━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.199 2012/11/26
購読者:27,704 (まぐまぐ:16,324 メルマ!:952 めろんぱん:10,428)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■__ヒットを飛ばすキングジムの考え方 4__■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●商品軸は、開発者が最後まで責任・権限を持って動けるようにしよ
う! 社長のインタビュー記事などは、背後の前提を見よう!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
┃単独でもお役に立てますし、本と併用されれば効果倍増!
┃
┃図解 実戦マーケティング戦略 → http://tinyurl.com/a6ul5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「新人OLシリーズ」のヒロイン・売多真子とメンター・売多勝
今回は「新人OL〜」シリーズのヒロイン「売多真子」(うれた・ま
こ)と、その親戚にしてメンター「売多勝」(うれた・まさる)の2
人にご登場いただきます!
○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングを学ぶ最初の1冊としてオススメ。
http://ow.ly/89pSR
○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d
○特別ゲスト:松井恵利
特別ゲストは、松井恵利(まつい・えり)ちゃん。真子の大学時代の
同級生であり、CD「経営戦略虎の巻」の特典小説のヒロイン。
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm
OL勤めをやめて家業の果物屋を継ぎ、果物及びその加工品販売の
「M'sジューシーヘルシー」の経営陣として頑張っています。
この3人は、このところ、すっかりお馴染みになったメンツですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆まずは、前号の復習から!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
土曜日の夜、勝のオフィスに「突撃」してきた真子と恵利。会議スペ
ースの机に上には、デパ地下の総菜の空き皿が並ぶ。
「チーン」
レンジが、たい焼きがあたたまったことを知らせる音を奏でる。
「わーい、たい焼き、焼けたー!」
「だから焼いてねーだろうが」
「何でそんなに神経質なのよー。そんなに神経質なら、この部屋もっ
と片付けなよー」
「大きなお世話だ」
真子が、レンジから湯気の出ているたい焼き3匹を取り出す。
「よし、食べよう」
「わあ、おいしそうです!」
「きゃああ、あっつーい!」 既にかぶりついている真子が叫ぶ。
「じゃあ早速始めるぞ」
「食べ終わってからにしよーよー」
「ダメ」
恵利:前号の復習ですよね。前号では、キングジムは大手が来ない
「戦場」をあえて狙っている、ということを見てきました。
真子:1つの新製品の売上で、10億円くらい、だったよね。それな
ら大手が参入してこない。
恵利:それくらいの売上規模だからこそ、「10人に1人に買っても
らう」ことで十分なんだよね。
真子:それに、価格競争に巻き込まれない!
恵利:結局、買わない人は、値下げしようが何しようが買わない、と
言うことですよね。
勝 :OK。じゃあ先に進もう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆商品軸:開発者が動きやすい組織
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
勝 :でさ、ここまで見てきたキングジムって、差別化軸*で言うと
何になると思う?
*3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法
手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
→ 競合より安い・早いで差別化する
商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える
→ 競合より高品質・新技術で差別化する
密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
→ 競合より個別ニーズ対応で差別化する
恵利:あ、それ今まで考えてませんでしたね。
真子:キングジムは商品軸!!
勝 :何で?
真子:新製品で差別化してるから!
勝 :商品で差別化するから商品軸じゃないぞ。
真子:そ、そうなの?
勝 :何を今さら……密着軸でも新製品で差別化するぞ。問題は「ど
んな新製品か」だ。「個別化」の新製品なら密着軸だからな。
真子:あ、そ、そうか……「どんな」新製品か、か……
恵利:それでも、私も「商品軸」だと思います。
勝 :なんで?
恵利:「品質」「技術」ではありませんが、「今までになかった新し
さ」という、「革新性」勝負だからです。
勝 :うん、そうだろうね。オレもそう思う。
真子:何よー、やっぱり商品軸なんじゃん!
