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2011年11月15日火曜日

売れたま!戦略と組織編Vol.007 2011/11/14 資生堂が新製品を半減 後編

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━━━━━━━━━━━━━━━━戦略と組織編Vol.007 2011/11/14
購読者:26,269 (まぐまぐ:16,535 メルマ!:934 めろんぱん:8,800)

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 ■■■■■■__資生堂が新製品を半減 後編__■■■■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「組織は戦略に従う」。何かをしたいことがある場合、トップが決
 断し、それを実行するための環境を整備しよう!


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◆戦略と組織編
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「やります!」と宣言しておいて、大分ご無沙汰してしまった「戦略
と組織編」。

半年ぶりくらいになってしまいました……

●組織は戦略実行の「手段」であって「目的」ではない

なぜ単に「組織」編とせずにわざわざ「戦略と組織」編と銘打ってい
るかというと、「組織をどうするか」という問いを、戦略と独立して
発することは無意味だからです。「組織」は、手段であって目的では
無いからです。

そもそも「万能な組織」というのはありませんよね。あるのだったら
教えていただきたいです。経営学上の超大発見となります。無いから
こそ、みんな「最適な組織」を目指して苦労しているわけです。

なぜ「万能な組織」な組織が無いかというと、組織は戦略実行の手段
だからです。そして、「万能な戦略」もありませんから、それを実行
する手段にも万能なものはありえない、ということです。


当たり前だ、とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、「組織」を
単独で議論することは結構多いですよ。そうではなくて、あくまでも
「何を達成したいのか?」という「目的」に対する「手段」として
考えよう、ということです。

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◆前回の復習
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●資生堂が新製品に依存する体質から脱却中

資生堂が、売上を新製品に依存する体質からの脱却を試みています。

売れている新製品であればいいのですが、発売当初の売上高を100
とすると、新製品の多くが1年後には3〜5まで低下。売れないので
また新製品を出すことになります。

すると……

○開発、生産、販売スタッフが、製品を出しては引っ込めることに忙
 殺され、エネルギーのムダが起きる
○製品在庫、販促品在庫の膨大なムダが起きる

ということになります。その結果

開発:売れるモノをじっくり考える時間がない
生産:生産効率の低下、コスト増となる
販売:売り方を覚える頃には製品がなくなる、という時間のムダ

という、組織エネルギーの膨大なムダが起きます。

新社長の末川久幸氏は、この悪循環を断ち切るべく、新製品の数を減
らす決断をしました。


○発売後6カ月間未満の新製品の売上高比率は、2007年の30%
 近くから、2011年度は10%台半ばにまで下げる

○商品数も、前社長時代の1万以上から、7000へと減少


参考資料
 2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 1ページ
 2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 6ページ


新製品を出すこと自体が悪いわけではありません。出さなければ、ジ
リ貧になります。

しかし、「組織の能力を超えて」新製品を「過剰に出す」ことは、組
織に負担がかかり、売れない確率がかえって高くなるのでまずい、と
いうことです。

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◆「カスタマーファースト戦略」
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●悪循環を断ち切る「カスタマーファースト戦略」

では、この「新製品依存」による悪循環をどのように断ち切るのか、
資生堂の戦略を見ていきましょう。


資生堂は、この戦略を「カスタマーファースト戦略」と呼んでいるよ
うです。

その戦略は、資生堂のIR資料によると……


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○この上期は、新製品の発売数を前年に比べ、半分以下まで減らし、
 これまで新製品にかけていた時間とマンパワーを、限られた新製品
 に投入し、徹底的に強い製品を作ること、そして既存品を育成し、
 ロングセラー化させることにシフト

資生堂 2011年度 上期実績および通期見通し 2011年10月31日
http://www.shiseido.co.jp/ir/img/pdf/cms/ir20111101_413.pdf


