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2013年5月21日火曜日

売れたま!戦略編Vol.273 2013/05/20 コナミのマイフィットプランナー:密着軸の仕組み

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━━━━━━━━━━━━━━戦略編Vol.273(累計1017) 2013/05/20
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 ■■_コナミのマイフィットプランナー:密着軸の仕組み_■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●暗黙知を形式知にして、誰でもできるようにして、「バラツキのワ
 ナ」を回避しよう!


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◆コナミスポーツの「マイフィットプランナー」
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●フィットネスクラブのコナミスポーツが「個別提案」を強化

フィットネスクラブ最大手のコナミスポーツが会員への「個別提案」
を強化しています。

どのような試みかと言うと……


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇「フィットネスクラブ最大手のコナミスポーツ&ライフは、フィッ
 トネス会員の一人ひとりの体力レベルに応じて最適な運動メニュー
 を個別提案する新サービス「マイフィットプランナー」を始めた」


◇「これまでインストラクターの経験と勘に頼っていた運動メニュー
 づくりに全店統一のコンピュータープログラムを導入したのが特徴
 で、無理のない運動で効果を実感してもらう。市場は成熟してお
 り、会員の継続率向上に知恵を絞る」


◇「入会目的は「体重を落としたい」「ストレスを軽減したい」「老
 後に備えて筋力を蓄えたい」など17種類から複数選択できる。こ
 れらに超音波による筋肉測定のデータや、簡単な運動を通じて測定
 した体力レベルを掛け合わせて運動メニューを提案するサービスは
 業界で初めてという」


◇「マイフィットプランナーで提案する運動はざっと200種類あ
 る。最近は単純な筋力アップや減量ではなく、正しい姿勢で機能的
 に運動できる体づくりを目指す「ファンクショナル」などの需要が
 伸び、運動メニューも多様化してきた」


◇「料金は体力レベルの測定から運動メニューの提案までが所要時間
 30分で1575円、トレーニングのコツなどを教えるパーソナル
 指導を含めると同60分で3150円。この間、インストラクター
 が付きっきりになるため、コストがかさむが、継続率向上を目指し
 て「基本サービスとして定着させたい」(同社プログラム開発部)
 としている」


2012/11/19 日経MJ P.11

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


私もスポーツジムには長いこと通っています。その成果はさておき、
やはり、インストラクターさんによって大分違いがあります。

スキル・能力などが、人によって「バラツキ」が生じてしまいやすい
んですよね。経験などの違いもあるでしょうし。

それを解決しようとした試みですね。



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◆復習:戦略BASiCS と 3つの差別化軸
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●復習:戦略BASiCS 戦略の5つのチェックポイント

売れたま!のカンバンフレームワーク、戦略BASiCS。一応復習
しておきましょう。

経営戦略・マーケティング戦略で考えるべきポイントは、以下の5つ
です。

Battlefield:戦場・競合
Asset:独自資源
Strength:強み
i
Customer:顧客
Selling message:メッセージ

戦略BASiCSは、この5つのチェックポイントでマーケティング
戦略を考えるく、経営・マーケティング戦略の統合フレームワーク。

詳細は、「経営戦略立案シナリオ」(かんき出版刊)で!
http://www.sandt.co.jp/scenario.htm



●復習:3つの差別化軸

売れたま!でも何度となく紹介している3つの差別化軸。差別化戦略
は大きく分けて3つしかありません。

1)手軽軸:早い、安い、便利
2)商品軸:商品・サービスが良い
3)密着軸:個別具体的ニーズに応える

となります。


これは私のオリジナルではなく、元ネタは、マイケル・トレーシー、
フレッド・ウィアセーマ両氏のValue Disciplinesを解釈・再定義し
たものです。


この、どの軸を選ぶかで、自社の戦略の構築はもちろん、戦術・行動
が全く変わって来ます。

軸に善し悪しはなく、「決め」の問題です。「最悪な軸」があるとす
れば、それは「軸を決めないこと」、さらには「決めたのにブレるこ
と」です。



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◆密着軸のセオリーは「診断による個別化対応」
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●個別ニーズに対応する、個別プログラム

