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■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■
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━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.213(累計0989) 2013/02/11
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■■__年末年始特別号:セグメンテーション特集 14__■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●セグメンテーションの切り口の4つめは「所有資源」。まずは、年
収の違いを考えよう!
┃売れたま!は、実戦マーケティング戦略の副教材です。売れたま!
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◆年末年始特別号!
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2月になっても終わる気配のない、年末年始特別号!
実戦的セグメンテーションに深く彫り込んだ、日本でも珍しい特集で
す(ひょっとして日本で初めてかも……)。
我らがヒロイン「売多真子」(うれた・まこ)と、真子の親戚にして
そのメンター「売多勝」(うれた・まさる)です。2人は以下の本の
登場人物です。まだお読みでない方はぜひ!
○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
http://ow.ly/89pSR
売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングの最初の1冊としてオススメ。
○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
http://ow.ly/6s63d
上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!
例によってこのシリーズはどのくらいの長さになるかは、この2人の
活躍次第ですので、現時点ではわかりません。
今回の特集は、「セグメンテーション」! マーケティングで恐らく
は一番難しいこのと1つです。
そのセグメンテーションにどう切り込むのか?
●あらすじ
大晦日の夜、売多真子と勝は、年末に売多家が集まる温泉宿へと一緒
に向かった。電車の中で、そして除夜の鐘を聞きながら続いた2人の
レッスン。
一夜明けて、お正月を迎えて……
今号はシリーズ第14回目です。
最近お読み始めになられた方は、バックナンバーからどうぞ。第1回
目はコチラです↓
http://archive.mag2.com/0000111700/20121228030000000.html
ここから「次の記事」をクリックしてお読みください。
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◆まずは、前号の復習から!
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*本編の「今の時間」は、年が明けた1月1日の昼過ぎです。
1月1日、初詣に出かけた帰りにカフェに寄った勝と真子。カフェで
レッスンの続きが始まっている。
「私達、お正月からこんなにケーキ食べてコーヒー飲んでるっていう
のも、なんなんだろーね、きゃははは」
「別にお正月とか関係ないだろ。今日も平常営業って感じだな」
「まあ確かに私達らしいっていえばそーなんだけどさー」
「っていうかさ、ここんところ毎年こんな感じだよな……」
「あ、そーだねー。年末年始は毎年、ふ、た、り、き、り」
「全然違うだろ。親戚一同バカ騒ぎじゃねーかよ」
「やっだー、真子とふたりきりになりたいんだー。今、そーだよ♪」
「いや、できれば早く帰りたい」
「またまた照れちゃってー。この話、全然終わる気配ないよねー」
「どうしようかね、ホントに……」
勝 :まあとにかく前号の復習からな。
真子:うん。まずはセグメンテーションの切り口の2つめ、「困りご
と」の事例。「大人のための音感トレーニング本」をやった!
真子が勝にノートを見せる。
○ステップ1:顧客像の具体化
・「音程感」を鍛えたい楽器演奏者などのプロ、セミプロ
○ステップ2:ニーズの普遍化
・歌がうまくなりたい!
○ステップ3:ニーズで人を括る
1)人前で歌を歌うときに、恥ずかしく見せないようにしたい
・カラオケ好きの中高年
・合唱団
・幼稚園などの先生
・結婚式で歌の出し物をする人
2)音楽の成績を上げたい
・小学生、中学生とその両親
勝 :OK。大分「構造化」されるようになってきたな。
真子:うん。整理の仕方がわかってきた。あと、セグメンテーション
の切り口の3つめ、「体質」を考えた!
勝 :それで?
真子:お酒なんかだと、「男女」の違いに加えて「アルコール耐性」
つまり「お酒に強い弱い」を考えないといけない!