○メガブランドをはじめとする中価格帯のボリュームゾーンの苦戦の
 要因は、「新製品に依存したマーケティング」と、「お客さまと市
 場の変化に対応できていない」ことの2点に集約される


○お客さまに支持を得られない新製品は、一時的な売上は稼げても、
 品種増につながり、最後は不良在庫として市場に滞留する。この非
 効率なマーケティングにメスを入れる。


○2011年度は新製品の発売数を大幅に減らす。これにより生まれ
 るマンパワーやコストを、研究開発、技術革新、営業活動、ビュー
 ティーコンサルタントの店頭応対などに投入。


○当該活動については、私(末川社長)自らが先頭に立って進め、社
 員の理解も深め、具体活動に落とし込む
 

資生堂3カ年計画 2012年3月期見直し 2011年4月27日
http://www.shiseido.co.jp/ir/img/pdf/cms/ir20110427_359.pdf

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


新製品を絞り込み、商品数も減らしているのですね。

実際に、新製品発売数は、2010年度上期の293SKUから、
2011年度上期は140に減少しています*。

http://www.shiseido.co.jp/ir/img/pdf/cms/ir20111101_413.pdf
(資生堂 2011年度 上期実績および通期見通し
 2011年10月31日)


まとめると……

○新製品の乱発 → 売れる商品をしっかり育てる

ということですね。


ここでのキーワードは「お客様の支持」「お客様の評価」のようで、
この言葉が頻繁に出てきます。

「売れない」新製品は「お客様の支持」を得られていない、というこ
とですね。

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◆お客様に近づく組織へと改組
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●より「顧客ニーズ」に近づく組織に!

さて……ようやくここで「戦略と組織編」の「組織」に入れますね。

ここまでが、資生堂の「戦略」です。

「組織」は、その「戦略を実行する」ためのものです。

「組織は戦略実行の「手段」であって「目的」ではない」ので、ここ
までを考えないと、組織についても考えられないわけです。

「売れる商品をしっかり育てる」ことができる組織は、どんな組織な
のでしょうか?

●販売現場へ権限移譲し、お客様に近づく

まず、営業・販売の仕方を見てみましょう。

本社→販売現場へと、権限移譲しています。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○2月と4月、資生堂本社の販売関連の企画担当者約30人が全国各
 地の販社に転じた。昨年下期に異動した営業部門のメンバーと合わ
 せて総勢80人。売り場と接しながら地域の実情や店舗の特性に合
 わせ「きめ細やかな販売体制を整える」(資生堂販売)。


○狙いは資生堂の営業の強みだった「全国一律」からの脱却。本社に
 偏りがちだった権限を地方に移す試みだ。販促物の発注も従来は
 90日前が原則だったが、地域の実需を反映しやすいよう最短で
 30日前まで圧縮できるようにした。


○今春から販促費の配分も本社と販社で逆転。従来は60〜70%が
 本社の予算だったが、30%近くまで減らした。

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 1ページ

○「(資生堂の悪いクセは)新製品をつくるときに12〜18カ月前
 から準備を始め、宣伝企画や販売戦略は6〜8カ月前から仕込む。
 計画的だが、冷夏であっても猛暑であっても発売する段階では考え
 ずに走ってしまう。猛暑だった昨年はそれで随分と販売機会を失っ
 た。今年は現場の発注にもっと機敏に応えられるよう変え始めてい
 る」(末川社長)

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 6ページ

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


本社→販売、という方向性から、販売→本社、という風にベクトルを
逆転させたわけですね。

本社→販売、というベクトルですと、どうしても「これを作ったから
売れ」という体質になりがちです。

また、本社で立てた計画を金科玉条のごとく守って、現場が粛々とそ
れを実行すると、ということにもなりがちです。

そうではなく、販売→本社という逆のベクトルにして、「現場で売れ
るものを売る」といういわば当たり前の流れを作ろうとしているわけ
です。


つまり、「よりお客様に近づく営業組織」を作ろうとしている、と言
えます。

●商品開発プロセスの変更

また、商品開発プロセスも、同様にお客様に近づこうとしています。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○商品の絞り込みと同時に商品のつくり方から変えている。今までの
 技術開発→商品設計→マーケ研究→広告宣伝などといったリレー方
 式はやめ、最初からブランド担当者や研究所の所員、広告担当らが
 一つのチームになって取り組む(末川社長)

