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2013年8月16日金曜日

売れたま!特別編Vol.240 2013/08/15 夏休み特別号:BASiCSで商品開発 3

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
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━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.240(累計1042) 2013/08/15
購読者:28,616 (まぐまぐ:16,225 メルマ!:942 めろんぱん:11,449)

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 ■■■__夏休み特別号:BASiCSで商品開発 3__■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「ニーズ発想」の最初は、「調査」。「行動」することを前提とし
 た調査にしよう。


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◆夏休み特別号! BASiCSで商品開発!
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夏真っ盛り! 恒例の夏休み特別号は、あの本の登場人物に……

「新人OL〜シリーズ」の登場人物
・売多真子:イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」社長
・売多勝 :売多真子の親戚 コンサルティング会社経営
・上原望 :売多真子の同僚「そーれ・しちりあーの」役員

「経営戦略虎の巻 CD」付属小説の登場人物
・松井恵利:売多真子の友人 果物ジュース・ケーキショップ店長


○入門書:「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」佐藤義典
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売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!

○戦略書:「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典
http://ow.ly/6s63d
真子が社長になり競合と戦う戦略構築〜実行プロセスを、物語で体感



●「BASiCSで商品開発」編

今回の特集は、「商品開発」! 多くの方が悩むところです。

・どんな製品を作れば売れるのか?
・どんなサービスを企画すれば人気が出るのか?

ポイントはもちろん、BASiCS!

このシリーズはどのくらいの長さになるかは、現時点ではわかりませ
ん。気長にお楽しみください。



●ここまでのあらすじ

イタリアンレストラン「そーれ・しちりあーの」の社長「売多真子」
(うれた・まこ)と役員「上原望」(うえはら・のぞみ)、真子の友
人「松井恵利」(まつい・えり)は、真子の親戚にしてコンサルタン
トの「売多勝」(うれた・まさる)の「1人合宿」についてきた。

8月の初旬、4人の向かう先は、高原のペンション。4人は長野行き
の新幹線に乗り込み、4人席で早速勝の「講義」が始まった。



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◆まずは、前号の復習から!
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新幹線の向かい合う2人席で、4人の会話が続く。

「ところで、真子たちの会社って、役員2人が同時に休んでも大丈夫
 なのか? 真子と望ちゃんの2人が、さ」
「うーん、どうなんだろーね。望ちゃん、どうなの?」
「わ、私に振るの? 大丈夫なんじゃないかな? 基本的には現場で
 回せるようになってるし」
「まーそうか。社長がいないと回らない会社だと、組織が大きくなら
 ないしな」
「まー、私なんかいてもいなくてもみんな関係ないよ、きゃははは」
「……」
「……」
「な、なによ、そんなことないよ、って言ってよ、望ちゃん」
「そ、そんなことないよ、真子ちゃんがいないと……」
「真子ちゃんがいないと……?」
「さ、さあ……?」
「あはははは」
「な、何よ! ふーんだ、望ちゃんの意地悪」
「冗談よ。そーれ・しちりあーのは真子ちゃんでもってる会社じゃな
 いの。仕事はともかく、真子ちゃんは精神的な支柱よ」
「の、望ちゃん、あのね、仕事はともかく、ってどういうこと?」
「あ、も、もちろん仕事も真子ちゃんがいないと困るわ……」
「なるほどな……いや、真子の仕事ぶりがよくわかるな」
「あ、あのね……」
「まあいいや、再開しよう」


勝 :じゃあ前号の復習からね。

「はい」 すかさず恵利がノートを開く。


○商品開発のプロセス ITEST

 Idea Generation アイディア出し
 Test Marketing テストマーケティング
 Engineering   生産方法確立・生産
 Selling     上市・販売
 Tuning     市場の反応を見て改善


恵利:今はこの最初の「I:アイディア出し」をやっています。


○I:「アイディア発想」の3つの源泉

1)ニーズ発想 → 「顧客」からの発想

・顧客が元々欲しいものだから成功の確率は高い
・逆に、大きなリターンは期待できない


2)シーズ発想 → 「自社」からの発想

・顧客が欲しいかどうかはわからないから成功の確率は低い。
・当たれば大きなリターンが期待できる


3)他業界発想  →「他業界」からの発想

・成功すれば「革新的」だが、自業種では初めてなので大変
・他業種に既に成功事例があるので、それが参考になる


勝 :OK。今回は、「1)ニーズ発想」から見ていこうか。



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◆I:アイディア出し 1)ニーズ発想 「市場調査」
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勝 :「1)ニーズ発想」の最初は、やっぱり「市場調査」

真子:え? そ、そうなの?

