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2012年8月16日木曜日

売れたま!特別編Vol.180 2012/08/16 夏休み特別号:密着軸の経営戦略 13

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.180 2012/08/16
購読者:27,541 (まぐまぐ:16,573 メルマ!:958 めろんぱん:10,010)

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 ■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 13__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●密着軸では、「アドバイザー」が重要。アドバイザーの役割は、お
 客様ですら気づいていないニーズを引き出すこと。


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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●密着軸の経営戦略特集!

恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!

恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。

以下がその前提となる知識です


○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント

 Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
 Asset:独自資源     強みを競合がマネできない理由
 Strength:強み     顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
 i
 Customer:顧客     自社が取引したい具体的顧客像
 Selling message     強みを顧客に刺さるように伝える


○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法

手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
    → 競合より安い・早いで差別化する

商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える 
    → 競合より高品質・新技術で差別化する

密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
    → 競合より個別ニーズ対応で差別化する



●今シリーズの登場人物3名

○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者

○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ

○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中


◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
http://ow.ly/89pSR

◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d

◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
 戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm



●ここまでのあらすじ

高原のペンションに「山ごもり」して合宿を行った真子、勝、恵利の
3人。話し合っている最中に、ふとしたことから「密着軸」について
ペンションのテラスで勝の講義を受けることに。


連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。

http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html


今回は連載の13回目です。



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◆まずは、前号の復習から!
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真子たちが食事中のテーブルには、小さいお皿がいくつか並び、その
合間にノート、ペン、ノートパソコンが並ぶ。というよりは、むしろ
ノートとパソコンの間に食器が並ぶ、という方が正確だろう。


真子:ねー、今東京は暑いんだろうねー。ここは相変わらずクーラー
   いらずだけどさ。

勝 :そうだろうな。あっちだと、朝起きると汗で体重減ってるもん
   な。心頭滅却しても、暑いもんは暑いからな。

恵利:ふふふ、そうですよね。ホント来て良かったです。勝さんには
   お邪魔でしょうけど。

勝 :いや、恵利ちゃんなら大歓迎。

真子:なによー、真子がいないと寂しがるクセにー。

勝 :いいから、前号の復習するぞ。

恵利:はい、ここのところは「密着軸の3ステップ」をやってます。


恵利が、例によって美しくまとまった「恵利ノート」を見せる。


◇密着軸の3ステップ

ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
ステップ2)個別ニーズを叶える
ステップ3)個別ニーズを覚える


◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
A)ニーズを引き出す
B)ニーズに合った提案をする

A)ニーズを引き出す の2つの方法
 1)顧客情報の収集・蓄積・カルテ化
 2)診断・計測による顧客情報の収集

B)ニーズに合った提案をする
 1)提案の幅を広げる
 2)購買履歴から推測する


◇ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える
A)個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わせる
B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる


「売り方」の個別化
・お客様の欲しい商品を聞き、それを品揃えしてお客様と一緒に
 「店」を作り、「私のための店」と思っていただく。



真子:前号は、ステップ2「個別ニーズを叶える」の、「売り方」の
   個別化をやったんだよね。

恵利:店舗の場合は、お客様に欲しいモノを尋ねて、それを仕入れ、
   その反応を見て、という感じで……

真子:お客様と一緒に「お店を作り上げる」んだよね。

勝 :そうそう。それで、お客様に「この店はまさに自分のためにあ
   るような店だ」と思っていただくんだな。



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◆ステップ2−B)お客様と一緒に商品を選ぶ
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恵利:勝さん、お店でも「お客様と一緒に作り上げる」ことができる
   という考え方は面白いですね。

勝 :お店では、商品は一緒に作れないけど、「一緒に選ぶ」ことは
   できるよ。こんなのが典型例。


勝が再びノートパソコンを操作し、モニタを真子と恵利に向ける。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

