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2012年8月14日火曜日

売れたま!特別編Vol.179 2012/08/13 夏休み特別号:密着軸の経営戦略 12

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.179 2012/08/13
購読者:27,526 (まぐまぐ:16,572 メルマ!:959 めろんぱん:9,995)

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 ■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 12__■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●お客様の個別ニーズを引き出したら、それを叶えよう。店舗なら、
 お客様の欲しいものを揃え、「私のための店」と思っていただこう


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○公開セミナー 「マーケティング脳を鍛えるトレーニング」

・日程:2012年9月6日(木) 10〜17時
・場所:青学会館  価格:47,250円(税込)

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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●密着軸の経営戦略特集!

恒例の連載シリーズは、「密着軸の経営戦略」です!

恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。

以下がその前提となる知識です


○戦略BASiCS:経営戦略を考える5つのポイント

 Battlefield:戦場・競合 どんな市場でどんな競合と戦う?
 Asset:独自資源     強みを競合がマネできない理由
 Strength:強み     顧客が競合でなく自社を選ぶ理由
 i
 Customer:顧客     自社が取引したい具体的顧客像
 Selling message     強みを顧客に刺さるように伝える


○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法

手軽軸:顧客の簡便性ニーズに応える
    → 競合より安い・早いで差別化する

商品軸:顧客の品質・技術ニーズに応える 
    → 競合より高品質・新技術で差別化する

密着軸:顧客の個別ニーズに応える→
    → 競合より個別ニーズ対応で差別化する



●今シリーズの登場人物3名

○売多真子:女性 20代半ば?
・イタリアンレストランチェーン「そーれ・しちりあーの」の経営者

○売多勝 :男性 30代後半?
・新進気鋭のマーケティングコンサルタント。真子の親戚で幼なじみ

○松井恵利:女性 20代半ば?
・真子の同級生。家業の果物屋を継ぎ、その経営刷新に奮闘中


◇「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 売多真子が勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
http://ow.ly/89pSR

◇「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。戦略構築から実行まで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d

◇「経営戦略虎の巻CD」(CD7枚組) 佐藤義典著
 戦略BASiCSを徹底解説。上の3人が登場する小説が特典に!
http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm



●ここまでのあらすじ

高原のペンションに「山ごもり」して合宿を行った真子、勝、恵利の
3人。話し合っている最中に、ふとしたことから「密着軸」について
ペンションのテラスで勝の講義を受けることに。


連載第1回目はこちらからお読みいただけます。右側の「記事履歴」
というところから上(新しい)の方へとお進みください。

http://archive.mag2.com/0000111700/20120706015000000.html


今回は連載の12回目です。



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◆まずは、前号の復習から!
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真子たちがつい先ほどまで仕事用に借りていたウッドテーブルは、今
はダイニングテーブルとなっている。というよりも、ダイニングテー
ブルを仕事に使わせてもらっていた、という表現の方が正確だろう。

テーブルの上には、白いお皿とその上に、ワイングラスを思わせる形
の透明な食器。その中には先ほどまでスープが入っていたが、キレイ
に飲み干されている。


真子:ね、ね、こーゆー料理と料理の合間も、食事の楽しみだよね?
   次どんな料理が出てくるんだろう、ってワクワクして。

勝 :そうだな。その合間を効率的に使うためにも、復習するぞ。

真子:なんかムードないなあ……せっかくこんないい雰囲気のペンシ
   ョンにいるのに……

勝 :そんなことを期待してるんなら、違う人と来いよ。

真子:まあ勝さんに期待するのが間違いだよね……

勝 :その言葉、そっくりそのままオマエに返す。

恵利:とにかく復習しましょうよ。今は、「密着軸の3ステップ」を
   やっていて、前号は「ステップ1」を見てきたんですよね。


恵利が、例によって美しくまとまった「恵利ノート」を見せる。



◇密着軸の3ステップ

ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
ステップ2)個別ニーズを叶える
ステップ3)個別ニーズを覚える



◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
A)ニーズを引き出す
B)ニーズに合った提案をする


A)ニーズを引き出す の2つの方法
 1)顧客情報の収集・蓄積・カルテ化
 2)診断・計測による顧客情報の収集


B)ニーズに合った提案をする
 1)提案の幅を広げる
 2)購買履歴から推測する



勝 :さすが恵利ちゃん、素晴らしいまとめ。

真子:いーなー、恵利にはこういう「才能」があって。

勝 :「才能」じゃなくて「努力」だからな。自分にできないことを
   「才能」で片付けんな。最初からできる人なんていないぞ。

真子:だってー……真子にはできないんだもん……

勝 :実際「才能」かもしれないけど、「才能」のせいにした瞬間に
   進歩がなくなるからな。

真子:勝さんはいーよねー。戦略BASiCSとか考えられる才能が
   あってさー。

勝 :ふっざっけんな。むしろ逆。オレには複数の戦略フレームワー
   クを使いこなす才能がなかっただけ。

恵利:え? だから戦略BASiCSを開発されたんですか? 1つ
   のフレームワークで戦略を考えるために……

勝 :そうだよ。30個のフレームワークを同時に使って戦略を作る
   能力があったら、BASiCSなんか作ってない。

恵利:そんなこと誰にもできませんよ……

真子:あー、そしたら、結果として誰にでも使えるフレームワークが
   できたんだあ。

勝 :そうそう。だから一般公開したわけ。

恵利:へー、バリアフリーと同じですね。お年寄りに使いやすいもの
   は、誰にとっても使いやすいですもんね。

勝 :まさにそれ。

真子:でもそれだって「才能」じゃん。BASiCS作る才能。

勝 :努力だ、っつってんの。そのためにMBA行って、戦略の本を
   英語で読みあさって、どんだけ時間かかったと思ってんだ。

真子:でもMBA行く「才能」があったんじゃないですか。

勝 :本当に「才能」があったらMBA行かなくていいだろうが。真
   子、MBAないのに社長できてるだろ?

真子:あ、な、なるほど……やったあ、私才能あるんだ!

勝 :いや、それだって「才能」じゃないだろ。泣くような思いをし
   た結果の「成長」だろうが。

真子:あ、そ、そっか……確かに……

恵利:それに真子はアイディアがたくさん出ていいな、って、私いつ
   も思ってるんだから。

勝 :人間って無いものねだりするけど、持ってるものをきちんと使
   う、っていうのも大事だからな。

真子:はーい。じゃあノートは恵利に任せようっと。

勝 :はあ? 何を今さら……大学時代からそうだったんだろうが。

真子:あははは、そう言えばそうか。



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◆ステップ2)個別ニーズを叶える
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勝 :じゃあ、今回から「密着軸の3ステップ」のステップ2な。

恵利:えっと、ステップ1が「お客様の個別ニーズを知る」で、ステ
   ップ2が「個別ニーズを叶える」ですね。

真子:個別ニーズがわかったら、それをいよいよ実現するんだね!

勝 :そう。このあたりが、密着軸の「核心」になってくる。

恵利:はい、実際に商品・サービスとして実現させる部分ですね。

勝 :そうそう。結論から言うと、「個別ニーズを叶える」方法っ
   ていうかステップも2つある。


勝が恵利に「ノート貸して」というと恵利があわてて勝にノートを差
し出す。勝はその上に殴り書きで書き始める。



◇ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える

A)個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わせる
B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる


真子:ねー、もっとキレイな字で書きなよー。

勝 :うるせーな、読めるだろうが。ね、恵利ちゃん?

恵利:あ、あの……清書しますね。

真子:きゃははは、ほらあ、恵利にだって読めないよ。

恵利:あ、い、いえ、そういうわけじゃ……

勝 :……まあいい。このA)とB)の意味はいいか?

恵利:「A)個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わせる」
   というのが実際に「個別化する」部分ですよね?

勝 :そう。その個別のお客様だけの一品を作り上げる。

真子:、この「B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる」っ
   ていうのは?

勝 :言葉通りの意味。「一緒に」作り上げる。

真子:Aの「素材を調達・加工・組み合わせる」ってところで、「お
   客様と一緒に」作り上げるんじゃないの?

勝 :そういう場合もあるけど、素材を売り手が調達して、「お客様
   と作り上げる」ところをその後で別にやることもあるしな。

真子:あ、そうなんだ。だから分けてるんだね。

勝 :あと、「一緒に作り上げる」ことが大事だから、あえて分けて
   いる、っていうのもあるけどな。

恵利:なんで大事なんですか? もちろん、個別ニーズに応える上で
   お客様と一緒に作れば、間違いは減りそうですが……

勝 :あ、そう、もちろん「間違いが減る」っていうのも大事だけど
   それ以外にも理由はある。

真子:あ、きっと一緒にやることで、「密着感」が高まるからじゃな
   い? 勝さん、違う?

