売れたま！特別編Vol.299 2015/01/08 年末年始特別号：価値提案のＴＰＯ・Ｔ ４

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━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.299(累計1188) 2015/01/08
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　■■■＿＿年末年始特別号：価値提案のＴＰＯ・Ｔ　４＿＿■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆　今日のポイント　◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●ＴＰＯ・Ｔを絞っても、売上が減るとは限らない。売上が上がるよ
　　うなＴＰＯ・Ｔを考え、売上５原則でチェックしよう！


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◆年末年始特別号！
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もう冬休み！　年末年始好例の「特別号」は、お馴染みのこの２人。

我らがヒロイン「売多真子」（うれた・まこ）と、真子の親戚にして
そのメンター「売多勝」（うれた・まさる）の珍道中（？）。


売多真子：イタリアンレストラン　「そーれ・しちりあーの」社長

売多勝　：真子の親戚・幼なじみでマーケティングコンサルタント


２人は拙著の登場人物です。お読みいただいているとは思いますが、
念のためご紹介いたします。２冊とも、小さくて軽いので荷物になら
ず、帰省の電車などでお読みいただくのにオススメです！


○「新人ＯＬ、つぶれかけの会社をまかされる」　佐藤義典著
http://ow.ly/89pSR

売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘！
マーケティングの最初の１冊としてオススメ。


○「新人ＯＬ、社長になって会社を立て直す」　佐藤義典著
http://ow.ly/6s63d

上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく！　戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感！



●今回の特集は「価値提案」！

マーケティングの本丸というか、ビジネスの中核とすら言える「価値
提案」。意外なことに、今までこの特集はありませんでした。

例年通り、このシリーズがどれくらい続くかは、２人の活躍次第。現
時点ではわかりません。


ビジネスの中核「価値提案」とは？　この特集は、肩の力を抜いてお
楽しみください！


今回は、連載４回目です。１回目はこちらからどうぞ↓

http://archive.mag2.com/0000111700/20141230034000000.html

「次の記事」というところをクリックすると、その次に進めます。



●ここまでのあらすじ

売多真子と勝は、売多一族の年末大集会に参加。親戚一同で大騒ぎし
た後、２人は初詣に行き、近くのカフェにより、勝の講義が続く。

この物語の中では、「今」は１月１日の昼過ぎです。



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◆まずは前号の復習から！
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１月１日のカフェ。

売多真子と勝が２人席でくつろぎながら話している。２人の目の前に
ケーキと、おかわりのエスプレッソが揃った。


「来た来た。いっただきまーす」

真子がさっそくケーキをフォークで口に運び、目尻を下げて「わ、お
いしー」と言ったかと思うと、すぐに２口目を口に運んだ。

勝も続く。ケーキを１口食べると、すぐにエスプレッソを口にし、う
ん、と深くうなずいた。


「う〜ん、幸せだ〜」
「真子、本当に幸せそうに食べるよな。それはいいことだ」
「うん、うん。勝さんは真子にく、び、っ、た、け」
「そんなこと一言もい、っ、て、な、い」



勝　：じゃあ講義再開。

真子：うん。前回の復習からだね。今教わっているのは「価値提案」


真子が自分のノートのまとめを開いた。


◇価値＝お客様の嬉しさ：価値は使い方（＝ＴＰＯ）に表れる

◇価値は使い方（＝ＴＰＯ）と人で考える

◇ＴＰＯ・Ｔ（ティーポット）＝「利用場面」×「ターゲット顧客」
　Ｔime（いつ）
　Ｐlace（どこで）
　Ｏccasoin（どのように）　使うのか
　Ｔarget（顧客ターゲット）


◇ＴＰＯが変われば、求める嬉しさが変わる
・朝、昼、夜、で食べるモノが変わる
・誰がどう使うかによって、使うノートが変わる


◇ニーズのカギ：ニーズやＴＰＯの違いを生み出す「力点」
・洋服の場合：誰に魅せるか
・ノートの場合：何を書き込むか


◇ＴＰＯ・Ｔを絞れば尖る、尖れば刺さる
・熱さまシート：子どもが熱を出したときにおでこに、というピンポ
　イントな提案をしたからこそ刺さった！
・ＴＰＯ・Ｔを絞れば、競合が減る。「万能」とすると競合を増やす
・ＴＰＯを絞ると、顧客との一貫性が取りやすくなる
・ＴＰＯ・Ｔが具体的でも、その市場が少ないとは限らない


