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2012年11月20日火曜日

売れたま!特別編Vol.197 2012/11/19 ヒットを飛ばすキングジムの考え方 2

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.197 2012/11/19
購読者:27,661 (まぐまぐ:16,312 メルマ!:953 めろんぱん:10,396)

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 ■■■■__ヒットを飛ばすキングジムの考え方 2__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●商品の位置づけ、負えるリスクなどに応じて市場調査を考えよう!
 実市場でテストする「リアル調査」も場合によってはお勧め。


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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●「新人OLシリーズ」のヒロイン・売多真子とメンター・売多勝

今回は「新人OL〜」シリーズのヒロイン「売多真子」(うれた・ま
こ)と、その親戚にしてメンター「売多勝」(うれた・まさる)の2
人にご登場いただきます!


○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著

売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングを学ぶ最初の1冊としてオススメ。
http://ow.ly/89pSR


○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著

上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d


○特別ゲスト:松井恵利

特別ゲストは、松井恵利(まつい・えり)ちゃん。真子の大学時代の
同級生であり、CD「経営戦略虎の巻」の特典小説のヒロイン。

http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm

OL勤めをやめて家業の果物屋を継ぎ、果物及びその加工品販売の
「M'sジューシーヘルシー」の経営陣として頑張っています。


この3人は、このところ、すっかりお馴染みになったメンツですね。



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◆まずは、前号の復習から!
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土曜日の夜、勝のオフィスに「突撃」してきた真子と恵利。会議スペ
ースの机に上には、デパ地下の総菜の空き皿が並ぶ。


真子:しかし、勝さんよく食べるねー。

勝 :今日初めての食事だからな、これ。

恵利:え? こんな夜なのに、朝も昼も食べてないんですか?

勝 :うん。カプチーノ飲んだだけ。忙しいっていうのもあるけど、
   食べると脳の働きが鈍るからな。

真子:勝さん、食べない方がアタマ働くっていつも言ってるよねー。
   でもこんなに一気に食べたら同じじゃん。

勝 :まーいーだろ。まあ始めよう。

真子:じゃあ前号の復習からだよね。キングジムは「10人に1人に
   刺さる」商品をあえて狙って作ってる!

勝 :そうだな。その理由は?

恵利:「お客様のアタマの中のお買い物リスト」ですね。10人に
   「まあまあ」と言われるより……

真子:「1人の人に大好き」って言われたい! そうすれば、その
   「1人の人」が必ず買ってくれる!

恵利:「まあまあ」と言ってくれても、実際には買ってくれない……

勝 :そうだな。

恵利:それで、社長は、その商品を自分では使わない、というのもす
   ごいな、と思いました。

真子:「自分はターゲットじゃないから」って割切ってるんだよね。

勝 :そう。「ターゲットじゃない偉い人」が、せっかくエッジの効
   いている商品を潰す、っていうのはすっごいよくあるぞ。

恵利:私の前職でも、マーケティン部の人が、役員プレゼンの後に
   「役員がターゲットじゃないんだよ!」とかグチってました。

恵利:そうそう。その弊害を熟知してらっしゃるんだろうな。

真子:なんでこの宮本社長さんには、そういうことができるようにな
   ったんだろうね?

勝 :こういうキャリアを持ってらっしゃることも関係してるんじゃ
   ないかな。


勝がノートパソコンを再度操作し、真子たちに向ける。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

◇常務取締役総合企画室長のとき、同社初の電子機器開発プロジェク
 トのリーダーとなり88年発売の「テプラ」に携わった

2012/10/29 日経MJ P.3

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:へー、テプラの開発に携わった方なんだね。

恵利:前回、「新規概念」の商品という言葉を使ってらっしゃいまし
   たが、その走りですね。

勝 :そうそう、それ。テプラも「新規概念」の商品。

恵利:では、そのときに「自分が欲しいものが売れるわけじゃない」
   ということを理解された、と……

勝 :そうだろうね。当時「常務取締役」だから、テプラを使って、
   ファイルのラベル作るなんていうニーズは「自分」にはない。

真子:でもさー、秘書の女性とかにはニーズがあったわけでしょ?

