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2010年10月15日金曜日

売れたま!Vol.390 2010/10/14 満月の夜にロゼワイン:タイムリーな用途提案

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.390 2010/10/14
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 ■■_ 満月の夜にロゼワイン:タイムリーな用途提案 _■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●Timelyな用途提案を販促のネタに使おう!


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◆今日のトレーニング:満月の夜にロゼワイン
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●イオンが、満月の夜にロゼワインを提案

いやあ、4ヶ月ぶりのノーマル編です。最近購読し始めていただいた
方は、「戦略編」がスタンダードだと思われているでしょうが(実際
戦略上そうしているんですが)、もともとの売れたま!のスタイルは
このバージョンなんです。


今回のネタは、「これはいい!」と思ったので、久しぶりの、「トレ
ーニング編」です。

-----------------------< 記事要約 >-----------------------

○イオンは毎月の満月に合わせて、ロゼワインを重点販売。9月は、
 22日の「中秋の名月」に合わせて全国のジャスコなど約1200
 店で大量陳列。価格は1000円前後で値ごろ感を出した。10月
 以降も満月に合わせてチリ産などを投入。


○イオンによると「満月の夜にロゼワインをかざして飲むと願い事が
 かなう」といった話がインターネットなどで広がっているという。
 伸び悩むワイン市場の活性化に今回の販促策を生かしたい考え。


○店頭では「満月ロゼ、しよう。」というキャッチコピーのPOPを
 掲示したり、テレビCMを流したりしてアピール。一部店舗ではワ
 インに合う料理を紹介するとともに、氷入りで飲むなどの新しい飲
 み方も提案する。


2010/09/20, 日経MJ(流通新聞), 8ページ

-----------------------< 記事要約 >-----------------------

満月の夜にロゼワイン、なんて、すごく美しい用途提案ですよね。ロ
ゼワイン、飲みたくなりそうです。


そーれ・しちりあーのでもやりたいくらいです(笑)。そーれ・しち
りあーのは「イタリアン」ですので、スプマンテ(イタリアの発泡ワ
イン)ですっごくいいと思います。


イオンのキャンペーンサイトはこちらです↓

http://www.aeonretail.jp/campaign/fullmoonrose/index.html


「満月ロゼ」ってGoogleで検索すると、結構出てくるんですよ。一番
上に来るのは、このイオンですけどね(笑)。

http://ow.ly/2TtgZ

ですから、案外メジャーな言い伝えなのかもしれません。

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◆MBA的に言うと?:Timelyな用途提案
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●用途提案のカギは、人×TPO

マーケティングの王道は「用途提案」。「こんなことすれば楽しいで
すよね? 嬉しいですよね?」という提案をしてあげることです。

その際の切り口は「人×TPO」です。


・どんな人に(Target)
・どんなTPO(Time、Place、Occasion)を

提案するか、です。

そこまで具体化しないと売れないからです。

●3T: Target × TPO × Trend

ただ、人×TPOでは不十分なこともあります。

特に小売店ビジネスのような業態だと「にぎわい」「新鮮さ」が必要
ですよね。

そこにもう1つ加えるといいのが、

・Trend/Timeliness

です。

Trendは長期的なものですので、今回のような「満月」のような
季節要因はもっと短期的なTimelinessです。

Timelinessとは、夏の暑いときには冷たいモノ売ろうよ、
などの季節感というか、時間の移ろいを捉えた提案、ということです
ね。


これで3Tになります。

・人(Target)
・TPO
・Timeliness


ですね。


考える順番は、基本的には

Target→TPO→Timeliness

です。

Target→TPOは、意外に論理的に決まります。顧客ターゲッ
トは、BASiCSなどの戦略で決まりますよね。


人が決まれば、TPOは自動的に(論理的に)決まります。その人の
消費現場・利用場面を見ればいいわけです。

問題は、Timelinessですね。

これは、論理的に導かれるとは限りません。

ある意味「ネタ作り」「アイディア発想」のような要因が多分にあり
ます。

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◆お客様心理:「買う理由」が欲しい!
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●お客様は「提案してくれないとわからない」