勝 :それによって、選ぶ商品が違うからな。
真子:そーだよねー。フツーに考えれば、アルコールが弱い商品を選
ぶ人はすぐ「女性」って思っちゃうけど……
勝 :そこで、もう一声「何でだ?」という問いを発せられるかどう
かだよな。そうすると「あ、お酒に弱いからだ」と気づく。
真子:なるほどぉ。そうすれば「男女じゃなくて、お酒の強い弱い」
だって気づくか……
勝 :そういうこと。性別・年代のセグメンテーションの見えにくい
弊害が、それで「切れた」と思って思考停止しちゃうこと。
真子:あー、たしかにそーだね−。「20代女性」とか言うと、ター
ゲティングが「できた気」になっちゃう。
勝 :そのさ、できた「つもり」、わかった「つもり」っていうのが
一番恐いんだよな。そこで思考も進歩も止まるからな。
真子:勝さんは疑り深いから、「それホントか?」とか「何で?」っ
てしつこく訊くよね、きゃははは。
勝 :疑り深いのもあるけど、より考えたいっていうか、そもそも競
合と同じ切り口だと、競合と同じ発想になるだろうが。
真子:あ、そっか、だからかー。性格悪いだけかと思った、きゃはは
勝 :別に性格悪いことは否定しないから、どうでもいい。真子に嫌
われても何の「重要性」もないからな。
真子:もー、素直じゃないなー。性格悪いだけじゃなくて、天の邪鬼
なんだよねー、きゃはは。
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◆切り口3:体質 「肌質」と「髪質」
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勝 :「体質」という意味では、こういうのも「体質」に分類される
よな。化粧品の事例だけど……
勝が例によってノートパソコンを軽快に操作し、真子に向ける。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
○資生堂は2011年秋、敏感肌用化粧品「dプログラム」の大幅刷
新に踏み切った。医薬部外品の成分を新たに使い、老化と肌過敏の
両方をケアする機能を強化。既存品では満足しきれない顧客を取り
込みつつある。
○開発の着想は「40〜50代の女性の敏感肌の意識が大きく変わっ
た」(同社)ことにある。資生堂の調査によると、自分が敏感肌だ
と思う女性は増加傾向。ホルモンバランスが乱れやすく、肌が敏感
になりがちな20〜30代では70%前後、バランスが安定する
40〜50代でも50%前後に上る。仕事と家庭の両立でストレス
を抱える40〜50代の女性が増え、敏感肌用化粧品はもはや若年
層やアトピーなどを抱える女性を対象にした商品ではなくなった。
2011/11/07 日経MJ P.6
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:あ、そうだよね。「肌質」なんかも、「体質」の一種だよね。
勝 :年齢で肌が変化するから年齢も関係ありそうだけど、「敏感
肌」は年齢では括りにくくなった、ってことみたいだな。
真子:そっか、確かに年齢もだけど、「自分に合った」コスメ、って
いうのは大事だよね。
勝 :その「自分に合った」っていうのが、体質、肌質なんだろ?
真子:そこは確かに、「好み」の問題じゃなくて「体」の問題だから
「体質」だねー。
勝 :それに近いモノとしては、こんなのもあるな。2010年7月
29日号、セグメンテーションの号だな。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
○ツムラライフサイエンスの女性用育毛剤「モウガLモルティ」が
2010年4月の刷新以降、前年比5割増の売上。
○刷新時に「髪につや」「髪にハリ・コシ」「髪にうるおい」と目的
別の3タイプに商品を分けた。パッケージにも各目的を明示し「消
費者にわかりやすい商品になった」(同社)。
○各タイプとも、消費者意識を反映させた。同社が独自調査したとこ
ろ、20〜40代女性は「髪のつやのなさ」、40代以上は「髪に
コシがない」など、年代によって悩みが違うことがわかった。男性
が「抜け毛予防」に集中するのとは対照的だ。
○目的に応じて主要成分も変えた。「髪につや」タイプは保湿成分の
ホホバ油を使用。「髪にハリ・コシ」タイプは毛髪由来アミノ酸を
配合し、髪にボリューム感を出せるようにする。主要成分に応じた
生薬を配合し、頭皮の血行促進も期待できるという。
2010/07/07, 日経MJ(流通新聞), 6ページ, 有, 616文字
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
勝 :会社名は「ツムラライフサイエンス」から「バスクリン」に変
わったけどな。
真子:そういえばやったような……売上5割上がるなんてスゴイな、
と思った覚えが……確かに「髪質」も「体質」の一種かぁ。
勝 :そうそう。「肌質」とか「髪質」とか、ひっくるめて「体質」
って呼んでる。
真子:要は「好み」じゃなくて「身体的特徴」ってこと?
勝 :身体的特徴、っていうと「アルコール耐性」なんかが違和感を
感じるから、まあ「体質」だろうな。
真子:そっか、「体質」って言った方が近いんだね……
勝 :で、この号はものすごくうまく「切れた」号なんだよ。
真子:出た、いつもの自画自賛。
勝 :まあそうなんだけど、何でだと思う?
真子:勝さんのアタマの中なんてわかるはずありませーん。
勝 :あのなー、今やってることと関係ない質問をオレがするはずが
ないだろうが。
真子:え? あ、そっか、セグメンテーションだから……セグメンテ
ーションができれば、全て切れる、みたいな話?