勝 :そうそう。それでテプラが人気になって「自分の感覚で判断し
   てはいけない」ことを痛感したんじゃないかな。

真子:なるほどねー。

勝 :自分でちょっとでも使うと、「やれ、文字が小さい」とか、言
   いたくなっちゃうだろ。若い人には見えるのにさ。

恵利:だから自分でも使わない、と……

真子:1人の人に振り向いてもらえばいい、なんて、なんかロマンチ
   ックだねー。

勝 :は?

真子:だって、恋愛だってそーじゃん。自分が好きな1人の人だけに
   振り向いてもらえればいいわけでしょ?

恵利:うん。10人いたとしても関係ないよね。大事なのはその人、
   1人。

勝 :はいはい、オレには縁のない話だから先行くぞ。



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◆調査するくらいなら、商品を出してしまえ
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勝 :じゃあ、「キングジムの考え方」の続き。まずは、これから。


勝がノートパソコンを取ってきて、軽快に操作すると、真子と恵利に
モニタを向ける。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

キングジム宮本彰社長が日経MJのインタビューに答えて


◇商品化のハードルは、結構低い。正直、マーケティング調査が大嫌
 いだ。調査に時間とお金をかけるくらいなら商品を出してしまえと
 思う。調査では当社の電子文具を欲しいと答える20〜30代は多
 いが、実際に買っているのは40〜50代の男性。欲しくないと言
 っているおじさんが実は最大のターゲット。


◇9個失敗しても10個目でヒットすれば全部取り返せておつりが来
 る。それくらいの感覚でやらないと宝の山は探せない


2012/10/29 日経MJ P.3

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


勝 :過激なことおっしゃるよな。オレでも「調査が大嫌い」とは、
   ちょっと言えないわ。

恵利:そうなんですか?

勝 :うん。調査が必要なときはもちろんあるからさ。

真子:じゃあ、宮本社長がおっしゃる「大嫌い」ってどういうこと?

恵利:調査が当たらない、ってことじゃない? 20代は調査で「欲
   しい」と答えても買わないし、50台はその逆、なんでしょ?

真子:あ、そっか。じゃあ調査なんてしない方がいいの?

勝 :だから調査が必要なときはある。逆に、調査しても回答が得に
   くい場合もある。

真子:えー、どーゆーこと?

勝 :キングジムのテプラとかポメラは、どんな商品だ?

真子:どんな商品って……面白くて便利な商品?

勝 :まあそうなんだけど、面白いってどういう意味だ?

真子:えっと……あ、そうだ! 今までになかった商品だ!

勝 :だろ? そうなるとさ、調査しても、回答者がピンと来ないん
   だよな。すごい答えづらいんだよ。

恵利:どういうことですか?

勝 :恵利ちゃん、画面が2つあって、インターフェースが音声入力
   とタッチパネルの折りたたみ式ゲーム機、欲しい?

恵利:え? い、いえ、別に……

勝 :そうなの? これ、任天堂DSのことなんだけど?

恵利:え、あ、ああああ! そうです! 私、DS持ってます!!

勝 :DSなんかはまさにキングジムで言う「新規概念」の商品だよ
   ね? そういう商品だと、調査しても回答者が答えられない。

真子:確かに「画面2つあるゲーム機はどう?」とか言われても、全
   然わかんないから「いらない」って答えるよね。

勝 :そう。どんなに詳細に説明されても、DSの楽しさは詰まると
   ころ「やってみなきゃわからない」から調査が難しい。

恵利:そうですねぇ……

勝 :そうなると「聞いてもわからないなら、もう出しちゃえ」って
   発想は、「新規概念商品」ならよくわかる。

恵利:なるほどぉ……でもそうすると、失敗するリスクもかなり高い
   ですよね?

勝 :だよね? だから「9個ダメでも1個売れればいい」っていう
   経営者の割り切りが必要。じゃないと社員が思い切れない。

真子:そうか! 「社長が失敗してもいい」って公言してるんだ! 
   そうしないと、従業員はできない!

勝 :だから、おっしゃってることにすごく一貫性がある。

恵利:はい、全部つながってます! 「新規概念商品」だから、出し
   てみないとわからない。だから10個に1つ当たればいい!

真子:ほ、ホントだ……前号とつながった。

勝 :売れなかったときのリスク管理ができるなら、オレも、実際に
   市場で売ってみるテストマーケティングは勧める。

真子:そうなの?

勝 :真子の店で新メニューの開発するとき、調査するよりは、1つ
   か2つの店でとりあえず売ってみたほうが話が早いだろ?

