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2012年4月26日木曜日

売れたま!戦略編Vol.236 2012/04/26 弱みで勝つ!5:「日本一寒い」町は強み?弱み?

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.236 2012/04/26
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 ■■_弱みで勝つ!5:「日本一寒い」町は強み?弱み?_■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「寒さ」という「弱み」を観光資源にしよう。「辛さ」を「強み」
 として提案する「チャレンジマーケティング」をしよう!


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◆日本一寒い町の町おこしは、観光地として「強み」? 「弱み?」
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●「日本一寒い」ことは、観光地として「強み」? 「弱み?」

昨年6月以来、久しぶりの「弱みで勝つ」シリーズです。

今回は、北海道陸別町という「日本一寒い町」です。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○冬の最低気温の平均値が全国で最も低く「日本一寒い町」をうたう
 北海道東部の陸別町。人口2700人の町に300人を集めるイベ
 ントが「人間耐寒テスト」。2012年3月、陸別町の広場の60
 基の氷のドームで約350人が一夜を明かした。同町が毎年開催す
 る「しばれフェスティバル」のメインイベントだ。


○「人間耐寒テスト」では、午後9時から翌朝7時まで、氷のドーム
 内で歓談したり会場の巨大なたき火「命の火」で暖をとったりして
 寒さに耐えた。宣伝にほとんどお金をかけないが、口コミで参加者
 は8年連続で増加。九州など遠方から訪れる挑戦者も多いという。


○耐寒テストは他地域ではまねできない、と同イベント実行委員長は
 言う。ドームを作るには昼間も一定の寒さが必要で、「氷点下10
 度を下回る寒さに耐えながら氷のドームを作るスタッフの熱意」
 (同)も重要。


○しばれフェスは、地元住民が楽しんだ雪遊びをヒントに「寒さを売
 りにした町おこし」として商工会青年部が1982年に開始。ハン
 デを逆手に取ったこのイベントを31年続け、「目立った観光名所
 がない陸別町の知名度向上」に貢献していると言う。


○今や日産自動車が耐寒試験用のテストコースを開設し、南極観測隊
 が使う備品の実験も行われるようになった。


○同町の観光資源は多くはないが、観光客数は年間10万人を維持。
 しばれフェス効果で「リーマン・ショックや東日本大震災の影響も
 受けなかった」(同町)。


2012/02/12 日経MJ P.4

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


観光地として「寒い」ことは、一般的にはプラスとしては働かないで
すよね。

それを開き直って「イベント」にしてしまっているこの「開き直り」
の姿勢は素晴らしいですよね。


ちなみに、陸別町は北海道の「右下」の方にある、大きな町です。端
から端までゆうに100kmはあるのに、人口は3000人以下、と
いう場所です。



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◆復習:弱みで勝つ!
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●弱みは強み、強みは弱み

拙著「白いネコは何をくれた」*の名文句(?)が「強みは弱み、弱
みは強み」です。

*「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm



一見「弱み」に分類されるものでも、やり方次第で「強み」に転化す
ることはできます。

「弱みで勝つ!」とは、このように一見弱みと分類されることを、強
みとして、ウリにしてしまおう、ということです。



●事実を強みとして「解釈」しよう!

そもそも、そんなに強みばっかりの会社・人はいません。

強み弱み分析のようなことをして、「うわ、うちは弱みばっかりだ」
と「諦めモード」に入ってしまったら最悪です。

そうではなく、

「事実を羅列し、これをどう強みとして使うか」

と考えるんです。


「事実」は「事実」です。弱みになるか、強みになるか、それは、使
い方次第、使う人次第です。


弱みを強みに転化し、弱みで勝つ!


