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2016年1月11日月曜日

売れたま!商品開発編Vol.022 2016/01/11 おいしく作れるお好み焼き粉:「暗黙の前提」を打破

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━━━━━━━━━━━━商品開発編Vol.022(累計1293) 2016/01/11
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 ■■_おいしく作れるお好み焼き粉:「暗黙の前提」を打破_■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●自社商品・サービスについて、自社が置いている「暗黙の前提」が
 正しいかどうか、お客様に確認しよう!


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◆「おいしく焼ける魔法のお好み焼粉」
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●昭和産業の「おいしく焼ける魔法のお好み焼き」がヒット中!

年末年始特別号は今年は簡潔に終了、今回から通常版に戻ります。

新年最初にふさわしい事例がコレです。

「お好み焼き」って作られたことあります?

ある商品が人気を得ているようですが、どのようなものかと言うと…


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『昭和産業が2014年9月に発売した「おいしく焼ける魔法のお
 好み焼粉」が好調だ。当初予定を6〜7割上回る売れ行きで、それ
 までの製品で10%弱だった市場でのシェアは13〜14%まで拡
 大している』


◇『「できあがりの味を追求してばかりだった」。開発者の1人、食
 品部業務推進課長の戸田明宏さんはこう振り返る。業界でのお好み
 焼き粉開発は、ふっくらさせたり、だしの品質を上げたりといった
 点にこだわっていた』『問題は別にあった』


◇『「家で作るお好み焼きはおいしくない」。着目したのは過去に数
 回実施した百人規模のネット上での消費者アンケートで寄せられた
 意外な声だった。メーカーとしては、レシピ通りにユーザーが完成
 品を作っているのは当然の前提。「消費者が、当たり前すぎて我慢
 していることがあるのではないか」(戸田さん)』


◇『そこで戸田さんらは13年ごろから実際に調理している消費者を
 観察し、無意識の不満を暴き出そうと思いついた。社員に家庭を訪
 問させて普段通りにお好み焼きを作ってもらった。すると粉の計る
 量が適当だったり、パッケージの記載レシピを見ただけでは上手に
 作れていなかったりしていた』


◇『そこで視点を切り替えて「絶対にうまく作ってもらえる」ような
 工夫に注力した』『例えばパッケージ裏のレシピ。それまでの商品
 では文字ばかりだったものを、イラストを大きく使い、担当者に何
 十回と書き直させた。分量や調理時間だけでなく、キャベツの刻む
 大きさ、具材と生地を混ぜる回数、生地をのばす直径まで細かく明
 記した。パッケージに物差しを印刷した。粉も100グラム1袋に
 小分けして、消費者が計らなくても正確な分量で調理できるように
 した』


◇『それでもレシピを見ない人はいるかもしれない。そこで、ある程
 度大ざっぱに作ってもふっくらと仕上がるよう、粉自体にも改良し
 た。詳細は「企業秘密」としているが、大豆粉を加えるなどして時
 間や分量に「ぶれ」があってもうまく焼き上がるようにした』


◇『消費者からは「こんなにおいしく作れるとは思わなかった」との
 声も。手薄だったた20〜30代も取り込んでいる』


2015/12/09 日経MJ P.14

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


自社の市場シェアが3〜4割上がったというのはすごい商品ですね。

AKB48の木崎ゆりあさんを使ったTVCMが放映されており、フ
ァンの間では話題になったようです。

http://www.showa-sangyo.co.jp/enjoy/cm/okonomi2014.html


確かに、お好み焼きは慣れている人にとってはカンタンでも、そうで
ない方にとっては作るのが難しいメニューかもしれません。

となると、おいしく作りやすい、こういう製品は嬉しいです。



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◆自分達の「暗黙の前提」を疑おう
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この商品は、「おいしく作れる」という商品コンセプトに基づき開発
された製品です。