真子:う、うん……確かに……わざわざ調査してもしょうがないね。

勝 :そういうこと。実際に、メニューに載せて、売り出して、お客
   様の反響を見るのが一番確実だろ?

真子:それで売れなかったら、引っ込めればいいってことか。

勝 :そう。ただ、まずいものばっかり出してると、お客様の不信感
   を呼ぶからな。だから小規模にやる、ってこと。

真子:お客様を実験台に使うのは気が引けるなあ……

勝 :それもそうなんだよな。だから、常連さんとかに、無料で食べ
   てもらってもいいだろ。経緯を説明したうえで。

真子:あ、そっか。そーだね。

勝 :ある意味でそれが一番確実な「調査」だよな。「テストマーケ
   ティング」ってこと。

真子:そっか、「リアル調査」って感じだね。

勝 :あ、いい表現だな、それ。「テストマーケティング」って、要
   は「リアルに小規模でやってみよう」ってことだからな。

恵利:なるほど、「リアル調査」をすればいいんですね……



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◆「条件付け」をしよう:調査が必要なとき・不要なとき
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真子:じゃー、市場調査って不要なの? みんなやってるからには、
   意味があるんじゃないの?

勝 :もちろん。いい機会だから、整理しようか。ま市場調査って言
   っても、目的が色々ある。今回の目的は「新商品開発」だな。

真子:あ、そっか、新商品開発以外にも調査の目的って、色々あるん
   だもんね。

勝 :そうそう。商品を出した後の認知度を調べるみたいな、マイン
   ドフローの関門を数値化する、なんかの調査はした方がいい。

恵利:あ、そういうところは「カンと経験」だと危ういわけですね。

勝 :そうだね。あと、現状把握、例えば食品の商品開発だと、どん
   な人がどんな食生活をしているのか、みたいな調査は必要。

真子:そりゃそーだよね。

勝 :それが、意外にないんだな。どんな人が、いつ、何を飲んで食
   べて、その動機は何か、なんていう資料、真子持ってるか?

真子:う、あ、い、いや……な、ないかな……あははは。

勝 :オマエのイタリアンレストランだって、お客様がどんな飲食店
   に行ってるかとかがわからないと、戦略の立てようがないだろ

恵利:あ、競合がわからないからですね。

勝 :そう。だから、市場調査っていうか、「戦場調査」はすっごい
   大事。特に、数値で把握することが。

真子:そっか。じゃあ調査がいるときもあるんだ。

勝 :もちろん。それがないと、BASiCSが作れない。その割に
   そういう調査はあんまり見ないけどな。

真子:調査会社とかがやれば、売れるのにねー。

勝 :いや、まず前提として、BASiCSを理解して、そこにおけ
   る「戦場とは」からだから結構大変。一朝一夕にはできない。

真子:じゃあ勝さんがコンサルすればいーじゃん。

勝 :だからそれがオレの仕事だ、っつーの。

真子:あ、そーか。そーだった、きゃははは!

勝 :社会の大きな変化の方向性を探る、とか、仮説の材料を作る
   というような場合も有効。

真子:どういうこと?

勝 :例えばこういうこと。


勝がノートパソコンを操作すると、再び真子達に向ける。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

◇(アサヒビールの樋口社長の時代)供給者目線のビジネスモデルを
 変える目的で、当時としては珍しいCI委員会を85年に立ち上げ
 たり、5千人の消費者調査を実施したりした。


◇アサヒビールは80年代半ばから経営体質の改善に動いた。重要な
 のがマーケティングの方向性を示す仮説を立てたこと。「戦後のベ
 ビーブーマーが消費の中心になる。うまさの判断基準も変わる」と
 判断。調査などから「苦くて重いビールからのどごしの良いすっき
 りした味のビールへ」との大胆な結論を導き、86年の生ビール
 「コク・キレ」、87年のスーパードライ開発へとつながった。


2012/11/19 日経MJ P.3

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−



恵利:えっと、大がかりな仮説検証のときには重要、ということでい
   いですか?

勝 :そうだね。あと、アサヒビールは、会社の商品開発の方向性を
   決めてるでしょ?

