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2013年6月18日火曜日

売れたま!戦略編Vol.278 2013/06/17 焼き鳥サービス:価値ギャップを利用したあげる商品

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.278(累計1025) 2013/06/17
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 ■■_焼き鳥サービス:価値ギャップを利用したあげる商品_■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●価値ギャップ+プロダクトフローの「儲かる販促」を考えよう!


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◆誕生日に年の数だけ焼き鳥をサービスする居酒屋
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●50歳の誕生日には、50本の焼き鳥をプレゼント!

居酒屋は今はどの店も集客には色々と工夫をしているかと思いますが
こんなユニークな仕掛けで人気の店もあります。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇「イベントを仕掛ける飲食店が増えている。常連客の囲い込みと新
 規客の獲得という一石二鳥を狙えるためだ」


◇「誕生日イベントを開催するのが、東京・銀座の中心から外れたビ
 ルの地下1階にある居酒屋「くふ楽 銀座店」。誕生日を迎えるお
 客に、歳の数だけ焼き鳥を無料でプレゼントする。シンプルなサー
 ビスだが、50歳なら50本という見た目の派手さに、お客は喜
 ぶ。これがきっかけで宴会の予約がいくつも入っている。「近隣の
 会社員に店を知ってもらい、会社や部署単位の飲み会を獲得するき
 っかけになっている」と大久保裕貴店長は話す」


◇「実は「コスト面でもオペレーション面でも大した負担にはならな
 い」。まずはコスト面。提供する焼き鳥の種類は18種だが、原価
 は安ければ1本あたり約10円、一番高くて約40円で、平均すれ
 ば20円強にすぎない。50本サービスしても負担は1000円程
 度で済むので、金額的には1000円値引きや20%割引といった
 集客策とさほど変わらない」


◇「オペレーション面でも、数十本の焼き鳥を焼くこと自体は、ピー
 ク時にはいつも行っている。しかも2日前までに予約してもらう仕
 組みなので、スタッフの確保や仕込みの対応もしやすい。複数組が
 同時に開催するなどの特別な場合を除けば、オペレーションの混乱
 はまず起きない」


2013/04/26 日経MJ P.15

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


50歳の誕生日に50本のろうそく……でなくて、「焼き鳥50本」
というのが素晴らしいですね。

10人で行っても1人5本、4人で行ったら1人12.5本ですから
結構食べられます。満足度の高い、効果的なサービスですね。


しかも、原価も手間もそれほどかからないなんて……素晴らしい販促
ではありませんか?



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◆「価値ギャップ」
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●「価値ギャップ」を活用した「価値」の高い販促

この「焼き鳥50本サービス」は、「価値ギャップ」を利用した典型
例の1つです。


価値ギャップという言葉は、最近だと2012年5月14日号に登場
しました。売れたま!発行初期(=10年前)から唱え続けている、
使いやすいコンセプトです。


・売り手にとって価値が低い:原価が安い、手間がかからない
・買い手にとって価値が高い:お金がかかる、自分ではできない

という場合、売り手と買い手の間に「価値のギャップ」が存在するこ
とになります。

この2つの条件を満たす(つまり価値ギャップがある)場合、売り手
にも買い手にもメリットがある販促などがやりやすくなります。



●原価は1000円、嬉しさ数倍の「焼き鳥50本サービス」

「焼き鳥50本無料サービス」

は、まさにこの「価値ギャップ」を活かした販促ですね。

50本という「数」のインパクトはすごいですし、何回にも分けて出
てくれば、「まだ出てくるんだ……」とさらにインパクトが高まりま
す。お客様にとっては、おそらく5千円くらいに相当する「価値」が
あるのではないでしょうか?


にも関わらず、売り手にとっては、原価は1000円程度(+人件費
の若干の追加分)ですんでしまいます。


・売り手にとって価値が低い:原価が安い、手間がかからない
・買い手にとって価値が高い:お金がかかる、自分ではできない

という、「価値ギャップ」がわかりやすい事例です。


「誕生日のサービス」というと、ケーキなどを想像されるかもしれま
せんが、通常のオペレーションを違うことをすると、手間・費用が追
加でかかってしまいます。仕入れなども大変です。

通常のオペレーション内でできる、という意味で、かつ、「居酒屋ら
しい誕生日のサービス」という意味で、よく考えられているサービス
かと思います。



●「原価」と「価値」の差

自社の原価をよく知っている売り手は、つい「原価」に基づいて「顧
客にとっての価値」を考えてしまいます。

しかし、お客様にとっては「原価」はどうでもよいことです。お客様
にとって大事なことは、「自分にとってどれくら嬉しいか」(=ベネ
フィット、どれくらい価値があるか)です。

原価が高くても、「嬉しさ」が無い・小さいのであれば(お客様にと
っては)意味がありません。逆に原価が低くても、「嬉しさ」が大き
ければ、それはその店・商品・サービスを「選ぶ理由」となるわけで
す。