勝　：あ、あれ？　一体、ど、どうしたんだ？

真子：え？　だ、ダメ？

勝　：い、いや、すごくよくまとまってる

真子：やったあ。で、面白かったのは「熱さまシート」かな。「子ど
　　　もが熱を出したときにおでこに」という具体的な提案。

勝　：名前もそのＴＰＯ通りだしな。

真子：ＴＰＯ・Ｔは超絞ってるよね。でも、市場は十分にあった。

勝　：ＴＰＯ・Ｔが具体的なことと、市場の大小は違う話だ。「５〜
　　　１０才の、熱を出す子どもが家族にいる人」は具体的だが……

真子：いっぱいいるよね。祖父母も含めて。

勝　：そう！　それに、子どもが熱を出す「頻度」なんてすごく多い
　　　だろ。客数が十分にいて、高頻度なら……

真子：市場はある！

勝　：そういうこと。繰り返すけど「ＴＰＯ・Ｔを具体化すると市場
　　　が小さくなる」という場合は、やり方がまずいだけ。

真子：じゃあＴＰＯ・Ｔは、なるべく減らした方がいいの？

勝　：減らさなくてもいいよ。具体的なＴＰＯ・Ｔをたくさん放てば
　　　いい。

真子：どういうこと？

勝　：だから、「いつでもどこでも誰にでも」とやるんじゃなくて、
　　　「これこれこういうとき」「それそれそういうとき」ってする

真子：あ、具体的なＴＰＯ・Ｔの提案を、１つ１つやっていこうって
　　　こと？　それをたくさんやる？

勝　：そうそう。「太い丸太」じゃなく細い矢を何本も放つイメージ

真子：なるほどー、「細い矢」か。細い矢は「刺さる」んだね。



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◆ＴＰＯ・Ｔと「売上５原則」
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勝　：結局さ、「市場」ってそいういうもんだろ。「いつでもどこで
　　　も誰にでも」っていう市場なんかないぜ。

真子：そうなの？

勝　：だってそうだろ。真子の会社のレストラン、そーれ・しちりあ
　　　ーの売上も、１人１人のＴＰＯの積み重ねだろ？

真子：えっと……あ、お客様の分だけニーズがあるってこと？

勝　：そう言ってもいいな。それが積み重なって、そーれ・しちりあ
　　　ーのの総売上になってるわけだよな。

真子：そっか……

勝　：もちろん、来ているお客様のニーズはそれぞれに近いものだと
　　　は思う。ＴＰＯが同じならニーズが同じだからな。

真子：あ、そうだよね。「価値は使い方に表れる」から、逆に、使い
　　　方が同じならニーズが同じ。

勝　：でも、厳密に言えば、１人１人の個別具体的なニーズの積み重
　　　ねとして、市場全体になる。そう捉えた方がいい。

真子：なんで？

勝　：「何兆円の市場」とかっていうとらえ方をすると、考え方がふ
　　　わっとしちゃうから、打ち手もふわっとしてくる。

真子：あ、とらえどころがないから、具体性がなくなるんだね。

勝　：そういうこと。でさ、「売上５原則」って覚えてるか？　最近
　　　あんまり売れたま！でも取り上げてないけどさ……

真子：もちろん。えっと……売上を上げる方法は、この５つしかない
　　　ってヤツだよね＊


◇売上５原則

売上＝客数×客単価

客数増加の施策
１）新規顧客の獲得
２）既存顧客の維持

客単価向上の施策
３）購買頻度の向上
４）購買点数の向上
５）商品単価の向上


＊売上５原則の詳細は拙著「図解　実戦マーケティング戦略」で！
　
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勝　：それそれ。売上を上げるにはこの５つしかない。ここからは、
　　　ＴＰＯ・Ｔと、この売上５原則の関係を見ていこう。