真子:うん。「コク・キレ」っていうスーパードライの方向性が、こ
   のときに出たんだよね、きっと。

勝 :そうなんだろうな。そういう方向転換のときには、さすがに
   「エイヤ」で決めないだろ。

真子:そっか、キングジムの場合は、「電子文具に注力する」という
   大きな方向性は決まってるから、こういう調査はしないんだ。

勝 :そうそう。調査が不要なんじゃなくて、目的次第ってこと。

真子:なるほどね。じゃあ、「新商品開発」が目的のときには不要な
   んだね。宮本社長はそうおっしゃってるよね。

勝 :それも短絡的だ。新聞記事とかの発言の「断片」を切り取って
   鵜呑みにするなよ。

真子:へ?

勝 :だから、その発言の背後にある意味とか前提を考えろ、って言
   ってる。「達人マーケターへの道」でやっただろ。これな↓


http://archive.mag2.com/0000111700/20110805034000000.html
(売れたま! 2011年8月4日号)


恵利:あ……「条件を明確化」する、という部分ですね。

真子:あ、そういえば……見たような気がするかな、きゃははは。

勝 :新商品開発でも、キングジムの言う「新規概念商品」の時には
   現実問題として、調査が難しいんだよな。

真子:「調査」が当たらない、ってこと?

勝 :核心をついた質問だな。そう言われるけど、調査の「手法」の
   問題と、「調査自体の有用性」とが混同されてるんだよな。

真子:え? どーゆーこと?

恵利:「調査」が当たらないんじゃなくて、そのときに使った「調査
   手法」が問題だったかもしれない、ということですよね?

勝 :そう。任天堂DSなんかは、絵とか文章で説明されてもわから
   ないだろ? だからその「手法」がまずい、ということだな。

恵利:なるほど、では実際にDSを作ってみてから、「これどう?」
   って聞けばいいんですね。

勝 :そう!! そーすりゃわかるよな。千台作って、実際に遊んで
   みてもらって、そのときの様子を観察すればいい。

真子:そんなことするくらいなら、出しちゃった方が早いよね! そ
   の時点で実機を作っちゃってるわけだからさ。

勝 :だから、宮本社長がおっしゃってるのは「そういうこと」なん
   だと思うけどな。

恵利:「そういうこと」とおっしゃるのは、「新規概念商品」の場合
   というのと、他に「条件」があるんですか?

勝 :「実物を作るのが大変」っていう場合。任天堂DS、テプラ、
   ポメラなんかは、実物を作るのが大変だろ。お金かかるし。

恵利:あ、なるほど、「実物を作る」という時点で、相当な投資を覚
   悟しないといけないわけですね。

勝 :そう。もはや引き返せない投資金額を投じるなら、投資の意思
   決定をするための調査は意味がないよな。

恵利:なるほど……「何を決めるか」の問題ですね。

勝 :そういうこと。使い勝手とかは確認した方がいいだろうから、
   後から変更できるものについては確認する意味がある。

恵利:ということは、「新規概念商品」において「投資の意思決定」
   をする、という意味においては、調査の意味が薄い、と……

勝 :そうだね。「どこで大きな意思決定をするか」という問題。

恵利:「条件付け」ってこうやってやっていくんですね……結構大変
   なんですね。

勝 :そうそう。メディアに出た発言の「断片」を鵜呑みにするんじ
   ゃなくて、その前提条件を明らかにしていく。



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◆新商品開発における調査の本質的な意味:リスク管理
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真子:「実物を作るのが大変」って、みんなそーなんじゃないの?

恵利:そんなことないわよ。うちの店のフルーツケーキは、私が半日
   で試作してるわ。真子の店でもそうじゃないの?

真子:あ……言われてみればそうだね、きゃははは。

勝 :キングジムの「ショットノート」*も、紙で印刷するだけだか
   ら、試作品はすぐ作れるだろ。

*ショットノート↓
http://www.kingjim.co.jp/sp/shotnote/


恵利:あ、確かに……高性能なインクジェットプリンタであれば、す
   ぐに「試作品」ができそうですね。

勝 :そう。これなら、すぐ試作して、実際に使っていただいて、と
   いう「リアル調査」みたいなことが可能。

真子:でもさー、ショットノートこそ出しちゃった方が早いよ。ポメ
   ラより、ショットノート作る方が安いよ、きっと。

勝 :お、そうそう。そうだよな。それはどういうことだ? いい機
   会だ、それを「普遍化」してみろ。

真子:だから「安く作れるなら、出しちゃった方が早い」でしょ?