2011/06/12 日経MJ(流通新聞) 3ページ

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


従来の商品開発プロセスは以下のようなものでした。


 技術開発→商品設計→マーケ研究→広告宣伝 → お客様


これは、「技術主導」型の商品開発プロセスですね。言わば商品軸型
の開発プロセスと言えるでしょう。

このような商品開発プロセスでは、商品開発部隊がお客様から遠いと
ころにいました。すると、「独自技術」を生み出すのには適している
反面、お客様ニーズを汲み取って、それに対応して動くことが難しく
なります。

さらに「多くの新製品を出す」という使命が重なった結果、「1年で
消える新製品」が多く出てしまったわけです。

ですので、「ブランド担当者や研究所の所員、広告担当らが一つのチ
ームになって取り組む」プロセスへと改めたわけです。


強引に図示すると、このようになるでしょう。


 技術開発  → お
 商品設計  → 客
 マーケ研究 → 様
 広告宣伝  →


言ってみれば、お客様に近い、密着軸型の商品開発プロセスへと変更
したわけです。

「技術じゃない。お客様に支持されることが重要なんだ」

という末川社長のメッセージが聞こえるようです。

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◆組織は戦略に従う。戦略に基づき、全体の一貫性を取ろう!
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●戦略が組織を規定し、組織が戦略を具現化する

「お客様の支持を得る」という社長の方針が、このように、販売組織
や商品開発プロセスに「具現化」されるわけです。

○ビフォー

 技術開発→商品設計→マーケ研究→広告宣伝 → お客様

 ↓ ↓ ↓


○アフター

 技術開発  → お
 商品設計  → 客
 マーケ研究 → 様
 広告宣伝  →


「お客様に近づけ!」と社長が叫ぶだけではお客様に近づくことはで
きません(実行を伴わない戦略)。

また、組織をいじっただけでも、何も変わりません(戦略を伴わない
戦術)。


戦略:お客様に近づく
 ↓   ↑
組織:お客様に近づく実行体制・方法


という関係です。

戦略を組織が実行に落とし込み、その落とし込み方を戦略が決定する
という相互関係ですね。

これが「組織は戦略に従う」ということです。

●開発→販売までの全てのプロセスで一貫性を

新製品の削減と、このような組織改変・開発プロセスの変更とが相ま
って、やっと「開発→生産→販売」というプロセス全体における「動
き方」に一貫性が出てきます。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○「資生堂は長い間、新製品に依存する体質に陥っていた。何度か改
 革を試みたが本質的なところはなかなか変えられずにいた。確かに
 ブランドの整理や効率化は進んだ。ただモノづくりの仕組みや美容
 部員の活動内容までは届いていなかった。今回の新製品の削減はこ
 こをしっかりやるための施策だ」(末川社長)


○「資生堂の化粧品は商品というハードだけでは完結しない。接客な
 どによって商品の使い方や情報を提供するソフトと一体になってこ
 そ価値がある。ハードとソフトの両輪を持っているのが資生堂の強
 み。ヒトの力を引き出すためにも現場が新製品の対応に追われる時
 間を削減する。つくる工夫や売る知恵に思いを巡らせる余裕を持っ
 てほしい」(末川社長)

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), P6

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


末川社長は、社長になる前からこのような改革に取り組んでこられた
ようです。

ここで言う「ブランドの整理や効率化」はいわゆる「メガブランド戦
略」のことだと思います。

が、それだけでは、上流の開発部門、前線の美容部員までに至らず、
組織全体としては「一貫性」が欠落していたわけです。

それを含めて「本質的なところ」とおっしゃっているのでしょう。

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◆「言い訳」を許さない
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●「言い訳」という「逃げ道」を断つ