真子：はーい。でもなんで「売上５原則」なの？

勝　：「ＴＰＯ・Ｔを具体化すれば、売上が上がる」っていうことの
　　　説明をしたいから。

真子：なんで？

勝　：「ＴＰＯや顧客像を明確にしよう」っていうと、ほぼ必ず「そ
　　　んなことしたら売上が減ります！」って言われるから。

真子：あ、なるほど。「ＴＰＯ・Ｔを絞ると売上が減る」って考える
　　　人は確かに多いね。うちの会社でも言われる。

勝　：絞って売上が減るのはやり方の問題。どんなＴＰＯ・Ｔを選べ
　　　ば、売上が上がるのか、っていうのを考える

真子：売上を増やすためにＴＰＯ・Ｔを絞ってるわけだもんね。

勝　：そうそう。売上を減らしたいわけじゃない。だから売上５原則
　　　で、売上が上がるかどうかをチェックしようってこと。

真子：はーい。

勝　：つっても、もう「客数」の話と「購買頻度」の話は、熱さまシ
　　　ートで終わってるけどな。絞っているとはいえ、市場は大きい

真子：え？

真子がノートをめくる。


真子：あ……熱さまシートは、「子どもが熱を出したとき」って絞っ
　　　てるけど、「子どもを持つ親」なら「客数」として十分いる！

勝　：そうそう。ちなみに、０〜９才の子どもは１，０８８万人＊。
＊平成22年国勢調査人口等基本集計（総務省統計局）

真子：１千万人以上なんだ！　少子化とはいえ、結構いるねー。

勝　：あと、「購買頻度」は？

真子：子どもが熱を出す頻度は多い！

勝　：そうだよな。子どものいる友達は、「子どもはホントよく熱を
　　　出す」ってよく言ってる。

真子：そーなんだー。「熱さまシート」はＴＰＯ・Ｔをピンポイント
　　　で絞ってるけど、「客数」「購買頻度」が十分にあるんだ。

勝　：「客数」「購買頻度」が十分にあるような絞り方をしている、
　　　ともいえるよな。



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◆ＴＰＯ・Ｔを具体化しても、品揃えは広げられる
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真子：ねー、でもさー、「購買点数」は厳しいでしょ？

勝　：なんで？

真子：だってＴＰＯ絞ったら、売るモノが減るじゃん。

勝　：あーら奥さん、そんなこと言っちゃうのー？

真子：な、なに？　ど、ど、どーしたの？

勝　：ＴＰＯを具体化することと、品揃えなんて別問題の話だろ。

真子：あーら奥さん、それはなんでかなー？

勝　：例えばこういうこと。レピピアルマリオ。女子中学生向けの、
　　　服っていうか雑貨っていうか。


−−−−−−−−−−−＜　記事引用　＞−−−−−−−−−−−−

◇『ポイントが手掛ける女子中学生向け服飾雑貨店「レピピアルマリ
　オ」の成長が止まらない。２０１０年の初出店から約３年で店舗数
　は約３０店まで増え、将来の５０店体制も視野に入る。「やんちゃ
　なかわいらしさ」をコンセプトに掲げ、おしゃれに目覚め始める
　１３〜１５歳の女子向け衣料や文具などを展開』


◇『レピピアルマリオを担当する新規営業部の舛田啓部長は「女子中
　学生が修学旅行に持って行くのに必要な雑貨類はほぼすべてそろう
　品ぞろえ」と強調する。デザインはボーダーやドット柄といった大
　人の女性を意識したものもあれば、クマのキャラクターの入ったか
　わいらしいものなど幅広い。通学用バッグの中にレピピアルマリオ
　の雑貨や文具を入れることで「大人びたおしゃれを友人らに自慢で
　きる」（舛田部長）のが特徴だ』


◇『大人へのあこがれを強める女子高校生は大学生向け婦人服を背伸
　びして購入できる一方、「女子中学生を満足させられる衣料品や雑
　貨は少なかった」と舛田部長は振り返る。中学生にとって、子供服
　では「ピンクを基調にするなど子供らしさが強すぎて敬遠してしま
　っていた」（舛田部長）からだ』