勝 :そこは否定してないだろ。考え方を否定しただけだ。でさ、こ
れを読んで。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
キングジム宮本彰社長が日経MJのインタビューに答えて
◇誰が作ったかを明確にするため、アイデアを出した者が最後まで面
倒をみる。
◇ヒット商品には社長賞を出す。ポメラの開発者には100万円を渡
した。ヒーローをつくると、他の社員も後に続こうとがんばる。
2012/10/29 日経MJ P.3
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:すごいねー、100万円の社長賞! うちには出せないなぁ。
勝 :金額じゃない。「独自で売れる新製品を出した人が偉い」とい
う、社長からの強烈なメッセージ、というのがポイント。
真子:そうか! じゃあ、うちの会社の社長賞は、真子からのあつー
い愛のメッセージでもいいんだ!
勝 :まあ、喜ばれないとは思うが、インパクトはあるな……
真子:みんな喜びますよーだ。
勝 :でさ、ポメラの「ヒーロー」は誰だ?
恵利:この場合は「開発者」ですよね。
勝 :そうだよな。それとさっきの「差別化軸」をつなげてみると?
恵利:あ! 商品軸の組織は、「開発者が自由に動ける」ことがポイ
ントですよね! やはり商品軸なんですね。
勝 :そうだよな。オレがキングジムが「商品軸だ」と思ったのはこ
の部分を読んでなんだよな。そういう組織、だから。
真子:そうか、「アイディアを出した者が最後まで面倒を見る」って
いうのは、「開発者が全権を握る」ってことなんだ!
勝 :そうそう。開発者が自由に動ける、ってこと。まさに商品軸の
組織作り。
真子:自分で考えて自分で作れば、そもそもの発想の動機とか、開発
者としの譲れないポイント、とか、そういうのが活かされるね
恵利:なるほど、「自分のアイディア」だから真剣にやりますよね。
勝 :それに、「自分」でやるから、良くも悪くも分業ではない。自
分で責任を持ってやらざるを得ない。
恵利:大企業だと、多くの場合「分業体制」で、考える人、作る人、
売る人、って別れちゃいますよね。
勝 :そうなると、「無責任体制」になりがち。「アイディアマンの
社長」が作る製品がヒット商品になるのは……
真子:あ! そうか、社長なら、自分で考えて自分で作って自分で売
れるから、一貫性が取れる!
勝 :そうそう。「自分が全責任」を負えるからな。「誰が作ったか
を明確にするため」というのは、責任を明確化している。
真子:それでさー、うまく行って百万円もらえたら、みんなすっごい
やる気になるねー!
勝 :そう! 「アイディアを考えた人」が自由に動ける体制を作っ
て、うまくいったら大きく褒めてあげる。
恵利:なるほど、障害がないんですね。自分がやりたくてもできない
のであれば、いくら大きなエサを掲げても意味が無い……
真子:そうか、自分で考えて自分でやれるからこそ、「百万円」に意
味があるんだ!
勝 :そう。商品軸として、すごい一貫性がある組織だよな。
真子:なーるほどぉ! でも、思い切ったことする会社だよねー!
恵利:会社としてのリスクが大きそうですよね。
勝 :そうだよな。じゃあその「リスク管理」を見ていくか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆会社全体のリスク管理
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
勝 :リスクを負うからには、リスクを管理しなきゃいけない。キン
グジムがどうしてるかというと……
勝が再びノートパソコンを操作すると、すぐ真子達に向ける。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
キングジム宮本彰社長が日経MJのインタビューに答えて
◇現在、売上高が電子文具とアナログ文具で、ほぼ半々なのはいいバ
ランス。安定収入源に傾けば活性化が失われるし、チャレンジ部門
だけだとリスキー。簡単ではないが、このバランスを保ったまま成
長を続けたい。
◇ファイルしかなかったら大変だった。市場が縮んでいるので、生き
残るにはリストラして縮小均衡を狙うしかなかった。
2012/10/29 日経MJ P.3
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
恵利:アナログとデジタルで半々、なんですね。安定したアナログ文
具があるから、ポメラとかの電子文具でリスクが負える……
勝 :売上を棒グラフにしたイメージとしてはこんな感じなんだろう
な。あくまでもイメージだけどさ。
□ □
□ □ □ □□ □ □□
□□□□□□□□□□□□□□ □□
□□当たり外れのある電子文具□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
=======================
安定したアナログ文具:ファイルなど
=======================
恵利:えっと左右の軸が時間軸、ですよね。
勝 :うん、右側に行くほど時間が経過している。
真子:なるほどね、下のアナログ文具がまさに「下支え」してる。
勝 :そうそう。リスクを負わないと拡大はできないけど、「過大」
なリスクを負うのはまずい。
真子:電子文具だけだったら、恐いよね。ヒット商品が売れなかった
ら倒産しちゃう!
