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2014年10月28日火曜日

売れたま!戦略編Vol.333 2014/10/27 ミニストップが調理器具を刷新:BtoBのベネフィット

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.333(累計1167) 2014/10/27
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 ■■_ミニストップが調理器具を刷新:BtoBのベネフィット_■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●顧客企業には「買う理由」がある。BtoBのベネフィットは、
 1)使い方 2)QCD 3)PL・BS で考えよう!


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◆ミニストップが店内調理器具を刷新
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●ミニストップが、揚げ物を調理する「フライヤー」を刷新

コンビニのミニストップが、「フライヤー」と呼ばれる揚げ物の調理
器具の全面刷新を決めました。

その理由は……?


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『ミニストップは店内で空揚げなどの揚げ物を調理するためのフラ
 イヤーを全面刷新する。食用油の使用量や清掃時間などを減らすこ
 とができる新型機を導入する』『新型機への更新費用は本部が負
 担。関東地方から導入を始め、全国に広げる』


◇『店舗で使う電気や食用油の費用はフランチャイズチェーン
 (FC)オーナーの負担。新型機を入れれば、電気代や油の使用量
 を約3割減らすことができるという』


◇『従業員が毎日実施する清掃作業も簡素化できる。現在のフライヤ
 ーは油を抜いて洗浄するなど約1時間かかっているが、新型機は油
 の廃棄や交換が簡単になることなどで約30分で済む』


◇『従来より油の酸化が抑えられることなどから、提供する商品の質
 向上にもつながると見る。コンビニエンスストア各社が店内調理品
 を拡充するなか、競争力を高める』


◇『店内調理品は利益率が高いうえ、主婦など女性の集客にもつなが
 るため、コンビニ各社が強化に動いている。『ミニストップはもと
 もと店内調理品の売り上げ構成比が高いこともあり、作業負担やコ
 ストの軽減に力を入れる』


2014/06/02 日経MJ P.15

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


全店のフライヤーを本部負担で刷新するとなると、ミニストップにと
っては結構大がかりな投資になるはずです。

それでもやる理由があるから、投資するわけですよね。


今回は、フライヤーという調理器具を製造・販売する会社の立場から
見ていきます。

フライヤーの製造・販売会社から見ると、ミニストップが「顧客」と
なります。

「顧客」であるところの「ミニストップが買う理由」を考えていく、
ということです。

フライヤーは法人顧客対象のビジネスですので、いわゆる
「BtoB」となります。



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◆復習:BtoBのベネフィット
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●復習:ベネフィット=お客様にとっての価値・嬉しさ

ベネフィットとは、商品・サービスを使った際の「お客様にとっての
価値」であり「嬉しさ」です。

イタリアンレストランのような場合であれば、「飲んで食べて騒いで
モヤモヤしていたことを全てリセット、明日から元気に仕事!」とい
うような「嬉しさ」ですね。


ここで、「BtoB」と「BtoC」という言葉について説明してお
きます。

BtoBとは、Business to Business、法人顧客対象のビジネス
BtoCとは、Business to Business、個人顧客対象のビジネス

BtoBでもBtoCでも、マーケティングの基本的な考え方は同じ
ですが、「見え方」が若干違います。



●BtoBのベネフィット:使い方×QCD改善×PL・BS改善

この復習、久しぶり(2年ぶりくらい)になります。

BtoBの主要なベネフィット(=お客様にとっての価値)は「稼ぎ
たい」です。顧客企業は、究極的には「自社が稼ぐために」何かを買
う(ことが多い)のです。


BtoBでは、「顧客企業に稼いでもらう」ことが、そして、顧客企
業に「これならうちが稼げるな」と思っていただくことが重要になり
ます。


要は、「自社商品を使うと顧客企業が稼げる」と説得力を持って言い
切れれば良いわけです。

ただ、顧客企業に「うちの商品・サービスを使うと、御社が儲かりま
す!」というのは、飛躍しています。

「風が吹けば桶屋が儲かる」と同様、「ウチを使えば御社が儲かる」
も飛躍しているわけです。

その「飛躍」を埋めるのが、BtoBのベネフィットの3ステップ、
となります。


「3ステップ」は……

1)自社商品の使い方

・自社商品を顧客企業は具体的にいつどこでどう使うのか?

2)顧客企業のQCD改善

・その結果、顧客企業の商品・サービスのQ(品質)C(コスト)
 D(納期)はどう改善されるのか?

3)顧客企業のPL・BS・CF改善

・その結果、顧客企業のPL(損益)・BS(資産効率など)・CF
(キャッシュフロー・資金繰り)はどう改善されるのか?