まずは、「マイフィットプランナー」というプログラムの意味を考え
てみましょう。

マイフィットプランナーは、「密着軸」に適した提案ですね。

密着軸のカギは「個別化」です。そのキーワードは、お客様からみて
「自分だけのために」と思えるかどうか、です。

人によって、ジムを使う目的は違うでしょう。

にも関わらず、全員に一律のプログラムを提案したり、通り一遍のマ
シンの使い方の説明では、「個別化している」とは言えません。

密着軸で差別化する場合、

・達成したい目標(ありたい姿)
・現在の体力・筋力(所有資源)
・来店頻度
・やりたい運動

など、お客様の「個別の状態」に応じて、1人1人にあった個別のプ
ログラムを提案することになります。


マイフィットプランナーのHP*でも、「100人100通り」とう
たっています。

http://www.konamisportsclub.jp/myfitplanner/


「マイフィットプランナー」は、まさに「個別化」されたプログラム
提案をしようとする試みだと考えられますね。



●個別化するためには、まずは個別に知る必要がある

密着軸を実行する場合、次の3ステップで実行していくのがお勧めで
す。


密着軸の3ステップ

ステップ1)お客様の個別ニーズを知る
ステップ2)個別ニーズを叶える
ステップ3)個別ニーズを覚える


個別ニーズに応えるためには、まずは個別ニーズを知る必要がありま
す(でなければ個別化できませんよね)。ですから最初のステップは
「個別ニーズを知る」ことになります


その「個別ニーズを知る」ためのセオリー通りの打ち手が「診断」で
す。


コナミのHP*によれば、マイフィットプランナーは、以下のような
ステップで進んでいきます。以下抜粋します。

http://www.konamisportsclub.jp/myfitplanner/page02.php


1)基礎データ測定

身体データ、心拍・呼吸・血圧、などの測定


2)筋力・筋厚測定

筋肉の質、厚さ、脂肪のつき方などを超音波で計測。データは履歴が
残され、トレーニングの効果確認や新しいメニューの提案時に利用。


3)問診

入会の目的、目標、どのようなトレーニングをしたいか、どの部位を
強化したいか、などの要望を聞く。


4)トレーニングメニューの提案

と、ここまでが30分1,575円の内容のようです。


セオリー通りに、マイフィットプランナーでも「診断」から始まって
いますよね。

その「診断」に基づいて、個別プログラムを提案していく、というの
がマイフィットプランナーの骨子ですね。

まさに密着軸のセオリー通り、と言えそうです。


どこまで個別化できるか、は、どこまで「個別ニーズがわかるか」に
よって制約を受けます。個別ニーズがわからなければ、それに応えよ
うがないからです。


普通のジムだと、やったとしても体脂肪測定、部位別の筋肉量の測定
くらいではないでしょうか?

コナミは結構詳細に診断していることがわかります。



●「進歩」を数字で納得させることで、リピート率アップ

マイフィットプランナーの目的は、「継続率向上」とのこと。

継続率向上につながるロジックは、おそらくは「進歩が見えなければ
続かない」ということだと思います。

ジムに行っても効果がわからなければ(ある・ない、ではなく、わか
る・わからない、です)、「やーめた」となってしまうのが人情です
よね……


個人的な経験で言えば、5〜6回のトレーニングで体型が少し変わり
始めるように思います。

が、その変化は小さいんですよね……


筋力がつくと、むしろ体重は増える(と言われている)ので、体重を
数値目標として使うのは、ちょっと難しいです。

「筋力」「筋厚」などが数字でわかれば、トレーニングの励みになり
ますよね。

その結果、「長続きするようになる」つまり「継続率向上」となるの
でしょう。

リピート率向上は、密着軸の大きな成果の1つですので、その意味に
おいても一貫性がありそうです。



●「独自資源」は、「国内No.1の会員数」

さて……このマイフィットプランナーは他のジムにはマネできるので
しょうか?