恵利:アナログ文具が「安定」エンジンで、電子文具が「成長」エン
ジンとも言えますね。
勝 :そうそう、そんな感じ。アナログ文具は伸びないけど、安定し
ている。電子文具は伸びるけど、ブレが大きい。
真子:そーかー。だからこそ「10に1つしか成功しなくて良い」な
んていう「割り切り」ができるんだね。
勝 :そういうこと。電子文具だけだったら、そういう「割り切り」
がやりにくい。
真子:じゃーさー、電子文具部門がすっごく伸びちゃったら、そうい
う「割り切り」はできなくなるのかなー?
勝 :そうかもな。そしたら、電子文具部門の中で安定した商品群を
見つけるとか、何か考えるだろうけどさ。
恵利:なるほど……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆全体の「一貫性」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
勝 :じゃ、最後に全部まとめてみよう。キングジムの社長のご発言
をまとめたいんだけど、恵利ちゃん、どう?
恵利:はい、出来てます。こんな感じで……
恵利が、ここまでまとめてきた「恵利ノート」を見せる。
◇「私は(どの商品も)使っていない。というのも、当社は10人中
1人が欲しいと思う商品を作っているから。
◇人間の頭の中には常に買い物リストがあり、欲しい順に買う)。だ
から、絶対欲しいと思うものを作る。
◇商品化のハードルは、結構低い。マーケティング調査が大嫌いだ。
調査に時間とお金をかけるくらいなら商品を出してしまえ。
◇9個失敗しても10個目でヒットすれば全部取り返せておつりが来
る。それくらいの感覚でやらないと宝の山は探せない
◇大手には勝てないから、スキマ市場を狙う。年商8億円でも10品
目あれば80億円になる。
◇新しい概念の商品が多く、価格は原価と目標利益から決める。安い
ものが売れるとは限らない。買わない人はいくらでも買わない。
◇アイデアを出した者が最後まで面倒をみる。ヒット商品には社長賞
を出し、ヒーローをつくると、他の社員も後に続こうとがんばる。
◇アナログ文具と電子文具の売上が、ほぼ半々なのはいいバランス。
アナログ文具が安定収入源で、電子文具がチャレンジ部門に。
2012/10/29 日経MJ P.3
勝 :うん、さすが、うまくまとまってるね。それで、1つ1つの発
言の間につながりがあるのがわかるよな。
真子:うん。読んでると「ふんふん」て見過ごしそうだけど、この後
ろには緻密な論理っていうか、一貫性があるんだねー。
勝 :そういうこと。様々な前提条件があって、成立している話だ。
だから、こういうインタビュー記事をそのままマネしちゃダメ
恵利:その「前提条件」を明らかにしないと、誤解してしまいますね
勝 :うん。それで、「じゃあうちもマーケティング調査をやめる」
とか「原価+利益で値付けする」とか、丸呑みにしちゃだめ。
恵利:「前提条件」が違うからですよね。
勝 :そうそう。隠れてる「因果関係」をざっと見てみるか。
・売上が300億円だから、10億円規模の商品でも貢献度が高い
・10億円規模の売上で十分だから、10人に1人が買う商品でいい
・10億円規模だと大手が入ってこないから、価格競争にならない。
価格競争にならないから原価+利益で値段を決められる
・「アナログ文具」という安定商品があるから、10回中9回失敗し
てもいい、というリスクが負える
・ポメラのような「新規概念製品」は、顧客が実際に試さないと正し
い評価ができないから、マーケティング調査をせずに市場導入する
・10回中9回失敗してもいいから、マーケティング調査をせずに、