これがしたたかで軽やかな経営者・マーケターの態度だと思います。



●弱みを強みにするセオリー

「弱み」を「強み」にするセオリーは、

1)「弱み」ではなく「事実」として客観的に羅列する
2)その「事実」を「強み」として評価してくれる潜在顧客を探す
3)その顧客に「強み」として提案する

というステップになります。

つまり、「事実」を「これはいい」と評価してくれる方に対して、き
ちんと提案しようということです。

これは、BASiCSにおいて、自社の強みを提案するときのプロセ
スと何ら変わりはありません。少々の「意外感」があるだけです。



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◆「日本一の寒さ」は強力な観光資源
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●「寒さ」という「弱み」を「強み」に転化した陸別町

通常は、もちろん「寒い」ことは、観光地としては弱みです。真冬の
北海道ですからね……

「さっぽろ雪祭り」などは、寒い時期の人気イベントですが、寒さを
求めて行くわけではありませんよね? この場合は、「寒いけど」行
くということでしょう。


陸別町は、開き直って「寒いから」来てください、と弱みを「ウリ」
にしているわけですね。


●「気候」は重要な「独自資源」

観光地などの場合、その地域の風土や気候は強力な独自資源になりま
す。それは他の地域にはマネできない「独自資源」だからです。

他地域にはマネできない「気候」を「ウリ」にしたのは、非常に良い
着眼点ですね。



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◆「辛い状況」を楽しむ「チャレンジマーケティング」!
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●「辛い状況」を「挑戦」として提案するチャレンジマーケティング

この「陸別町」の事例は、「チャレンジマーケティング」の典型例と
言えますね。

「チャレンジマーケティング」とは……

○「辛い状況」を「イベント」にして「チャレンジャー」に提案

することです。例によって造語ですので、検索しても出てこないと思
います。

が、「弱みで勝つ」マーケティングにおいては、非常に重要な考え方
となります。

通常は、「辛い状況」「過酷な状況」というのは、ガマンして耐える
ものですよね。できれば経験したく無いものです。

しかし、それは、同時にある意味で「チャレンジ」つまり「挑戦」で
もあるわけです。

普通の状況でしたら、それは「チャレンジ」でも「挑戦」でもないわ
けで、氷点下30度という「辛い状況」だからこそ、わざわざ行って
「挑戦する」意味があるわけです。


「チャレンジャー用の住居『バルーンマンション』内は一切の火気の
使用を禁止します」(同町HP)というのも、それを踏まえてのこと
でしょうね。暖房を入れたら何の意味もありません。

www.town.rikubetsu.hokkaido.jp/shibare/2010/01/post-1.php



●(安全な範囲内で)「辛さ」をチャレンジャーに提案しよう!

多くの方は「何でそんな寒いところにわざわざ……」と思われるかも
しれませんが、「チャレンジャー」の方はいるものです。

普通の刺激に飽きてしまった人や、腕に覚えのある人など、数は少な
いにしてもそういう「チャレンジャー」の方に、「チャレンジ」を提
案すれば、「チャレンジ」してもらえるかもしれません。

当然、ここではその「チャレンジの激しさ」を訴求することになりま
す。


陸別町のHPでは、

「死なない程度に大自然のパワーを満喫していただきます」

との一文が目をひきます。「死なない程度に」というのは、刺激的な
「チャレンジメッセージ」ですよね。

www.town.rikubetsu.hokkaido.jp/shibare/2010/01/post-1.php


と言いつつも、もちろん事故があってはまずいわけです。

2012年の耐寒テスト時間中(21:00〜翌7:00)の最低気温は、

−20.1度

だったそうです。

しばれフェスティバル HP
http://www10.ocn.ne.jp/~shibare/index.html


正直なところ、−20度くらいであれば、防寒さえきちんとしていれ
ば、十分に耐えられる寒さです。

そのくらいの寒さであれば、私もカナダのスキー場で体験したことが
あります。寒いですよ。寒いですが、耐えられる寒さというか、スキ
ーヤーなら覚悟の範囲内でしょう。北海道のスキー場でも、−20度
は結構出るようです。

スキー場での−20度の方が、多分辛いと思います。リフトに乗って
いる間は、風雪をそのまま浴びるために、体感温度はさらに下がるわ
けですから(そんな中でスキーをするのも、我ながらどうかとは思い
ますが)。

と言っても、ヒートテック2枚着て、とっくりのシャツを着て、トレ
ーナーを2枚着て、その上からスキーウェアを着る、くらいはしない
と、凍えます。


これが、−50度だったりすると、本当に事故が起きるので、そんな
「チャレンジ」はするべきではありません。あくまでも、安全に楽し
める範囲内での話です。



●「辛さ」を測定・訴求しよう!