◇紳士服専門店のAOKI(横浜市)は、2010年4〜9月期の既
 存店ベースの就活スーツ売上高が前期比約50%増と好調。就活生
 の心をつかむ、AOKIの接客術を探った。


◇「来週、東京国際フォーラムで大規模セミナーがありますね」
 「大手商社は今度、採用活動の時期を遅らせるんですってね」
 銀座店では、就活用品を求める顧客に店員がこんな話をする。就活
 関係のニュースはネットなどで欠かさずチェックし、必要な情報は
 店全体で共有、「顧客との会話の糸口を作り出す」(同社)。


◇同店によれば、就活用スーツとして一般に認められる色は3色。黒
 はスタイリッシュ、紺はさわやか、グレーは落ち着き、とそれぞれ
 与える印象が違う。顧客の志望業種や自分をどんなイメージで売り
 込みたいのか、さらにファッションの流行なども考えて、型やサイ
 ズの薦め方を変えるという。


◇さらに、来店者の属性を素早く判断し、最適と思われる店員をあて
 る。男性客には男性の、女性客には女性の店員を配すのは基本。学
 生らが1人や友達同士で訪れた場合は同じ目線で会話しやすい若手
 が担当し、両親との来店ではベテランを配し、その経験から親に説
 得力のあるセールストークを重視する場合もあるという。


2010/10/15, 日経MJ P.18

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:まあ何でも出てくるよね、この金属のハコは。びっくり箱だ。

勝 :オマエなあ、知能が詰まったハコ、くらい言えないのか。デー
   タ集めるのがどんだけ大変か……

真子:わあ、真子のために、あ、り、が、と、はーと♪

勝 :オマエのためじゃねー。読者さんのためだ。

真子:またまたー、照れなくていいのにぃ。

勝 :いいから早くコメントを述べよ。

恵利:はい、「密着軸の3ステップ」にあてはめてみるとこうなると
   思います。


真子がはしゃいでいる間に手を動かしていた恵利が、今書き終えたば
かりのノートを見せる。


◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る

A)ニーズを引き出す

 ・就活関連の話で、「顧客との会話の糸口」を作り、志望業種など
  の「個別ニーズ」を引き出す
 ・お客様と話しやすいように、同姓・同世代の店員が対応する

B)ニーズに合った提案をする

 ・ファッションの流行、スーツの色が与える印象などの知識と組み合
  わせ、個別ニーズに合った提案をする


◇ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える

A)個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わせる

 ・就活用のスーツの広く品揃えする

B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる

 ・幅広い品揃えの商品をしっかり把握した上で、色々なスーツを提
  案し、その中からお客様が気に入ったモノを選ぶ


勝 :お、早いな……えっと……うん、OK。こんな感じ。

真子:えー、恵利すごーい。

恵利:ステップ2については推測ですが、多分こうではないかと……

勝 :そうそう、記事には「一緒に作り上げる」ところは明示的には
   出てないけど、多分「流れ」としてやってるんだろうね。

真子:こういう場合って、ステップ1と2を分けにくいね。

勝 :そうだな。一連の流れだからな。ただ、ステップ1と2に必要
   なスキルは違うからな。

恵利:はい、ステップ1はお客様と話せること、ステップ2は自店の
   品揃えをきちんと知っていることが必要ですよね。

真子:あ、そっか。品揃えを把握してないと、お客様に合ったものを
   提案できないか。

勝 :そういうこと。

真子:ね、恵利、ステップ1の2つの項目見せて。AとBってあった
   確かAの方だったと思うけど。

恵利:え? これ?


恵利が真子にノートを見せる。


◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
A)ニーズを引き出す
B)ニーズに合った提案をする

A)ニーズを引き出す の2つの方法
 1)顧客情報の収集・蓄積・カルテ化
 2)診断・計測による顧客情報の収集



真子:これこれ。このステップ1−A)の「2)診断・計測による顧
   客情報の収集」もやってるよね。会話の途中で。

恵利:あ、そうね。「診断」っていう感じじゃなくても、志望業種な
   んかを聞き出して「顧客情報の収集」してる。

勝 :真子、いいところに気づいたじゃん。

真子:なんか、こういう「診断力」みたいのが大事なのかな、って思
   って。

勝 :ま、真子、ど、ど、どど、どうした?