という3ステップで考えると考えやすくなります。


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打った数少ない本格BtoBマーケティングの書です。

*「事例でわかる! 実戦BtoBマーケティング」 
 佐藤義典著 日本能率協会マネジメントセンター

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◆1)フライヤーの「使い方」
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では、「フライヤーが売れた理由」であり、「ミニストップがフライ
ヤーを買った理由」を、

1)自社商品の使い方
2)顧客企業のQCD改善
3)顧客企業のPL・BS・CF改善

という3ステップで分析していきましょう。


まずは、「顧客」であるミニストップがフライヤーをどう使うか、と
いう「使い方」ですね。

「価値は使い方に表れる」、だからこそ「使い方を把握しよう」とい
うのは、売れたま!が兼ねてから提唱していることです。



●TPO

「使い方」は、TPOで考えると考えやすいです。


T:Time   時間 いつ
P:Place  場所 どこで
O:Occasion 使い方 誰がどう使うか

という、あのTPOですね。


ミニストップは、フライヤーを「店内調理」のために使います。

T:店内調理で「揚げ物」を作るときに
P:店内の調理場で
O:店員が揚げ物をあげる

という「使い方」になります。

当たり前と言えば当たり前なのですが、それはミニストップという
「顧客」の立場に立っているから「当たり前」なのです。



●店員の負担が減る → 経営者のメリットもある

ここでおさえておくべきことは、この新型フライヤーで「店員の負担
が減る」ということです。

記事によれば、毎日行う清掃作業が、1時間から30分に減ります。

油をいじったりするので、恐らくは「ラクで快適」な作業とは言えな
いものかと思います。

その作業時間が半分になる、というのは店員にとって「嬉しい」こと
でしょう。


店員を雇う立場である経営者(FCオーナー)にとっては

・人が辞めにくくなる(大変な作業が減る)→採用・教育費用が減る

・減らした30分の分、人件費が減る、もしくはそれを顧客対応など
 にあてれば、顧客満足・売上向上につながる

というメリットにつながることになります。


ちなみに、この経営者のメリットをさらっと書いていますが、これは
BtoBの営業・マーケティングにおいてはかなりレベルが高いこと
です。

上のように、店員の負担が減る→離職率低下・顧客満足向上、とぱぱ
ぱぱっ、と出てくる方は、中級(世間でいう一流)レベル以上の方か
と思います。



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◆2)顧客企業のQCD向上
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「使い方」がわかったら、それによって顧客企業(この場合はミニス
トップ)のQCDがどのように改善されるかを考えます。

QCDは、メーカーなどではよく使われる言葉です。


●Quality:品質向上

QCDの「Q」はQuality、すなわち品質が向上するか、です。

フライヤーは「揚げ物」を作る機械ですので、揚げ物の品質が上がる
かどうか、ということです。

新型フライヤーは、『従来より油の酸化が抑えられることなどから、
提供する商品の質向上にもつながると見る』と記事にあります。

顧客の顧客(ミニストップの来店者、つまり私たち)から見ると、
「いつもおいしい揚げ物が買える」わけですから、顧客満足の向上に
もつながりますね。


ひいてはそれは、ミニストップの「差別化」にもつながります。



●Cost:コスト削減

QCDの「C」はCost、すなわちコスト削減につながるか、です。

記事によれば、『新型機を入れれば、電気代や油の使用量を約3割減
らすことができるという』とのこと。

さらに、先ほどの1日30分の「人件費削減効果」があるとすると、
コスト削減効果もありそうです。


長い目で見て、作業軽減によってスタッフの離職率低下などにもつな
がれば、採用・教育コストの削減にもつながりそうです。



●Delivery:納期改善

QCDの「D」はDelivery、すなわち納期改善ににつながるかどうか
です。

このメリットはあまりなさそうですね。



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◆3)顧客企業のPL・BS・CF向上
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●顧客企業の「稼ぎ」に貢献しよう

使い方→QCDと考えてくることで、顧客企業のPL・BS・CF、
要は「顧客企業の稼ぎ」にどう貢献できるか、がわかります。

BtoBのベネフィットのカギはここです。

つまり、「顧客企業の稼ぎにどう貢献できるか」です。

「自社商品・サービスを使えば、顧客企業が稼げる」ことを顧客企業
に納得していただければ、顧客企業に買っていただけます。

とカンタンそうに言っていますが、これが難しいからこそ(カンタン
だったら売れまくっているはずです)、このように使い方→QCD→
稼ぎ、と体系的に分析していくわけです。


○利益=売上−費用

ですから、顧客企業(この場合はミニストップ)の売上向上、費用削
減に貢献できればいい、ということになります。


1)売上向上

まずは、この新型フライヤーの導入がミニストップの「売上」向上に
つながるかどうか、ですね。

ここまで見てきている通り、

・揚げ物の品質が安定し、いつもおいしい揚げ物ができる
・従業員の負担が減り、その稼働を顧客対応などに回せる

ということから、ミニストップの「差別化」に貢献し、その結果とし
て、顧客のリピート率などが高まれば売上向上に貢献できそうです。



2)費用削減

先ほど見てきたように、油・電気代、さらに人件費が減るとすれば、
費用削減にもつながります。



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◆BtoBの「刺さる提案」:使い方→QCD→稼ぎ
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●顧客企業には「買う理由」がある

BtoBでも、BtoCでも、お客様が「買う」からには、「買う理
由」があります。

ただ、お客様がその「買う理由」に気づいているとは限りません。

今回の、ミニストップの新型フライヤーへの投資も、恐らくはフライ
ヤーの会社が営業に行って提案をしたのではないでしょうか?