「独自資源」の定義は、「競合が強みをマネできない理由」です。簡
単にマネできるのであれば、独自資源がない、ということになります
ね。

コナミは国内No.1の会員数*だそうです。

「膨大な会員データをもとに、トレーニングレベルを最適化」*する
ことで、より的確なメニュー、アドバイスができるのでしょうね。


http://www.konamisportsclub.jp/myfitplanner/



ここまでが、マイフィットプランナーの「戦略的な意味」になるでし
ょうか。


それに加えて、もう1つポイントがあります。



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◆暗黙知を形式知化し、「バラツキのワナ」を軽減
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●密着軸:バラツキのワナ

密着軸は、「個別ニーズに応える」ことで差別化します。それには、
従業員に高いスキルが要求されます。

すると……

「オレはできるけど、あの人はできない」

という、「経験の差」「能力差」が出てしまうんですよね。


提案する運動は、「200種類」あるとのこと。

これを覚えきるのも大変ですし、まして「こんな人にはこの運動を提
案」という、対応関係も覚えるのは大変です。


すると、従業員によっては「得意分野」「不得意分野」ができてしま
う、ということになります。


また、「こういう場合はこういう運動が効果的」という「ノウハウ」
は、経験が効いてくるのだと思いますが、その「経験」の違いはもう
どうしようもないですよね。

入ったばかりの従業員は、経験がなくて当たり前です。経験を蓄積す
るには、やはり時間がかかりますよね。


このように、従業員のスキルが人によって違うという、「バラツキの
ワナ」が、密着軸の戦略において陥りやすいワナなんです。



●「カンと経験」という「暗黙知」を「形式知」にした

この「バラツキのワナ」を回避する、というのが、マイフィットプラ
ンナーの持つもう1つのポイントかと思います。


コンピュータープログラム化することで、従業員が「誰でもできる」
ようにしたんです。


「これまでインストラクターの経験と勘に頼っていた運動メニューづ
くりに全店統一のコンピュータープログラムを導入」


と、記事にはさらっと書いてあります。

簡単そうに書いてありますが、これ、ものすごく大変ですよ。


「経験と勘」という「暗黙知」を、「形式知」にして、それをコンピ
ューターのプログラムに落とし込むことで……

「誰でもできる」

という状態にして、「オレはできるけど、あの人はできない」と、バ
ラツキのワナに落ちるのを防ぐわけです。


密着軸は「個別化」で差別化するわけですが、それにあたって、従業
員を「個別化」する必要は必ずしもないわけです。

「個別化を誰でもできるようにした」

というのが、マイフィットプランナーの本当にすごいところだと思い
ます。



●知識・経験・ノウハウのサイクルを回す

「独自資源」の一部である「ソフト資源」は、SHOPの4つ、すな
わち、1)Skill:スキル、2)Human resources:人材・組織、
3)Outside relations:外部との関係、4)Philosophy:理念・
文化に分けられます。

そして、1)スキルは、知識・経験・ノウハウに分けられます。


何も知らない・できないという場合に、最初に得るのは「知識」です
よね。


「知識」は、教科書やマニュアルにできるもので、既に「形式知」と
なったものです。その意味で「知識は紙の中にある」ということがで
きるでしょう。


「知識」を実践すると「経験」になります。知識の使い方、などがわ
かるわけですね。ただそれは自分にしかわからないもので、「経験」
は「カラダの中にある」ということになります。


「知識」「経験」に基づき、より良い「やり方」や、効果的な「やり
方」となると、それは「ノウハウ」になります。ノウハウ、すなわち
Know−How、「どうやるかを知っている」ということですから
それは「行動の中にある」と言えるでしょう。


さらに、その「ノウハウ」を言語化(=形式知化)して書き出せば、
それは「知識」となり、誰でも見られ、共有できる状態になります。
そして、それを他の人が実践すると「経験」となり、「ノウハウ」が
蓄積され、それがまた言語化されて「知識」となって……

と、知識・経験・ノウハウのサイクルが回ります。


これは、形式知を使って暗黙知を得て、その暗黙知をまた形式知化し
て……ということですね。


このサイクルを回すことで、組織の「スキル」が獲得されるのです。

それは、個人の成長プロセスでもあります。

「コンピューターのプログラムにする」というのも、1つの形式知化
の手法です。そこには、多くの「暗黙知」が詰まっているわけです。


密着軸の「スキル:知識・経験・ノウハウ」を「コンピュータ−」に
入れてしまうことで、「誰でも使える仕組み」にするというのは、密
着軸をうまく回す方法の1つです。


さて、あなたの「スキル:知識・経験・ノウハウ」を仕組みにするこ
とはできそうですか??



