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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.287(累計1147) 2014/08/18
購読者:30,801 (まぐまぐ:16,424 メルマ!:952 めろんぱん:13,425)
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■■■■■__夏休み特別号:常識を疑え! 2__■■■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●仮説発見サイクルは、QED。Q:疑問→E:検証→D:発見、と
いう順番で仮説を考えよう!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
┃単独でもお役に立てますし、本と併用されれば効果倍増!
┃
┃図解 実戦マーケティング戦略 → http://tinyurl.com/a6ul5
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◆夏休み特別号 常識を疑え!
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夏真っ盛り! お盆休み!
夏は毎年、この特集の季節。あの本の登場人物たちが大騒ぎ!
「新人OL〜シリーズ」の登場人物
・売多真子:イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」社長
・売多勝 :売多真子の親戚 コンサルティング会社経営
・上原望 :売多真子の同僚「そーれ・しちりあーの」役員
「経営戦略虎の巻 CD」付属小説の登場人物
・松井恵利:売多真子の友人 果物ジュース・ケーキショップ店長
○入門書:「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」佐藤義典
http://ow.ly/qBY9o
売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
○戦略書:「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典
http://ow.ly/6s63d
真子が社長になり競合と戦う戦略構築〜実行プロセスを、物語で体感
●常識を疑え!
このシリーズは、気楽にお読みいただけるシリーズです。
私たちは、私たちの「考え方」に基づいて「行動」します。
そしてその「考え方」は、ある種の「前提」の元に構成されます。
そしてその考え方の「全体」が間違っていれば、「考え方」が間違っ
ているものになり、そして「行動」も間違ったものになります。
私たちの考え方の「前提」は果たして正しいのでしょうか?
このシリーズは、多分5〜7回くらいになると思います。
では、「常識を疑え!」シリーズ、気楽にお楽しみください!
●ここまでのあらすじ
イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」の社長「売多真子」
(うれた・まこ)と役員「上原望」(うえはら・のぞみ)、真子の友
人「松井恵利」(まつい・えり)は、真子の親戚にしてコンサルタン
トの「売多勝」(うれた・まさる)と勉強会を兼ねた「合宿」。
8月の初旬、4人の向かう先は、高原のペンション。4人は長野行き
の新幹線に乗り込み、4人席で早速勝の「講義」が始まった。
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◆まずは、前号の復習から!
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真子たち一行は長野駅で新幹線を下りるとローカル線に乗り換え、ペ
ンションの最寄り駅へと向かう。
駅を出ると、ペンションのオーナーがにこやかな顔でマイクロバスを
停めて真子たちを待っていた。
「きゃー、オーナー、お久しぶりでーす!」
「こんにちはー、又来ちゃいましたー。よろしくお願いします」
「ようこそいらっしゃいました。どうぞお車へ」
一同を乗せたマイクロバスは大騒ぎしながらペンションへ。
「では、部屋割りはいつも通りですね。こちらのテラスもどうぞご自
由にお使いくださいませ」
一同はテラスに面したテーブルにめいめい陣取り、さっそくパソコン
や筆記用具を広げる。
「よし、じゃあ各自の作業をして、一区切りついた頃に、さっきの続
きを始めるか」
「はい!」
各自が、自分に課した「考える」宿題に集中する。
あたり一面は霧状のもやがかかっており、幻想的な雰囲気を醸し出し
ている。
ガラス越しに目の前にある木の大きなハッパには、しずくがキラキラ
と輝く。朝露か、霧か、あるいは両方か。
そのハッパの枝には小鳥が止まっては飛び立ち、を繰り返す。