そして、「本質的なところ」という意味は、恐らく「言い訳を許して
いる」ということのように思います。

新製品過多のもう1つの弊害は、組織に「言い訳」を許してしまうこ
とです。

何かを指示すると「新製品のせいで……」という言い訳ができてしま
うわけです。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

「営業だけではありません。研究所でも新製品が言い訳の種になって
いました。『新製品を出せ出せといわれるので研究を深める時間が足
りない』と(末川社長)

2011/06/12 日経MJ(流通新聞) 3ページ

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社長が何かの指示を出しても、

・新製品を出せと言われるから、売れる商品が出来ない……
・新製品が出てくるから、売るための工夫ができない……

と、事実半分、言い訳半分の「逃げ道」になっていたのではないでし
ょうか?

このような場合、実際に新製品過多が組織への過負荷になっていたの
で、トップも無理強いはできません。

ですから、「新製品が」という言い訳が通用してしまうわけですね。

この「逃げ道」を断つわけです。


これは、

「わかった。新製品を出せ出せというのが悪いというのならば、金輪
 際言わない。だから今度こそ売れる商品を出せ」

という、社長からの明確な「メッセージ」になりますね。

「逃げ道」がなくなれば、真剣にやらざるを得なくなります。

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◆「何をやめるのか?」はトップの決断
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●何かを「強化」する際には、「代償」が必要

「何かを強化しろ!」と言う場合、その「代償」として、何かを「差
し出す」必要があります。

「完全競争」の状態においては、みんなが頑張っているわけで、現状
に加えて「追加で」頑張ることは、極めて困難です。そんな状態で
「こっちも追加で頑張れ」と言われても、無視されるか全部が中途半
端になるか、です。

「接客力を高めろ!」と言った場合も、現場が頑張ってない場合は別
として、既に全力で頑張っている現場に「これもガンバレ!」と言っ
たところで、「えー、これ以上どうしろって言うんですか?」という
ことになります。

仮に、「それでもいいからやれ」と強権発動した場合には、社員が、
何かを「勝手に」犠牲にすることになります。そうしなければできな
いからです。


ですから、何かを「強化」する際には、何かを犠牲にする必要があり
ます。「これもあれもガンバレ」ではダメです。

「これはやらなくていいから、こっちを頑張ってくれ」

と、何かを「差し出す」「削る」、という「代償」が必要になるので
す。

資生堂が「代償」として「差し出したモノ」が、「新製品による(見
かけ上の)売上」ですね。

●やめる決断は、トップの決断

そして、このような「やめる」「削る」のは、トップの決断になりま
す。

ここでいう「トップ」は、本当に「トップ」です。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○私(末川社長)が化粧品事業を担当していた2007年から『既存
 品を育成しよう』『新製品に頼るな』といってきたが止められなか
 った。(中略)だから(社長)就任の初年度からすぐに始めた。問
 題は前から目の前にあった」

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 1ページ


○「資生堂は長い間、新製品に依存する体質に陥っていた。何度か改
 革を試みたが本質的なところはなかなか変えられずにいた(末川社
 長)

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), P6

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

末川現社長は、社長になる前は、「取締役兼執行役員常務」でした。
(2011/01/13 日本経済新聞 朝刊 10ページ)

