■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.177 2011/02/28
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■■■__弱みで売れ!2:東金市のフラフープ大会__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●歴史を探して「弱み」を洗いだそう! その弱みを強みに「転化」
しよう!
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●新シリーズ「弱みで売れ!」 2回目!
新シリーズ、とぶちあげておきながらしばらくご無沙汰していた
「弱みで売れ!」
今回がシリーズ第2回目です。
強みで売るのは当たり前! 開き直って、「弱みで売ろう!」 逆転
発想のマーケティングです。
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◆フラフープバトル
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●千葉県東金市が仕掛ける「フラフープバトル」
東金市が、「フラフープ」を仕掛けています。街興しの1つだと思い
ますが、なぜ東金市が……という由来がユニークです。
-----------------------< 記事要約 >-----------------------
○フラフープブームの1958年から半世紀あまり。姿を消したフラ
フープが今、再び脚光を浴びている。千葉県東金市で対戦型ゲーム
「EGフープバトル」へと進化。四角いコート内で、相手とフープ
をぶつけ合い、落とさなかった方が勝ち。EGは東金(イースト・
ゴールド)のもじり。
○EGフープバトル選手権」第1回大会が、昨年11月23日、東金
市の商工会議所前広場で開催。参加者と観客合わせて約300人が
集まった。事業収入は数万円だが、大人は仲間、子供は親が一緒の
場合が多く、集客はそこそこあったといえる。昼食代なども地元に
落ちる。市産業振興課の川畑正希主任主事は「将来的には予選会も
含めて前泊する形にまで大会を大きくしたい」と意気込む。
○53年前、フラフープブーム終息のきっかけをつくったのが、東金
市。58年11月22日、当時の東金市立東金小学校が全国に先駆
け「フラフープ禁止令」を出した。腸捻転になるなどの噂が広まっ
ていたため(今では医学的根拠はないと証明されている)。同小学
校の禁止令は瞬く間に全国に広がり、フラフープブームは終息。
○この事実は、地元企業の若手経営者の会「東金市産業振興研究会」
が地域経済活性化のヒントを探すため、郷土の歴史を掘り起こして
いた際に明らかになった。この「負の歴史」を逆手にとり、活性化
策に生かそうと若手の面々は考えた。
○飯田幸雄副会長は「禁止令はフラフープの撲滅宣言に等しかった。
だから謝罪と鎮魂が必要」と強調。大会に先立ち、「フープ塚」の
開眼供養と除幕式を執り行った。建立場所は、くしくも廃校となっ
た東金市立東金小学校の跡地にある中央公園という凝りようだ。
○大会は市や商工会議所、観光協会なども全面協力。地域を挙げての
普及作戦が始まった。志賀直温市長は「イベントを通じて交流人口
を増やし、地元経済活性化の基点にしたい」と鼻息は荒い。
2011/01/07, 日経MJ(流通新聞) P16
-----------------------< 記事要約 >-----------------------
フラフープがはやったという1958年は私にはまだ産まれていませ
んので、リアルタイムでの感触はわかりません……が、凄かった、と
は聞いています。
昔の「ブーム」というのは、本当に「みんな」がやるんですよね。そ
れで、一気に終焉するわけです。ダッコちゃん人形なんかもそうだっ
たみたいです。
で、そのブーム終焉のきっかけが「東金市」の「フラフープ禁止令」
だったわけで……
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◆復習:弱みで売れ!
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●弱みは強み、強みは弱み
拙著「白いネコは何をくれた」の名文句(?)が「強みは弱み、弱み
は強み」です。
一見「弱み」に分類されるものでも、やり方次第で「強み」に転化す
ることはできます。
「弱みで売る!」とは、このように一見弱みと分類されることを、強
みとして、ウリにしてしまおう、ということです。
●事実を強みとして「解釈」しよう!
そもそも、そんなに強みばっかりの会社・人はいません。
強み弱み分析のようなことをして、「うわ、うちは弱みばっかりだ」
と「諦めモード」に入ってしまったら最悪です。
そうではなく、
「事実を羅列し、これをどう強みとして使うか」
と考えるんです。
これがしたたかで軽やかな経営者・マーケターの態度だと思います。
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◆「弱み」をウリにした東金のフラフープ大会
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●フラフープブームを終焉させた「因縁の地」
東金市は、フラフープから見れば、ブーム終了のきっかけを作った
「遺恨の地」であり、「憎き敵」かもしれません。
それを逆手にとって、「因縁の地から始まる次代のフラフープ」を仕
掛けているわけですね。
良くも悪くも、東金小学校はフラフープゆかりの地であり、次のフラ
フープブームを仕掛けるための話題材料になるわけです。
●フラフープ禁止令を出した「東金小学校」跡地に「フープ塚」を
フラフープ禁止令を出した当の東金小学校は、既に廃校となり、公園
になっているようです。
それも利用して、その「因縁の地」である東金小学校の「跡地」に、
「フープ塚」を作った、というのは、ユーモアに富んでいるというか
面白いですよね。
●弱みを強みにすると「意外性」が出る
このように、「弱み」を「強み」に転化すると、「意外性」がありま
す。もともとみんなが「弱み」だと思っていたわけですから、開き直
って、それを「ウリ」にすると、「へえ」「なるほどぉ」という声が
上がるんですよね。
つまり……ニュースバリューが出るんですよ!