2013/08/30 日経ＭＪ　Ｐ．６

−−−−−−−−−−−＜　記事引用　＞−−−−−−−−−−−−


勝　：直営通販サイトは、これだな。服はもちろんだけど、靴とか、
　　　ポーチ、エンピツまであるぞ。

http://www.dot-st.com/repipiarmario/


真子：え、エンピツ？　確かに品揃え、広いねー。

勝　：でさ、ＴＰＯもＴもすっごい絞ってるよな。「女子中学生の修
　　　学旅行」だぞ？　だからマグカップとかまであるんだよな。

真子：うん、『「女子中学生が修学旅行に持って行くのに必要な雑貨
　　　類はほぼすべてそろう品ぞろえ」』って面白い！

勝　：「女子中学生向けの服」っていう「モノ」で絞ると確かに品揃
　　　えが制限されるけど、これなら品揃えを拡大できる。

真子：そーだね！　修学旅行に持って行けるものなら、普段使いもで
　　　きるだろーしね。マグカップでもエンピツでも。

勝　：そうそう。別に修学旅行だけで使うわけじゃない。

真子：「女子中学生」って絞ったからこそ、品揃えを広げられる商品
　　　構成にしたんだよね？

勝　：そうかもな。でさ、『「女子中学生を満足させられる衣料品や
　　　雑貨は少なかった』っていうのは、どういうことだ？

真子：どういうこと、って、そういうことでしょ？

勝　：だからちょっとは考えろよ。ＴＰＯ・Ｔを絞るメリットってな
　　　んだっけ？

真子：えっと……あ！　競合が減る！　女子中学生向けの商品が少な
　　　いっていうのは、競合が少ないってことだ！

勝　：そう。ＴＰＯ・Ｔを広げても、競合に勝てなかったら結局は売
　　　れないんだから、勝てるところで勝負した方がいい。

真子：なるほど……勝てなければしょうがない、か……



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◆ＴＰＯ・Ｔを絞れば、商品が尖り、商品単価が上がる！
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勝　：これで、売上５原則のうち残るは「商品単価」。ＴＰＯ・Ｔを
　　　絞った方が、商品単価が上がりそうだ、というのはわかるよな

真子：そこに特化している分、刺さった人は「どうしても欲しい」っ
　　　ってなりやすそうだもんね。

勝　：そうそう。だからこれを読んでみ。イセタンの婦人シャツ。


−−−−−−−−−−−＜　記事引用　＞−−−−−−−−−−−−

◇『今春入社の新人記者・水口二季（２３）が素朴な疑問を百貨店や
　スーパーなどの経営者や店長にぶつけます』


◇『伊勢丹新宿本店（東京・新宿）で１万円以上の麻の婦人シャツが
　売れているそうだ』『ユニクロで同じような麻のシャツを買ったが
　値段は約５分の１だった』


◇『子育てママらに大ウケなのが自主企画ブランド「レディ　フォア
　ザ　ウィークエンド」のシャツ。１万３６５０円と１万５７５０円
　の２種類がある。３月に発売し、１３００枚以上と計画の１・７５
　倍を売った』


◇『商品企画の手法はユニークだ。接客を通じて趣味や生活様式を聞
　き出し「公園で子供と散歩をする若い母親」という消費者像を設
　定。その上で商品を細かく作り込んだ』『腕まくりがしやすいよう
　袖の形状を工夫し、首回りがきれいに見えるようボタンも通常のシ
　ャツより下の位置に付けた。自宅で洗えるのにシワにもなりにく
　い。生地や色を変えた晩夏仕様も７月に追加した』