常務の立場ですら、新製品への依存を「止められなかった」わけです
ね。

新製品を出せば、短期的には売上が上がるわけですから、組織全体と
してはその「魔力」に抗えなかったわけです。


末川氏が社長というトップになって、初めて「新製品半減の大号令」
がかけられるようになったわけです。


先ほどの、末川社長「自らが先頭に立って進め、社員の理解も深め、
具体活動に落とし込む」というのも、この文脈に沿ったものでしょう
ね。

新製品を出せば、一瞬は売上が上がります。しかし、その売上を「捨
てる」という決断は、トップにしかできません。

また、口で言うだけでも信用されないかもしれませんし、社内に抵抗
勢力もあるかもしれません。

社長自らが「オレがハラを括ってやるんだ」と宣言・実行することで
ようやく社内が「あ、社長は本気なんだな」と思うわけです。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○業界が資生堂に注目するのは、つくり方や売り方の改革にまで踏み
 込もうとしているからだ。しがらみの多い制度品メーカー*にとっ
 て容易なことではない。

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), P1

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


制度品システムとは、「専門店」をがっちり抱え、自社商品をきちん
と売ってもらう仕組みができているような販売方法のことです。系列
流通を持っているときの改革は、色々な面で大変になります。

だからこそ、トップの「とにかくやるんだ」という決断・実行が大事
になるわけです。

末川社長は52才(2011年6月時点*)とこれだけの大企業のト
ップとしては相当若い方ですよね。

このような「決断」「実行」を期待されて、社長を任されたのでしょ
うね。

*2011/06/12 日経MJ(流通新聞) 3ページ

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◆出始めた成功事例
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●新製品でなくても、売れる商品が現れた

この戦略は、少しずつ実を結び始めているようです。

この戦略に基づき、TVCMでも新しい訴求方法を試みています。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○今年1月の「マキアージュ ルージュエナメルグラマー」という口
 紅のTVCMでは、武井咲さんが口紅を塗った瞬間に音も画面も時
 間を止めた。1分待ってからグロスを上塗りすると艶が増すという
 使い方訴求で、これまでの商品イメージを高めるCMとは異なる。


○この商品が昨年7月発売の「旧製品」だったことも異例。商品も変
 えず同じ中身のまま販売。流行に合わせてブランドごとに年2回は
 新製品を投入してきた同社の化粧品では初めての試みだった。発売
 当初の30%の水準まで落ちた売上が、新しいテレビCMの効果な
 どで今年2月には80%の水準まで回復。「新製品でないと稼げな
 い」という社内の定説をひっくり返した。


2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 1ページ

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

「旧製品」(発売半年で「旧製品」というのも何ですが、販売サイク
ルが短い消費財では、確かにそのとおりでしょう)で「売り物」を変
えなくても「売り方」を変えれば、きちんと売れるということが立証
されたわけです。

恐らく、この口紅の「使い方」「価値」が、今まで伝わってなかった
んでしょうね。

「年2回の新製品投入」だと、どうしても伝える情報量が限られます
が、1つの商品をじっくり売っていくことで、きちんと「良さ」を伝
えられるわけですね。


さらに、70年前の製品も今年売れたそうです。

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○良い商品が新製品の中で埋もれていた。定番商品も売り方次第で伸
 びる。冷涼感が得られる『カーマインローション』は発売から70
 年以上たつが、今年の節電による暑さを見越して販促活動を活発に
 すると、5〜6月の出荷は前年同期比1・8倍。関連商品のパッテ
 ィング・スポンジも2倍以上売れた(末川社長)

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 6ページ

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


新製品ラッシュに埋もれていた「良い商品」にきちんとスポットを当
てれば拡販できるわけです。

●販売現場の負担を減らす工夫

また、生産現場でも、改善アイディアが生まれて来たそうです。


−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−

○掛川工場で、透明ビニール梱包の冬のキャンペーン用の新しい販促
 物が誕生。梱包が透けて中身が見え、店舗も使いやすい。段ボール
 梱包より材料・加工費は1個当たり約350円減り、梱包をほどく
 手間も40秒ほど縮まる計算。店員はその時間を接客に回せる。