勝 :もう一段上の話だ。「安く作れる」ってどういうことだ?

真子:え?

恵利:あ……投資金額が少ないから、「負うリスクが小さい」という
   ことですね!

勝 :そう! ポメラは、実機を作ってしまった時点で、きちんと売
   り出すしかない。発注ロットもそれなりに大きいだろうし。

真子:あ、そっか。ショットノートだったら、少なく作って、売れな
   かったら引っ込める、ということもできる!

勝 :だよな。だから、あとは「リスクをどれだけ負えるか」ってい
   うことになる。

恵利:あ! それが「9個失敗しても10個目が売れればいい」とい
   うことのもう1つの意味!

勝 :そう! 「前提条件」を明確にしてる。

真子:え?

恵利:だから、社長が「リスクを負っていい」っておっしゃってる、
   ってことでしょ? それが「前提条件」なのよ。

真子:わかんなーい。

恵利:だから、「新規概念商品の」「投資意思決定の際」「会社とし
   てリスクを負える」前提では、調査は不要とおっしゃってるの

真子:あ……そういうことかあ……リスクを負えない場合には、調査
   をしないといけないんだね。

勝 :そうそう、そういうこと。宮本社長のおっしゃることには、一
   貫性がある。だから、こうやって今、話してるわけだ。

恵利:この短い記事の間に、こんなに「前提条件」が隠されていたん
   ですね……

勝 :上級マーケターなら、そこまで考えられないとな。

真子:はあ……自分では良い線行ってると思ってたけど、遠いなあ…

勝 :当たり前だ。「達人への道」は長いんだよ。

恵利:「鵜呑みにしてはいけない」と勝さんがおっしゃった意味がや
   っとわかりました。

勝 :宮本社長のおっしゃる「マーケティング調査が大嫌い」には、
   これだけの前提がある、ってこと。誤解してほしくなかった。

恵利:逆に言えば、市場調査などをする際には、目的や、知るべきこ
   とをきちんと考えよう、ということですね。

勝 :そういうこと。既存商品の既存ユーザーの不満を知って、小幅
   改良をする、という目的なら、通常の調査でできるでしょ。

真子:なるほどねー。うちの店の料理の、味の調整をするくらいなら
   すぐ聞けるね。

勝 :っていうか、料理を召し上がった直後に聞けばいいだろ。気心
   がしれてるお客様に、さ。

真子:あ、そりゃそうだねー、きゃははは。

勝 :調査の場合は、「時間」っていうデメリットもある。その分、
   意思決定が遅れるからな。

真子:あ、確かに。

勝 :「調査」は、要は「確実性を高める」こと。わからない未来を
   見える化することにお金と時間を使うわけだ。

恵利:なるほど……

勝 :だから、その本質は「不確実性に対するリスク管理」と言って
   いい。リスクが負えるなら、「エイヤ」で出しちゃえばいい。

真子:そうか、失敗してもいいわけだもんね。

恵利:でも、そういうわけにもいかないから、調査をするんですね。

勝 :そう。だから、そのときの「前提条件」とか「負えるリスク」
   に応じて、調査を考えるということになる。

真子:そうかあ……一概にいい悪いとか、当たる当たらないんじゃな
   いんだねー。

勝 :キングジムも、ポメラの売上を100倍にするために、100
   億円の広告費をかけるんだったら、さすがに調査をするだろ。

真子:そりゃそうでしょ。

勝 :でも、キングジムはそういうことはしない。何でだ?

真子:え……? 何で?

恵利:はい、10人に1人に売れればいい、と割切っているから、で
   すよね?

勝 :そう!! その発想をしている時点で、リスクがある程度限定
   されてるんだよ。

真子:あ……そうか! だからリスクが負えるんだ! 元々、ものす
   ごい規模の売上を狙ってないから!

勝 :そうなんだよな。やってることに一貫性がある。次はその、
   「売上規模」の話をしようか。

恵利:はい!

勝 :でさあ……思ったより、このシリーズ、長くなりそうなんだよ

恵利:前号のタイトルは「前編」でしたけど……今号は「2」に変わ
   りましたよね?