「満月の夜にロゼワインをかざして飲むと願い事がかなう」

なんて、面白い「都市伝説」(と言っていいのかわかりませんが)で
すよね。

「バカらしい」とか思われるかもしれませんが、それを言っちゃあ…
ってやつです。もしそうなら、バレンタインのチョコレートだって、
年越しそばだって、キットカットの「キッと勝つ」だって、初詣だっ
てクリスマスだって千歳飴だって「バカらしい」ということになりま
す。いや、別に「バカらしい」と思っても構いませんが、それだと
「売れない」ってことですね。

お客様だって、楽しみたいんですよ。騒ぎたいんですよ。ただ、そん
なネタを自分で考えるのは面倒なので、売り手から提案してあげる必
要があります。


多分、年越しソバだって、気の利いたソバ屋さんが「長生きできる」
みたいな提案から始まったんじゃないですかね? 年越しソバの由来
は定かではないようですが、私はそのように思ってます。「年末にソ
バを食べると長寿になる!」という提案に対し、誰も「医学的根拠は
どこにあるんだよ!」と突っ込まないですよね?


「ロゼワインを満月にかざして飲む」なんていう言い伝え?は、まさ
に渡りに船。イオンはそれをうまく捉えたと思います。

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◆あなたのビジネスへの応用:タイムリーなネタを作ろう!
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●実戦のポイント:Timelinessは触媒をうまく使おう!

提案の探せば必ずあるものです。無かったら作ればいいんです。

バレンタインのチョコレートだって、モトはそうですからね。バレン
タインにチョコレート送るのは日本の習慣ですから。

Timelinessの用途提案はいくらでもできます。

Timelinessの典型的なものが祝祭日です。

・正月・大晦日
・クリスマス
・父の日・母の日・敬老の日
・バレンタインデー

などなど、ですね。

1年中あります。

また、日本のものである必要はありません。


イタリアの「聖人の日」は毎日あるそうですから(バレンタインデー
もそのうちの1つ)、そういうのを使ってもいいですね。


アイディア次第で色々できると思います。

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◆ビジネス上の利点:マニアトラップ脱出!
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●「売れる商品」の用途提案

今回、何で「これはいい!」と思ったかというと、別にセンスがいい
とかカワイイとかそういうことではありません。

これは、「ワインの活性化策」なんですよ。

個人的には、ロゼは「売りやすい」商品だと思っています。

赤ワインとかだとピノノワールだ何ちゃらだ、と必ずウンチクが入り
ます。


で……それは、多分に「マニアトラップ」*です。そういうことを言
い出すと、ビギナーが入って来なくなり、市場が沈滞します。

ロゼって、ワイン通からすると割と「邪道」な商品のようなんですよ
ね。ワイン好きの方ほど、「ロゼなんて……」っておっしゃいます。
で、それこそマニアトラップなんですよね。


ロゼって良くも悪くも「いじりやすい」商品です。「売りやすい」
「とっつきやすい」商品なんです。

赤ワインに「氷を入れて」とかっていうとマニアは「邪道だ!」って
言い出しそうですが、が、ロゼなら、許されそうです。だからイオン
も、赤とか白ではなくて、「ロゼ」でやっているんだと思いますよ。

ロゼをPBの炭酸水で割れば、飲みやすい「疑似」シャンパンになる
でしょうし、色も多分キレイだと思いますよ。もちろん氷を入れても
いいですしね。アルコールが薄まるので、飲みやすくもなります。

*マニアトラップ

1)顧客の新規参入の減少に伴い市場が縮小する
2)ヘビーユーザー(=マニア)が支える市場になる
3)マニアを狙ったマーケティングに集中する
4)ビギナーがさらに入りにくくなり、1)がさらに進む

という状況を指した、私の造語

●売れる商品の用途提案で、マニアトラップ脱出!