勝 :お、正解。作り上げるというプロセスにお客様に参加していた
   だくことで、まさに密着「感」が高まる。

真子:実際に話したりしながら作っていけば、「自分だけの一品」が
   できる楽しみ、みたいのがあるよね!

勝 :そうそう。密着軸ニーズのお客様は、要は「思い通り」にした
   いわけだから、自分の「関与」を高めたいんだよな。

恵利:あ……自分も巻き込んで欲しいんですね。

勝 :そう。密着軸のお客様は、巻き込んで欲しいんだよ。だから、
   一緒に作り上げることが大事。

真子:なんかさ、観光地の楽焼きとかで、自分が作ったモノが焼き上
   がる楽しみみたいな感じだよね、きっと。

勝 :真子、面白いこと言うな。なるほどな……楽焼きが焼き上がる
   時間、か……

真子:うん、どんな色になるかとか、ワクワクする! 

勝 :そう言えばこのペンションの近くにもあるな。楽焼き。

真子:何、勝さん、やったの? そういうの興味無さそうなのに?

勝 :1人で行ってマグカップ作ったぜ。

真子:それ寂しーよ。じゃあ勝さん、真子とお揃いのマグカップ作ろ
   うよ。あ、デミタスカップの方がいーい?

勝 :そんな呪いのカップ作ってどうすんだよ。

真子:あー、またそんなことゆーんだから。このて、れ、や、さん♪

勝 :遊びに来たんじゃねーんだよ。恵利ちゃんと行ってこいよ。

真子:ちぇっ。つまんなーい。

恵利:私は勝さんのお話聞きたいので……真子、行ってきなよ。

真子:あ、この、優等生ブリッコが。

恵利:真子、ブリッコって、死語だよそれ……

勝 :ともかく、この「個別ニーズを叶える」ステップは「売り物」
   の個別化と「売り方」の個別化で、「見え方」が違うから……

恵利:「見え方」が違う、っていうことは、考え方は一緒ということ
   ですよね?

勝 :その通り。「密着軸の3ステップ」は、業種業態に関係なく共
   通するけど、文字通り「見え方」が違う。

真子:じゃあ、「売り物」の個別化と「売り方」の個別化を分けてや
   るってことだね。どっちからやるの?

勝 :「売り方」の個別化の方が早く終わりそうだから、そっちから
   始めようか。

真子:うん! じゃあ「売り方」の個別化、っと……



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◆ステップ2)個別ニーズを叶える:「売り方」の個別化
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勝 :じゃあ、早速「売り方の個別化」の事例からな。

恵利:「売り方」を個別化する、ってどういうことですか?

勝 :やり方は色々あるだろうけど、典型例がこれ。


勝が食卓上のノートパソコンを手際よく操作し、真子と恵利に向ける


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○ハートフレンド(京都市)が近畿地区で展開する食品スーパー「フ
 レスコ」が堅調だ。2009年2月期の売上高は前の期比7%増の
 376億円。


○平均売り場面積は約400平方メートルと小型だが、顧客から要望
 があった商品を積極的に取り入れて、固定ファンを獲得。6月にオ
 ープンしたフレスコ北浜プラザ店(大阪市)の店長は1カ月半で、
 100人近い顧客に「ご要望商品を用意しました」という連絡を入
 れた。高価格ワインや黒毛和牛、国産の小麦粉など、置いて欲しい
 と言われた商品のほとんどを取り寄せ、売り場に並べたことをその
 都度連絡している。


○「フレスコは地域のお客さんと店を作っていく。だから品ぞろえの
 要望には、他のスーパーのPB(自主企画)商品以外なら応えてい
 く」と片岡社長は話す。各店で掲示板や店内放送で品ぞろえやサー
 ビス面での要望を呼び掛けており、店員との会話、本社へのメール
 やはがきで次々とリクエストが集まる。


○要望があった店で置いてみることを優先し、その場所の確保のため
 に競合商品の数を減らしたり、売り場を入れ替えたりして細かく陳
 列を変える。その結果、安定して売れるものは定番化したり他店に
 広げる。定番にできない商品でも個別の取り寄せで対応するなど、
 利用客の声を無駄にしない姿勢は徹底している。


○狭い店舗でお客さんの求める商品を並べるため「作業効率は悪い」
 と認めるが、「フレスコに行けば欲しい商品があるからほかの店に
 行かなくてもいいと思ってもらえる」ことを重視。


○フレスコの店舗は初年度の売り上げは小さくても、2年目以降に2
 ケタ増など高い伸びを示すことが多い。出店後に品ぞろえを地域ニ
 ーズに合わせて固定客をつかんでいくめ、チラシなどの販促費をあ
 まりかけないのも特徴。


2009/08/05, 日経MJ(流通新聞), 5ページ

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:なるほど、お店の場合は「お客様の欲しいモノを置く」ってい
   うのが「売り方の個別化」かあ。

恵利:あれ、これって、「売れる数字」*に出てきた事例ですよね?