アイドルとの「握手」なども、アイドル本人にとっての「原価」はゼ
ロでも(手を握る作業にコストは発生しません)、ファンにとっては
すさまじいまでの「価値」を持つからこそ、某アイドルグループの握
手会が大盛況になるわけですね。


飲食店の場合、いわゆる「原価率」は、売り値の「3割程度」が相場
とされています。

この時点で、既に「価値ギャップ」があるわけです。お客様に原価が
100円のものを無料で提供すれば、それは300円くらいの価値に
見えることになります。


ちなみにトッピング系の商品の場合は、さらに低いでしょう。ラーメ
ンのトッピングで考えてみると……

・ノリ
・煮卵
・もやし

などは、原価の低そうなトッピングですね。煮卵は作るのに手間がか
かるにしても、ノリは切るだけですしね。しかし、お客様にとっての
「嬉しさ」は値段相当分ある(というか、そう考える人だけが注文す
る)わけですね。


ここまでが「価値ギャップ」の話です。

さらに、今回は「価値ギャップ」に加えて、もう1つの「理論」と組
み合わさっています。



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◆プロダクトフロー:あげる商品
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●復習:プロダクトフロー

プロダクトフローとは、お客様を「売りたい商品」へと誘う「商品の
流れ」のことです。

商品には、3段階の商品があります。

1)あげる商品
2)売れる商品
3)売りたい商品

です。

お客様は、いきなり高額な商品を買ってはくれません。まずは敷居の
低い、買いやすい商品から入ってもらい、徐々になじんでいってもら
おうという流れ(フロー)です。


○あげる商品=販促物

あげる商品は、試供品・おためし商品など、手にとっていただいたり
試していただいたりする商品です。ガムで言えば試供品です。


○売れる商品=売れるけどあまり儲からない商品

売れる商品は、通常は低価格で買いやすい商品です。
ガムで言えば、1パック120円の商品です。


○売りたい商品=あまり売れないけど儲かる商品

売りたい商品は、高価格、高利益率など買いにくいけれども儲かる商
品です。ガムで言えば、5パックのセットでしょう。



●焼き鳥50本は「あげる商品」

もうお気づきでしょうが、この店が提供する「誕生日の焼き鳥50本
サービス」は、プロダクトフローでいう「あげる商品」になります。

「売りたい商品」は、もちろん「宴会」でありそこでの「お酒」であ
ろうことは言うまでもありません

しかし、いきなり「宴会」の注文を取るのはなかなか難しいでしょう
から、「誕生日の焼き鳥」サービスなどで名を売ったり、1度いらし
ていただいたりすることで、本丸の「宴会」へと誘っているのでしょ
う。


記事中の、

◇「これがきっかけで宴会の予約がいくつも入っている。近隣の会社
 員に店を知ってもらい、会社や部署単位の飲み会を獲得するきっか
 けになっている」

というのはまさに「あげる商品」としての「狙い通り」になっている
ことがわかります。


また、同時に、マインドフロー*で言う「認知」「興味」関門を通過
するための施策にもなっています。


*マインドフロー:お客様が「認知」してから「ファン」になるまで
 の7つの関門
  認知: 商品・サービスの存在を認知する
  興味: ニーズを感じて興味をひかれる
  行動: 手に取る、HPを見る、などの行動を取る
  比較: 競合商品と比較する
  購買: お金を払って購買する
  利用: 実際に使ってみる
  愛情: 満足してファンになる


プロダクトフローの「あげる商品」は、多くの場合マインドフローの
「認知」「興味」「行動」関門を越えていくための施策になるのです
が、今回もまさにその通りになっています。



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◆価値ギャップを利用した「あげる商品」
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●「価値ギャップ」を使えば「あげる商品」が考えやすい

「あげる商品」と言っても、お客様にとって「いらないもの」であれ
ば、もらってさえいただけません。

しかし、「あげる商品」に多額の費用をかけて価値を高めすぎること
は、「あげる商品」であるだけに色々と難しいです。

そこで、

・売り手にとって価値が低い:原価が安い、手間がかからない
・買い手にとって価値が高い:お金がかかる、自分ではできない

という「価値ギャップ」の考え方が「あげる商品」を考えるうえで、
有効になるんですよね。



●メーカーなら「あまったもの」

メーカーであれば、あまったもの、端物などを「サンプル」として提
供する、という手がありますよね。

廃棄するくらいであれば、使ってもらったり食べてもらったりした方
が良いかもしれません。



●サービス業では、「情報」

サービス業では、「情報」が「あげる商品」として適していることが
多いです。

例えば、専門家のサービスなどでは、

・一言無料アドバイス
・簡易診断サービス

などが「あげる商品」に向いています。

多くの場合、専門家にとっては「カンタン」(通常のオペレーション
内で、追加の手間・費用がかからない)ことで、かつ、それを受ける
顧客にとっては「価値がある」ものです。



●コンテンツならば「一部無料」

映画などの「コンテンツ」を売る場合は、一部無料、のようなことを
することが多いですよね。

例えば、「24」のような続き物のビデオであれば、「最初の1話」
を無料で見られるようにする、などですね。

スカパー!も、期間限定で無料視聴をやっていたりしますが、これも
ある意味の「あげる商品」と言えそうです。


このように、ちょっと考えてみると、「価値ギャップを利用したあげ
る商品」は結構できるものです。


あなたの場合はいかがでしょうか? ぜひ考えてみてください!