勝 :そうそう。この号でもやったけど、製品HPからまとめてみよ
うぜ。HPのメッセージは当時とほとんど変わってない。
真子:ふーん、じゃあ今もうまくいってるんだろうねー。
勝が「そうだろうな。このページだ。読んで、セグメントとつなげてみ
ろ」と言って真子にノートパソコンを見せる。
−−−−−−−−−−−< HP抜粋 >−−−−−−−−−−−−
○薬用育毛化粧水:もっと健康でつややかな髪へ
・ホホバオイル新配合 髪のつや感を向上しました
・抜け毛予防&育毛タイプ
○薬用育毛ローション:もっとハリとコシのある髪へ
・毛髪由来アミノ酸新配合 髪にハリとコシを与え、髪のボリューム
感を出します
・発毛促進&脱毛予防タイプ
http://www.bathclin.co.jp/products/hair/molty/
−−−−−−−−−−−< HP抜粋 >−−−−−−−−−−−−
真子は手慣れた手つきで、ノートにまとめ始める。勝がケーキを2口
つまむと真子が「うん、できた!」と言ってノートを勝に見せる。
年齢 → 髪質ニーズ → 製品とその特徴
20〜40代 髪のツヤ 薬用育毛化粧水
ホホバオイルでつや感を上げる
40代以上 髪のコシ 薬用育毛ローション
毛髪由来アミノ酸で、コシと
ボリューム感を出す
勝 :早いな……うん、OK。
真子:カンタンだった♪
勝 :カンタンに見えるけど、これに気づくのが大変なんだよ。気づ
いちゃうと、「当たり前」に見える切り口になる。
真子:あー、そっか、セグメンテーションがよくできてるから「カン
タン」にぱぱっと整理できるんだ!
勝 :そういうこと。
真子:製品特徴もそうだよね。髪質の違いによる「ニーズの違い」が
はっきりわかってるから、その通りの特徴になってる!
勝 :その「ニーズの違いを洗い出す要素」が、「うまい切り口」に
なるんだよな。
真子:なるほどぉ、「何がニーズの違いを産み出すか」か……
勝 :だってニーズが同じなら、やることが一緒になるから「分ける
必要」がないだろ。どうせ同じ事やるんだからさ。
真子:ニーズに違いがないなら、やることが同じだから……括ってし
まっていいってことだ!
勝 :性別年齢に関わらず、、同じモノを買っていただけるなら、分
けるだけムダ。分けないですむなら、分けない方がいい。
真子:何で?
勝 :分けることの「手間」とか「コスト」は、結構無視できないか
ら。複雑にしない方がいい。
真子:そっか、消費財とかだと40通りの商品なんて出せない、って
ことだよね……
勝 :このモウガLモルティも3通りの商品にしてる。だから、その
「3通り」に分けるための「括り方」が大事だよな。
真子:この場合は「髪質の違いによるニーズの違い」ってことだね。
勝 :そうだな。で、「年代によって悩みが違うことがわかった」っ
て記事にあるけど、この「検証」が大事。
真子:「年齢でニーズが違う」ことを確認しよう、ってことだよね?
勝 :そう。もちろん「年齢」は、分析の「入り口」として重要だし
「ニーズの違い」を検証できているなら年齢で切ればいい。
真子:この場合は、「髪質」が年代によって違う、っていうことだか
ら、年代より、あくまで「髪質」なんだよね?
勝 :そうだな、その区別は重要。切り口はあくまで「髪質」。その
切り口を「描写」すると「年代」になったってこと。
真子:そっか、「髪質」っていう「ニーズの違いを表す何か」、が、
この場合はたまたま「年代」だったってことだ!
勝 :そうなんだよ、その検証をしないで性別年代で切っちゃうと、
「切れてナーイ」っていうあのCMみたいなことになる。
真子:きゃーははは、あったねー。
勝 :で、この「モウガLモルティ」のパッケージには、こう書いて
あるだけなんだよな。
○薬用 頭皮の育毛化粧水:うるおう髪と健康な頭皮へ
○薬用 育毛ローション:もっと健康でつややかな髪へ
○薬用 育毛エッセンス:もっとハリとコシのある髪へ
http://www.bathclin.co.jp/products/hair/molty/
真子:そりゃ、キャッチコピーだから、書くでしょ?
勝 :そうじゃなくて、別に「40代以上」とか書いてないだろ?
それでも、40代以上の方は買うだろ?