すると、メディアなどに載りやすくなります。
実際、東金 フラフープ、とGoogleで検索すると、このニュースが多
く出てきますから、PR効果もあったのでしょうね。
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◆開き直る「したたかさ」を持とう!
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●弱みを強みに転化するには、「開き直り」が必要
何だかんだ言っても、「弱み」は「強み」ではなく、やはり「弱み」
なのかもしれません。
でも、仮にそうだとしても、「それはそれでしょうがない」と良い意
味での「開き直り」が必要です。
誤解を恐れずに言えば、「弱みを楽しむ」ような姿勢というか、良い
意味での「したたかさ」が必要ですね。
●「開き直って」謝罪と鎮魂を!
面白いな、と思ったのは、フラフープに対して犯した「罪」に対して
「謝罪と鎮魂」をしよう、という部分ですよね。
フラフープブーム終焉のキッカケを作った「罪」に対して謝罪するこ
と自体をイベントとしてしまい、「フープ塚の開眼供養と除幕式を執
り行った」なんて面白いですよね。
こういう「負の歴史」を、開き直って、「これを積極的に使おう!」
という姿勢がいいですよね。
「歴史」としての「事実」は変えられません。
しかし、事実の「解釈」は変えられます。
歴史のねつ造、ではありませんよ。事実は事実として認めて、その事
実をどう「受け止める」のかは変えられる、と言っているんですよ。
「フラフープブーム終焉のきっかけを作った地」ということは認めて
それをどう「活用するか」と考えよう、ということですね。
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◆「強み」は「歴史」の中にある!
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●「歴史」を洗いだそう!
この東金小学校のフラフープ禁止令の話が出てきたきっかけは……
「東金市産業振興研究会が地域経済活性化のヒントを探すため、郷土
の歴史を掘り起こしていた際に明らかになった」
とのことです。つまり……
「歴史を洗いだしていたときにわかった事実」
なんです。
地域活性化などで極めて重要なのが「歴史の洗い出し」です。
というのは、多くの場合、その地域の「歴史」は、その地域の「独自
資源」になるからです。
単純な話、「フラフープ禁止令を最初に出した学校」という「歴史」
は、東金市に「しか」ないわけですね。
その、「ここにしか無いもの」が、文化・歴史などを含めて、独自資
源になることが多いです。
地域に根付いた会社や、伝統のある会社などは、歴史を洗い出してみ
ると、色々なことが見つかると思いますよ。
●歴史を「物語」にしよう!
そして、その「歴史」を「ドラマ化」「物語化」しましょう。
別に、歴史を誇張しよう、ということではありませんよ。「歴史」は
そもそも人が織りなしてきた「ドラマ」なんです。
歴史の教科書はちょっと味気ないです。私が好きな三国志の壮大なド
ラマも、世界史の教科書では、1ページも使われていませんでした。
教科書的には、史実として「後漢末期〜三国時代に魏呉蜀の3国が覇
を競った」というと無味乾燥な事実です。しかし、そこには、曹操、
劉備、孫権などの各武将のドラマもあるわけですよね。
歴史を洗い出して、それを「ドラマ」にすれば、人を惹きつけること
ができます。
自社の、もしくはその地域の歴史は、自社、あるいはその地域にしか
無い独自資源です。それをうまく活用すればいいんです。
●歴史の「弱み」を「強み」に転化しよう!
歴史をさかのぼっても、いいことばかりでは無いかもしれません。失
敗の歴史ばかりかもしれません(私の自分史だってそうですよ。輝か
しいのはごくわずかだけです)。
「それはそれでしょうがない」と開き直って、それを何とか「強み」
と解釈して、物語にすればいいんです。
悲劇の歴史があるのであれば、悲劇のドラマにするか、開き直って笑
い飛ばすか(東金はこちらに近いですね)、どちらでもいいです。
失敗ばかりの歴史だったら、「失敗から学ぼう」という経験談にすれ
ばいいんですよね。
「あるものは使おう」
という、したたかな態度で、歴史を洗い出してみましょう。
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◆SWOT分析は、戦略立案には適さない
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●SWOT分析の罪
この項に関しては、毎回同じことを申し上げます。極めて重要な主張
ですので、繰り返したいんです。その主張は……
「SWOT分析*は戦略立案には適さない」
です。
*SWOT分析
Strength(強み)
Weakness(弱み)
Opportunity(機会)
Threat(脅威)
の4つで戦略を考えようという手法
●「強み」を他の戦略要素と切り離してはいけない
まず、「強み」と言っても少なくとも2つ考慮すべき点があります。
1)「誰と比べて」という競合の問題
2)「誰にとって」という顧客の問題
です。
マクドナルドの強みは? というと、「速い」という答えがよく返っ
てきます。
でもそれって本当ですか?
仮に、「競合」を「吉野家」とすると、吉野家よりは速く無いですよ
ね?