この商品コンセプトが産まれたプロセスを推測してみます。


●「暗黙の前提」の存在

「おいしく焼ける魔法のお好み焼粉」は、ある「反省」に立って開発
されました。

それまでのお好み焼き粉は、記事によれば、

『ふっくらさせたり、だしの品質を上げたりといった点にこだわって
 いた』

とのこと。

つまり、ある「暗黙の前提」に立って作られていました。

その「暗黙の前提」とは……

「お客様は、メーカーの意図した通りにお好み焼きを作れる」

というものです。



●お客様の声から、「暗黙の前提」を疑う仮説を導き出した

このメーカーにとっては当たり前だった「前提」を疑ったのが、開発
の出発点だったと考えられます。

その「前提」を疑うキッカケになったのが、お客様の声です。

「家で作るお好み焼きはおいしくない」という、定性的な情報が、恐
らくは、

「なんで? どういうこと?」

という疑問につながったのでしょう。

そこから

「実はお客様はお好み焼きを上手に作れていないのではないか?」

という「暗黙の前提」を否定する仮説を導き出したわけです。


この、「お好み焼きはそんなに上手には作れない」というのは、お客
様(=私たち)からすると、当たり前です。

が、毎日お好み焼きのことを一生懸命考えているメーカーから見ると

「お好み焼きは上手に出来て当たり前」

という発想になってしまうわけです。これはもう、しょうがありませ
ん。



●実際に、お客様の「作り方を観察」した

この「仮説」を検証するために、

「じゃあ実際にお客様がどう作るのか、見てみよう」

という、

「現場を観察する」

手法を選んだのが素晴らしいところです。


記事中の

『社員に家庭を訪問させて普段通りにお好み焼きを作ってもらった。
 すると粉の計る量が適当だったり、パッケージの記載レシピを見た
 だけでは上手に作れていなかったりしていた』

という部分ですね。これにより、

「実はお客様はお好み焼きを上手に作れていない」

という仮説が検証されたのです!

「お客様は、メーカーの意図した通りにお好み焼きを作れる」

という、作り手にとって「当たり前」だった「暗黙の前提」は、見事
に崩れたわけです。


単にお客様に「意見を聴く」だけでなく、実際に「作っているところ
を見た」というのが素晴らしいですね。

「答えはお客様にアリ。お客様を見よう」

という発想になったのが素晴らしいと思います。



●「うまくいかない」ときには、「暗黙の前提」を疑ってみよう

売れない、ということは、何かがおかしいわけです。

明確な原因がわかっていればそれを改善すれば良いわけです。

そうではないときは、

「自分達が暗黙のうちに前提としていたこと」

を疑ってみることの意味がよくわかる事例です。



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◆「おいしく作れる」という「メッセージ」の下での一貫性
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●「おいしく作れるようにする」ことに集中した商品海発

ここまで検証してきた、

「実はお客様はお好み焼きを上手に作れていない」

という仮説に基づき、

「お客様がおいしく作れるような商品」

というコンセプトを固め、商品開発はその方向で走りました。


BASiCS的に言えば、

「おいしく作れるお好み焼き」

という「Sm:メッセージ」を導きだし、それが言えるような商品を
開発する、という方針を明確にしたわけです。


実際に何をしたのか、記事から抜粋していきます。


1)わかりやすい伝え方

まずは、パッケージの「作り方」を大幅に改善しました。

・文字ばかりだったのをイラストでわかりやすくした

・キャベツの刻む大きさ、生地をのばす直径などを具体的に書いた

・パッケージにモノサシを印刷して長さを測れるようにした


見てわかりやすくするようにした、というのと、表記を具体化したわ
けです。



2)作りやすい製品

パッケージだけでなく、実際の製品も変えました

・1袋100g に小分けして、計測しなくて良くした

・大豆粉などを加えて、時間や分量が不正確でもうまく焼ける


計測の手間を省き、かつ、仮に作り方をあまり詳しく読まなかったと
しても、おいしくできるようにしたわけです。


「メッセージ」が明確なだけに、非常に一貫性のある、統一感のある
商品になりましたね。

それがヒットの理由だったわけです。



●「お客様の課題解決」と「競合との差別化」を両立させた商品開発

この「おいしく作れる」という方向性は、

・お客様の課題解決:お客様がお好み焼きをおいしく作れていない

・競合との差別化:他のお好み焼きは、おいしく作りにくい


という意味で、「お客様の課題解決」と「競合との差別化」を同時に
実現させました。


「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」(=強み)を作った見事な
成功例ですね。

ヒット商品になったのも納得がいきます。



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◆マインドフローの「利用」関門を具体化しよう
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●マインドフローの利用関門を具体化しよう

今回の商品開発は、マインドフロー*で言えば、「利用」関門に主眼
を置いているものと考えられます。

*マインドフロー

お客様がファンになるまでの7つの関門

 認知: 商品・サービスの存在を認知する
 興味: ニーズを感じて興味をひかれる
 行動: 手に取る、HPを見る、などの行動を取る
 比較: 競合商品と比較する
 購買: お金を払って購買する
 利用: 実際に使ってみる
 愛情: 満足してファンになる