推測を重ねますが、イオンが取りたいのは若い女性でしょう。恐らく
「マダム」層にはある程度ワインは浸透したのでしょう。

「ワイン市場」が伸び悩む理由の1つが「新規顧客の減少」だとすれ
ば、それを何とかしたいという提案だと思います。

20代前半くらいの女性にロゼを飲んでもらって、ワインに慣れてい
ただき将来の「マニア」をこれから育てたい、ということなのだと思
います。

もちろん、「満月ロゼ」のような提案が受けるのはこの世代でしょう
から、一貫性もありますね。

どんな提案をするかは、ターゲット次第です。

●ロゼは「売れる商品」

プロダクトフロー*で言うと、「ロゼ」が売れる商品(とっつきやす
い、という意味で)、赤や白の本格ワインが「売りたい商品」でしょ
うね。

まずは、ロゼで入ってもらって、慣れていただき、本格ワインを飲む
ようになっていただけたら、ということです。


つまり、多分この提案って、プロダクトフローを活用してマニアトラ
ップ脱出を狙った、戦略的な用途提案なんですよね。


それで、見た瞬間に「おおー、すごい!」って思ったんです。

これがエンドユーザーに受けるかどうかは別の問題です。が、もうそ
れはしょうがありません。何が売れるかを知るのは、お客様のみです
から、やってみなければわかりません。

でも、よく考えられている販促策だな、と思いました。

*プロダクトフロー

1)あげる商品
2)売れる商品
3)売りたい商品

の順に、お客様に提案していくことで、売りたい商品に無理なく誘導
する商品構成。

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◆今日のシャチョーさん(応用例):スーパーマーケット
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●スーパーマーケットの店長さん

地域密着型の食品スーパーの店長さんが、今日の売れたま!を読んで
さっそく売れたま!会議を招集しました。各売り場のスタッフたちが
集まって……


店長:よし、やるか、売れたま!会議。読んだよな?

生鮮:ええ、Timelyな販促ですよね。でも売れたま!会議って
   何か久しぶりっすね……

日配:確かに……まあいいとして、今日のネタ、うちもそのまんまや
   りましょうよ。さすがイオンさん。

店長:おまえなあ……自分でも考えろよ。

酒類:うちの店はターゲットが違うからムリ。満月だったら、ロゼじ
   ゃなくて月見団子の方が売れる。

生鮮:そうか、ターゲットか……売れたま!にもターゲット次第だっ
   て書いてあったよなあ……

店長:それに、満月だけじゃなくて、もっと売ってくれよ……

肉類:そりゃそうですね。月イチじゃなくて、もっとできるもの……

日配:そんなに毎日記念日無いっすよ。

店長:そんなこと言ってねーで、オマエもちょっとは考えろよ!

日配:はーい。じゃあ、月の形で……あ、半月のときはカマボコのセ
   ールやって、三日月のときはクロワッサンで……

肉類:月の形、そのまんまだな……

日配:そんなことないっスよ! クロワッサンっていうフランス語、
   三日月って意味っスよ!

肉類:そうだけどさ……

酒類:うーん、誰かの誕生日とかは? オレ、松井秀喜と誕生日同じ
   なんだよね……

生鮮:だから??

酒類:いや、それだけ。

日配:あ、給料日とかはどうっすか!? 毎月20日か25日ですよ
   ね? そのときに、「ちょっと贅沢」コーナーとかやるの。

酒類:あ、それ面白いかも。酒なら、ちょっといい日本酒とかプレミ
   アムビールとかだな。

肉類:ああ、なるほど。それなら肉は高級和牛。これからの季節なら
   すき焼きかな。

店長:あ、それはいい。それはやろう。でも、それも月1回だから、
   もっと日頃の売り場でやらないとな……

日配:別に金曜の夜とかなら高いお酒売れそうじゃないっスか

店長:何で?

日配:だって、1週間お疲れ様! で乾杯するっしょ?

生鮮:あ、そういう発想か……曜日……曜日か! 金曜の夜はちょっ
   と贅沢に……

酒類:なるほどな。金曜の夜にワインで乾杯、はいいな。

肉類:じゃあ、肉はステーキだ! 金曜はステキにステーキ!