また、顧客が「急いでいる」顧客なら強みになりますが、ゆっくりし
たい顧客なら、「速い」と、せかされているようで、むしろ「弱み」
になりますよね?
つまり、「競合」や「顧客」を考えずに、強み「だけ」を独立して考
えては、誤った結論を導きだしてしまう可能性があります。
ですから、
競合×顧客の組み合わせ
それぞれについて、SWOT分析が必要になります。このことは、
SWOT分析を教える人や本にもまず書いていません。
つまり
・競合
・顧客
・強み
を切り離して考えてはいけないんですよ。
競合が決まらなければ、強みがわかりません。顧客が決まらなければ
競合が決まりません。
戦略は、要は 「競合×顧客×強みの組み合わせ」、です。
どうすればいいかというと……もうおわかりですよね。
そう、BASiCSを使えばいいんですよ! 全ての要素を一体的に
考えられるのがBASiCSの「強み」ですから。
●「弱み」ばかりだとやる気をなくす
さらに害があるのが、「弱み」という分類です。
SWOT*分析で、東金市の歴史を切ったら、きっと「フラフープブ
ーム終焉のキッカケを作った」ことは「弱み」に分類されますよね?
それを「強みとして活用しよう!」という発想になりませんよね?
SWOT分析をして、「弱み」がたくさん出たら……「諦めモード」
になるのではないですか?
SWOT分析は色々と害の多いフレームワークですので私は決して勧
めません。売れたま!でもSWOT分析の害は色々と取り上げてきま
した。
その「数ある害」のうちでも「致命的な害」がこれです。「どうせウ
チは弱みばっかりだしさ……」と思ってしまうんです。
この「やる気を削ぐ害」は、SWOT分析の致命的な害です。
だったら「弱みに分類しないで全部強みに分類すればいいじゃん」と
思われるかもしれませんよね。そうなんですよ。だったら最初から、
強み弱みなんて分類する必要がないんですよ。
●SWOT分析は、戦略立案には適さない
SWOT分析を全否定しているわけではなく、「戦略立案には適さな
い」と言っているんです。
戦略を考えた後に(競合や顧客が定義されたあとに)、それを実行す
るにあたって、SWOT分析をするのは良いと思います。
戦略が決まらなければ、競合や顧客が決まりません。決まらなければ
あることが強みなのか弱みなのか、そもそも分類できません。
多くの本では、SWOT分析は「戦略立案ツール」として紹介されて
いると思いますが、それが論理矛盾を抱えていることは、これでおわ
かりですよね。
しかし、戦略が決まれば、あること(例えば提供スピードが速いこ
と)が強みか弱みか、明確に分類できます。
SWOT分析を使う場合には、戦略を決めた「後」に使うようにしま
しょう。
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◆今日のまとめ
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●自社の歴史を洗いだそう! その歴史は「弱み」ばかりだったとし
ても、それを「強み」として使えないか、考えてみよう!
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▼今日の日記▲
いつの間にか2月も終わり、これで1年の1/6が終了! 年初の目
標や戦略指標の1/6は達成できてますか??
私の方は、1〜2月はなぜか毎年激務でで、とにかく1つ1つを一生
懸命確実にコンプリートしていくのがミッションでした。何とか、ク
リアできたようです。
3月からは少し余裕があるので、また新しいことを色々とやっていき
ます。書かないといけない本もいっぱいあって……(それも有り難い
話なんですけどね)。
週末は、久々にディベートの出身サークルの打ち合わせに出席。色々
と高所からの(悪く言うと大上段の)アドバイスをしてきました。
売れたま!式理論、特にBASiCSなんかは、ディベート的な発想
にその根幹を置いているんですよ。マーケティング(自分の経験+
MBA理論)+戦略(趣味)+ディベート(20年やってます)が融
合できたからこそ、戦略BASiCSが完成できたわけですね。ディ
ベートは私の貴重な独自資源であり、その恩返しも込めて、なるべく
ディベートには協力してあげたいな、と思っています。
●今日のiPod Tune:冬のポップソング特集!
2月も終わりに近づき、ようやく暖かい日がチラホラと訪れてくれる
ようになりましたね。
今日は2月終わりにしては寒い陽気で、雪というか、みぞれというか
が降ってましたね。
でも、もう明日から3月! 冬の曲特集は、これで最後!
最後の1曲は……
○サーフ天国、スキー天国 by 松任谷由実
1980年のアルバム、SURF&SNOWの収録曲です。
シングルカットはされていないと思いますが、んこの曲を有名にした
のは……もちろん1987年の映画、「私をスキーに連れてって」で
すね。
この映画がキッカケともなり、その後空前のスキーバブルが到来。私
も車でよくスキーに行きました。当時は時間に結構融通が利いたのと
若かったこともあり、週末ともなるとスキーに行ってましたね。
で、ホント車の中でもスキー場でもかかるのがこの曲、このアルバム
なんですよね……リフト待ち1時間は当たり前という、スキー全盛期
を象徴するのがこの曲。
たまにはこの曲をかけてスキー場へ「中央フリーウェイ」をドライブ
なんていいですね♪
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