チャレンジマーケティングでは、当然「辛さ」(=チャレンジ)を訴
求することになります。

できれば、その「辛さ」を測定し「そんなに辛いのか……」というの
がわかるようにしましょう。


しばれフェスティバルでは、「お〜っと! 寒さ日本一ランキング」
というのを作っています。

自らランキングを作って、自分が「日本一寒い町」であることを証明
しているわけです。

http://www10.ocn.ne.jp/~shibare/ranking_result.html

ここで面白いのは、寒さ観測の「日本一回数」をポイント化している
ことです。

「期間最低気温」という項目では、「歌登町」という別の町が日本一
になっています。

ですので、実は陸別町が本当の意味で「日本一寒い」かどうかとなる
と微妙なところなのですが、ある基準においては「日本一寒い」と言
える「証拠」を作っているわけですね。



●チャレンジを乗り越えた人は「勇者」

そして、その「チャレンジ」を耐えた人は「勇者」なんですよね。

もちろん、「辛い状況」が辛ければ辛いほど(もちろん、事故などに
つながらない範囲で、ではあります)、乗り越えたときの感動や喜び
も大きいでしょう。


ということで、同町はその「勇者」を表彰しています。

「極寒の夜を耐えぬき、無事に朝を迎えられることのできた、チャレ
 ンジャーには、"耐寒テスト認定証"が手渡れます。この認定証は陸
 別町の寒さに耐え成長した、陸別産カラマツ材を使用したもので、
 ひとつひとつ手作りで作られています」

www.town.rikubetsu.hokkaido.jp/shibare/2010/01/post-1.php



●「辛い状況」だからこそ、口コミが起きる

そして、何より「辛い状況」を堪え忍んだからこそ、口コミが生まれ
るわけですよね。

少々寒かった、くらいではわざわざ人に話さないでしょうが、「オレ
さあ、日本一寒い町で、屋外テントに泊まったんだぜ」(正確にはテ
ントではありませんが)という口コミは起きるでしょう。


「延べ4,000人以上(H23.2月現在)のチャレンジャーが、この認
定証を受け取って」(同町HP)いる、というのもわかります。

www.town.rikubetsu.hokkaido.jp/shibare/2010/01/post-1.php

そして、この「耐寒テスト認定証」が、また口コミの「媒介」となる
のでしょうね。



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◆「弱み」を活かした用途提案
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●「寒さ」を活かした用途提案をしよう!

「弱み」を「強み」にするコツの1つは、「弱み」を活かした用途提
案をすることです。


記事で「なるほど」と思ったのは、以下の部分です。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○今や日産自動車が耐寒試験用のテストコースを開設し、南極観測隊
 が使う備品の実験も行われるようになった。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

「南極観測隊が使う備品の実験も行われるようになった」と言われる
と、さらにまた「ホントに寒いんだ〜」という実感が増しますね。

このような、「寒いところで使うものの耐久試験にどうぞ」というよ
うな「企業誘致」をするには、「日本一の寒さ」というのは「弱み」
どころか、「強力な強み」になりますよね。

まさに「弱み」を「強み」にしている例であり、「自社製品のチャレ
ンジ」となりますね。


「耐寒テスト」は、当然人間に対してでなくとも使えるわけです。

例えば、バッテリーの類は、寒いと消耗が激しいですよね? そうい
う商品の場合の「過酷な条件」でのテストなどにも使えるかもしれま
せん。

私のオフィスで使っている寝袋は、それこそ−16度でも使える(と
されている)ような製品なのですが、それを試してみるのにも良さそ
うですし。


または、これから寒いところに赴任される方などが、1週間ほど住ん
でみて、実際何が必要になるのかを体験・体感してみる、というよう
な提案も面白いかもしれません。


とすると、陸別町は、「寒いところでも使えるとされているもの」を
買って来て、勝手にその耐久性や使い勝手を検証して、HPなどで発
表する、というようなことをやっても面白いかもしれません。


「人間耐寒テスト」のときに、「勝手にテスト」みたいなイベントを
やって、マスコミにニュースリリースとして投げても面白そうです。


例えば……

○屋外でガスコンロを使ってお湯を沸かすのに何分かかるのか!?