日配:あはは、それ面白いっス!

酒類:肉がステーキなら、赤ワインのフルボディか。それいいな、金
   曜はステキにステーキ、って全店で販促かけりゃいいんだ。

生鮮:ちょ、ちょっと、ステーキだと野菜が売れないよ……

日配:それは水曜日にでもやりゃーいーじゃないすか。

生鮮:なんで水曜日なの?

日配:水曜ってNO残業デーっしょ? 家族みんなで鍋囲もう!って
   やればいいっすよ。

生鮮:な、なるほど……そうか、確かに曜日によって違う……じゃあ
   水曜日は週の半ばで、食物繊維で身体のお掃除、だな。

肉類:そうか、そのときは肉は鶏肉かな。カロリー低いしな。水曜日
   はリフレッシュデーか。

酒類:じゃあ、日曜日なんかは、パパの料理デーとか言っても面白い
   かもよ。

肉類:あ! 確かに。男の料理って結構凝るよな。牛肉の赤ワイン煮
   込みなんてどうだ?

酒類:あ、それいいな。レシピなんかもおけばいいしな。それだった
   らそんなに高いワインじゃなくていいかも。

生鮮:みんな気軽に言ってるけど、そんな 曜日ごとに売り場変えら
   れるのか? 結構面倒だぞ。

肉類:いや、売り物が変わるわけじゃないだろ? POP付け替えれ
   ばいいだけ。POPを最初に作るのが大変だけど……

酒類:そうか、ちゃんとしたPOPを最初に作って、あとは使い回せ
   ばいいのか……

店長:スタバだって時間帯でお勧めのボード変えてるんだから、オマ
   エらも曜日によってPOP変えるくらいのことはしろよ。

酒類:まあそうですね……そうか……曜日で売り場を変えるのは当た
   り前ってことか……

店長:よし、曜日ごとのテーマは任せる。そのテーマに合わせたPO
   Pを各売り場で考えるように!

日配:合点承知!

【今日の舞台裏】

スーパー行く度に、こういったことをやればいいのに、といつも思う
んですけどね……曜日によってニーズは違うと思うし、そのニーズに
あったメニューがあれば、何か行く楽しさもありますしね。

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◆書籍連動企画:99のチェックポイントでは?
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●チェックポイント81:利用機会を拡大できないか?

用途提案は、まさに利用機会を拡大できます


売れたま!の内容も、チェックリストで見ると戦略的になります。
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▼今日の日記▲

久々にこのノーマルバージョンを出すと、これはこれでアタマの使い
方が違って、また違った刺激がアタマに来ますね

今日は新潟入り。前も商工会議所さんでの講演などで新潟にはたまに
来ています。

せっかく来たので、お寿司くらい食べたかったのですが(こっちは、
リーズナブルなお値段で食べられます)、今回は時間が無かったので
電車の中でトンカツ弁当でした。でも新潟駅に降りてみると、結構食
べるところあるんですよね……ただ、東京にあるチェーンとか、コン
ビニがいっぱいあるので、あんまり違うところに来たっていう感じは
しないですよね。

もう1泊しますので、明日の夜はおいしい魚にありつけるかな? ま
たラーメンになったりするかもしれませんけど。

●今日のiPod Tune:秋に似合うJ−POP!

夏が終わったら、すぐ肌寒い10月、という感じの今日この頃、夏が
暑かっただけに余計に肌寒く感じます。

虫の音も響く夜、本当に秋らしくなってきました。

今日の1曲は……


○YES 〜free flower〜 by MY LITTLE LOVER


1996年12月、オリコン1位を獲得したヒット曲。マイラバの曲
を紹介するのは初めてですね。90sの曲ってあんまり知らなかった
りするんですが、この曲は大好きです。

ギター、キーボード、ドラムのシンプルな構成が、ボーカルを際立た
せます。

なぜかと聞かれると困るんですが、この曲って、すごく秋に合うんで
すよね……なんとなくもの悲しげなメロディは、夕日で長くなる影を
見ながら歩く肌寒い日にぴったり♪

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