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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.215(累計0991) 2013/02/18
購読者:28,040 (まぐまぐ:16,345 メルマ!:943 めろんぱん:10,752)
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■■__年末年始特別号:セグメンテーション特集 16__■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●セグメンテーションの5つめの切り口は、「こだわり・マニアレベ
ル」。マニアとビギナーではニーズが違う!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
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2月になっても終わる気配のない、年末年始特別号!
実戦的セグメンテーションに深く彫り込んだ、日本でも珍しい特集で
す(ひょっとして日本で初めてかも……)。
我らがヒロイン「売多真子」(うれた・まこ)と、真子の親戚にして
そのメンター「売多勝」(うれた・まさる)です。2人は以下の本の
登場人物です。まだお読みでない方はぜひ!
○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
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売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングの最初の1冊としてオススメ。
○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
http://ow.ly/6s63d
上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!
例によってこのシリーズはどのくらいの長さになるかは、この2人の
活躍次第ですので、現時点ではわかりません。
今回の特集は、「セグメンテーション」! マーケティングで恐らく
は一番難しいこのと1つです。
そのセグメンテーションにどう切り込むのか?
●あらすじ
大晦日の夜、売多真子と勝は、年末に売多家が集まる温泉宿へと一緒
に向かった。電車の中で、そして除夜の鐘を聞きながら続いた2人の
レッスン。
一夜明けて、お正月を迎えて……
今号はシリーズ第16回目です。
最近お読み始めになられた方は、バックナンバーからどうぞ。第1回
目はコチラです↓
http://archive.mag2.com/0000111700/20121228030000000.html
ここから「次の記事」をクリックしてお読みください。
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◆まずは、前号の復習から!
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*本編の「今の時間」は、年が明けた1月1日の夜です。
1月1日、昼は初詣に出かけ、寄ったカフェで続いた真子へのレッス
ン。夜に宿に戻り、食堂で食事しながらレッスンは続き……
「勝さん、ご飯お代わりするよね?」
「ああ、頼む」
真子が勝のお椀に、おひつからご飯をかいがいしくよそっていく。
「はい、大盛りね」
「盛りすぎだろうが……」
「だって何回もよそうの面倒なんだもん」
「まあそうだろうけどさ……食いづらいよ」
「よそってあげたんだから文句言わないの♪」
「はいはい、ありがとうございます」
「この宿のごはん、おいしーよね。ご馳走だ♪」
「ご馳走だし、夕飯をゆっくり食べられること自体贅沢だよな」
「普段は時間ないもんねー」
「そうなんだよな」
「しかもとびっきりの美女とい、っしょ、に、はーと」
「はいはい、じゃあ始めるぞ」
真子:はーい。じゃあ前号の復習だよねー。今は、「括って広げる3
ステップ」をやってまーす。
真子がノートを指さしていく。
○セグメンテーションの「括って広げる3ステップ」
ステップ1:顧客像の具体化
ステップ2:ニーズの普遍化
ステップ3:ニーズで人を括る
真子:それで、今はその「括り方」っていうか、セグメンテーション
の切り口を考えてまーす。前回は切り口4:「所有資源」。
勝 :そうだよな。で、「所有資源」って何だっけ?
真子:お金、時間、エネルギーに……冷蔵庫の中や部屋の広さみたい
な「スペース」もそうで、それに車……
勝 :そうそう。どんな所有資源を考える必要がある?
真子:自分の商品・サービスの利用場面なんかに関わるもの。例えば
生鮮食品を売るなら、包丁・まな板持ってるか、とか。
勝 :持ってなかったら?
真子:持ってなかったら、それが「制約要因」となるから、それから
「解放」してあげると売りやすくなる!
勝 :例えば?
真子:私たちが夏に行ったペンションでは、送り迎えしてあげるとか
包丁が無かったら、カットしてあげるとか?
勝 :OK。
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◆切り口5:こだわり・マニアレベル
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勝 :じゃあ次の切り口に入っていくけど、その前に、コーヒー豆を
売る、なんていう場合は、どんな所有資源が関係する?
真子:えっと……当然、コーヒーをいれる道具だよね?
勝 :そりゃそうだけど、それにしても色々あるだろ?