真子:え、え? 何か悪いこと言った?

勝 :いや、逆。それそれ。診断力っていうか、「アドバイス力」み
   たいのが大事になってくる。

真子:やったあ! 私、たまにはいいこと言うじゃん!

勝 :たまには、っていう自覚はあるのか……

真子:うん。「売り方」の個別化、っていう場合、結局その「診断」
   っていうのがキーワードかな、って思って。

勝 :その通り! これなら「就活スーツのアドバイスをしてくれる
   店」っていう、「その店に来る理由」ができるよな。

恵利:はい、その場合、就活に「必要な情報は店全体で共有」したり
   お客様にあった店員を配置する仕組みが独自資源ですね。

勝 :まさにそういうこと。その結果「アドバイス力」が高まって、
   それが「強み」すなわち店に来る理由、となる。

恵利:確かに、就活は人生の一大イベントですから、価格差よりも、
   自分に合ったスーツを見つけられることが重要ですよね。

勝 :うん。その意味でも、また将来の顧客の育成、という意味でも
   これ、いい策だと思うよ。

真子:あ、そうだよねぇ……



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◆「売り方」の個別化を実現する「アドバイザー」
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勝 :でさ、その「アドバイス力」の話だけど、「売り方」の個別化
   は、「人」の勝負になってくることが多い。

真子:そりゃそうだよね。お客様のニーズを探ってどう探って、何を
   提案するか、っていうのはやっぱりスキルになるよね。

勝 :そうそう。顧客啓発っていうか、ニーズを引き出す、という意
   味で「アドバイザー」が必要になってくる。

恵利:あ、さっきのAOKIの店員さんも、アドバイザーの役割を果
   たしているんですね。

勝 :そうそう、そういうこと。こんな例もある。


勝がそう言いながらノートパソコンを叩き、真子たちに見せた。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

◇ワインのネット通販を手がけるセラードア(東京・港)が、スパー
 クリングワインの試飲イベントを開催、計10人の男女が集合。
 「指南役」の案内で色々なスパークリングワインを飲み比べ、好み
 を探るのがイベントの目的だ。参加費は1人3000円。


◇参加者は約2時間かけてポルトガル、日本、インド、フランスなど
 のワイン計13種類を味わい、最後に好きな銘柄を3つ挙げる。先
 入観を排すため価格は伏せてある。


◇飲み比べをするうち、参加者らはこれまで知らなかった自分の好み
 に気づく。参加した女性会社員は「基本的にアルコールは苦手」だ
 が、飲み比べるうちに「しっかりしたワインが好きだと発見した。
 普段はカクテルしか飲まないんだけど」と驚く。


◇2011年10月にスタートしたこのイベントは週1回程度のペー
 スで開催、累計参加者数は350人を超えた。「会話や飲み比べの
 様子をみながら、あの人の好みは酸味のあるヨーロッパの白だな、
 などと文章で記録し、それに基づいて後日ワインを販売する」。


2012/08/15 日経MJ P.16

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:これ、単なる試飲イベントじゃないね。

恵利:うん。これ、私わかる。「自分の本当の好み」って、案外自分
   でわかってないのよね。

勝 :そうそう。服なんかでもそうだぜ。「自分はこの色しか似合わ
   ない」とか思ってても、意外にそうでもない。

真子:じゃあ、真子が勝さんの服を選んであ、げ、る。

勝 :真子に頼むかどうかはともかく、意外にそういう「他人の目」
   が大事だったりするよな。着てみないとわかんないから。

恵利:そういう「他人の目」の役割を果たすのが、こういう「アドバ
   イザー」的な役割を果たす人なんですね。

勝 :そうそう。「売り方の個別化」では、こういうのが大事になっ
   てくるんだよな。



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◆「気づきの機会」:ジョハリの窓 マーケティング版
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真子:ねー、このワインのイベントって、自分の知らなかったニーズ
   を引き出すってことだよね。

勝 :そうそう。さっき恵利ちゃんが言ったけど、自分の本当の好み
   って意外にわかってない。

真子:じゃあ、それを引き出してあげれば、まさに「お客様の個別ニ
   ーズ」に本当の意味で応えることになるよね?