ぜひ考えてみてください!



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◆今日のまとめ
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●密着軸は「個別化」で差別化。暗黙知を形式知化して、「個別化」
 を誰でもできる「仕組み」にしよう!


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ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。



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▼今日の日記▲

前に左肩の「腱」を傷めた、ということを書いたと思います。3月に
やったので、もう2ヶ月くらいたったことになります。

2〜3ヶ月で完治するかと思っていたら、まだ痛みが続いているんで
すよね……

パソコンを打つ、くらいは支障なくできますので、仕事上問題は無い
と言えば無いのですが、シャツを脱ぐときや、スーツを着るときが、
結構辛かったりします。

あとは、寝てる時、ですね。起きてるときより、寝ている時の方が、
痛みがあるように思います。

左肩を使わない(ように意識する)生活に、慣れてきてしまいました
が、早く直って欲しいものです……



○1000号突破! 勝手にカウントアップ!

*今号で(多分)累計1,017号!


●売れたま!1000号を超えてその17:続 理解と行動の難易度

「こんな長いメルマガ1000号発行している物好きな人が、どんな
ことを考えているのか興味がある」(という言い方ではありませんで
したが)という方がいらしたので、このコーナー、続きます。

以下、あくまでも私の個人的な意見であって、これが正しいとか、み
んなこうあるべきだ、などというつもりは全くありません。将来的に
は、言ってることが全く変わる可能性もあります。あくまで現時点で
の、あるメルマガ発行人の独り言です。


ここまで、

○表現の難易度は極限まで下げる
○内容の難易度(さらには実戦性)は高度に保つ

ということが私の本や売れたま!で掲げている編集方針、だと書いて
きました。


それを読者さんから見ると、

○理解の難易度:わかるか?
○行動の難易度:できるか?

ということは違う概念で、「わかる」と「できる」は全く違う、とい
うことを書きました。


私の本や売れたま!では、「表現の難易度」をできるだけ下げること
で、「理解の難易度」を下げている(表現の難易度を下げた表現だと
「わかりやすい」ということ)んですよね。


すると、何が起きるかというと……

本を読んでいると、すごく簡単「そう」に書いてあって、ふんふん、
当たり前だ、と読み進めていけます。

すると、実際にやってみると……

「あれ?」

ということになってしまいがちなんですよね……

それが、私の手法の「弱み」と言えば、そうなりますね。「表現の難
易度」と「内容の難易度」に開きがあるが故に、「簡単そうだけど、
やってみるとすごく難しい」ということになります。

ですから、私の本や売れたま!への「フェアな批判」は、「簡単そう
に書きすぎだ」ということになりますね。それはもうその通りという
か、それを狙っているのですから、しょうがありません。

というのも、「簡単そう」に書かないと、実際にやってもらえない
(=成果につながらな)からです。


その「行動の難易度」を下げるために私が行き着いたのが、一連の、
「売多真子・勝」のシリーズなんですね。

本で言えば「新人OL〜」シリーズですし、売れたま!ではもはや、
1/2以上を占める特集号です。

難しいのは、「どんな答えを出すか」よりも、「どのタイミングで、
どんな質問を投げかけるか」なんですね。「自分に問うべき質問」が
適切であれば、後はそれをひたすら考えていけば良いのですが、「問
うべき質問」が間違っていると、いくら考えても、適切な答えは出て
きません。

そこで、勝さんが、真子に対して「適切な質問」を投げかけていく、
という手法で、考えやすくしているんですね。

真子・勝の特集号が増えているのは、そんな理由もあるんです。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
 品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
●無断転載は禁じますが企画や会議のネタにぜひどうぞ。全文転送な
 ら構いませんので、部下・上司・同僚など周囲の方にもお勧めを!
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●自社の売上向上のために使うのは歓迎ですが、このメルマガの内容
 の販売・コンサルティングへの利用で利益を得る行為は禁じます。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<発行者情報>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
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Copyright 2003-2011 Yoshinori Sato

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