真子:あ、そっか。ペーパーフィルターとか、コーヒーメーカー……
あとコーヒーミルとかもそうか。
勝 :そうだよな。あと、エスプレッソマシンもそうだぜ。
真子:あ、そうだね。でも、そんなにたくさんの人が持ってないでし
ょ、エスプレッソマシンなんて。
勝 :そうだよな。でもそれによって豆の消費量違うんじゃないか?
真子:あ、確かにエスプレッソマシン持ってる人って、豆をたくさん
買いそう。
勝 :オレはもうキロ単位で買うからな。200gとかちびちび買っ
てると間に合わない。
真子:それ飲みすぎ〜。
勝 :オマエだってオレのオフィスでガブガブ飲んでるだろうが。し
かも勝手に。
真子:あ……きゃははは、そっかー、真子も貢献してるんだ♪
勝 :でさ、その所有資源は、何で決まると思う?
真子:え? だからマシンとか持ってるかどうか、でしょ?
勝 :だから、その「マシンを持ってるかどうか」は何で決まるんだ
って訊いてる。
真子:え? あ、コーヒーが好きかどうか?
勝 :もう一声。好き、はもちろんそうだけど、単に好き、だけなら
インスタントコーヒーの方がラクだぞ?
真子:そっか……あ、コーヒーマニアかどうかだ!
勝 :そうそう。「こだわり」の強さ、だな。「マニア」かどうか、
という意味でオレは「マニアレベル」って勝手に呼んでる。
真子:なるほどぉ……こだわりが強い人は、高い器具とか持ってそう
だよねー。
勝 :コーヒーなんかの場合は、そういう関係が成り立つだろうな。
持ってる器具でこだわりがわかる、みたいなところが。
真子:でも、ペーパーフィルターしか使わないけど、豆にこだわって
る人はいるんじゃないの??
勝 :こだわってる人は、豆で買うよな?
真子:え、うん、そうだけど……
勝 :その場合、何が必要だ? 挽き立ての方がうまいよな?
真子:あ! コーヒーミル!
勝 :だろ? もちろん例外はあるけど、マニアは道具にそれなりに
お金かけるだろ?
真子:確かに……
勝 :エスプレッソは、普通の挽き方じゃダメ。店で挽いてもらうと
きは説明面倒。だから、細挽きできるミルが必要だよな。
真子:あー、家庭用のミルだと、細挽きできるのってほとんどないも
んねー。
勝 :逆に言えば、そのミルを持っていれば「エスプレッソを自分で
いれる」とかっていう推測ができる。つまり……
真子:「こだわり」の強さがわかる!
勝 :そういうこと。この「こだわり」って、非常に使いやすい、実
戦的な切り口だからな。
真子:うん、わかる。
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◆切り口5:「マニア」と「ビギナー」の違い
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勝 :こだわりが強い人は「マニア」、弱い人は「ビギナー」と一応
2つに分けておく。その中間もあるけどな。
真子:うん。
勝 :ビギナーっていうと「始めたばかり」って感じもするけど、経
験が長くてもこだわりがなければ「ビギナー」と呼ぼう。
真子:ずっとこだわりが低いまま、ってことだね。
勝 :そうそう。で、マニアとビギナーの違いって何だと思う?
真子:まずはさっきの「所有資源」だよね? マニアの方がたくさん
道具とか持ってる。
勝 :そうだよな。バイクにこだわるハーレーのオーナーだと、バイ
クの倉庫を建てるファンとかいらっしゃるらしいぞ。
真子:うっわー。あ、じゃあ「投資金額」もマニアの方が高いよね。
勝 :だな。あとは?
真子:あとは……マニアの方がしょっちゅうやってそう。コーヒーマ
ニアなら毎日、何回も飲みそう。
勝 :そう、「利用頻度」が違う。スキーもそうだよな。スキーマニ
アは年に何十日ってスキーする。ビギナーは年1回。
真子:うん。あと、「知識」も違うよね。マニアは当然よく知ってる
よね。うんちくも語れる。
勝 :そうそう、「知識」「リテラシー」だな。その結果として、何
が違ってくる? 会話してわかること。
真子:え? 会話してわかること? 知識が豊富ってことでしょ?
勝 :だからその「知識が豊富」っていうのは何でわかるんだよ。
真子:えっと……ヒントくださーい。
勝 :コーヒーマニアは焙煎にこだわって「イタリアンロースト」と
か言うよな。
真子:あ! 「専門用語」を使える!