製品を作って市場導入できる。
・10億円規模の売上で十分だから、市場導入して失敗してもダメー
ジが少ない
・10人中1人に売れればいいから、社長が「自分は使わない」と断
言できる。
・10人中1人に売れればいいし、10回中9回は失敗してもいいか
ら、開発者が自分のこだわりを貫ける。
・「こだわり」にはコストがかかるが、「原価+利益」で価格を決め
るから、そのコストを価格に転嫁できる。
・10人に1人の「こだわり」顧客がターゲットだから、ある程度高
くても買っていただける
・自分のこだわりを貫けるように、開発者が最後まで「面倒を見る」
体制になっている
恵利:うわぁ……ホントですね。全てがつながっています。
真子:すごい一貫性あるよね。
恵利:こういう「一貫性」が「隠れている」という前提で、この記事
を読まないと「誤解」しちゃいますね。
真子:うん……そうだね。こういう「全体」があるからこその、それ
ぞれの発言なんだもんね。
勝 :そういうこと。この、1つ1つの発言の裏の「つながり」を見
ないとダメだな。
恵利:その「つながり」って「一貫性」のことですか?
勝 :そう。どこか一カ所が崩れると、一貫性がなくなる。だから、
このままの状態がそのまま続くとは限らないけどな。
真子:ね、勝さん、ここまで考えてこの記事読んでたのー?
勝 :当たり前だろ。だから社長のおっしゃってることが「面白い」
って最初に言ったんだ。
恵利:え? こういう因果関係が、記事を読んでいるうちにアタマに
浮かんで来るんですか?
勝 :そうだよ。記事の上に赤い線がひかれていくのが見えるし、
こういう「隠れた前提」が、新聞の向こうに見えてくる。
恵利:すごいわ……
真子:うわ……見えないモノが見えるなんて、オカルトだぁ……
恵利:違うでしょ、訓練のたまものよ。この中で、「10人に1人に
売れればいい」というのが、何回も出てきますよね。
勝 :そう! そういう「何回も出てくること」が、全体の中核にな
っている。そこからたくさんの「赤い線」が引けるわけだ。
恵利:なるほど、赤い線を引けば、「前提」だったり「因果関係」が
「視覚化」できますね。
勝 :そういうこと。300億円の売上規模、電子文具・アナログ文
具の売上が半々、というのは変えらない前提だよな?
恵利:はい、少なくとも短期的には変えられません。
勝 :それで、その「変えられない前提」の上に、それに合った戦略
を載せていく。ここでは「10人に1人」とかだな。
真子:なるほど、前提は変えられないけど、戦略は変えられる!
勝 :そうそう。で、その「10人に1人に売れればいい」という
「割り切り」を中核に、パズルが組み立てられている。
真子:なあるほどぉ!
勝 :実際には「10人に1人」はモノの喩え。100万台売れても
まだ「100人に1人」だからな。
恵利:そういう「割り切り」がカギなんですか?
勝 :実際には、「割り切り」っていうか、単なる事実。キングジム
の企業規模で、10人中9人が買う商品は作れない。
真子:え? 「事実」なら、「割切って」ないじゃん。
勝 :それがさあ、「1億人に売れる商品を作れ」とか言っちゃうわ
けだよ。すると、1億人どころか、誰にも売れない。
真子:あ、なるほど。事実を認める勇気、ってところか。
勝 :そういうこと。果てしない理想を追うのはいいことだけど、現
実を見据えないと、理想から遠ざかる。
真子:そもそも「日本人全員に売れる商品」なんてありえないよねー
勝 :そういうこと。そして、考えるべき戦略も、その会社が置かれ
た状況とかの「前提条件」によって変わる。
真子:あ……そうか、「前提条件」が違えば戦略が変わる!