勝 :そりゃそうだろ。基本中の基本だからな。何で?

真子:だ、だって、私が最初に勝さんに教えてもらったとき……

勝 :え?

真子:私の企画見せたとき、「外食市場の動向」とかじゃダメだ、っ
   て言ってたのにぃ……*

*新人OL、つぶれかけの会社をまかされる P.22

勝 :そりゃだめだろ。「外食市場の動向」と「イタリアンレストラ
   ンの企画」とどう関係するんだよ。遠すぎるだろ。

真子:え? 

望 :あのとき、真子ちゃん、お店で「調査」したよね? ほら、来
   店客の方にアンケート配って、清川さんが怒って……ね?*

*同 P.54

真子:あ、うん、やったけど……あのときは望ちゃんが手伝ってくれ
   たおかげで……

望 :ううん、そういうことじゃなくて、真子ちゃん、ちゃんと「市
   場調査」してたなあ、と思って。

真子:え? え?

望 :店のお客様へのアンケート、って立派な「調査」ですよね?

勝 :もちろん。その店を立て直すなら「外食市場の動向」じゃなく
   てその店のお客様の意見を訊かないとな。

真子:あ、ああ! なるほど、私、ちゃんと「調査」してたんだ。

勝 :「調査」をすればいいってもんじゃない。店1つの立て直しの
   ときに「外食市場の動向」とか言っても、「遠すぎる」んだ。

恵利:あ、「自分が解決しようとしている課題」から遠すぎる、とい
   うことですね?

勝 :そうそう。

真子:じゃあ、来店客の方へのアンケート調査は良かったんだ?

勝 :それこそが「その店の立て直し」に直結するだろうが。その店
   に来てる人のニーズがわかるんだからさ。

望 :なるほど、真子ちゃんが店にきて、来店客に調査したのは、店
   の立て直しに直結する、つまり「課題解決」につながる……

恵利:調査はあくまで「課題解決」のため、ということですね。始め
   に目的ありき、と……。

勝 :そういうこと。さすが望ちゃん、恵利ちゃん。真子、いいか?

真子:えっと……要は「自分が売れるようになる調査」じゃないと、
   意味が無いってこと?

勝 :平たく言えばそうなるな。

真子:なんだー、「カダイカイケツ」なんて言わないで、そう言って
   くれればいいのにぃ。

勝 :はいはい、真子のアタマに合わせられないオレが悪かった。



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◆「調査」による仮説検証
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勝 :で、アサヒビールのスーパードライって知ってるよな?

真子:もちろん。大ヒット商品だよね。

勝 :あの味は当時としては斬新だったけど、その背後には「市場調
   査」による裏付けがあったみたいだぜ。

望 :そ、そうなんですか?

勝 :うん。これを読んで。


勝が膝の上のノートパソコンを操作し、3人の女性陣に向ける。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇「20%以上あったシェアが10%以下にまで落ち込み、「夕日ビ
 ール」と皮肉られたアサヒビールは、樋口氏の前任の村井勉氏が社
 長だった80年代半ばから経営体質の改善に動き出していた。供給
 者目線のビジネスモデルを変える目的で、当時としては珍しいCI
 (コーポレートアイデンティティー)委員会を85年に立ち上げた
 り、5千人の消費者調査を実施したりした」


◇「ここで重要なのがマーケティングの方向性を示す仮説を立てたこ
 とだろう。顧客が世代交代し「戦後のベビーブーマーが消費の中心
 になる。うまさの判断基準も変わる」と判断。調査などから「苦く
 て重いビールから、のどごしの良いすっきりした味のビールへ」と
 の大胆な結論を導き出し、86年の生ビール「コク・キレ」、87
 年のスーパードライ開発へとつながった」


2012/11/19 日経MJ P.3

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


真子:へー、スーパードライを開発したときって、「5,000人調
   査」なんてやったんだ。

勝 :現代から見れば当たり前って感じはするけど、多分当時はそこ
   までやるのは希だったんじゃないかな。

望 :なぜでしょうか?