詳細は、拙著「実戦 顧客倍増マーケティング戦略」でどうぞ
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「利用」関門は、文字通りお客様が商品・サービスを「利用する」こ
とであり、「利用」関門で止まる、ということは、「使いにくい」
「使えない」ということえす。

が、今回のような、お客様が作る商品の場合は、同じ「利用」でも、

・作る  = うまく作れるか 
・食べる = うまく作れたとして、おいしいか

を分けた方が良いかもしれません。

どちらでもお客様が「止まる」(=うまく利用できない)可能性があ
るからです。


食品の場合は、「おいしいか」という意味でチェックする場合が多い
かと思いますが、今回は「うまく作れるか」というのがお客様にとっ
ての「課題」であり、その「関門」をお客様が越えていなかったわけ
です。


BtoB(法人顧客対象のビジネス)でも、そのような場合が多いよ
うに思います。

顧客企業に例えば「部品」を納品したとして、

・顧客の生産部門:うまく作れるか
・顧客の営業部門:うまく作れたとして、作ったものが売れるか

というのは、違う課題になるからです。

このように、「利用」関門と言っても、その「利用」の意味には色々
なことがあり得ます。



●「利用」場面を具体的にシミュレーションしゆお

このようば場合にどうすれば良いかというと……

「お客様の利用場面を具体的にシミュレーションする」

ということになります。


自社商品・サービスをお客様が購入されてから、誰がどのような作業
をするのか、例えば……

・誰がどのように納品物を受け取るのか
・誰がどう加工するのか
・加工されたものを誰がどうするのか

を1つ1つ考えて行って、どこでお客様が「止まる」「つまづく」の
かを考えて行く、ということですね。


最高の方法の1つは、

「お客様の利用場面を実際に観察する」

ことです。

その意味でも、今回の事例でお客様の調理方法を実際に観察したのは
素晴らしいことですね。


色々な意味で参考になる事例だったと思います。



★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたは、自社の商品・サービスについてあながた置いている「暗黙
の前提」が何か、そしえそれが正しいのかどうか、確認したことがあ
りますか?


ぜひお考えになってみてください!


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◆今日のまとめ
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●自社商品・サービスについて、自社が置いている「暗黙の前提」を
 お客様に確認しよう!


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◆売れたま!を解除するには
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ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。


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▼今日の日記▲

今日は3連休ですね。成人の日です。

自分の成人の日は、もうウン十年前ですが、その日のことは、やはり
今でも覚えています。地元の区の公民館に行き、中学校時代の友人に
数年ぶりに会いました。みんなは当然飲み会(20才ですから合コン
みたいな感じ?)に行きましたが、確か私は大学の期末試験の真っ最
中で、そのまま帰宅して試験勉強しました。うーん……いいのか悪い
のか……。


さて、現在の成人はもちろん「20才」なんですが、今年から選挙権
年齢が18才に引き下げられるために、「成人」の定義が揺らいでく
る年になるかもしれませんね。

今年は、18〜19才の方々の意識変容は、マーケティングの興味深
い題材の1つになりそうですね。



●今日のiPod Tune:2016 初日の出! 太陽がいっぱい!

今年の正月は、好天でしたね。初日の出も見られたようで、幸先の良
いスタートとなりました。

ということで……「太陽の歌」特集、題して「太陽がいっぱい」!

次の曲は……


○Rising Sun by EXILE


2011年リリース、今をときめくEXILEの大ヒット曲。未だ80s
に生きている私にとっては、超未来の曲ですね。

今のJ−POPはほとんどフォローできていないのですが、この曲は
紅白で2年連続で流れたために、さすがに知っていました。

いいタイトルですよね。私は「日本」を英訳すると「Rising Sun」に
なると思っています。

そしてそして……日本語としては「雷神さん」ですよね(笑)。雷神
さんといえば、菅原道真公。

そういう意味で(?)「日本の歌」っていう感じですね♪



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 佐藤義典著 朝日新聞出版
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●「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 マーケティング入門:読みやすい小説
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●「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
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●「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
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●「図解 実戦マーケティング戦略」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略入門:戦略はここから
 日本能率協会マネジメントセンター
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●「事例でわかる 実戦BtoBマーケティング」 佐藤義典著
 BtoBマーケティング戦略の標準テキスト
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●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
 日本能率協会マネジメントセンター
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●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
 ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
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 日本能率協会マネジメントセンター
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▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!


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