○1Lの熱いお湯が何分で氷になるのか?

○100度のお湯で作ったカップラーメンが、3分後に食べるときに
 は果たして何度まで下がっているのか?

○携帯カイロは何時間もつか?

○冷凍庫の中と屋外と、どちらが寒いか?

○コーラをかきまぜ続けていれば、炭酸が入ったシャーベットになる
 のか?

○凍った板チョコで釘が打てるか?

○「不凍液」は本当に凍らないのか?

○氷でできた服を着てみよう!


などなど、イベント(というか、「実験」?)のネタは色々ありそう
ですね。こういうことをすれば、「耐寒テスト」の挑戦者も楽しいで
すよね。

TV番組のネタにもなりそうです。「日本一寒い町で、日本一冷たい
アイスクリームを作ろう!」とか。


スポンサーもつけられるかもしれません。リアル「お菓子の家」なん
かも作れるかもしれませんから、お菓子メーカーなんかと組んでもい
いかもしれないですし。


アイディア次第で、「弱みを活かす」ことはできると思います。



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◆「チャレンジマーケティング」をしてみよう!
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●「辛い状況」を「チャレンジマーケティング」にしよう!

陸別町のように、「辛い状況」をある意味で「楽しんでしまう」のが
「チャレンジマーケティング」ですね。


東ハトの「暴君ハバネロ」も、ある意味でこのような「チャレンジマ
ーケティング」の1つと言えますね。「スコビル値」という辛さの単
位を使った「辛さに挑戦!」といったような打ち出し方をしていたよ
うに思います。


飲食店の「大食いチャレンジ」も、まさに「チャレンジマーケティン
グ」と言えそうです。

こう見てくると、「日本一寒い」という極端な状況でなくても、「チ
ャレンジ」は作れることがわかります。

シチリアのお菓子なんかはよく「衝撃的な甘さ」と形容されますが、
「甘さに挑戦!」といったような打ち出し方もあるかもしれません。



私はスキーを少ししますが、スキー場のコンディションとして、今ま
でで「最悪」だったのは、米国留学していたときに行った、アメリカ
の、とあるスキー場です。

スケートリンクを斜面にしたようなツルッツルのアイスバーンで、エ
ッジが全然ひっかからないのです。もちろん私がヘタというのはある
にしても、鏡のように滑るので、もう恐くて恐くて。しかも、下が凍
っていますから、転ぶとあざができるような状態です。


当時は「こんなスキー場、二度と来ない」と思っていました。


が……今は当時より少しはうまくなりましたので(それでもヘタです
が)「あの状況にもう一度チャレンジしたい」という気持ちもあるん
ですよ。今の技術で、あの「鏡の斜面」がどこまで滑りきれるか、
「チャレンジ」してみたいです。

ですから、そのスキー場なら……

「アイスバーンの腕自慢、いらっしゃい。ツルッツルのアイスバーン
 をご用意してお待ちしています。エッジを研ぐ必要?? いえいえ
 どんなに研いでもどうせひっかかりませんよ。初心者の方は危ない
 のでお断りです。このゲレンデに入る前に、腕前を自己申告してい
 ただきます。保険にも入ってくださいね!」

というような刺激的なメッセージを出せばいいんですよね。


普通は、ツルッツルだと敬遠されるんですが、こんなスキー場なら、

「あれ、今日はあんまりツルツルじゃなかったよね」

と、むしろ残念がられるかもしれません。


スキーなんかですと、こういう過酷な状況のときに本当の腕前が出る
わけで、技術レベルのチェックや、トレーニングにも良いかもしれま
せん。



●「辛い状況」を「イベント」にする、したたかさ

このような発想と共に重要なのが、「辛いことを楽しむ」という柔軟
性というか、したたかさ、だと思います。

ちなみに、この「しばれフェス」は、

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○地元の方が家族で楽しんでいた雪遊びをヒントに、「寒さを売りに
 した町おこし」として商工会の青年部が1982年に始めた