部屋の中で聞こえる音は、各自が書くペン・紙の音、パソコンを叩く
キーボードの音。
鳩時計がカチカチと小気味よくリズムを刻む。
視界を、何羽もの鳥が横切っては消えて行く。集中してくるとそれも
目に入らなくなる。
鳩時計が何回かその「鳴き声」を奏でた頃、勝が「ふう」と言って、
ペンション据え付けのエスプレッソマシンへと向かう。
それを合図にしたかのように、真子が「ねー、勝さん、一区切りつい
たー?」と声をかける。
「オレは、な」
「はい、私も!」「私もです」
「じゃあ、勝さん、さっきの続き、やろーよやろーよ」
「そうするか、気分転換も兼ねて。真子、珍しくやる気じゃねーか」
「いつもだもん♪ それに、考え方を考えるなんて面白いよ」
勝が座っている一番大きなテーブルに、真子・恵利・望の3人が集ま
ってくる。
「じゃあまずは前号の復習から、な」
恵利:はい、今回のシリーズは「常識を疑え!」ですね。前回は、こ
の2つの事例を見てきました。
○衣料品業界では、チェックのパンツは「小柄な人は子供っぽく見え
るので敬遠する」と言われていたが、そうではなかった
○自販機業界では「お客様は自販機の左上の商品からZ型に目線を動
かす」のが常識だったが、それは全く違った
真子:こういう「業界常識」って、結構あるよね。
望 :それをそのまま鵜呑みにしちゃダメ、ということですよね。そ
れでそのためには「健全な猜疑心」を持つことが必要。
恵利:うん。「健全な猜疑心」というのは、「それは本当か?」と常
に自分に投げかけるココロで……
望 :何でもかんでも疑うのではなく、「証拠があるか」と問うて、
あればそれで納得する、という態度、ですよね。
勝 :そうそう。
恵利:それで、「仮説検証」は「疑問」から始まるので、そのために
も「健全な猜疑心」を持つことが大切。
真子:そもそも「疑問」がなかったら、「検証」する対象がないもん
ね。
勝 :そうだよな。じゃあ、次はその話から。
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◆仮説発見サイクルQED:疑問→検証→発見
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勝 :じゃあ、その「仮説検証サイクル」の話から。
恵利:「仮説検証サイクル」とは、PDS*とかPDCA*みたいな
ものですか?
PDS=Plan, Do, See
PDCA=Plan, Do, Check, Acion
真子:何それ?
恵利:PDS、Plan, Do, Seeなんかは、「考えて、実行して、結果
を見る」ことで改善を続ける、っていうことみたいよ。
Plan:仮説を考える
Do :実行してみる
See :その結果を確かめ、Pに戻る
勝 :あー、仮説検証サイクルっていうとそっちを思い出すか……そ
のPDSとかで言えば、「P」の話。Pって何だっけ?
恵利:PはPlanのPですよね。仮説を考えるというところです。
勝 :一口に「仮説を考える」っていうけど、その「仮説」ってさ、
どうすれば出てくるの? いきなり閃くの?
恵利:……そう言われてみれば、そうですね……Planって言われ
ても、という感じです。
勝 :いきなり仮説を考えろ、って言われて考えられるか?
望 :あ! さきほどの「仮説検証は疑問から始まる!」ですか?
勝 :そう! さすが望ちゃん。仮説をいきなり思いつくところから
始まるんじゃなくて、「疑問」から始まる。
恵利:なるほど、PDSの「P」をどうするのか、きちんと考えない
と仮説が出てきませんね。
勝 :でしょ? PDSなんかは良いフレームワークだと思うけど、
PDSだけで終わると、仮説を考える「方法論」がない。
恵利:そうなると、個人の腕次第、になりますね。
勝 :「仮説」を発見するのはセンスと言えばそうなのかもしれない
けど、ある程度は誰でもできるよな。
真子:だからどうすればいいの?
望 :だから「仮説検証は疑問から始まる」んですよね。「疑問」と
「検証」というのが前回やったところです。
勝 :うん。そしてもう1つ、「検証」できたあとは、どうする?
真子:どうするって……合ってるか間違ってるかを確かめる?
勝 :そりゃ「検証」だろうが。
真子:……?? ヒントくださーい!
勝 :もともと、「仮説検証」って何のためにやるんだ? 真か偽か
を検証して、それで?
真子:あ、「行動する!」
勝 :それはPDSのD、Doだな。Doに行く前にどうするんだ、
ってこと。何に基づいて行動するんだ?
望 :えっと……「学び」とか「気づき」を得るため、ですか?
勝 :そう! 検証したら、その結果が「真」でも「偽」でもいい。
そこから「発見」を得る。PDSのP、Planはこの3つ。
Q:疑問 Question
E:検証 Examination
D:発見 Discovery
勝 :仮説検証サイクルというよりは「仮説発見サイクル」だな。
恵利:やー、カッコイイ! Q.E.D.「証明終了」ですね!