勝 :まさにそういうこと。

恵利:でも、それってカンタンじゃないですよね? 他人に言われて
   も受け入れにくいですし……

勝 :うん、だからお客様に自分で気づかせてあげる機会、言わば
   「気づきの機会」を持つことが1つの策になる。

真子:あ、このワインの試飲イベントは、その「気づきの機会」を作
   ってるんだ!

勝 :そうそう。お客様が自分で気づく、「気づきの機会」だな。

真子:そうかー。こーゆー手もあるか……うちの店もワイン出してる
   けど、これは気づかなかったなあ……

勝 :まさに「ジョハリの窓」のマーケティング版だな。

真子:何それ?

勝 :へ? 売れたま!でもやっただろ。2006年6月8日号。

真子:そんな昔の覚えてないよー、きゃははは。

勝 :あのな、バックナンバー全部読んだ、っていう強者の読者さん
   だっていらっしゃるぞ。書き手より詳しい、あははは。

恵利:それでその、ジョハリの窓というのは何ですか? 私もそこま
   では……


勝が恵利のノートに、さらさらと図表を書き込んでいく


      自分が気づいている    自分が気づいていない

  他気
  人づ                =====
  がい   公開された自分      盲点の自分
   て                =====
   い               アドバイスして気づかせて
   る               あげる


  他気
  人づ
  がい
   て   隠している自分      未知の自分
   い               「診断」などで客観化する
   な
   い



恵利:えっと、自分が気づいている・いない、他人が気づいている・
   いない、という軸でのマトリックスですね。

勝 :そうそう。これが「ジョハリの窓」って言われる。

真子:これをマーケティングに使うとどうなるの?

勝 :左上は、「顕在ニーズ」。多くの場合、価格競争になる。

恵利:あ、はい、みんなわかってるニーズだからですね。

勝 :左下は、「こっそりニーズ」とでも呼ぶべきかな。

真子:まあちょっと難しいところだよね。色々と。

勝 :それで、最大のポイントが右上の「盲点の自分」。「自分では
   気づいてないのに、他人が気づいている自分」

真子:ああ、あるある。傍からみてるからこそわかる、っていう……

勝 :それ。そういうこと、結構あるだろ。

恵利:ここにお客様の「気づきの機会」を提供するわけですね。

勝 :そうそう。洋服なんかでも、他人の方が意外に客観的に見られ
   る。ちなみに、このときの売れたま!は、「メーク」の話。

真子:あ、メークでも、自分が日頃していないメークが意外に自分に
   似合うってことね。

恵利:あ……たまにはそういうのって、冒険してみたいな、とか思っ
   ちゃうよね。でも、なかなかできないから……

勝 :だから「気づく機会」を提供すればお客様の「隠れたニーズ」
   を引き出せる。それはまさに密着軸の仕事だな。

真子:ねーねー、勝さんみたいな男の人がさ、自由に色んな服を着ら
   れる機会を提供すればいいんじゃない? 買う必要はないの。

勝 :あ、なるほどな。別に買わなくてもいいから、自由に試着して
   みて、ってことな。

真子:女性のスタイリストとかカラーコンサルタントとかも配置して
   「お客様がこういうのもお似合いです」とかアドバイスして…

勝 :へー、面白いじゃん。それこそまさに「盲点の自分」を探す機
   会ってことだな。

恵利:確かにそうすれば、普段服をあんまり買わない人にも買ってい
   ただけるかもしれませんね。

勝 :まさに「気づきの機会」だな。「スキーの試乗会」なんかもそ
   うだよな。

恵利:どういうことですか?