勝 :多分「ビールはこういうもんだ」っていう先入観があったから
   だと思う。多分、アサヒの社内にすら、ね。

恵利:なるほど、そういう「先入観」をくつがえすためには、大規模
   な調査が必要だったのかもしれませんね。

勝 :そうなんだと思う。あと、仮説がきちんとある。顧客が世代交
   代するから、味の好みが変わる。

真子:1985年ってどんな感じだったんだろうね?

勝 :1985年当時の人口分布はこうなってる。

www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z14.htm


真子:えっと……30代後半におっきな「山」があるね。

勝 :それそれ。ここでいう「ベビーブーマー」は、多分当時36〜
   38歳の人たちのことだろうな。

恵利:「苦くて重いビール」だと、この人たちには合わない、という
   仮説を立てた、ということですね。

真子:でも、市場調査で「味の好み」なんてわかるのかな?

勝 :実際の味はともかく、どんなビールが飲みたいか、とかはわか
   るだろ。当のアサヒビールによれば、こういうことらしいぞ。


再び勝がパソコンを開く。ネットにつなげたようだ。アサヒビールの
コーポレートサイトからリンクをたどった画面を3人に見せた。


−−−−−−−−−−−< HP引用 >−−−−−−−−−−−−

スーパードライ開発ストーリー

当時、ビールは当然「苦く重い」ものとされていました。また、いわ
ゆる目かくしテストの結果から「消費者にはビールの味はわからな
い」といった、今では考えられないような"常識"が業界を支配して
いました。

そんな中、私たちはまったく新しい2つの仮説をたてました。「お客
さまはビールの味の違いがわかる」そして「うまさの判断基準は時代
とともに変化する」でした。

私たちは2つの仮説を証明するとともに、お客さまが本当に求めてい
らっしゃる味を調べるために東京と大阪それぞれ2回ずつ、合計
5,000人にも及ぶ大がかりな嗜好調査を実施しました。


「もっとスッキリした、爽快なビールが飲みたい!」「何杯でも飲め
るビールがいい!」「どんな料理にもよく合うビールがほしい!」
5,000人調査の結果からは、こんな声がはっきりと聞こえてきま
した。「重くて苦いビール」から「喉ごしのよい、軽快ですっきりと
した味わいのビール」へ。お客さまのニーズが大きく変化しつつある
ことを確信し、私たちは、新しいビールの「味」のコンセプトを「辛
口・生ビール」と決定しました。


www.asahibeer.co.jp/superdry/philosophy/#/philosophy_05/
www.asahibeer.co.jp/superdry/philosophy/img/scene/bg_s5-2.jpg

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


恵利:「味の好みは変わっている」っていう仮説があったんですね。

望 :ということは、「きっと味の好みは変わっているはずだ」と思
   いながら調査をしたんですね。

勝 :そうだろうな。それを「仮説」という。

真子:じゃーさー、こんな大がかりな調査なんかしなくてもいいのに
   ねー。そういう味の商品を出してみればいーじゃん。

勝 :いや、商品開発の方向性を大がかりに変えようとしていたんだ
   ろうな。となると、「カン」「思い込み」に頼るのは危険。

望 :そういうときには調査が必要なんですね。

勝 :「ビールは苦いもんだ」っていう思い込みがあったと考えられ
   る社内の説得も含めて、ね。「業界常識」を破るのは大変。

真子:なるほど……社内の説得か……

勝 :オマエだって苦労しただろうが。社長が言ったからって、従業
   員がみんな納得して従うわけじゃないんだぞ。

真子:きゃははは、確かにー。



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◆「行動」に落ちない「調査」は意味が無い
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勝 :アサヒの何が偉いって、そのあと、その調査に従った商品をた
   て続けに出したこと。

恵利:それって当たり前じゃないんですか?

勝 :全然。世の中の多くの調査は、報告を聞いて、「ふーん」で終
   わりじゃないかな。

望 :そ、そうなんですか!?

勝 :うん。調査をしても、何も「行動」に落ちてこない。

望 :そういうものなんですね……何のために調査するんですか?

勝 :さあ……? 

恵利:では、どうすれば?