真子:Q.E.Dって、何か意味あるの?
勝 :今、恵利ちゃんが言っただろ。「証明終了」って意味だよ。数
学の証明問題の最後に書くアレだよ、アレ。
真子:知らないもん。何の略? 英語?
勝 :ラテン語かなんかだろ。略は知らねー。
真子:知らないのに威張らないでよ。
勝 :うるせーよ。高校受験の数学の証明問題で、「証明終了」より
「QED」の方が書くのが速いから、こっち使ってた。
真子:あー、やだやだ。中学生で知ってた勝さんはエライですよーだ
勝 :ツッコむところはそこじゃない。QEDの中身にツッコめよ。
恵利:Q.E.D.って漫画もありますよね。TVドラマにもなったは
ずですよ、確か。
勝 :知ってるけど、だからそこじゃない、っつーの。
望 :「Q:疑問」の部分は前回やりましたよね。「健全な猜疑心」
を持って「それは本当か?」と常に「証拠」を探す。
真子:あ、それでその「証拠」が「E:検証」になるんだ!
勝 :そうそう。きちんとした証拠があれば、そこでQED、証明終
了となる。なければ、また探す。
真子:でも、どうやって「証拠」を探すの? テストマーケティング
ってこと?
勝 :確かにテストマーケティングも広い意味ではQEDだけど、そ
こまでいくとPDSの「Do」に近い感じがする。
恵利:テストマーケティングの前に、何をテストするかのP、つまり
QEDを考える、ということですか?
勝 :そう。テストマーケティングは、手持ちのデータとかは見て、
「後はやってみなきゃわからない」っていう状態でやる。
恵利:QEDは、PDSより小さいサイクルですね。
勝 :そうそう。PDSが大きいサイクルなら、QEDはもっと小さ
いサイクル。仮説検証の中の、仮説「発見」がQED。
真子:じゃあ、例えば検証はどうやってやるの?
勝 :手持ちのデータを確認するとか。曜日別の客数・客単価とかあ
るだろ? あとは、家計調査みたいな政府の公開資料とかさ。
真子:まずはすぐできるもので、ってこと?
勝 :そういうこと。
恵利:最後の「発見」は、例えばどんなことですか?
勝 :わかったこと全部。例えば……
・その仮説は正しい→ それ自体が「発見」 → Doに行く
・その仮説は誤り → それ自体が「発見」。そしてそこ
から「なぜ? どこが間違っていた?」と新たな「疑問」が出る
・商品A,B,CのうちでBが選ばれた → Do:Bをテストマ
ーケティングしてみよう
恵利:えっと……ここ次第でPDSのPの次、Doに行くかどうかが
決まる??
勝 :そうそう、そういうこと。「証明終了」と言えるくらいに確信
があれば、Doに進む。そうでなければまた「検証」。
真子:始まりは「Q:疑問」なんだねー。
勝 :そうだな。「ソレホント? こうじゃないの?」みたいな疑
問。そもそも疑問でなければ、検証する必要がないからな。
真子:きゃはは、そりゃそーだねー。ね、ね、逆に言えば、疑問がな
かったら、発見もない、ってことだよね。
勝 :いいこと言うじゃん。そうそう、「疑問なくして発見なし」。
新しい疑問が浮かべば、新しい発見があるかもしれない。
望 :なるほど、だから「常識を疑え!」なんですね。
勝 :うん。同じ「常識」にそって動いたら、同じようなアイディア
とか同じような行動しか取らないでしょ。差別化できない。
恵利:なるほど。「差別化は新しい疑問」から生まれる、か……
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◆「検証」の基本は、お客様のココロ
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勝 :多分、これも「新しい疑問」から生まれた事例だと思う。ちょ
っと前の話だけど、考え方自体は別に同じだから。
勝が、ノートパソコンの画面を3人に向ける。
−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−
◇『サービス工学研究センター副センター長 内藤耕氏』
『同じように、作業効率が向上したことで、売り上げを伸ばしたの
が首都圏域でクリーニング店を多店舗展開する喜久屋である。喜久
屋では、顧客が商品の引き取り日を指定する。もし顧客がその日に
受け取れば料金を割引する。これは、一般のクリーニング店が行う
商品の翌日渡しのサービスが、必ずしも顧客が求めていないことを