勝 :そうそう。マニアは専門用語を使う。
真子:勝さんは、そんなに深い焙煎はむしろイヤなんでしょ?
勝 :そう! エスプレッソっていうとみんな深めのローストとかっ
ていうけど、深すぎると苦くて味がわからないと思う。
真子:ハイかシティくらいが好きなんだっけ?
勝 :そのくらいの方が、豆の味がわかる。まあこのあたりは好みの
問題かもしれないけど。
真子:あー、「好み」があるんだね。ビギナーからすればどうでもい
い、って言われそうな「好み」が。
勝 :そうそう。ビギナーは「コーヒーなんて苦くて黒いもの」くら
いじゃないか?
真子:あ、うん、そうかも。
勝 :逆に言えば、おれはお茶についてはそれくらいの知識しかない
な。「お茶は黄色くて熱いモノ」くらい。
真子:それ、きっとお茶のマニアの方が聞いたら怒るよね。
勝 :そういうことだ。だから、顧客対応のときは言葉遣いを変えて
あげないといけないな。
真子:あ、確かに。マニアには、むしろ専門用語の方が通じやすい。
ビギナーには逆だけど。
勝 :そうそう。セグメンテーションってそういうこと。相手に合わ
せて対応を変える、みたいなことも含めて。
真子:そういうところも変わって来るんだね。
勝 :具体的な行動が全部変わる。じゃないとセグメンテーションす
る意味がない。分けるために分けても意味が無い。
真子:確かに……
勝 :で、さっきの専門用語とか知識は、マニアはどうやって獲得す
るんだろうな?
真子:えっと……あ、専門書とか、雑誌とか読んでそう!
勝 :そうそう。「情報収集態度」が違う。マニアは情報収集に積極
的で、自ら集める。ビギナーはマニアに聞く。
真子:あ、パソコン雑誌とか、ランナー雑誌とか、色々あるもんね。
勝 :そうそう。やっぱりある程度のこだわりがないと、雑誌を買っ
てまで、って思うだろ。
真子:勝さん、TARZANよく読んでるよね。
勝 :あれは、ジム通いする人は結構読んでるんじゃないか。
真子:なるほど、読む雑誌とかにも現れるんだね。
勝 :他にはないか? マニアとビギナーの違い。
真子:ほかに? 何かな……
勝 :コーヒーで続けるけど、豆を自家焙煎するマニアもいるよな。
それはどういうことだ?
真子:あ、うん……あ! 自分でやるのが好き!
勝 :そうそう、マニアは、「自分の作業」を厭わない。用具の手入
れとか、自分で加工するとか。時間を投資するんだよな。
真子:うん。あれ? 勝さん、確かスピーカー自分で作ってたよね?
勝 :作ったって言っても、キットを組み立てただけだぞ。
真子:っていうか普通の人は、あんなおっきいスピーカー使わないよ
ねー、きゃははは。
勝 :オーディオもマニアとビギナーがわかりやすいな。ビギナーの
人は、何かあったらどうする?
真子:えっと……あ、マニアに頼むんじゃないかな?
勝 :そうだよな。今の、真子とオレの関係が全くそれだからな。
真子:え……あ、マーケティングについて? ひっどーい。もうビギ
ナーじゃないもん。
勝 :ビギナーは卒業したにしても、マニアにはほど遠いだろうが。
真子:あ……マニアの人ってさー、教えるのが好きだよねー。
勝 :あ、そうだな。ウンチクを語りたがる。
真子:真子は、教えるのが好きな勝さんに、教えさせてあ、げ、て、
る、の♪
勝 :ふっざけんな! マジでアタマ来た。
真子:あ、うそうそ、冗談です、すみません……
勝 :コイツは……で、ここまでちょっとまとめてみろよ。
真子:うん。
マニア ビギナー
所有資源 多い 少ない
投資金額 多い 少ない
知識 豊富 少ない
言葉遣い 専門用語 普通の言葉
情報収集 積極的 マニアに聞く
作業 自分で行う マニアに頼む
好み 細かい好み こだわらない
勝 :OK、そんな感じだな。
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◆ビギナー開拓とマニアトラップ
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真子:ねー、この「マニア」と「ビギナー」の話って、マニアトラッ
プの話だよね?