勝 :自分の滑りって結構決めつけちゃうけど、意外にそうでもなか
   ったりする。

恵利:そうなんですね……

勝 :オレ、スキー学校の先生に強制的にブーツ買わされた。今のブ
   ーツは合ってない、って言われて。

真子:それでそれで?

勝 :いや、実際それで滑ってみると、「そうか、そういうことか」
   っていうのがよくわかったよ。

恵利:すごい先生ですね。「気づきの機会」をムリヤリ作る……

勝 :ホントそう。自分の仕事、という意味でも勉強になった。それ
   で、これをさっきの「アドバイザー」と組み合わせると?

真子:あ、そっか! アドバイザーの役割が、この「盲点の自分」に
   気づかせてあげることなんだ!

勝 :ああ。これ、カンタンそうで結構難しい。言い方とかを気を付
   けないと、お客様の反感を買う。

真子:あ、確かにぃ。店員さんに「お客様は、その服はご自分で思っ
   てるほどは似合いません」とか言われたら、怒っちゃう。

恵利:あ、そうだよね……

勝 :売り手は、気づきの機会の「場」を提供して、お客様に「自分
   で」気づいていただくと、納得しやすいよな。

真子:あ、そうだね。さっきのワインの試飲イベントもそうだよね。
   あくまでお客様が自分で気づくんだね。

勝 :そうそう。よく考えられてる。

恵利:それで、右下の「未知の自分」は、自分も他人も気づいていな
   いんですから、どうしようもないですよね。

勝 :そうでもない。だからこそ「客観的な診断」みたいなことをし
   て、左上に引き上げればいい。

恵利:あ……診断が客観的であれば、それは自他共に認める、という
   ことになりますね。

真子:なあーるほどぉ! 「診断」すれば、それは左上の「公開され
   た自分」になるんだ!

勝 :正確に言えば、「売り手としては自分だけに公開」されている
   わけだから、他の売り手には公開されてないけどな。

恵利:あ、はい、だから、他社からではなくて自分から買っていただ
   ける、ということですね。

勝 :じゃあ恵利ちゃん、今回は「アドバイザーの役割」についてま
   とめてみて。

恵利:はい!

真子:この考え方、面白いね。ジョハリさん、っていう人が考えたん
   だね、きっと。

勝 :いや、ジョセフさんとハリーさんらしいぞ。2人合わせて、
   「ジョハリ」らしい。

真子:え、そうなんだ! じゃあ、勝さんと真子も何か一緒に作ろう
   よ! 「マサルマコのハコ」とかさ。

恵利:別に勝さんは真子の助けなんかいらないじゃないの。ご自分で
   BASiCSとか作ってらっしゃるんだから……

真子:そ、そりゃそうだけどさ……


そんな話をしているうちに、恵利がまとめ終わり、「これでいいでし
ょうか?」と勝たちにノートを見せる。



●アドバイザーの役割

◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る

A)個別ニーズを引き出す

○知識を備えたアドバイザーが、お客様と話す糸口をつくり、個別ニ
 ーズを引き出す
○お客様の「診断」などで「知らなかった自分」に気づいていただく

→アドバイザーは「気づきの機会」を提供する!


B)ニーズに合った提案をする

○豊富な知識に基づき、お客様に色々な提案をしていく


◇ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える

A)個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わせる

○これはアドバイザーの役割というより、会社の役割。幅広い品揃え
 を揃える。


B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる

○幅広い品揃えを把握し、お客様にとって「自分だけのためのもの」
 と思ってもらえる商品を一緒に選び出す



勝 :いやあ素晴らしい。オレの考えがこうやって「言語化」される
   っていいなあ。

恵利:い、いえ……

勝 :こうやって真子とか恵利ちゃんと話すと、「気づきの機会」に
   はなるよな。

真子:やっだあ、勝さんったら、真子にむ、ちゅ、う、はーと♪

勝 :そんなこと、ひ、とっ、こ、と、も言ってねーだろ。それより
   そろそろ次の料理が来そうだけどな。

真子:きゃあ、待ってました!