勝 :調査の前に、「この調査結果がYesならこうする、Noなら
   ああする」と「行動」まで決めておく。

真子:そっか……確かになかなかそこまではできないよね。

勝 :そうなんだけど、でもホントはそこまで決めておかないと、何
   を調査すればいいかがわからないはずなんだけどな。

真子:な、なんで?

勝 :だって、「その後何をするのか」がわからなければ、「何を聞
   けばいいのか」がわからないはずだろ?

望 :でも実際には、そういう調査ばかりではない、ということなん
   ですよね?

勝 :実際には「これがわかればいーな。あれもわかればいーなー」
   みたいな感じで、「総花的」な質問ばっかりになる。

恵利:それだと、「ふーん。わかった」で終わってしまうんですね。

勝 :そうそう。オレ自身の反省も含めて、だけど。



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◆「調査設計」だけではなく「行動設計」をしよう!
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真子:なんでそうなっちゃうのかな?

勝 :望ちゃん、新メニュー開発するときってどんな調査をしたくな
   る? 何を聞きたい?

望 :お客様に、「どんなメニューがあったらいいですか?」って聞
   きたくなります。

勝 :そうそう、そうなるよな。

望 :だ、ダメですか?

勝 :だってそれじゃ、「すっごく甘いペペロンチーノが欲しい」と
   か出てきたらどうするの? そのまま作るの?

望 :そ、それは……ちょっとありえないかと……

勝 :ほら、行動に落ちないじゃん。それが貴重な貴重な「お客様の
   ご意見」じゃないの?何のために「調査」したの?

望 :で、でもさすがに「甘いペペロンチーノ」は……

勝 :だから、そういう答えが出てきちゃうような「調査設計」が問
   題なんだってば。

恵利:あ……そういう答えを許すようなやり方がまずいんですね。

勝 :そう。「調査から行動への流れ」を考えてないから、そういう
   質問になっちゃう。

恵利:「調査から行動への流れ」っていうのは?

勝 :んーとね、こんなイメージ。


勝が恵利のノートをひょいと取り上げると、図を描いた。


  調査の回答   その後の行動
    A   →  こうする
    B   →  そうする
    C   →  ああする


真子:へー、こんな単純なんだ。

勝 :そうだな。でもみんなやらないけどな。「調査設計」まではき
   ちんとするけど「行動設計」まではまあやらないな。

望 :は、はい、調査の後で何をするか、って考えてないと、せっか
   くの調査が活かされませんね。

真子:でも、「その後の行動」が決まってなかったら「何を聞くか」
   がわからないんじゃないの?

勝 :そのはずなんだけどさ。なぜか調査できちゃうんだよな。

真子:なんでそうなっちゃうんですか?

勝 :商品開発のときの調査は「何がわかればいいのかわからない」
   って感じになって「広く知りたい」ってなるんじゃないか?

望 :は、はい……その気持ちはわかります。でもそれじゃダメなん
   ですね。

勝 :ダメじゃない。お金と時間に余裕があるときは、それでもいい
   よ。まずは一般的な知識を得たい、とか。

真子:ちゃんと商品開発につなげたいときは?

勝 :アサヒみたいに「こういう回答が出るはず。それが確認できた
   らこうする。だからこれを確認する」っていう流れを作る。

恵利:あ、さっきの「調査の回答」→「その後の行動」みたいな「流
   れ」ということですね。

勝 :うん。「行動設計」をしてから「調査設計」をするってこと。

恵利:となると、「そもそも何がしたいの?」ということをあらかじ
   め考えてないとダメですよね?

勝 :そう! アサヒビールは「新しい世代には、苦く重いビールで
   はないものが売れるのではないか?」と考えたんだろうな。

真子:あ、そういうビールを出したかったんだ!

勝 :そうだな。「事実の仮説」だけじゃなくて「行動の仮説」を考
   えたんだよな。「こうすれば売れるんじゃん?」っていう。

望 :あ! わかりました! お客様に「どんなメニューがあったら
   いいですか?」と訊くのは、「行動の仮説」がない!

勝 :そういうこと。そんな質問は売り手としての「思考の放棄」。

望 :はい……そこがダメだったんですね……

勝 :「行動の仮説」はさ、「お客様への提案の仮説」なんだよね。
   「こういうのはお客様に喜ばれるんじゃないか?」っていう。

恵利:えっと、その「行動の仮説」を検証するものが「事実の仮説」
   ということですよね?