勝 :あ、そうそう。マニアトラップは、売り手がマニア化して、ビ
ギナーセグメントが見えなくなるってことだ。
真子:そういうことか……
勝 :だから、「カプチーノセオリー」とかの施策も共通。
真子:えっと……何だっけ?
勝 :何だよ、一昨年の初詣シリーズでやっただろうが。覚えてねー
のかよ……
真子:え? じゃあこのノートのどっかに……あ、あった!
○カプチーノセオリー:マニアトラップ脱出のための商品戦略
1)とっつきやすく、ビギナーに道を開く
2)本格(マニア)商品への導入になる
カプチーノ
1/3:エスプレッソ(濃いコーヒー)
1/3:ホットミルク
1/3:泡立てたミルク(フォーム)
真子:苦いエスプレッソをミルクで飲みやすくしたのがカプチーノ。
飲みやすいけど、本格派のエスプレッソはしっかり入ってる。
勝 :エスプレッソは「苦い」んじゃない。「濃い」んだ。オマエ、
イタリアンのプロだろうが。苦さと濃さは違う概念だぞ。
真子:マニアはいちいち細かいねー、もー……
勝 :あのなー、「強み」と「独自資源」のような似て非なるものを
峻別することは大事だぞ。大体、エスプレッソはだな……
真子:はいはい、とにかく、飲みやすさの中にも本格さのあるカプチ
ーノみたいな商品を作るってこと。
勝 :そうそう。わかりやすいのがこんな感じ。脂肪測定計の話。
勝が、お皿が多く並ぶテーブルの横から、真子にノートパソコンを渡
す。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
◇2012年11月の販売数量実績での体重体組成計ランキング1位
はオムロンヘルスケア「HBF─214」。体重体組成計は足裏か
ら微弱電流を流し、体重・脂肪量・筋肉量を測定。HBF─214
と2位のHBF─212は2011年9月に同時発売。2012年
11月までの販売台数は2機種合計で100万台を突破。
◇両機種はガラスの天板で、厚みは28mm。四隅には滑り止めのゴ
ムが付き、立てて収納できる。20〜40代女性をターゲットに
「居間に置いてもなじむデザイン」(同社)を目指した。
◇従来の体重体組成計は樹脂やメタルが主流で、いかにも機器の印象
が強かった。同商品は表面にガラス天板を使い、四隅は丸くして、
インテリアのような雰囲気を演出。目立つ場所に抵抗なく置ける。
◇ガラス天板と薄さには実用的なメリットもある。ガラス天板は掃除
がしやすい。同社は開発段階で約30件の家庭を訪問し、体重体組
成計が洗面所の前など汚れやすい環境にあるからだ。洗濯機の横な
どに立てて置く家庭も多いため、角にゴムを付け、縦置きしたとき
にも滑らないように配慮、収納しやすい点も主婦に人気だ。
◇POPでは「収納」をアピール。表面を見せた商品の横に縦置きし
た商品も並べた。POPには「薄い28ミリメートル」「取り出し
スムーズ」という説明書きを付けた。
◇売り場で目立つのは女性や若者。「体重体組成計はかつて、何とな
く怖いイメージがあったが、最近は乗りたくなるようなポップな色
使いが増え、売り場の雰囲気も変わった」(ヨドバシカメラ)。測
定指標を競ってきたメーカーも「基本的なことがわかればいい」と
いう利用者の声を受け、デザインや使い勝手に着目し始めたようだ
2012/12/28 日経MJ P.2
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
勝 :この商品のHPはこれ、な↓。ちょっと見てみるか……
http://www.healthcare.omron.co.jp/product/basic/166
真子:えっと……体脂肪率、内臓脂肪レベル、骨格筋率、基礎代謝、
って色々わかるんだね。
勝 :いや、高機能なのは、部位別の皮下脂肪率がわかったり、パソ
コンと通信できたりするだろ。
真子:へー。じゃあそこまではいらない、っていう「ビギナー」の人
がこの商品を買ってるんだぁ。
勝 :そうだろうな。高機能で、パソコンとつなげて、メタリックで
っていうのはまさに「怖いイメージ」なんだよな。
真子:あー、マニア向け商品は、ビギナーには「怖い」んだ。機能が
あるほど、なんか使いにくそうで……
勝 :そうなるな。それがまさに「マニアトラップ」。マニア向けに
高機能化して、ビギナーを遠ざける。
真子:確かに……
勝 :この商品の特徴をまとめてみろよ。典型的な「ビギナー向け商
品」の特徴がいくつかあるぞ。普遍化して、だぞ。
真子が「うん!」と言ってノートをまとめる。勝はその間に、大盛り
のご飯をかきこんでいく。ご飯が無くなろうかという頃、真子が「出
来た!」と言って勝に見せた。
オムロンヘルスケアHBF−214 商品特徴
○デザインが良い(機器でなくインテリアっぽい)
○お手入れカンタン(掃除しやすい)
○置き場所をとらない(縦置きできる)
○機能は絞っている(基本的な数値のみ測定できる)
勝 :お、いいじゃないか。そうそう、左側の言葉が普遍化された、
ってことだな。
真子:うん! 「ビギナー」向けっていうのがよくわかるね。「怖く
ない」商品なんだよね。
勝 :まさに「カプチーノセオリー」だな。基本的な機能はしっかり
おさえた上で、「飲みやすく」している。
真子:機能を減らして、カンタンにカワイク、だね。
勝 :そうそう、そういうこと。しかも、POPで訴求してるのは、
機能じゃなくて「収納」だよな。
真子:あー、ビギナーはそっちを気にするんだ!