オーナーが今度は大きめの皿を持ってくる。「次はお魚です。今日は
信州サーモンになりますね」。すかさず真子が食いつく。「さ、サー
モン? 信州って海に面してませんよね?」。オーナーは、その質問
は慣れてるとばかり「まあニジマスみたいなものなんですけどね」と
笑顔で応える。「県の水産試験場が開発したみたいですよ」

「まあ食ってみればわかるだろ」と勝が早速フォークを手にしながら
「あ、いつもどおり、もうご飯くださいね」と注文する。「あ、そう
でしたね。お持ちします。女性陣はどうされますか?」と尋ねるオー
ナーに「後でいーでーす」と応える真子たち。

「あれ、サーモンみたいに身が赤いね」
「ホントだあ……あ、おいしーい!」
「まあ、長野もガンバってマーケティングしてるってことだな」
「まあたそうやって何でもマーケティングに……」


食べ物が来ると、食卓が一気に「食卓」となる。が、それでも話題は
この信州サーモンをどうやってマーケティングするか、とマーケティ
ングからは離れられない会話が続く。



(次回に続きます)



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◆今日のまとめ
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●密着軸では、「アドバイザー」が重要。お客様の気づいていないニ
 ーズを引き出し、商品を一緒に作り上げるアドバイザーを育てよう


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▼今日の日記▲

お盆まっさかり、東京都心はガラガラ、ですね。

さて、オリンピックも終わり、残る世間の興味は、プロ野球、でしょ
うか。

パリーグの方は、まさに大混戦。正直、全く予想がつきません(パリ
ーグをあんまり知らない、というのもありますが)。前半あれだけ苦
しんでいた西武が、6月以降絶好調ですからね。最後の最後までもつ
れそうです。


セ・リーグは、今のところ巨人が「独走」と言われますが、現在の状
況はを、1位巨人、2位中日に絞って見てみますと……


    勝   負   分   勝率    残試合数
巨人  59  31  11  656   43
中日  53  36  13  596   42


仮に、中日が今の勝率を維持し、最終勝率6割くらいだとすると、

    勝   負   分   勝率    
中日  79  52  13  603

残り試合を26勝16敗、という感じですね。42試合で貯金10を
作る、というのは割といいペースです。

ちなみに、去年の中日は、75勝、勝率560です。今の中日は、優
勝した昨年より勝率が高いんですよね。


これを上回るには、巨人は……

    勝   負   分   勝率 
巨人  81  52  11  609


ということになります。つまり、残り試合を22勝21敗の、ほぼ五
分五分で行けばこのラインを超えられることになりますね。

というわけで、現在の数字から考えれば、巨人が圧倒的に有利なのは
間違いありません……

が、去年、それまで首位だったヤクルトが後半に失速、中日が逆転優
勝した、ということもありました。セ・リーグもまだまだわからない
ですね。



●今日のiPod Tune:猛暑を楽しもう! 夏のHot Tunes 2012


夏真っ盛り! 暑い日が続きます。

ということで、今年も始めました! 夏の歌2012!

今日はこの曲で夏を楽しみましょう!


○夏色片想い by 菊池桃子


1986年5月リリース、絶頂期の彼女が出したこともあり、当然オ
リコン1位獲得です。

彼女の初期のシングルを思わせる、しっとりしたポップスというか、
派手さはありませんが、美しいメロディです。菊池桃子さんらしい曲
です。

そういえば、アイドル真っ盛りの頃は、夏になるとみんな「夏の歌」
を出して、アイドル競演という感じでしたね。それもまた夏の楽しみ
だったことを思い出しますね。



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〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
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