真子:そりゃそう……あ! そうか、別に「40代以上」とか書かな
くても、そのニーズがある人は買ってくれる!
勝 :そう!! だから、この「髪質」に基づいたニーズをきちんと
「メッセージ」として出せば、ニーズを喚起できる。
真子:そっかあ……すっごい一貫性があるね……ニーズ、製品特徴、
メッセージ……
勝 :これ、すっごい大事な話で、なんと「お客様は自分の欲しいモ
ノを買う」んだよ。
真子:きゃーははは、当たり前だー!
勝 :当たり前だけど、すっごい大事だから繰り返す。「お客様は、
他の誰が欲しいモノでもなく、自分が欲しいモノを買う」
真子:だから当たり前だってばー。
勝 :だろ? となるとさ、「お客様を起点に、お客様は勝手に一貫
性を取る」んだよ。「自分の欲しいモノを買う」という意味で
真子:えっと……そうか、だから「売れるモノ」には、必ず一貫性が
あるんだ! 「お客様が欲しがる」という意味で!
勝 :そういうこと。そしてその「お客様が欲しがる」モノこそ、ま
さにニーズ。
真子:このモウガLモルティの場合は「髪質」ニーズってことか……
勝 :「ニーズの違い」を起点にしているから、さっき真子が言った
みたいに、すっごく一貫性がある。
真子:きっとそれが「切れてる」セグメンテーションなんだよね!
ニーズの違いがクリアなら、それに応えればいいだけ。
勝 :それそれ。ニーズの違いが明確に出ていれば、あとは直線的な
ロジックで解決できる。売り物とか、売り方とか。
真子:逆に言うと、「切り口」は、直線的なロジックじゃわからない
ってことだよね。
勝 :そうだな。だから「個別具体化して神経衰弱」してみるしかな
いと思う。
真子:そっかあ。やっぱりその「切り口」を探すところがムズカシー
んだね。
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◆切り口4:所有資源 年収
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勝 :じゃあ次の切り口に行こうぜ。次の切り口は「所有資源」。
真子:ショユーシゲン? って何?
勝 :平たく言えば、「持っているもの」
真子:えっと……わかった! 私のこのび、ぼ、う♪
勝 :まあ、わかりやすいのは、例えばお金とか車とか。年収なんか
がその典型。
真子:無視しないでよー、真子の美貌はお金で買えないのにー。
勝 :まずは「お金」だな。年収と家の関係を見てみよう。
勝が真子にノートパソコンを見せる。
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
○ファミリー(第1子が小学校入学前)
世帯年収 購入価格 専有面積
400万円未満 2827万円 70平米
400〜600万円未満 3466万円 73平米
600〜800万円未満 4027万円 76平米
800〜1000万円未満 4558万円 76平米
1000〜1200万円未満 5063万円 77平米
1200万円以上 6108万円 77平米
(2012年5月15日 SUUMO首都圏版 P.14
新築マンション契約者)
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:へー、こんなところにもいいデータがあるんだあ。ホントこの
パソコンは何でも出てくる魔法の小箱だね。
勝 :いいデータはちゃんと取ってあるんだよ。SUUMOって、い
いデータを公開してくれてるんだよな。
真子:真子のために、あ、り、が、と、はーと。
勝 :真子のためじゃないだろ。で? データを見たのか?
真子:あ、えっと……あ! 年収とマンション購入価格は正比例!
勝 :このデータは「第1子が小学校入学前のファミリー」だから、
家族構成による違いを除去していて、結構正確だと思う。
真子:でもさ、「専有面積」はあんまり増えないね。年収が高いほど
若干増えるけど、ほとんど同じ。
勝 :そうそう。だから、広さではなく、都心への近さとか、床暖房
とか、そういうところにお金かけてるんだろうな。
真子:そっか……あ、ということは、「広い家」を作ったからといっ
て、高年収層が入ってくれるとは限らない!!
勝 :鋭い! そういうこと。「高年収が何につながるのか」という
ことを考えないといけない。
真子:そうかー、何にでも影響するとは限らないんだね−。
勝 :むしろ、高年収層は忙しいだろうから都心への近さを重視す
る、というニーズが推測できる。
真子:じゃあ、逆に「専有面積」には何が影響するのかなー?
勝 :まず思い浮かぶのはあの要素だな。考えてみろよ。
真子:えっと……あ、「家族の人数」だ!