勝 :そう。だから「怖くない」んだよな。一般論として、マニアは
「高機能な怖いモノ」を作りがち。
真子:あー、それでマニアトラップになるんだね。ねー、ビギナー向
け商品の方が売れるの?
勝 :「数」としてはそうだろ。ビギナーの方が数が多いからな。こ
のデータも「販売数量」だから、「台数」だよな。
真子:あ、そっか。単価はマニア向けの方が高いんだ。
勝 :おそらく、な。だから「金額」で見るとまた違う順位になる可
能性はある。この記事だと……
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
機種名 メーカー 実勢価格
1位 HBF214 オムロンヘルスケア 4000円前後
2位 HBF212 オムロンヘルスケア 3000円前後
4位 BC312 タニタ 7980円
8位 HBF252F オムロンヘルスケア 8980円
2012/12/28 日経MJ P.2
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
勝 :4位は50g単位で測定できて、8位はスマホに測定結果を転
送できる、つまり、高機能で高価格、みたいだな。
真子:やっぱり高機能な機種は値段が高いんだね。
勝 :そうなってるみたいだな。
真子:マニアには逆に高機能な「怖い」商品の方がいいんだよね?
勝 :そうそう。だから、マニア向けとビギナー向けでは、商品の作
り方が全く変わる。
真子:あ、じゃあマニア向けかビギナー向けかを考えないと、商品が
作れない!
勝 :そういうこと。切り口として5番目にしたけど、トップクラス
に重要なものの1つ。
真子:なんで?
勝 :ここまでの、TPOとか、所有資源を決める「理由」になるか
ら。
真子:どーゆーこと?
勝 :いや、だから、所有資源の多い少ないは、マニアかビギナーか
で決まるだろ? だから。
真子:えっと……あ! モトをたどっていくと、マニアかビギナーか
にたどり着くからだ!
勝 :そういうこと。逆に言えば、TPOとか所有資源を見れば、マ
ニアかビギナーか、わかることもある。
真子:なるほどねー。大事な切り口なんだねー。
勝 :それで、「マニア」とか「ビギナー」ってわかったら、それは
どんな人か、と落とし込んでいけばいい。
真子:えっと……オムロンの「体重体組成計」だと、20〜40代女
性、だっけ?
勝 :みたいだな。この層が「ビギナー」なんだろうな。
真子:なーるほどぉ。
勝 :ただ、ダイエットマニアとか、毎日ジム通いする主婦なんかは
高機能なのを買うかもな。
真子:あ、確かにそうだね。
勝 :だから、性別・年代だけだと括りにくいだろうな。
真子:うん。だからこのマニアレベルを考える必要があるんだね。
勝が満足そうにうなずいた。
「あ、あれ? 勝さん、あのご飯は?」
「もうとっくに食べたよ。いつの話してんだ」
「えー、いつの間にぃ……ね、お代わりいる?」
「そうだな……軽くでいいや、頼む」
「うん。あ、おひつのご飯なくなった。勝さん、食べ過ぎぃ!」
「オマエだってお代わりしてたじゃねーかよ」
「きゃはは、ばれたか」
「オレもこの体重体組成計、いるかな……」
「そーゆー問題じゃないよ、食べる量減らしなよー」
「これでも大分減ったんだよ!」
「あーまーそうか……昔、よくおひつお代わりに行かされたもんね」
「オレのせいみたいに言うな。真子が食べる分だろうが」
「そんなことないもん」
「食い過ぎると眠くなるから、ほどほどにしておけよ」
「きゃははは、勝さんに言われたくないよー」
2人の目の前の皿は、次々に空になっていった。
次号に続きます!