勝 :さすがだねー。「事実がこうだったら、行動をこうする」って
   ことだから、そういうこと。

真子:でも、その「行動の仮説」はどうやって思いつくんだろう? 
   「こうすれば売れるんじゃん」っていうのは?

勝 :ど、どうしたんだ、真子……鋭いじゃないか……

真子:へっへー。

勝 :じゃあそれを考えていくか。


「でもその前にさ、ハラ減ってないか? いい時間だぜ」
「え? あ、もうこんな時間!」
「あ……ホントだ、時間がたつのが早いですね」
「恵利ちゃん、望ちゃんとの楽しい時間は、過ぎるのが早いなー」
「はいはい、じゃ、お昼ご飯にしよー!」


めいめいが自分で用意した昼食をカバンから取り出す。


「あ、勝さん、いつものワイルドな玄米おにぎりだ、きゃははは」
「おー、今日はカレーのふりかけだぜ」
「か、カレーのふりかけなんてあるんだ?」
「結構いけるぜ。真子も玄米おにぎり食うか?」
「遠慮しまーす。あれ、恵利は今日は駅弁?」
「そうなの。パウンドケーキ作ってたら、作る時間がなくって……」
「あ……恵利ちゃん、いつもケーキありがと」
「い、いえ、喜んでいただければ……」
「望ちゃんは……クラブサンドか……手間かかってそうだ……って、
 すごい量だな。望ちゃんってそんなに大食いだっけ?」
「いえ、あの……ま、勝さん……よろしかったら、いかがですか?」
「え? い、いーの?」
「は、はい……かなり多めに作って来ましたので……」
「やったー! おいしそうだ。おにぎりのおかずになるな」
「あの、勝さんの好みもわかってますから……いつものご注文から」
「あー何それ、望ちゃん、最初っからそのつもりで……ずるい!」
「ず、ずるいって……そんな……」
「は? 何だよ、真子の駅弁だってうまそうじゃねーかよ」
「へ? そ、そうだけど……ま、勝さん、真子のも、た、食べる?」
「は? オマエは、それだけじゃ足りないだろ」
「な、何よ、もー」
「いーから食おうぜ。じゃーいっただきまーす」
「いただきまーす」


真剣なディスカッションから打って変わって、騒ぐ子供連れに勝ると
も劣らない一行の昼食時間が始まった。

ビルばかりだった車窓の景色には、いつしか緑が増えてきていた。


(次号に続く)



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◆今日のまとめ
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●「ニーズ発想」の最初は、「調査」。調査設計に加えて、「行動設
 計」をして、調査を行動に落とし込もう!


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▼今日の日記▲

今行っているジムは、大型モニタでスポーツ中継をしています。ラン
ニングマシンやエアロバイクの前にモニタがいくつかあって、色々な
スポーツ番組をやっていますから結構気が紛れていいです。

で……巨人戦がG+などでやっているときには、見せてくれます!!

今日もちょっと走ったりエアロバイクをこいだりしたのですが、巨人
戦を見ながらですと、30分があっという間です。走っている間など
はどうせ何もできないので、野球が楽しめます。

こうなると、ジムに行く気がでるというか、自分の脚をジムに向ける
理由になります。

物事を継続させるには、こういうちょっとした「動機付け」も大事で
すよね。



●今日のiPod Tune:Hot Summer Song 2013

夏と言えば海! 休みの間に海に行かれた方も多いのでは? 目の前
の海は、世界中の「七つの海」とつながってるんだなあ、なんて思っ
てしまいますよね。


ということで、今日の1曲は


○SEVEN SEAS by 相川七瀬

2000年8月リリース、彼女の17枚目のシングル。相川七瀬さん
の曲を紹介するのは初めてです。私にしては、とっても「最近」の、
「新しい」曲ですね(そりゃ、1980sと比べれば……)。

彼女は「ロックミュージシャン」と言って良いと思いますが、この曲
もロック調……ですが、サビの美しさは出色。確かCMソングでも、
このサビの部分が使われていたと思います。

引退したら、七つの海をクルーズ旅行なんてしてみたいですね。



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●次回も引き続き「ニーズ発想」について考えていきましょう!


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