2011/09/02, 日経MJ(流通新聞), 1ページ

−−−−−−−−−−−< 記事要約 >−−−−−−−−−−−−


コスト削減もすごいですが、販売現場の手間を減らし

「店員がその時間を接客に回せる」

ということに大きな意味があるように思います。


組織全体として、販売現場が「顧客対応」に集中できるように動いて
いるわけですね。

気づいた方はすごいですが、拙著「売れる数字」*の加賀屋
加賀屋と同じロジックであることがわかります。


*「売れる数字 〜組織を動かすマーケティング〜」 
 佐藤義典著 朝日新聞出版
http://ow.ly/32zKP

●このような活動を行うために、「組織の余裕」を作り出した

このような「旧製品」の「掘り起こし活動」を行うためには、また、
生産現場が「販売現場の手間を減らす改善活動」を行うためには、組
織としての「余裕」が必要です。

以前の新製品ラッシュの状態では、このような活動ができません。

また、販売現場では、新製品がなければ、「旧製品」以外に売るモノ
がありませんから、必然的に「旧製品」を売らざるを得なくなります
よね。


このような活動を組織として引き起こす、促進するために、「新製品
の削減」という環境の整備をした、というわけです。

●社長の仕事は「独自資源」の整備

今回の記事は、「社長の仕事」という意味でも、非常に示唆的な内容
だと思います。

今回のような

・組織改変
・商品開発プロセス

は、BASiCSでは「A:独自資源」に入ります。


社長の仕事は「売ること」ではなく「売ることを組織全体として自主
的に行うこと」という「環境の整備」であり、それは「独自資源」を
蓄積すること、なんですね。

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◆今日のまとめ
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●組織は戦略に従う。戦略を考え、それを実行・具現化するための組
 織・プロセスを整備しよう!


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ご購読ありがとうございました! ご活躍をお祈りしております。


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▼今日の日記▲

日本シリーズは、「ソフトバンク圧倒的有利」という下馬評とは違っ
て、中日ペースで進んでますね……

まさにシーズン中の戦い方。2試合とも2対1で勝利。セリーグのチ
ームは、「中日とやるときはこうなる」と慣れていて、「まあ粘って
引き分けにするか」くらいの戦い方をするわけですが、慣れてないと
最強ソフトバンクと言えども、やっぱり焦りが出るんでしょうね。

個人的にはどちらが勝っても別に構わないので純粋に野球を楽しめる
んですが、中日がボロ負けすると「セリーグ弱い」ということになる
ので、中日が4連敗みたいな事態はやっぱり避けて欲しかったんです
よね。

このままナゴヤドーム3連戦で中日が勝ち越すと、中日の日本一が決
まります。確率としては結構あり得るでしょうね。

「練習のときは試合のように、試合のときは練習のように」というの
がセオリーですが、今の中日はそんな感じですね。本番で普段通りの
力を出すことって、ホント難しいんですよね。

ここでソフトバンクが開き直れれば、また違った展開になってくると
思いますので、そのあたり、注目ですね……と言っても、試合をゆっ
くり見ている時間は無いんですけどね……

●今日のiPod Tune:秋に似合う大人のバラード

もう半袖では寒いですし、長袖でも、もう1枚欲しい気候ですね。

既に「晩秋」という感じです。

そこで、秋のバラード特集。

秋に似合うのは、切ない曲ですよね。

ということで、今日の1曲は……


○Could've Been by Tiffany


1987年に15歳でデビューし、いきなり大ヒットを飛ばした彼女
の、2枚目の全米1位曲。

10代で大ヒットを飛ばす、いわゆる「アイドル」というのは、アメ
リカだとあまり見ませんが、彼女が出てきたときは結構すごかったで
すね……


曲名の Could've Been はもちろん仮定法。「美しいはずだった」
愛を振り返って……

というまさに寒くなってきた晩秋にぴったりの切ないバラード。

ちょっと思い出を振り返ってみたいときにぴったりの曲♪

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓<免責事項等>〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
●紹介した会社の各商標は各会社の登録商標です。紹介した会社・商
 品等は、例であり、戦略や商品の良し悪しの評価ではありません。
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