勝 :だから、万能な戦略なんて存在しない。
真子:あれ? BASiCSは万能なんじゃないの?
勝 :BASiCSは万能だよ。ただ、BASiCSはワクだから、
その中身が変わるだろ。ワクとして万能、ってこと。
恵利:万能な戦略が1つだけあるんだったら、BASiCSもいりま
せんよね。
勝 :そうそう。上にあるような、発言の一貫性、その裏にある前提
条件、なんかがすごい面白い記事だと思ったんだよな。
恵利:だから、お読みになってらしたんですね。
勝 :そう。というわけで、この話、おっしまい!
恵利:ぱちぱちぱちぱち! ありがとうございました!
真子:ねーねー、さっきの「赤い糸」の話だけどさー、どうすれば
「赤い糸」が見えるようになるの?
勝 :赤い「線」だっつってんの。「赤い糸」こそ見えたらこえーよ
真子:勝さんと真子の間の赤い糸が真子には見えるよ、はーと。で、
どーすれば見えるようになるの? 真子も見たい!
恵利:訓練のたまものですよね。
勝 :そうそう。訓練すれば、ロジックのつながりとかが見えるよう
になるの。
真子:勝さん、いつの間に訓練なんてしたのよー
勝 :オレは、真子たちが恋愛だの飲み会だのにうつつを抜かしてた
学生時代に、ストイックに英語ディベートとかやってたからな
真子:恋愛にうつつなんか抜かしてないもん。それどころか……
恵利:そうだよね、真子は全然恋愛とかうまくいってなかったもんね
真子:そうそう……ってちっがーう!! 大体恵利だって人のこと…
勝 :そんな話はどーでもいい。ストイックに訓練すれば、そういう
「ロジック」が見えるようになる
真子:ストイックとか関係ないじゃん。
勝 :真剣に集中してやれ、ってことだよ。何年も、何十年も。
真子:えー、やだやだ、すぐ見たい!
勝 :そんなすぐにできるようになるわけねーだろ。それこそ「独自
資源」なんだからさ。
恵利:私もやれば赤い線が見えるようになりますか?
勝 :うん。さっきの恵利ノートの上に書いて、練習してみなよ。新
聞の記事とか読むときも、そうやって考えながら読むといい。
恵利:はい!!
「ちぇっ。じゃあ、真子は勝さんとの間の赤い糸でガマンするよ」
「ふざけんな、そんなものオレには見えねー」
「私にも見えないわよ」
「いーもーんだ」
「真子、赤い糸が見えるんならオレのために食い物買って来てくれ」
「えー、まだ足りないの? あれだけ食べたのに?」
「全然食べてないだろ。あ、カップラーメンあったはず……」
「やめなよー、食べ過ぎだよー」
「あ、じゃあ私、お菓子焼いてきたので……」
「あるの? やったあ!」
「な、何で恵利そんなの持ってるのよ! 今日ここに来る予定なかっ
たはずじゃん! あ、まさか最初っからそのつもりで……」
「え、そ、そんなこと無いよ、偶然よ……と、とにかく、勝さん……」
恵利がバッグから包みを取り出し、中の焼き菓子を机に並べていく。
「お、すげーじゃん。これは、いいデザートだ」
「勝さん、どうぞ全部召し上がってくださいね」
「私も食べる!」
「勝さんに持ってきたのよ、これ」
「何それ! ダメよそんなの! いっただきまーす♪」
「じゃあオレも……あ、これうまい」
「どれどれ? じゃあ私も……」
「真子、取りすぎ! 子供じゃねーんだから自分の分キープすんな」
「勝さんだってそーじゃん! 大体ねー、恵利だって……」
「な、何よ……あのね、真子、私だって言いたいことあるんだから」
「ならいっそ……飲もう! 私、コンビニでワイン買ってくる!」
「はあ? ふざけんな、人の会社で酒盛りすんじゃねー」
「いーじゃん、今日はもうどーせ仕事になんないでしょ?」
「ふざけんな、誰のせーだと思ってんだよ!」
「勝さん、たまには休みましょうよ……」
「何だよ、恵利ちゃんまで……オレはまだ仕事があんだよ!」
「じゃあ場所だけ貸してよ。じゃあ、恵利、コンビニ行くよ」
「そうだね、行こう行こう!」
「あーあ、もう……じゃあ食い物も買ってこいよ!」
「きゃははは、いくらでも買ってきてあげるよ!」
土曜日の深夜、人気のないオフィス街に3人の楽しげな騒ぎ声、笑い
声はいつまでも響いていた。
<完>
これにてシリーズ終了です。
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆今日のまとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「商品軸」なら、開発者が自由に動けるようにしよう! インタビ
ュー記事などは、その背後にある前提条件などを考えよう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売れたま!を解除するには
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
売れたま!は、以下の3つの配信会社さんから配信されています。
こちらには読者様のアドレスはわかりません。配信会社さんをご確認
の上、以下から解除をご自身にてお手続き下さい
○まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000111700.html
○melma!