2012/02/12 日経MJ P.4

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

ということなんですね。

なかなか身近にある強みは気づかないものですが、「うわ、寒い。そ
うだ、この寒さで町おこししてやれ」と考える柔軟さが素晴らしいと
思います。


「こんな寒いところに、観光客なんか来るわけない」と言っていても
何も始まらないわけで、「寒いからこそ来たい町」にした、というこ
の「したたかさ」はぜひ見習いたいですね。


今号はこれにて終了、以下は、いつもの再掲分です。



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◆再掲:SWOT分析は、戦略立案には適さない
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●SWOT分析の罪

この項に関しては、毎回同じことを申し上げます。極めて重要な主張
ですので、繰り返したいのです。またかよ、もういい、という方はこ
れで終わりです。


繰り返したいその主張、とは……

「SWOT分析*は戦略立案には適さない」

です。

*SWOT分析

Strength(強み)
Weakness(弱み)
Opportunity(機会)
Threat(脅威)

の4つで戦略を考えようという手法



●「強み」を他の戦略要素と切り離してはいけない

まず、「強み」と言っても少なくとも2つ考慮すべき点があります。

1)「誰と比べて」という競合の問題
2)「誰にとって」という顧客の問題

です。

マクドナルドの強みは? というと、「速い」という答えがよく返っ
てきます。

でもそれって本当ですか? 

仮に、「競合」を「吉野家」とすると、吉野家よりは速く無いですよ
ね?

また、顧客が「急いでいる」顧客なら強みになりますが、ゆっくりし
たい顧客なら、「速い」と、せかされているようで、むしろ「弱み」
になりますよね?


つまり、「競合」や「顧客」を考えずに、強み「だけ」を独立して考
えては、誤った結論を導きだしてしまう可能性があります。

ですから、

競合×顧客の組み合わせ

それぞれについて、SWOT分析が必要になります。このことは、
SWOT分析を教える人や本にもまず書いていません。

つまり

・競合
・顧客
・強み

を切り離して考えてはいけないんですよ。

競合が決まらなければ、強みがわかりません。顧客が決まらなければ
競合が決まりません。

だから、それを考えない分析は、「有害」ですらあります。間違った
分析になるからです。


戦略は、要は 「競合×顧客×強みの組み合わせ」、です。


どうすればいいかというと……もうおわかりですよね。

そう、BASiCSを使えばいいんですよ! 全ての要素を一体的に
考えられるのがBASiCSの「強み」ですから。



●「弱み」ばかりだとやる気をなくす

さらに害があるのが、「弱み」という分類です。

ある事実を一旦「弱み」というカテゴリーに分類してしまったら、そ
れは「弱み」なってしまい、「強みとして活用しよう!」という発想
になりませんよね?

SWOT分析をして、「弱み」がたくさん出たら……「諦めモード」
になるのではないですか?

SWOT分析は色々と害の多いフレームワークですので私は決して勧
めません。売れたま!でもSWOT分析の害は色々と取り上げてきま
した。

その「数ある害」のうちでも「致命的な害」がこれです。「どうせウ
チは弱みばっかりだしさ……」と思ってしまうんです。

この「やる気を削ぐ害」は、SWOT分析の致命的な害です。

だったら「弱みに分類しないで全部強みに分類すればいいじゃん」と
思われるかもしれませんよね。そうなんですよ。最初から、これは強
みだ、こっちは弱みだ、などと分類する必要がないんですよ。


戦略の醍醐味は、「弱みを強みに転化する」ことです。これが決まる
と、痛快です。

SWOT分析は、「弱み」というラベルを貼ってしまうことにより、
この発想を封じ込めてしまうんです。これは害が大きいです。



●SWOT分析は、戦略立案には適さない

つまり、SWOT分析は「戦略立案には適さない」んです。

戦略が決まらなければ、競合や顧客が決まりません。決まらなければ
あることが強みなのか弱みなのか、そもそも分類できません。

多くの本では、SWOT分析は「戦略立案ツール」として紹介されて
いると思いますが、それが本質的な論理矛盾を抱えていることは、こ
れでおわかりですよね。

こんな当たり前のことを何で誰も指摘しないのか、不思議でしょうが
ありません。



●SWOT分析の使い道?