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◆今日のまとめ
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●切り口の5つめは「こだわり・マニアレベル」。他の切り口の要因
ともなる、重要な切り口。
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誌上でお答えしますのでぜひどうぞ。
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▼今日の日記▲
土日は色々と出かけており、多くの方々とお会いできた日々となりま
した。土曜日は、あるプロジェクトが終了。プロジェクトは当然いつ
かは終わるわけですが、終わるとやはり寂しいものです。日曜日は、
結婚式の2次会へ。ある事情でBASiCSの信奉者の方が多い2次
会で、久しぶりにお会いする方も含めて色々な出会いがありました。
こういう場に行くと、明らかに自分が年長であることがわかり、自分
が年をとったことを思い知らされますね……
さて、この売れたま!はパナソニックのレッツノートで書かれていま
す。私、パソコンとか携帯音楽プレーヤーはとにかく良く壊すんです
よね……このレッツノートは、4台目。3年前に買ったので、よくも
った方ではあるんですが、ついに異音がしてきました。ハードディス
クが危ないぞ、というサインですね。
売れたま!や仕事のデータは、ハードディスクではなく、SDカード
に入れているのでパソコンが壊れてもあまり支障はないのですが、ノ
ートパソコンが無いと、仕事に思いっきり差し支えます。3月にレッ
ツノートの春モデルが出るので、それまで耐えて欲しいなあ……
○1000号間近! 勝手にカウントダウン
*今号で(多分)累計991号 1000号まであと9号!
●売れたま!1000号に向けてその5 :実戦マーケティング戦略
iPodコーナーはちょっとお休みして、記念すべき1000号に向けて
過去をつらつらと振り返ってみたいな、と思います。
2005年4月「図解 実戦マーケティング戦略」が発売されます。
本書は、戦略BASiCSを著書として初めて世に問うた記念作であ
り、また、私の著書ポートフォリオの中核です。
今でもアマゾンのマーケティング書ではトップ10にランクインし続
けており、8年も前に書かれた本としては異例のロングセラーになっ
ています。ベストセラー、と言って良い販売部数を記録しています。
ありがとうございます。
この本は、2004年末〜2005年始めにかけて、それまでの私の
経験・思考の集大成として書き下ろしました。
その後もご縁が続く「日本能率協会マネジメントセンター」さんから
の出版ですが、非常に自由に書かせていただきました。あまり打ち合
わせもせず、「はい、できました」と原稿を送って、そのまま発刊。
売れて良かったです……。
当時意識していたのは、「体系化」です。「体系を持つ本はロングセ
ラーになる」というある方のふとした一言が、私の出版戦略の根幹と
なりました。もともと「体系化」は得意中の得意分野なので、私の強
みも活きます。ということで、BASiCSを頂点とする、「ピラミ
ッドツール」を発表したわけです。
もちろん色々な理論はあるにせよ、BASiCSとマインドフローで
マーケティングはほぼ大丈夫、と考えています
ちょっと悔しいのは、8年前のこの本を、今の私が未だに超えられな
いことなんですよね……もちろん理論は深化しているんですが、根本
はあのときのままですから……
本書の発表を境に、売れたま!は、「戦略」へと大きく舵を切ってい
くことになります。
このコーナー、1000号まで(勝手に)続きます。
**************************************************************
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
●無断転載は禁じますが企画や会議のネタにぜひどうぞ。全文転送な
ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
●メルマガの内容の実行は、読者さんの責任でお願いします。
●自社の売上向上のために使うのは歓迎ですが、このメルマガの内容
の販売・コンサルティングへの利用で利益を得る行為は禁じます。
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Copyright 2003-2010 Yoshinori Sato
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「インド人を右に」とレスするたびに右に動いていくスレ
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/30(土) 14:05:17.71
ID:yDRFQxCW0┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓┃ ┃┣
11 年前
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