2013/07/26 日経ＭＪ　Ｐ．５

−−−−−−−−−−−＜　記事引用　＞−−−−−−−−−−−−


真子：ＴＰＯ・Ｔは『公園で子供と散歩をする若い母親」って、これ
　　　もまた具体的だねー。

勝　：そうだな。そこまでＴＰＯ・Ｔを具体化すると何が起きる？

真子：え？　何が起きる、って……？

勝　：だからこのシャツがどんな商品になったんだよ。もっかい記事
　　　を読めよ。

真子：えっと……あ、『腕まくりがしやすい』とか、『首回りがきれ
　　　いに見える』とか！　子どもと散歩するときにぴったり！

勝　：そうそう。ＴＰＯ・Ｔを具体化すれば、商品は自動的に決ま
　　　る。そのＴＰＯ・Ｔに合わせればいいだけだから、な。

真子：なーるほどぉ。商品開発でも迷わなくなるね。

勝　：逆に言えば、ＴＰＯ・Ｔが粗いと、尖らなくなるし、矛盾も起
　　　きやすくなる。ＴＰＯ・Ｔを絞るメリットは、何だった？

真子：さっきの「競合が減る」のと、あと……「一貫性が取れる」！

勝　：そう！　ＴＰＯ・Ｔを絞るほど一貫性が取りやすくなる。

真子：それで、そのＴＰＯ・Ｔにぴったりだから、そのお客様にとっ
　　　ては欲しいものになるんだよね？

勝　：そう！　ユニクロの５倍の価格でも、計画以上に売れた。それ
　　　だけの価格でも買いたいお客様人に「刺さった」んだ。

真子：それで「商品単価」も上がったのか……

勝　：そういうこと。ここまでをまとめてみ。ＴＰＯ・Ｔと売上５原
　　　則をつなげる、っていうことだぞ。

真子：わかってますよーだ。


真子がノートをまとめている間、勝はまたケーキを口にする。


真子：できた！



◇売上５原則　

売上＝客数×客単価


◇客数増加の施策
１）新規顧客の獲得
２）既存顧客の維持

客数が十分にいるＴＰＯ・Ｔを選べばいい。顧客を具体化しても、顧
客が少ないとは限らない

・熱さまシート：「よく熱を出す子ども」と具体化。０〜９才の子ど
　もは１，０８８万人もいる。顧客像は具体的だが「よく熱を出す」
　というのは意外に普遍的なニーズ。子どもはみんなよく熱を出す！


◇客単価向上の施策

３）購買頻度の向上

頻度が高いＴＰＯ・Ｔを選べばいい。

・熱さまシート：子どもが熱を出す頻度は高い。高頻度のＴＰＯ・Ｔ
　を選んだ。


４）購買点数の向上　→　ＴＰＯ・

ＴＰＯ・Ｔの決め方次第では、品揃えが広げられる

・レピピアルマリオ：女子中学生の修学旅行とＴＰＯ・Ｔは絞りこん
　だ上で、洋服・雑貨・文具へと広げた。広がるようなＴＰＯ・Ｔを
　選んだ


５）商品単価の向上

ＴＰＯ・Ｔを絞ることで、それが欲しいお客様には刺さり、それだけ
お金を出してもいいと思っていただける

・伊勢丹の婦人シャツ：ＴＰＯ・Ｔを「公園で子供と散歩をする若い
　母親」と絞り込んだ上で、それに特化した商品を出したことで商品
　単価が上がった



勝　：うん……いいじゃないか。で、学びは？

真子：要は「絞り方のうまいへた」なんだな、と思った。売上が上が
　　　るようなＴＰＯ・Ｔを選べばいいんだ。

勝　：そういうこと。売上が上がるようなＴＰＯ・Ｔを選ぶ。その意
　　　味で、売上５原則はいい「チェックポイント」になる。

真子：チェックポイント？

勝　：ＴＰＯ・Ｔを具体化していくときに、客数は十分か、購買頻度
　　　は高いか、とかチェックする。売れなきゃしょうがないからな

真子：あ、なるほど。でも、売上５原則の５つ全部上がるような
　　　ＴＰＯ・Ｔって、そうはないよね？

勝　：そんなのもともとすごく少ないだろ。客数が少なければ、頻度
　　　とか単価で補えるか、って考えていけばいい。

真子：あ、そっか。客数が少なくても、単価が上がればいいんだもん
　　　ね。どうせ売上５原則の全ては上げられないんだし。

勝　：そうそう。伊勢丹の婦人シャツの事例は、１３００枚でかなり
　　　売れた、っていう事例みたいだぞ。

真子：それで十分かどうか、を自分で判断すればいいんだね。

勝　：そういうこと。ともかく、ＴＰＯ・Ｔを絞ったからと言って、
　　　市場が小さいとは限らない。Ｑ．Ｅ．Ｄ、証明修了！


「まーたカッコつけちゃって……」
「別につけてないだろ。Ｑ．Ｅ．Ｄなんて中学生が使うだろ」
「だからそーゆーのがカッコつけてるってゆーのよ」
「オマエがモノを知らないだけだ」

真子がふと自分のケーキが小さくなっているのに気づく。

「あ！！　なに私のケーキ勝手に食べてるのよ！」
「よく気づいたな……さすが」
「当たり前じゃない！　ちょっとー、もう……」
「ちょっともらっただけだろ。代わりにオレのやるよ」
「当然よ！」