発見したためである』
◇『このようにクリーニング店の客数は季節や週、日によって大きく
変動する。もし多くのクリーニング店のように、商品を翌日に返却
しようとすれば、洗濯工場は日々の来店客数に合わせて稼働しなけ
ればならない。また、顧客がいつ受け取りに来るか、店舗で正確に
把握できないから、商品は店舗で保管される』
◇『しかし、喜久屋の方法でサービスを提供すれば、その日に必ずし
も洗濯しなくてもよい衣類を持つことができ、結果として工場での
洗濯作業の平準化を実現した。また、顧客の予定来店日に合わせ商
品を店舗に運搬すればよく、商品の主要な保管場所が、都心にある
店舗ではなく、郊外の洗濯工場となった。この結果、店舗での商品
在庫量が減り、そこでの作業効率が改善し、店舗の従業員はより多
くの時間を接客に割けるようになり、売り上げの向上につながった
のである』
2010/11/14, 日経MJ P.9
−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−
真子:なるほどねー、「翌日渡し」は一般的だけど、必ずしもお客様
が求めているわけじゃなかったんだ。
恵利:多分、「お客様は早く返却してほしいはずだ」っていう暗黙の
前提があったんでしょうね。
勝 :それそれ。「翌日渡しが当たり前」という、「業界常識」に、
「Q:疑問」をもったわけだ。
真子:まあ、確かに「早い方がいいに決まってる」と言われれば、そ
う思っちゃうよね。
勝 :これさ、アンケートとかされたら「早い方がいい」って答える
に決まってるけど、実際に翌日取りに行くか?
望 :実際は、毎日クリーニング屋さんに行くのはかえって大変です
よね。私はむしろ行く回数を減らしたいです。
真子:週末にまとめて出して、まとめて受け取って、っていう方が、
私は便利だな。平日は行けないし。
勝 :じゃあ、さっきのQEDで考えてみようぜ。「Q:疑問」は、
何だ?
真子:「お客様は本当に翌日に戻して欲しいのか?」 クリーニング
店はみんなそうしているが、本当に正しいのか?
勝 :そうだよな。その「E:検証」の方法は何がある? ここから
先は推測だけどさ。
望 :お客様に聞いてみる、でしょうか? アンケートとか?
勝 :多分、だけど、もっとカンタンかつ確実な検証方法がある。
望 :え? 何だろう……?
望が口もとに人差し指をあて、小首をかしげる。その愛らしい様子を
みた勝の顔が少し緩む。
真子:ねー望ちゃん、そーゆーあざといの、やめなよー。ずるいー。
望 :え? な、なに? どーしたの?
勝 :オマエは何の話してんだよ。ヒント。多分、社内データで確認
できるんじゃないか?
恵利:あ、そうか、「本当にお客様は翌日に取りに来ているのか」を
確認すればいいんですね。伝票とかが残っているでしょうから
望 :あ、そっか。翌日に取りに来たお客様の比率を調べればいいん
ですね。それなら間違いないデータです。
勝 :そうそう。そういうのが、典型的な「E:検証」。本当か、と
思ったら、データを洗ってみればいい。
真子:それで、多くのお客様が本当に翌日に取りにいらしてたら??
勝 :「お客様は翌日渡しを求めている」。QED、証明終了。
真子:あ、そっか。いずれにしても「Q:疑問」は解決したのか。
恵利:それで、多分多くのお客様は、数日後に取りにいらしている、
というデータがあったんでしょうね?
勝 :多分、ね。そうすると、「翌日渡し」なのに取りに来ない衣服
が店にたくさん貯まって……
恵利:スペースが必要ですよね。家賃かかります。
望 :それに、多いほど店員さんが探すのが大変そう。
真子:だったら、お客様が「3日後に欲しい」んだったら、2日後に
店に持ってくればいい!
勝 :それが「D:発見」だな。
真子:なるほどねー。テストマーケティングはその後、ってことだ。
勝 :そうそう。そこまで確信が持てたらPDSのP、Planが終
わり。次はPDSの「D」、Doへと進めばいい。
恵利:「常識を疑え」というテーマで言えば、「業界常識」と「お客
様ニーズ」は違った、ということですよね。
勝 :うん。「E:検証」するのは、基本的には「お客様」の側の話
になるね。
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◆「バイヤー」の意見は正しいか?