http://www.melma.com/backnumber_92209/
○めろんぱん
http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=010361
ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ 「事例でわかる! 実戦マーケティング戦略ワークブック」 ◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
有料メルマガ発行中! BASiCSの本当の実戦演習! 実際の事
例をとりあげて、私がBASiCSを「添削」する、まさに読む「コ
ンサルティング」。BASiCSを「使う力」を身につけたい方はぜ
ひどうぞ。
お申し込み・詳細はこちらから↓
http://biz-spice.jp/public/detail/1004/1004/
●発行頻度 月1回 、420円/月
●誌上コンサルティングを応募中!
誌上で取り上げる事例を募集中です。BASiCSに関する質問にも
誌上でお答えしますのでぜひどうぞ。
この売れたま!にご返信いただければ、私にメールが届きます。
**************************************************************
▼今日の日記▲
この3連休は、戦略BASiCS2日間集中セミナーから、マインド
フローセミナーと、3日連続のセミナーでした。
お陰様で、3日間とも大変盛り上がりました。BASiCS→マイン
ドフローと連続で行うのは初めての試みでしたが、BASiCSとマ
インドフローは極めて相互に相性が良いため、結果的には良い流れが
出来たかと思います。
3連休にこのようなセミナーを受講される方は、大変意識の高い方々
です。そこでディスカッションが始まると、一種独特な、精気溢れる
エネルギーが満ちるんですね。
そのエネルギーがぶつかり合うと、アタマが働いてアイディアが出た
り、刺激を受けてやる気が出たりするようです(ようです、と書いて
いるのはアンケートでそういうご意見を多くいただくからです)。
マインドフローもセミナー中に進化したりして、素晴らしい受講者の
方々でした。
ただ、セミナーを終えて帰路につくと「ぐったりする」という方も多
くいらっしゃいます。アタマも相当疲れるようなのですが、逆に言え
ば、日頃はお持ちの潜在能力を100%使われていらっしゃらないと
いうことでもあります。
日頃から、その潜在能力の発露を高められれば、つまり、「うまくア
タマが使えれば」もっともっとできるんですよね。
BASiCSセミナー、マインドフローセミナーにご参加いただいた
方々、ありがとうございました!
●今日のiPod Tune:秋の歌2012
ちょっと前まで夏だと思っていたのに、もう冬に近くなってきた、と
いう漢字ですね。
というわけで、「秋の歌2012」!