勝 :そう。同じデータから……
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
専有面積
ファミリー(第1子が小学校入学前) 70〜77平米
ファミリー(第1子が小学生以上) 69〜79平米
カップル 68〜73平米
シングル(男性) 58〜61平米
シングル(女性) 50〜62平米
(データ:同上)
−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−
真子:あー、確かにシングルよりカップル、カップルよりファミリー
の方が専有面積が広いんだね。
勝 :年収に関わらず、な。さらに、子供の年齢は、専有面積との関
係はあまりなさそうだよな。
真子:あ、ホントだねー。じゃあ、やっぱり「人数」ってことか。
勝 :それが重要な要素の1つではあるだろうな。子供がいれば、子
供部屋が必要になるだろうし。
真子:こういうデータがあると、どの「切り口」が、自分の商品のど
の部分に影響するのかしないのか、よくわかるね。
勝 :そう。だから、色々な角度からデータを見ていく必要がある。
真子:何が影響するのか、見てみないとわからないもんね。
勝 :これが「個別具体化して神経衰弱」ってこと。切り口の項目の
「組み合わせ」。
真子:そっか、「組み合わせ」かー。この場合は、年収と「家族の人
数」とかの。
勝 :そういうこと。じゃあこの「年収」の続きで、家計調査を見て
いこうか。現時点では、確か2011年が最新のデータだな。
勝が「この辺に……」と言いながらパソコンを操作し、「あったあっ
た」と言って真子に見せる。
年間世帯収入 月間消費支出
〜252万円 134,776円
252−371万円 197,381円
371−508万円 239,318円
508−731万円 279,396円
731万円〜 385,244円
<総務省 家計調査2011 表3>
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001070347
真子:えっと、左側が年間の収入で、右側が使ったお金……あ! 収
入が高いほど「消費支出」が多い!
勝 :って見えるよな……だから、気を付けないとな。実は世帯収入
が多いと、世帯人員も多いから、1人当たりで見る必要がある
真子:え……そうなの?
勝 :1人当たりで見ると、こうなる。見てみろ。
年間世帯収入 世帯主年齢 世帯人員 1人当たり
月間消費支出
1)〜252万 64,6 1.41人 95,586円
2)252−371万 60.0 2.09人 94,441円
3)371−508万 54.9 2.54人 94,220円
4)508−731万 51.5 3.00人 93,132円
5)731万〜 53.6 3.33人 115,689円
真子:えっと……あ! 731万円から下の4グループは、ほとんど
変わらない!
勝 :そうだな。世帯人員が多くて働いている人が増えれば、その分
世帯収入だって上がるしな。
真子:ひどい! ひっかけ問題なんてずるい! 意地悪だ!
勝 :だから気を付けろ、って言ってるんだ。
真子:じゃー、年収なんて見ても意味ないじゃん。この731万円以
上のグループだけが消費支出が大きいってだけじゃん。
勝 :ちょっと待て、まず、大きな意味では、その731万円という
あたりが1つの分岐点になることはわかるだろ?
真子:え? あ、なるほど、それ以上とそれ以下で、消費行動が違う
かもしれないんだ。
勝 :だから、世帯年収700万前後が1つの分岐点、っていうのは
覚えておいた方がいい。
真子:なるほど……そういえばそんな気もするね。
勝 :それから、「月間消費支出」全体で見ると変わらなくても、項
目によっては結構変わるんだな、これが。
真子:そ、そうなの?
勝 :じゃ、見ていこうぜ。世帯収入の金額は省く。下に行くほど世
帯年収が高い。数字は「1人当たり」の月間消費支出、な。
真子:う、うん……
食料 一般外食
1) 24,652 3,789
2) 24,328 3,812
3) 23,207 4,267
4) 21,786 4,064
5) 24,615 5,032
(データ:同上)
勝 :どうだ? まず、トータルの「食料」の支出は年収では変わら
ない。
真子:へー、世帯年収が高いからっていっぱい食べるわけじゃないん
だねー。あ、でも「外食」は年収が高いほど高い!
勝 :そう。だから「年収」が与える影響は費用項目によって違う。
真子の商売は「外食」だから、年収が影響するな。
真子:そっか、じゃあ私の会社のセグメンテーションの切り口の1つ
に、「年収」が入る可能性があるってことだ!
勝 :そうそう、今のは適切な表現だな。着物類で見るとこんな感じ
になってる。
洋服 下着 履き物類
1) 1,018 339 406
2) 1,183 348 422
3) 1,309 352 452
4) 1,401 348 518
5) 2,211 443 681
(データ:同上)
真子:下着はそんなに年収の影響は無いけど、洋服とか履き物類は年
収で違うんだね!