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勝 :すごい極端な言い方をすれば、お客様の声以外は全て疑ってか
かった方がいい。「ルクエ」って知ってるだろ?
真子:うん、シリコン調理器だよね。大ヒット。
勝 :それなんだけどさ、最初に営業に行ったときは、バイヤーに軒
並み断られたんだってさ。
−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−
◇『「おかげでテニスをする時間ができたわ」。毎日の料理に追われ
る主婦からこんな言葉を引き出したルクエ(スペイン)の調理器具
「スチームケース」(基本価格3990円)が、日本での発売から
5年を迎えた。肉や魚、野菜と調味料を入れ電子レンジで熱するだ
けですむ。累計180万個を販売し食卓の風景を一変させた「魔法
の道具」に、一段と磨きがかかる』
◇『ヒット商品となるまでには長い道のりがあった。日本でルクエの
代理店を務めるコラムジャパンは、かつて浴室用品の小物やカーテ
ンを扱っていた』
◇『01年にルクエの営業担当者と出会った増田社長は、新素材「プ
ラチナシリコーン」商品の提案を受ける。260度〜マイナス60
度の熱に耐えられる素材で、営業担当者は日本の雑貨店のバイヤー
10人にも売り込んだが、拒否されたという。だが増田社長は日系
企業で金属の新素材を売り込んだ経験から、伝え方次第で売れると
直感した』
2013/04/29 日経MJ P.10
−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−
恵利:バイヤー10人に断られた、ってキツいよね。
真子:うーーん……まあ確かに、初めてルクエ見たら、「これは大ヒ
ットする!」って思うかどうかは難しいかな……
恵利:でも10人のバイヤーが断ったのに、「伝え方次第で売れる」
って思ったのはすごいよね。
望 :うん。
勝 :どう「E:検証」したかはさておき、バイヤーのこれは売れな
い、という意見に「それは本当か?」と……
望 :「Q:疑問」をもったところが大事ですね。バイヤーの意見は
大事かもしれないけど、バイヤー=消費者ではないですから。
真子:まあ、一流バイヤーだって外すことはあるよね……神様じゃな
いんだから。
恵利:エンドユーザー以外の意見は、「それは本当か?」っていう
「Q:疑問」を投げかけた方がいい、ということですね。
勝 :全部じゃないけど、疑問を投げかける余地はあるね。バイヤー
が売れないって言ったのに売れた商品は結構あるからさ。
恵利:バイヤーに「売れない」って言われた商品を「売れる」と思っ
て諦めなかったのは、ホントすごいと思います。
真子:結局、エンドユーザーが買ってくれることがわかれば、バイヤ
ーだって仕入れてくれるわけだもんね。
勝 :そういうことだ。
「ふう……」
勝が息を吐いて、椅子に寄りかかる。真子達3人は、自分のノートに
メモをまとめている。
自分の「思考方法」の問題だけに、色々と考えるところもあるのだろ
う、3人のその書く手が止まらない。
勝が網戸越しに空をみると、外は真っ白なもやが覆っている。
足元にはもう冷気が漂い、素足だと寒いくらいだ。
今までは気づかなかったが、キッチンからは包丁が刻む小気味よいリ
ズムが聞こえてくる。続いてギュルギュルギュル、というミキサーの
音。
オーナーがダイニングテーブルにキャンドルをセットし、小さな火が
灯る。
「あれ、もうご飯?」
「はい、お食事のお時間です」
「うわ、こんな時間か……外が明るいから気づかなかった」
「きゃーー、ご飯だご飯だ!」
「おなか減ったねー」
他の宿泊客も集まり、ダイニングが騒がしくなってくる。オーナーの
ぱたぱたというスリッパの音が、テーブルとテーブルをつなぐ線のよ
うに動き回る。
赤ちゃんの泣き声も聞こえてきて、一気に「夏のペンション」らしさ
が増す。
テーブルには、早くも1皿目が並び始めた。
真子達も我先にと席につくと、オーナーの説明が始まる。
「ソバのお稲荷さんにぼたこしょうをあえた味噌で味付けしました」
オーナーが一品一品丁寧に説明していく。
「ソバのお稲荷さん? 笹の葉に載ってるんだ!」
「はい、私の父がソバをうつんですよ」
「へ? オーナーのお父さんがソバうち? 初めて聞いた……」
「これは、ジュンサイの冷たい茶碗蒸しです」
「へー」
「こちらはブリの刺身、トマトソースでどうぞ」
「お、お刺身にトマトソース? どんな味なのかなー」
「梅酒のソーダを食前の飲み物としてどうぞ」
オーナーが立ち去り、各テーブルで同じ説明を繰り返す。
「いっただきまーす!」
「豪華な前菜だよな」
「この茶碗蒸し、すっごいダシが効いてるねー」
「この刺身にトマトソース、すっごく合うぞ」
「どれどれ……わ、おいし!」
「トマトソースにガーリックチップが入ってますね」
「うん、すごくガーリック効いてるな。刺身、トマト、ガーリックっ
て、メチャクチャな組み合わせのように見えて、すっごく合うな」
回りのテーブルからも「これは創作料理か」という声が聞こえる。
「一皿目からおいしーねー。なんかさー、自分たちが料理を出す仕事
してるとさー、出してもらえるのが嬉しいよね」
「ホントだねー」
「しかし、刺身にトマトソースがこんなにうまいとはな……何でもや
ってみないとわからないもんだよなあ……
「ホントだー。『常識を疑え』っていうテーマにぴったり♪」
(次号に続きます)