今日の1曲は……
○M by プリンセスプリンセス
1989年リリースの、あのスーパー大ヒット曲、DiamondsのB面の
曲です。
Diamondsとは打って変わって、落ち着いたバラード曲です。非常に有
名な曲ですので、ご存じの方も多いですよね。
厳密に言えば秋の曲ではなく、出会ったのが秋、という歌詞なんです
が、秋に似合う曲ではありますよね。
ところで、プリプリの紅白初出場が決まったみたいですね。初出場と
言うのが驚きです。あの絶頂期には出ていなかったんですね。
どの曲を歌うのかは存じませんが、あの数々の大ヒット曲のメドレー
なんかを歌ってくれたらいいですね。
**************************************************************
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
●無断転載は禁じますが企画や会議のネタにぜひどうぞ。全文転送な
ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
●メルマガの内容の実行は、読者さんの責任でお願いします。
●自社の売上向上のために使うのは歓迎ですが、このメルマガの内容
の販売・コンサルティングへの利用で利益を得る行為は禁じます。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<発行者情報>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●発行者:佐藤義典 ●発行頻度:月・木の週2回目標
●感想、質問、実行の結果などは uretama@mpara.com へどうぞ!
●http://www.mpara.com(マーケティングパラダイス)
マーケティングパラダイスはエルパラ(www.Lpara.com)傘下サイト
●購読の登録・解除はまぐまぐ、メルマ!、Macky! の各サイトか、
http://www.mpara.com/mag.htm (マーケティングパラダイス)で
●バックナンバー抜粋 http://www.mpara.com/backno.htm
マーケティングコンサルティング・研修・セミナーは
ストラテジー&タクティクス株式会社へ
http://www.sandt.co.jp/index.htm
Copyright 2003-2010 Yoshinori Sato
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売れたま!提携メルマガ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以下は、売れたま!独自の基準で厳選している提携メルマガです。
●あなたは一国一城の主!小さな会社を成功させる方法
http://www.mag2.com/m/0000111010.html
お奨め書 「売りこむな!期待をくすぐれ!!」
http://tinyurl.com/4vyk4
●行列のできるお店のためのマーケティング戦略
http://www.mag2.com/m/0000122871.html
●エンジニアがビジネス書を斬る!
http://www.mag2.com/m/0000132223.html
●後悔しないための読書【ビジネス書の本格的書評】
http://www.mag2.com/m/0000125885.html
───────────────────────────────
ご参加希望のメルマガ発行者は売れたま!にご返信ください。
提携メルマガオーナーに声をかけます。提携基準は厳しいので、提携
できるとは限らないこと、あらかじめご了承ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆売れたま!発行者 佐藤義典 の本 : 合わせて読めば最強!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●最新刊! BtoBマーケティングの標準テキスト
「事例でわかる 実戦BtoBマーケティング」
佐藤義典著 日本能率協会マネジメントセンター
サブタイトルは「お客様に頼られる存在になるための戦略実行」。お
客様に頼られる存在になる手法が満載!
http://ow.ly/7Wvdq
─────────< 経営戦略の最高峰 >──────────
●「経営戦略立案シナリオ」 佐藤義典 著 かんき出版
経営戦略のガイドブック:経営者は必読!
http://www.sandt.co.jp/scenario.htm
●「売れる数字 〜組織を動かすマーケティング〜」
佐藤義典著 朝日新聞出版
戦略を実行に落とし込み、組織を動かそう!
http://ow.ly/32zKP
──────< 物語でわかるマーケティング >────────
●「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
マーケティング入門:読みやすい小説
http://ow.ly/89pSR
●「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
で物語で体感!
http://ow.ly/6s63d
●「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm
─────< マーケティング戦略のベストセラー >──────
●「図解 実戦マーケティング戦略」 佐藤義典 著
マーケティング戦略入門:戦略はここから
日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/jissen.htm
●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/check.htm
●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
http://www.sandt.co.jp/kotowaza.htm
────────< マーケティングの思考法 >────────
●「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
日本能率協会マネジメントセンター
右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆次号予告:トリンプの体型計測機器
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●下着のトリンプの体型計測機器が人気。売上にもつながっているよ
うです。そのヒミツは……?
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!
▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!
▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!
売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……
〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000111700/index.html
「インド人を右に」とレスするたびに右に動いていくスレ
-
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/30(土) 14:05:17.71
ID:yDRFQxCW0┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓┃ ┃┣
11 年前
0 件のコメント:
コメントを投稿