局は会社にとっての費用という意味では同
じだからな。
実直:さ、さすが社長……
三出:まあ私も社長としてはまだまだだがな……お役に立てたかな?
智子:はい! ありがとうございました!
三出:うん、このプレゼンも頑張ってくれよ。例のBASiCSで行
くんだろ? 君たちの必殺技で……
実直:はい!!
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◆「社長」にBASiCSを教えよう
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三出:ちょうどいい、私にもBASiCSを教えてくれないか? あ
の天下のギガ広告も打ち破った、テクニックを……
実直:テクニックじゃありません。「思想」です。アタマの使い方、
と言うか、ある意味の信念というか……
智子:私もそう思います。単なるテクニックではギガ広告には勝てな
かったと思います。遥かに深い「思想」です。
三出:ははは、君たちはすっかり心酔しているんだな。それは失礼し
た。それで、どうなるんだ?
智子:まず、BASiCSのBは戦場・競合、ですね。
三出:サンライズビルの競合ということだよな。あまり考えなかった
が、強いて言えば、丸の内の超高級ビルも見積もりはとったが
実直:それはダメだったんですか?
三出:さすがに高すぎるからなあ、家賃が2倍以上になる。信頼感を
上げる、という意味ではこのビルで十分だよ。
智子:その場合の競合は、むしろ前にいた雑居ビル、ということにな
りますね。居続けるか、引っ越すか、という選択ですよね。
三出:お、なるほど。ビルの契約は、確かに更新し続けるかどうか、
だから、そのたびに競合と比較しているといことだな。
実直:はい。前のビルではダメだと判断したから、引っ越したんです
よね。競合は「お客様の選択肢の集合」ですから。
三出:なるほどな。契約更新するか、引っ越すか、という選択肢の間
の競合関係というわけか。
智子:そうです。お客様が何と比べるか、というのが競合です。
三出:そうだな。オフィスビルの需要は無から生まれるわけではない
からな。引っ越しだから、まあ買い替え需要だわな。
智子:はい、買い替え需要ですね。引っ越しですから、引っ越すモト
つまりは買い替えるモトがあるわけですから。
実直:確かに、車の買い替えと同じような感じですね!
智子:正確に言えば車のリース契約と同じような感じよね。
実直:そう考えると、ビルの「買い替え市場」と戦場を捉えた方がい
いかもしれないね。
智子:うん、そうすると、「引っ越してくるモト」と、「引っ越して
くる先」という競合関係が明確になるね。
実直:で、サンライズビルに引っ越した理由がサンライズの「強み・
差別化」、BASiCSの最初のSになります。
三出:なるほどな。そのために引っ越してくるわけだからな。すると
その強みを求めてくる会社が「顧客ターゲット」ということか
智子:そうですね。
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◆BtoBのセグメンテーションは「会社」じゃない!
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三出:じゃあ顧客ターゲット、BASiCSのCは、我が社のような
中小企業だな? 信頼感という強みを求めて来るから……
智子:オフィスビルにそれなりのステータスというか信頼感を求めて
いる、というニーズについてはそうですね。
実直:実は、そこで悩んでいるんです。サンライズビルに入っている
のが中小企業ばかりならそうなりますが……
三出:確かに、外資系の会社もあれば、超大手企業もいるよな……
実直:会社を分類する、いわゆる顧客セグメンテーションをやろうと
したんですが、うまい切り口が無くって……
三出:通常なら業種業態とか企業規模だろうが……
実直:私もそう思ったんですが、あまりにバラバラで……
智子:はい、サンライズビルの既存テナントリストはいただいたので
すが……
智子は、三出にサンライズビルに入居しているテナントの一覧表を三
出に見せた。
三出:なるほど……そうか、このクレジットセーゾン社は、サンライ
ズが本社だよな……あとは……
実直:本社、本社……あ!! そうか、大手企業さんも入っているけ
ど、本社じゃないんですね。
三出:あ、この飲料メーカーさんは営業支社だな。営業も兼ねて挨拶
に伺ったことあるよ。何の親展もなかったがな、ははは。
実直:広告の営業なら本社に行かないとキツイですよね、やっぱり。
支社ではちょっと……
三出:まあそう言うなよ、ははは。
智子:本社……支社……本社……支社……そうか……そうなんだわ!
智子が珍しく声をはりあげると、三出と実直はびくっと智子を見た。
実直:と、ともちゃん?
智子:私たち、それを見ていなかったのよ! 本社と支社じゃニーズ
が違うはずだわ!
実直:ど、どういうこと?
智子:だって、本社ならいいビルに入っていた方が信頼感はあるけど
支社にもそんなニーズはあるの?