勝 :う……よく気づいたな……前後編で終わるはずだったから……

真子:そんなのいつものことじゃん、3回で終わるとか言ってて、全
   然終わらない。勝さん、ツメが甘いのよ。

勝 :それについては全く反論できないな。

真子:お正月なんて、ずっと2人きりだったよねー。勝さんの話が長
   くて。年末年始特別号、長かったねー、ふ、た、り、き、り♪

勝 :妙な言い方はやめろ。

真子:ホントはさー、真子とずっと2人きりでいたかったんでしょ?
   だから、話、長くしてるんでしょ、もー、このー。

勝 :そんなこと言うんなら、このシリーズ終わりにするか。はい、
   終わり終わり。

恵利:だ、ダメです……私、聞きたいです!

勝 :恵利ちゃんがそう言うなら、続けるか……



「もう、素直じゃないんだからー」と言う真子を無視して、勝が再び
食事に手を伸ばす。

「あ、また温めましょうか?」という恵利に、「オレ、冷めてる方が
いいから、大丈夫」と矢継ぎ早に口に入れていく。

「まさか……これだけ買って来て……足りなくなったりする?」と、
不安げな表情を見せる真子に「いや、冷凍庫に冷凍餃子とか、たこ焼
きとか一杯あるから大丈夫」と答える勝。

「え? たこ焼き? 食べる!!」 真子が言うが早いか立ち上がり
オフィスの冷凍庫を勝手に漁る。

「へー、こんなのあるんだねー。今は何でもあるね。っていうか、冷
凍庫にモノ入れすぎぃ! チャーハンにアイスに……もう!」

「こういうときだってあるだろうが」と答える勝に、「じゃあまたた
こ焼き食べに来よう」と、レンジのタイマーをセットしながら返す真
子。

「恵利ちゃんも遠慮しなくていいからね。真子はあつかましすぎだけ
どさ」「ありがとうございます。私もたこ焼き、いただきます」

レンジの音がチン、と鳴る。たこ焼きを取り出しながら、「きゃあ、
あっつーい!」と叫ぶ真子。

「当たり前だろ、温めたんだから」「勝さんだってさっきやってたじ
ゃーん、きゃははは」


閑静なオフィス街の外まで、3人の騒ぎ声が響いていた。



というわけで、次号に続きます!



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◆今日のまとめ
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●調査は、戦略や前提条件次第。目的に応じて考えよう!


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▼今日の日記▲

WBC2戦が終わって、野球シーズンもついに終わり、ですね。

WBCのキューバとの親善試合は、打ち合いになるかと思ったら、投
手戦でしたね……キューバの本気はこんなものではないでしょうから
実際には、日本選手の第1回集合セレモニー、みたいな意味合いもあ
ったのかもしれませんね。

個人的には、今年は別にWBCは出なくていいと思っていたんですが
出るなら出るで、勝ってほしいものです。MLB組の参加は無さそう
ですが、前回のWBC優勝メンバーも結構いるわけですから、国内組
だけでも戦えそうです。

こういう国際試合は、「国の威信」をかけて戦うので日頃野球に興味
の無い方々でも、見てくれますよね。私も日頃サッカーは見ませんが
W杯なんかはやっぱり気になりますし。

やっぱり、きちんとした国際試合が欲しいところですね……


あと、野球ファンにとっては、「昨日の敵が今日の友」みたいになる
のが嬉しいところ。敵にするとあんなにイヤな選手が、味方になると
本当に頼もしいですからね。

これで、もう後はMVPと新人王の発表くらい、とストーブリーグ、
ですね。セリーグのMVPは阿部選手でまず決まりでしょうが、パリ
ーグは誰なんでしょうね……?



●今日のiPod Tune:秋の歌2012

ちょっと前まで夏だと思っていたのに、もう冬に近くなってきた、と
いう漢字ですね。

というわけで、「秋の歌2012」!

秋は梅雨より雨量が多い、というのをどこかで見たことがあります。
秋の雨は冷たいですよね……

ということで、


今日の1曲は……


○雨 by 森高千里


1990年9月リリースのヒット曲。オリコン2位まで上がった、彼
女の代表曲の1つです。

秋の曲、というわけではありませんが、秋のリリースですし、冷たい
雨、というような歌詞が繰り返されることから考えても、恐らく季節
は秋(冬だったら冷たいどころではなく、風邪引きますし……)。

冷たい秋の雨に似合う1曲♪



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