勝 :下着は、高年収層も低年収層も同じようなものを履いてるんだ
ろうな。
真子:同じ着物なのに、面白いねー。
勝 :切り口4:所有資源の「年収」を見るのは大事だけど、それが
何にどう影響するか、っていうのを考える必要があるわけだ。
真子:こういうデータも知っておかないとダメかー。
勝 :当然だろ。
「数字はやだなー」
「大体真子は、数字に弱すぎなんだよ。社長なんだから……」
「苦手なもんは苦手だよー。いーじゃん、望ちゃんがいるし」
「社長が自分でできなくてどうするんだよ。大体だな……」
「えー、お説教は、お正月からやめよーよ*
*本編の「今の時間」は、年が明けた1月1日です。
カフェの従業員が2人に近づいてくる。
「お客様、申し訳ございませんが閉店の時間で……」
「え? うわあ! こんな時間だ!」
「きゃあ、ホントだー! 宿に戻らないと! ね、勝さん!」
「飯がなくなる! 真子、電話しといてくれ」
「うん」
真子が携帯で電話をかける間に、勝はバタバタとパソコンをバッグに
しまい始めた。
「よし、出るぞ」
「うん!」
カフェを出ると、外はいつの間にか暗くなっていた。あわてて駆け出
す2人。
「きゃははは、そー言えばさー、去年のソフト資源のSHOPのとき
はこんな感じの終わり方だったよねー」
「げ……そういえばそうだったな。しかも今回はまだ終わってない」
「じゃあ、ご飯食べてから、続きだね!」
「ケーキは食べても、腹は減るもんだな」
「うん!」
2人は、暗くなった道を宿に向かって軽快に駆けていった。
次号に続きます!
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◆今日のまとめ
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●セグメンテーションの切り口の4つめは「所有資源」。まずは、年
収の違いを考えよう!
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地域に役職、年齢、と非常に幅広い方々のお集まりとなりました。
戦略BASiCS集中セミナーでは、あえて業種や役職などを絞らず
に異なるバックグラウンドをお持ちの方が集まる「場」を作るように
しています。それは「違いの力」を最大化するためです。
同じバックグラウンドの人と、同じような情報を見ていると、どうし
ても同じようなことを考える(=業界の考え方に染まる)ようになっ
てしまいます。
また、年齢が離れた方と率直に話せる機会は、そうは無いものです。
私も含めて、業界を知らない方の方が「素人の素朴な質問」(と私は
呼んでいます)を投げかけられます。その「素人の素朴な質問」には
大変なパワーがあるんですよね。
よく、「ビジネスの問題がよく見えるのは、会社に入った日と辞める
日だ」と言われます。その「よく見える日」を人為的に創り出すわけ
です。
今回も素晴らしいパワーに満ちた「場」となりました。ご参加者の方、
2日間お疲れ様でした!
○1000号間近! 勝手にカウントダウン
*今号で(多分)累計989号 1000号まであと11号!
●売れたま!1000号に向けてその3 : 1万人突破!
iPodコーナーはちょっとお休みして、記念すべき1000号に向けて
過去をつらつらと振り返ってみたいな、と思います。
読者数1万名突破は、2005年2月3日号でした。創刊から2年弱
くらいで、今考えると極めて順調な増加ペースです。「メルマガ」と
いう媒体の勢いを感じます。2万名の壁を越えるのは、その大分後に
なります。
当時は「相互紹介」という手法が主流で、売れたま!でも色々とさせ
ていただいていました。月に数百名読者さんが増えるという、ちょっ
と今は考えにくい、「メルマガバブル」とでも言うべき状態だったよ
うに思います。
その意味では、この「メルマガバブル」の時代が終わるとメルマガの
読者数を伸ばすのが大変となり、「時代の波に乗る」ことの大切さを
考えさせられます。
今は、「時代はSNS」ということになっているようですが、またそ
れも変わっていくのでしょう。
このくらいまでは、初期の内容と「対談編」だけで続いていました。
それが、私に非常に大きな意味を持つ、ある変化を引き起こします。
このコーナー、1000号まで(勝手に)続きます。
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品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
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●次号も、「括り方」の事例を見ていきます! 「所有資源」の他の
事例は? 次の「括り方」は? お楽しみに!
▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!
▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!
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「インド人を右に」とレスするたびに右に動いていくスレ
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1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/30(土) 14:05:17.71
ID:yDRFQxCW0┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓┃ ┃┣
12 年前
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