実直:な、なるほど……
三出:確かにそうだな……営業支社だったら、営業に行きやすい方が
重要だろうな。大手企業ならそれだけで信頼感はあるからな。
実直:そうか……そうだ!! 営業支社なら、営業しやすさがニーズ
だ! それなんだ!
三出:なるほどな。私はここに車で通勤しているが、地下にはよくそ
の会社の営業車が止まっているよ。
智子:やっぱり……
三出:サンライズの隣に高速のランプがあるだろ? あれは便利なん
だよ、車で来るには……営業にはうってつけだ。
実直:え!? そ、そうか……その発想はありませんでした……
智子:そうか……営業支社という「顧客」は、営業しやすさという
「強み」を重視する……当たり前だわ……
実直:ホントだ……なんで気付かなかったんだろう……
三出:このビルに入っているのは営業支社だけではないかもしれない
よな。そうなると、またニーズが違うだろうな。
実直:そうですよね……会社名だけ見てたんじゃダメなんだ……部署
まで考えないと、ニーズが違うから……
智子:そうだわ……部署によって重視する「強み」が違うはずよ。中
堅企業の本社なら信頼感、大手の営業支社なら営業しやすさ…
三出:なるほどな、そういう考え方をするわけだな、BASiCSで
の「顧客」と「強み」の関係は。
実直:なんか見えた気がするよ!
智子:じゃあBASiCSの最後のS、メッセージですが……
三出:どう言えば買うか、だよな。営業支社なら、「営業しやすい」
って営業すればいいってことか。私にもわかってきたぞ。
実直:そうです! そうなんですよ、社長!! それですよ!
実直が机をバンと叩いて、いきなり立ち上がった。ギガ広告にプレゼ
ンしたときの、あの力強い目。実直は、確信を得ていた。
智子は、うなずきながら、実直を温かい眼差しで見つめていた。
<次号に続く>
さて、実直が得た気づきは……ここまでお読みのあなたなら、もうわ
かりましたよね?
この「外伝」のモデルは、拙著「経営戦略立案シナリオ」のZビルの
事例です。
●「経営戦略立案シナリオ」 佐藤義典 著 かんき出版
経営戦略のガイドブック:経営者は必読!
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本には結果だけを載せていますが、私も実際には実直のように、悩み
苦しみながら、考えていきました。
もちろんボロはいませんでしたし、彼女とこんなに楽しそうに打ち合
わせしながら進めたわけでもありませんが、考え方のプロセスは割と
リアルにシミュレーションしています。
経営戦略立案シナリオのケースの背景にある考えるプロセスとしても
この「外伝」はお楽しみいただけます。お持ちの方、今一度経営戦略
立案シナリオを読み返してみてください。
●「経営戦略立案シナリオ」 佐藤義典 著 かんき出版
経営戦略のガイドブック:経営者は必読!
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サエナイ主人公、日向実直と、アイスドール 鳥野智子、アイアンレ
ディー 高見理香の3人が織りなす珠玉のラブロマンス……ではなく
て人生戦略物語!
「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
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▼今日の日記▲
今日は某超有名メーカーの工場見学。マーケティング講義の受講生さ
んの取り計らいでご招待を受けました。色々なお話もあったので、書
けることについては、また色々とお話していきたいと思います。
その帰りに寄った宮崎地鶏のお店がおいしかったですね〜。特に、親
子丼が絶品で、卵の味が、コクがあるというか濃いというか、半熟の
とろけ加減も絶品。宮崎地鶏を食べたのは初めてだと思いますが、堪
能させていただきました。
●今日のiPod Tune:アイドルたちのバラードソング
「アイドルはもうやんないの?」というお声を各所からいただいたの
で(そういえば洋楽ばっかりでした)、久々にアイドル特集を!
ということで、アイドルのバラードソング特集!
今日の曲は……
愛・おぼえていますか by 飯島真理
1984年、あの伝説の映画、「超時空要塞マクロス 愛・おぼえて
いますか」の主題歌。映画のタイトルとなっているほど、映画に深く
関わっている曲です。
アニメの主題歌としてだけでなく、そのクオリティの高さは、世間一
般の人々の支持を受けた曲ですね。今聴いても、いい曲だなあと思い
ますね。
飯島真理さんをアイドルと呼ぶかどうかはともかく、映画の中でこの
曲を歌ったリン・ミンメイは、まぎれもないアイドル。どちらにして
も珠玉のバラードソングです。
イントロを聴いた瞬間に、「あ、これは良い曲だ!」とわかる曲です
ね。この曲・おぼえていますか?
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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
●無断転載は禁じますが企画や会議のネタにぜひどうぞ。全文転送な
ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
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●このシリーズ、まだ続きます。次回は、いよいよ核心に……顧客に
聞くべき、3つの魔法の質問とは??
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