ミニストップが「そうだ、利益を上げるためにフライヤーを買おう」
と自ら思いつくことは考えにくいように思います。


つまり、売り手が買い手に「買う理由」を気づかせてあげることで、
「そうだ、フライヤーを買おう」と思っていただけるわけです。

その意味においては、BtoBもBtoCも全く同じです。


BtoBでもBtoCでも、「買う理由」を気づかせてあげるのは、
売り手の責任です。



●BtoBの「刺さる提案」:使い方→QCD→稼ぎ

多くの商品・サービスは、このような「刺さる提案」をせずに、商
品・サービスの「機能」「性能」を訴求してしまいます。

しかし、顧客企業にとって大事なのは「機能」「性能」ではなく、

「うちがどう儲かるようになるのか」

なのです。

ですから「機能」「性能」を訴求しても、多くの場合は刺さらない=
売れない、ということになります。


もちろん「機能」「性能」は大切です。それをお客様の仕事に落とし
込み、お客様の言葉で説明してあげることで「刺さる提案」になるの
です。


BtoBの場合は、顧客が企業であるがゆえに、上記のような

1)顧客企業の「使い方」
2)顧客企業の「QCD向上」
3)顧客企業の「稼ぎの向上」

で考えていくと、「買う理由」を作りやすい、提案しやすい、という
ことです。


顧客企業が何かを買う、という場合、必ず「買う理由」があります。


今回は、ミニストップの「フライヤーを買う理由」が非常にわかりや
すい事例でしたね。



★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたがBtoBの場合、1)自社の商品・サービスを顧客企業がど
う使うか 2)顧客企業のQCDがどう向上するか 3)その結果、
顧客企業の「稼ぎ」がどう改善されるか、を考えていますか?


ぜひお考えになってみてください!



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◆今日のまとめ
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●顧客企業には「買う理由」がある。BtoBのベネフィットは、
 1)使い方 2)QCD 3)PL・BS で考えよう!


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ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。


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▼今日の日記▲

私の仕事は基本的には東京がメインなのですが、ここのところ、日本
海側、九州、そして今は関西、と日本各地を飛び回っています。

10月はあまり東京にいない状態で、今も自宅に一泊して、翌日には
すぐ出て行く、という、「日本中を飛び回る営業マン」みたいな動き
方をしています。


パッキングのときに頼りになるのが「チェックリスト」。前は記憶に
頼っていたんですが、それだと「うわ、あれ忘れた」ということが頻
発しました。例えば、スマホは忘れないにしても、スマホの充電池は
忘れたりします。

ですので、あるときにはチェックリストを作りました。小学生みたい
だな、と思いつつも、ちゃんと作りました。

すると、チェックリストを作って以降、まず忘れ物をしなくなりまし
た。

それに、パッキングがラクというか、替えのワイシャツ、下着、パジ
ャマ……と次々に詰めていけばいいだけですので、「あれ忘れてない
かな」という不安もなくなります。

結局、こういう「チェックポイント」をきちんとまとめて、実行でき
るかどうかなんだな、とこの作業をする度に実感しています。



●今日のiPod Tune:食欲の秋! 食べものの歌

もう秋! いつの間にか10月も終わりそうです。

秋は食欲の秋、食べものにちなむ歌特集。思ったより続きます。

食事につきものなのが「お酒」。

ちょっとゴージャスなディナーに欠かせないのがやっぱりワイン。

ということで、今日の曲は……


○ワインレッドの心 by 安全地帯


1983年末リリース、1984年に大ヒット。当然オリコン1位獲
得です。

まだ私はワインを楽しめるような年ではありませんでしたが、よく聞
いてました。84年は、この曲がずっと流れていた1年だったと記憶
しています。

TVでもよく見ましたが、「なんて苦しそうに歌う方なんだろう」と
思ってました(苦笑)。

オトナのバラード、ホントこんな曲が似合うオトナに慣れたらなあ、
と思います。



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 上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
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●「事例でわかる 実戦BtoBマーケティング」 佐藤義典著
 BtoBマーケティング戦略の標準テキスト
 日本能率協会マネジメントセンター
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●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
 日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/check.htm

●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
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