ちなみに、使い道はあります。それは……

・その戦略をやりたいなら、「機会」「強み」を並べ立てて、提案を
 通す

・その戦略をやりたくないなら、「脅威」「弱み」を並べ立てて、提
 案を拒否する

という、「方便」ですね。これはSWOT分析の恣意性を端的に表し
ています。どうにでも解釈できるんですよ。


ここまで言って、それでも使いたい、というのなら、せめて「競合」
「顧客」を定義してから、競合と顧客の組み合わせごとにやりましょ
う。SWOT分析が何枚もできるはずです。


でも、使わないですむのなら、使わない方がいいです。BASiCS
で完結するのに、あえて複雑にする必要は無いからです。



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◆今日のまとめ
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●「辛い状況」を「チャレンジ」として、チャレンジャーのお客様に
 提案しよう! 辛さを楽しんでしまおう!


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▼今日の日記▲

ドラクエXの発売日などが決定したようですね。ドラクエは、今のと
ころ私も1〜9まで全てリアルタイムでプレイしていますので、愛着
があるソフトです。ドラクエ1が1986年ですので、もう25年以
上たつことになります。

ドラクエXはWiiで8月発売、となりました。前作がDSでしたか
ら、今度は据え置き機で、ということでしょうね。据え置き機の方が
ドラクエらしいといえばドラクエらしいですからね。

これでおそらくは、Wiiの売上も伸びますね。ドラクエをやるため
「だけ」にWiiを買う人もいらっしゃるかと思います。

発売日を8月に持って来たのは、もちろん夏休みに間に合わせるため
でしょう。

が……問題はオンラインゲーム版であることで、そこで一気にハード
ルが上がるんですよね……Wiiを持っていない私は、Wiiを買っ
てまで、オンラインのドラクエをやりたいかというと……難しいとこ
ろですね……そこまでして、という感じもしますし、逆にハマってし
まいそうなのも恐いですし(笑)。


今元気なのが、元々ゲーム専業ではないDeNAやグリーですので、
オンライン化は時代の流れ、というか、メーカーからすれば当然なの
かもしれませんが、恐らくは日本で一番あるであろうゲーム、ドラク
エのオンライン化がに対して、ユーザーがどう反応するのかは注目で
すね。

私は、もうちょっと情報が出るのを待って、それから決めることにし
ますね。まずは、発売予定日通りに発売されることを祈りましょう。



●今日のiPod Tune:デビューソング特集!

4月は始まりの季節!

ということで、アーティストの「デビューソング」特集! この切り
口、今までやったことなかったんですよね。


今日の「デビュー曲」は……


○Everybody by Madonna


1982年、記念すべきMadonna(英語の発音は、マダーナの方が近
いですね)のデビュー曲。ヒット曲とは言い難いですが、ダンスチャ
ートでは上位に食い込んできました。

当然この後、彼女は次々に大ヒット曲を連発していくことになるわけ
ですが、その萌芽がわかります。シンプルでダンサブルな80s初期
のダンスサウンド、です。

彼女の音楽の原点がここにある、とまでは言いませんが、「あー、彼
女はここから始まったんだなあ」というのがわかる曲です。

そういうことをしみじみ感じる、ということは、私も年をとったんで
すかね……でも、この曲ならまだ踊れそう♪



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 佐藤義典著 朝日新聞出版

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 マーケティング入門:読みやすい小説
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 上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
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 物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
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 マーケティング戦略入門:戦略はここから
 日本能率協会マネジメントセンター
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 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
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