*「売れる数字 〜組織を動かすマーケティング〜」 佐藤義典著
http://ow.ly/32zKP


勝 :お、さすがよく覚えてるね。密着軸の典型的な事例として出て
   きたね。

真子:あ、そういえばそうだ! どっかで見たことあると思ったら、
   思い出した! 戦略指標が「来店頻度」だったヤツだ!

勝 :え、ええ? ま、真子、い、一体どうしたんだ? オマエが本
   の内容を覚えてるなんて……

真子:だって、うちの会社の戦略指標と考え方がすっごく似てたから
   参考にしたんだもーん。ね、褒めて褒めてー!

勝 :エライぞ、真子。

真子:アタマ撫でてよー。

勝 :オマエは子供か。じゃあ真子、この事例を今回の「密着軸の3
   ステップ」で考えるとどうなる?

真子:それを考えるのは恵利の役割だもーん!

恵利:もう……まず、ステップ1の「お客様の個別ニーズを知る」方
   法が、「欲しい商品のリクエスト」ですよね?

勝 :そうだね。

真子:あれ、でも、ステップ1の「A:ニーズを引き出す」と「B:
   ニーズに合った提案をする」って別れてないよね?

勝 :この場合は、「B:ニーズに合った提案をする」のが、品揃え
   になるから、ステップ2と重なるな。

真子:ふーん、そういう場合もあるんだ。

恵利:ステップ2−Aの「個別ニーズに合った素材を調達・加工・組
   み合わせる」は、「取り寄せ」ですよね?

勝 :うん。その意味では「調達能力」が必要だな。「アレ欲しい」
   とリクエストを受けても、仕入れられなかったら意味が無い。

真子:あ、それが「個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わ
   せる」ところの意味なんだ!

勝 :そう。当たり前のように見えて当たり前じゃない。前号でやっ
   た、あの「組み合わせ素材」のところは……

恵利:あ、ここですよね。


恵利がすかさずノートを見せる。


 組み合わせ素材  →   顧客ごとに組み合わせ提案

   ○△□       → ○■  顧客A
   ●▲■       → ●◇  顧客B
   ◇▼◎       → ◎▲  顧客C


勝 :あ、それそれ。この「組み合わせ素材」を増やす能力、お店で
   言えば「調達力」が密着軸の重要な独自資源になるな。

真子:そうか、組み合わせ素材が多いほど、お客様の個別ニーズに応
   えられるんだもんね。

勝 :そういうこと。

恵利:その次の「B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる」
   はどういうことですか? お店は商品は作らないですよね?

勝 :お店の場合は、「お店をお客様と一緒に作り上げる」っていう
   感じかな。

恵利:あ、なるほど。じゃあ、記事中のこの部分がそれですね


恵利が、勝のノートパソコンのモニタを指さす。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

 要望があった店で置いてみることを優先し、その場所の確保のため
 に競合商品の数を減らしたり、売り場を入れ替えたりして細かく陳
 列を変える。その結果、安定して売れるものは定番化したり他店に
 広げる。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:あ、うん、「お客様と一緒にお店を作り上げる」って感じがす
   るね。お客様の反応を見ながら、品揃えを変えていく。

勝 :そうそう、その「お客様の反応を見ながら」っていう部分が、
   お客様と一緒に作り上げていくところだな。

真子:ねー、でも、これって当たり前じゃないの?

勝 :いや。普通のスーパーだと、本部から「タナ割表」って言うの
   が来て、原則それに従って品揃えする。

真子:へー、そうなんだあ。あ、だからどの店に行っても、同じよう
   なものが売ってるんだね。

勝 :そうなるな。

真子:それだと、「私のための店」って思っていただけないよね?

勝 :それはそれでアリだな。手軽軸だったら低価格品を、商品軸な
   ら良質なものを本部一括で決める、ということになる。

恵利:でも密着軸だと、こうやって「お客様と一緒に」店を作ってい
   くわけですね。

勝 :そう。なかなかここまではできないよな。

真子:そうなんだあ……今度スーパーのタナをしっかり見てみようっ
   と!