勝が真子に自分のケーキ皿を差し出すと、真子は嬉しそうに勝のケー
キにフォークを伸ばす。

ケーキを口に入れると、「あ、これもおいしー。うー、幸せ……」と
つぶやく。

「じゃあケーキもう１つお代わりするか……」

「え？　何よもう、人の奢りだと思って……」
「え、何、ここ真子の奢りなの？　結構高いぞ？」
「だ、だって……こんな教わっといて、割り勘はないでしょ。それに
　さっきカツカレー奢ってもらったし」

「へえ、珍しく殊勝だな。じゃあ遠慮なく注文させていただきます」
「もう……」
「じゃあ『ケーキ全種類持ってきて』の呪文を唱えよう」
「その呪文禁止！　値段カツカレーの何倍になると思ってるのよー」



（次号に続きます）



★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

売上が上がるようなＴＰＯ・Ｔの定義をしていますか？　売上５原則
でチェックをしていますか？


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◆今日のまとめ
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●ＴＰＯ・Ｔを絞っても、売上が減るとは限らない。売上が上がるよ
　　うなＴＰＯ・Ｔを考え、売上５原則でチェックしよう！


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ご購読ありがとうございました！　ご活躍をお祈りしております。


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▼今日の日記▲

お正月気分もすっかり抜けて、今年のビジネスが本格的に始まった、
というところでしょうか。


カフェでこの売れたま！を書いていたら、全く同じノートパソコン
（Ｌｅｔ'ｓＮｏｔｅ）のユーザーさんが隣の席に来ました。色こそ
違うモノの、天板のカスタマイズもしていました。恐らくは年齢も私
とほぼ同じ。

パソコンの好み（ニーズ）といい、カフェでそれを使って作業をされ
ていることといい（＝ＴＰＯが一緒）、色々な意味で全く同じセグメ
ントにいらっしゃる方だなあと。服装（スーツにノーネクタイ）まで
同じでしたので、まさにＴＰＯ・Ｔが同じです。

で、そのカフェを出てミスタードーナツにドーナツを買いに行ったら
（１００円でした）、今度は私の前の方が、ラーメンとドーナツ。お
昼ご飯とデザートですね。私はテイクアウト用にドーナツをいくつか
買って出たのですが、今度は、同じ時間にミスドに行っても、ニーズ
が結構違うんだなあ、と。

自分のＴＰＯ・Ｔを体感した１日でした。



●今日のiPod Tune：お正月！　初夢の歌

あけましておめでとうございます！

お正月は「初夢」ということで、夢の歌特集！


同じSweet Dreamsでも色々あります。今日のSweet Dreamsは……


○Sweet Dreams by Air Supply


１９８２年、全米５位のヒット曲。この頃のAir Supplyは、出す曲出
す曲チャートイン、という全盛期。

私もこのグループは大好きで、ベスト盤のＣＤを持っています。コン
サートにも行きました（もう３０年前のことではありますが）。

当時そんなにコンサートに行けたわけでもないので、すごく印象に残
っています。メロウなバラードが多いのでしっとり聴くのかと思って
いたら、ノリノリな曲も有り、意外と（というと何ですが）盛り上が
りました（というか、そういう構成にしたんでしょうね）。


前号のEurythmicsの不思議な感じではない、甘いラブソング。

「君と夢の中で逢いたい」という、まさにSweet Dreams。

そんな夢が初夢になることを願って聴きたい１曲♪



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　マーケティング戦略入門：戦略はここから
　日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/jissen.htm

●「事例でわかる　実戦ＢｔｏＢマーケティング」　佐藤義典著
　ＢｔｏＢマーケティング戦略の標準テキスト
　日本能率協会マネジメントセンター
http://ow.ly/7Wvdq


●「マーケティング戦略実行チェック９９」　佐藤義典　著
　マーケティング戦略実践：実行のためのチェックリスト
　日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/check.htm

●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」　佐藤義典著　毎コミ新書
　ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
http://www.sandt.co.jp/kotowaza.htm


────────＜　マーケティングの思考法　＞────────

●「実戦マーケティング思考」　佐藤義典著
　日本能率協会マネジメントセンター
　右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる！
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm



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◆次号予告：年末年始特別号！　その５
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●ここまではまだ前置き（！）。次号から、いよいよＴＰＯの具体的
　な内容に入っていきます！


▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を！

▼彼氏・彼女・家族との、知的な話題づくりに！

▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう！

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう！


売れたま！があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……

〓〓次号の売れたま！でお会いできるのを楽しみにしています！〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
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