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◆今日のまとめ
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●「価値ギャップ」を利用した「あげる商品」で、効果の高い販促を
 考えてみよう!


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▼今日の日記▲

交流戦、ほぼ終了(1試合、延期の試合がありますが)。ソフトバン
クが圧倒的な力を発揮して優勝……というイメージでしたが、最終的
な数字としてはそれほど「圧倒的」という感じでもなく、2位楽天と
0.5ゲーム、3位巨人と1.5ゲーム差、と結構僅差でしたね。
3、4、5位はゲーム差なしですし。7位の阪神まで3ゲーム差以内
と上位陣はそれほど大きな差がついていません。

ただ、今年は(今年も?)パ・リーグ圧勝でしたね……1〜6位まで
3位の巨人を除いて、全部パ・リーグでした。DHがあったりなかっ
たりなどの条件は、セ・パ一緒のはずなんですけどね……。ここ10
年間、日本シリーズもパ・リーグが10回中7回勝っているので、最
近はパの方が強いのかも。


交流戦よりも騒ぎになったのが「統一球」の問題でしょうか。

本当にボールが飛ぶようになったのか、ゲームへの影響があったのか
気になったので、数字で検証してみました(私の計算ですので、間違
っていたら申し訳ありません)。


まず、1試合あたりの得点ですが、今年は乱打戦が目立つように思い
ますが、実際の数字はこうなっています(2013年6月17日現在
の数字です)。

        2012    2013
総得点    5,627   2,861
試合数    1,728     730
1試合平均   3.26    3.92


去年より、1試合あたりの得点が20%増えていますね。


次にホームラン数を検証してみました。

        2012    2013
HR       881     540
試合数    1,728     730
1試合平均   0.51    0.74


1試合あたりホームラン数は45%増えています。

ボールが原因かどうかはわかりませんが、得点・HR数ともに、去年
より明らかに増えています。特にホームラン数は5割近い大幅な増加
です。両方とも、統計的有意差はありそうですね。


となりますと、各チームの戦い方に影響を与えそうですね。もうシー
ズン中盤になっていますが、このあたりの変化にどう対応していくか
というのも1つのポイントになりそうです。


と、なんか野球ブログみたいになってしまいましたが……ホントか?
と思ったら、とりあえず数字を出したくなるんですよね。



○1000号突破! 勝手にカウントアップ!

*今号で(多分)累計1,025号!


●売れたま!1000号を超えてその25:手段と目的


「こんな長いメルマガ1000号発行している物好きな人が、どんな
ことを考えているのか興味がある」(という言い方ではありませんで
したが)という方がいらしたので、このコーナー、続きます。

以下、あくまでも私の個人的な意見であって、これが正しいとか、み
んなこうあるべきだ、などというつもりは全くありません。将来的に
は、言ってることが全く変わる可能性もあります。あくまで現時点で
の、あるメルマガ発行人の独り言です。


以前にこのコーナーで、「過程」と「結果」を混同させないように、
気をつけているといったようなことを書きました。

「過程と結果」と同様の対義語に「手段と目的」があります。「過程
と結果」を混同しやすいのと同様、「手段と目的」も、混同しがちで
すので意識して注意していることの1つです。

自分ができている、ということではなく、「きちんと考えられる人」
というのは、「過程と結果」「手段と目的」というような、混同しが
ちな概念をきちんと区別して使える人、ということかと思います。

「手段と目的の混同」を趣味でやるのは別に良いのです。故長岡鉄男
氏という、よく知られたオーディオ評論家の方(私も彼の設計した大
型スピーカーを自作してしばらく使っていました)が「手段が目的化
したものを趣味という」と喝破されており、なるほどなと思ったこと
を(もう20年以上たった)今でも覚えています。

しかし、ビジネスにおいて手段が目的化することはあまり良くありま
せん。例えば、あるときに必要だった書類がその後不要になっても、
「書類を作ること自体が目的化」して、作る文書が減ることなしに、
どんどん膨大になっていくというようなことはありそうです。

手段が目的化しているような仕事を減らせば、直感的には、仕事は
1/2以上に減りそうな感じがします。独立していることの1つのメ
リットは、「不要だ」と思ったら、すぐその場でやめてしまおうとい
う意思決定ができることです。


マーケティングも、「手段」と「目的」という切り口で切ると、非常
にシンプルになります。全ての商品・サービスは、お客様にとっては
何か「目的」を達成するための「手段」です。例えば、東京ディズニ
ーランドに行くのは、「家族の笑顔」という目的を達成するための
「手段」なのですね。この顧客の「目的」のことをまさに「ベネフィ
ット」と呼ぶわけで、マーケティングにおいて、一番重要な概念とな
るわけです。



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