勝 :フレスコの「お客様の理想の褒め言葉」の定義が、すごくしっ
   かりしてることに気づいたか?

恵利:あ……すみません、そこまでは……

真子:えっと……あ、これだ!! 「フレスコに行けば欲しい商品が
   あるからほかの店に行かなくてもいいと思ってもらえる」!

勝 :それそれ。それが、戦略指標でいうところの「顧客反応」で、
   BASiCSでいう「お客様の理想の褒め言葉」だな。

恵利:それだと、「自分のためのお店」ってきっと思ってもらえます
   よね?

勝 :少なくともそれを狙っている、というフレスコの意図は、明確
   に 見えるよな。

真子:うん!



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◆「売り物」に関わらず、「売り方の個別化」は共通
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勝 :さっきの事例は「食品スーパー」だったけど、これ、覚えてる
   か?


勝がノートパソコンを再度操作し、真子と恵利に向ける


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○家電量販大手のエディオンは2011年11月に「ミドリ寺町店」
 を開業。エディオンにとっては新店だが、京都市民にとっては老舗
 電器店「タニヤマムセン」の本店だったなじみの場所。


○開業後まもなく、店長は来店客から「自作PCのパーツはないか」
 という要望を聞いた。寺町店の売り場面積は郊外店より狭いため、
 効率重視の売り場構成でスタート。しかしタニヤマムセン時代から
 の顧客の中には自作PC用のマザーボードなどを求める顧客が多く
 開業1カ月後には5階に自作PC売り場を開設、専門知識を持つ社
 員2人を配し、店外にはのぼりも置き始めた。


○開業当時からの変更点は他にもある。4階で高級オーディオ製品の
 取扱を開始。高級オーディオメーカーのアキュフェーズのアンプな
 どを展示。いずれの商品も30万〜40万円前後、セットで買うと
 100万円を超える高額商品だが、開業直後にアンケートにあった
 「高級オーディオを置いてほしい」との要望に応えた。


○同店では混雑していない平日の日中などの時間帯に来店客に声をか
 け、店の印象や置いてほしい商品を聞くアンケートをしている。結
 果はできる限り反映し、ストアロイヤルティーの高い客層の構築を
 目指す。


2012/02/06 日経MJ P.5

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


真子:あれ、これってさっきやったよね?

勝 :へー、よく覚えてたじゃん。シリーズ6号で見せた事例。さっ
   きの事例を踏まえて、もう1回読んでみ。

恵利:この事例を「密着軸の3ステップ」できちんと分析してみよう
   ということですよね?

勝 :そうそう。するとこの事例の意味があらためてわかる。じゃあ
   やってみて。ステップ1、から。

真子:はーい。


真子と恵利がパソコンのモニタを再び食い入るように見つめる。


真子:ステップ1の「お客様の個別ニーズを知る」のが「来店客に声
   をかけ、店の印象や置いてほしい商品を聞くアンケート」?

恵利:うん、きっとそうよ。

真子:それで、売り場を変えて、またお客様にご意見を聞く、ってい
   うことかな?

恵利:うん……そうなんだろうね。

真子:なんかさ、さっきのフレスコの事例とすっごく似てるよね。

恵利:というか、全く同じに見えるわ。そうですよね、勝さん?

勝 :うん。売り物が食べ物であろうと、電化製品であろうと、差別
   化軸が同じなら、やり方は共通する。

真子:この場合の戦略指標は何なんだろうね?

勝 :記事に書いてあるだろ。そのまんまじゃないけど、ヒントがあ
   るぞ。

真子:え?


再びモニタを見直す真子と恵利。


真子:あ、これか! 「ストアロイヤルティーの高い客層の構築」!

恵利:この「ストアロイヤルティ」ってどうやって計測するんでしょ
   うね?

真子:それはきっと「来店頻度」だよ。なじみの店になりたい、って
   ことだからさ。

勝 :多分そうだろうな。

恵利:となると、フレスコと本当に一緒ですね。

勝 :そうなんじゃないのかな、と思ってこの事例を出した。これだ
   と「差別化軸が同じなら、業態が違ってもマネできる」だろ?

真子:うん、ホントにそうだ!