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◆今日のまとめ
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●仮説発見サイクルは、QED。Q:疑問→E:検証→D:発見、と
いう順番で仮説を考えよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。
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▼今日の日記▲
先週はお盆休みでしたね。色々なところに行かれたり、会社でお土産
が配られたりしたのではないでしょうか?
私は、ひょんなご縁で「越後の笹飴」をいただきました。
そうです! 夏目漱石の「坊ちゃん」です。
小学校か中学校か覚えていませんが、教科書で読んだ記憶があります
が、清が「越後の笹飴が食べたい」と言った、アレです。それを読ん
で以来ずっと覚えていて「どんな味なんだろう。食べたいなあ……」
という念願がついに叶いました!
本当に笹にくるんである飴なんですね。笹の風味がします。水飴が原
料で、歯にくっつくので「噛まないでください」という表記が。
上あごにくっつけて食べるようなのですが、それが難しく、歯にすご
くくっつきます。
素朴な味で、確かに昔の人がこれを食べたらおいしいだろうな、と思
いました。
それが今でも売っているんですね。もちろん「坊ちゃん」をウリにし
て。
人生における1つの心残りというと大げさですが、「いつかは……」
が1つ叶った夏でした。
●今日のiPod Tune:夏に似合うホットな歌 2014
お盆! 夏休み!
ということで、恒例のこのシリーズ!
今週はお盆休み。帰省ラッシュ、Uターンラッシュ、という言葉がニ
ュースを賑わせるようになってきました。高速も混んでるようです。
ぜひ安全なドライブを、
ということで、今日の曲は……
○BEAT by 河村隆一
1997年7月リリース、オリコン4位まで上がったヒット曲。
POPでキャッチーなメロディに、彼の甘いボーカル。自身の作詞・
作曲ですが、これは、彼だから歌える曲、という感じがしますね。
曲を聴いていると、空いている海岸で美男美女が戯れているという、
ありそうでないシーンが目に浮かびます。
夏、通勤の途中でそんな気分になりたいときに聴きたい1曲♪
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
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ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
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BtoBマーケティング戦略の標準テキスト
日本能率協会マネジメントセンター
http://ow.ly/7Wvdq
●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/check.htm
●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
http://www.sandt.co.jp/kotowaza.htm
────────< マーケティングの思考法 >────────
●「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
日本能率協会マネジメントセンター
右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm
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◆次号予告:夏休み特別号:常識を疑え! 3
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●次回は、「疑問」を投げかける対象を広げていきます。やっぱり、
○○でさえ疑ってかからないと……
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
▼彼氏・彼女・家族との、知的な話題づくりに!
▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!
▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!
売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……
〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
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「インド人を右に」とレスするたびに右に動いていくスレ
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/30(土) 14:05:17.71
ID:yDRFQxCW0┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓┃ ┃┣
11 年前
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