勝 :あともう1つは、売り物自体を変えられなくても、「売り方の
   個別化」で「私の店」って思ってもらえる工夫はできる。

恵利:そうですね……うちの果物屋でも、色々できることはありそう
   です。ただ、仕入れ力は強化しないと……

勝 :メーカーの「製品開発力」は小売店で言えば「仕入れ力」であ
   り「売り場作り力」だからね。

恵利:あ、そう考えるとスッキリします!! 仕入れ力と組み合わせ
   力が「売り方の個別化」の独自資源になるんですね!

勝 :そうそう。その意味で、「売り物の個別化」と「売り方の個別
   化」は、「見え方」が違うだけ。

恵利:あ、ステップ2の「A)個別ニーズに合った素材を調達・加
   工・組み合わせる」って最初に書いていただきましたね。

勝 :だからそう。小売の場合は「加工」はしないけど、「調達」と
   「組み合わせ」はやるよね。っていうかそれが売り場作り。

真子:そっか、そういう「売り場」が差別化になる、ってことか。

勝 :そういうこと。

恵利:じゃあここで一旦まとめますね。既にまとめてあります。


恵利が美しく整理されているノートを見せる。


◇密着軸の3ステップ

ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
ステップ2)個別ニーズを叶える
ステップ3)個別ニーズを覚える



◇ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
A)ニーズを引き出す
B)ニーズに合った提案をする


◇ステップ2)お客様の個別ニーズを叶える
A)個別ニーズに合った素材を調達・加工・組み合わせる
B)お客様と一緒に商品・サービスを作り上げる


「売り方」の個別化
・お客様の欲しい商品を聞き、それを品揃えしてお客様と一緒に
 「店」を作り、「私のための店」と思っていただく。



勝 :うん、これでOK。

真子:ね、このシリーズっていつまで続くのかなあ?

勝 :さあ? タイトルが「夏休み特別号」だけど、世間も夏休みに
   なったよな。

真子:え? ひょっとしてそこまで考えてタイトルつけたのかな?

勝 :そりゃそうだろ。長くなるのは目に見えてたし。っていうか、
   夏までに終わんのか、これ?

真子:きゃははは、ホントそんな感じだねー。



ちょうどタイミング良く、というか、タイミングを見計らって、なの
か、オーナーが次の料理を運んでくる。

今度の皿は小さい。デザートを入れるような小さなグラスに、琥珀の
ゼリーのようなモノが載っている。

「アミューズでございます。お口直しにどうぞ」と、オーナーが説明
をする間もなく、騒ぎ始める女性陣。


勝はグラスを持ち上げて、下から見たり傾けたりして、観察をしてい
る。何でも観察するのはクセだろうか。


オーナーもそんな真子たちには慣れっことばかり、「お楽しみくださ
いね」という声と笑顔を残して立ち去る。


窓から見える外の風景は日が落ち、一番星が輝いていた。


(次回に続きます)



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◆今日のまとめ
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●お客様の個別ニーズを叶えよう。店舗などの場合は、お客様の欲し
 いものを品揃えし、「私のための店」と思っていただこう!


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▼今日の日記▲

ついにロンドンオリンピック、終わりましたね。

メダルの総数は多かったようで、良かったですね。金メダルを取った
人達は、見ていると、すごい執念というか、迫力というか、そういっ
たものを醸し出していたように思います。相手にとびかからんばかり
の気迫みたいなもの、ですね。

メダルを取れた選手も、取れなかった選手も、健闘を称えたいと思い
ます。

競技の場合は、「金メダル」というわかりやすい目標がありますが、
私達、ビジネスパーソンの場合はどうなんでしょうか?


「利益」が多ければ金メダルか、というと、それは重要なことである
にしても、それだけではないように思います。

お客様の喜びというか、お金を出して買って良かった、という満足と
言うか、「お客様のお褒めの言葉」がどれだけいただけるか、という
のが、ビジネスパーソンのメダルかな、と個人的には思います。

自分個人の「戦略指標」は何だろうか? そんなことをお盆休みの最
中に考えるのも良いかもしれませんね。



●今日のiPod Tune:猛暑を楽しもう! 夏のHot Tunes 2012


夏真っ盛り! 暑い日が続きます。

ということで、今年も始めました! 夏の歌2012!

今日はこの曲で夏を楽しみましょう!


○夏を待てない by 国生さゆり


1986年5月リリース、バレンタイン・キッスに続く彼女の2枚目
のシングルにして、初のオリコン1位獲得曲。

当時、おニャン子ブームのまっただ中というか絶頂期。バレンタイ
ン・キッスとは違い、元気なイメージの国生さんに似合った、元気な
ノリの曲。まさに夏らしい1曲♪



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