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2015年3月2日月曜日

売れたま!特別編Vol.314 2015/03/02 年末年始特別号:価値提案のTPO・T 19

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
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━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.314(累計1203) 2015/03/02
購読者:31,965 (まぐまぐ:16,459 メルマ!:945 めろんぱん:14,561)

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 ■■■__年末年始特別号:価値提案のTPO・T 19__■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●「BtoC」でも「BtoB」でもTPOを使った用途提案の考え
 方は同じ。「刺さるTPO」の条件をチェックしよう!


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◆年末年始特別号!
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3月に入って、世間は春になっても続く「年末年始特別号」!

年末年始恒例の「特別号」は、お馴染みのこの2人。

我らがヒロイン「売多真子」(うれた・まこ)と、真子の親戚にして
そのメンター「売多勝」(うれた・まさる)の珍道中(?)。

・売多真子:イタリアンレストラン 「そーれ・しちりあーの」社長
・売多勝 :真子の親戚・幼なじみでマーケティングコンサルタント

2人は拙著の登場人物です。お読みいただいているとは思いますが、
念のためご紹介いたします。2冊とも、小さくて軽いので荷物になら
ず、帰省の電車などでお読みいただくのにオススメです!


○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
http://ow.ly/89pSR

売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングの最初の1冊としてオススメ。


○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
http://ow.ly/6s63d

上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!



●今回の特集は「価値提案」!

マーケティングの本丸というか、ビジネスの中核とすら言える「価値
提案」。意外なことに、今までこの特集はしてきませんでした。

例年通り、このシリーズがどれくらい続くかは、2人の活躍次第。現
時点ではわかりません。

ビジネスの中核「価値提案」とは? この特集は、肩の力を抜いてお
楽しみください!



●ここまでのあらすじ

売多真子と勝は、売多一族の年末大集会に参加。温泉旅館に一族が大
集合し、親戚一同で大騒ぎした年末年始が終わる。その間、真子は勝
の講義をカフェなどで受け続ける。

この物語の中では、「今」は1月2日の午後です。


今回は、連載19回目です。1回目はこちらからどうぞ↓

http://archive.mag2.com/0000111700/20141230034000000.html

「次の記事」というところをクリックすると、その次に進めます。



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◆まずは前号の復習から!
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1月2日の午後。

売多家一同が集まった年末年始の宴は終わり、今日は帰京。2人は、
帰りの電車の中で講義を続けている。

車窓から見える風景は、都市部のそれになってきた。

「な、真子、電車の窓から見える正月の風景ってさー」
「なになに、どーしたの?」
「国旗を掲げてる家って結構あるよな」
「そうだけど、それがどーかしたの?」
「うちの周りで国旗掲げてる家はないな、と思って」
「あ……そういえばそうだね」
「郊外の方が、そういうことをきっちりやってるのかもな」
「あー、地域差があるのかもしれないね。勝さん、よく見てるね」
「誰でも気づくだろ」
「そんなことないよー、普通気づかないよ」
「そうか」

照れ隠しか、勝がテーブルの上のお菓子を手に取った

「勝さん、ボーっと風景見てるだけかと思ってた、きゃははは」
「オマエなあ……」
「勝さん、窓際に座ってるじゃん?」
「いつもそうだろ。それで?」
「それで、本当は真子のことを見たいから風景見てるフリとか……」
「オマエよくそんな妄想ができるよな。小説書けるわ」
「やー、図星かあ……真子のこと、見てて、い、い、よ♪」
「何だそれ、罰ゲームかよ……」
「もー、やだなー」


勝 :ほら、復習から始めるぞ。

真子:うん。今習ってるのは「価値提案」。価値は使い方に表れる。
   使い方=TPOで、そのTPOを4Pに落としこんでる途中。

勝 :4Pは、売り物・売り方・売り場・売り値、の英語の頭文字、
   だな。

真子:うん、それで、TPOを広げて4Pの「売り方」のアイディア
   にしよう、っていうのをやってるところ。

勝 :要は「用途提案」ってヤツだな。例えば?

真子:例えば、ひきわり納豆を「手巻き寿司に」っていう提案。パッ
   ケージに手巻き寿司の画像を入れたら売上が上がった!

勝 :そうだったな。他には?

真子:塩こうじのレシピ提案。クックパッドで提案したら、つくれぽ
   の3割は塩こうじを使ったことがない人だった。

勝 :それが新規顧客の獲得につながったわけだよな。

真子:うん。で、どんなTPOを提案するかっていうのも大事。

勝 :で、どんなTPOがいいかっていうと? ちょっと前回の内容
   をまとめてみろよ。

真子:うん!


真子がノートをまとめる間、勝はお菓子を口に入れ、もう冷めたコー
ヒーを飲む。少しすると、真子が「できた!」と言って勝にノートを
見せた。


○用途提案に適したTPO

1)お客様にとって魅力的かつ意外感のあるTPO:「当たり前」で
 はなく「なるほど、やってみたい」という「気づき」のあるTPO

2)お客様にわかりやすいTPO:全く新しいTPOは伝えるのが大
 変。ひきわり納豆の「手巻き寿司」は丁度いい。誰でも知っている
 が意識にはあまり上らないから「なるほど」感がある。

3)売り手から見て、新しい売上が取れるTPO:新規顧客が取れる
 か利用頻度が上がるTPO

4)その商品が選ばれるようなTPO:他の商品が選ばれてしまって
 は意味が無い:手巻き寿司はひきわり納豆ならではの提案。


真子:どーお? 結構頑張ったんだけど……

勝 :いーじゃん、いーじゃん、そうそう、こういうこと。

真子:へっへー。でもさー、この条件に合うようなTPOを見つける
   のが大変なんだよねー。

勝 :だからこんなに時間かけてやってるんだろうが。それが少しで
   もできるようになるために。

真子:はーい。引き続きお願いしまーす。

勝 :つっても、もうこの講義もかなり終わりに近づいてるけどな。

真子:そうなの? えー……

勝 :いつまでもやってるわけにもいかんだろ。じゃあ今回の内容。
   引き続き「売り方」の事例を見ていこう。

真子:はーい。



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◆TPOと「売り方」:季節に合わせた用途提案
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勝 :食べものの例が続いたから、食べものじゃない例も、な。

真子:食べものしか当てはまらないのか、って感じだったもんね!

勝 :もちろんそんなことはないぞ。


勝がテーブルの上のノートパソコンを操作し、真子に見せた。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『ピーク時の5分の1以下に縮み、3000億円を割り込んだ着物
 市場。婚礼、振り袖などフォーマル一辺倒だった利用シーンを日常
 に広げ、需要を喚起する動きが盛んになってきた』


◇『「ある調査では女性の95%が着物を着たいと答え、20代の約
 3割が買いたいと答えた。潜在ニーズは極めて高く、市場という豊
 かな海を創るにはまず森を育むべきだ」。呉服専門店、やまと(東
 京・渋谷)の矢嶋孝敏会長は意気込みを語る。同社は2012年9
 月、着物を着たい人をサポートする部署「着る推進室」を社内に設
 け、市場活性化に向けた様々な取り組みをスタートした』


◇『着る機会を提供するためのイベント「きもの日和」も始めた。第
 1回の開催となった1月20日には、着物姿の若者が東京の明治神
 宮に初詣した後、パーティーを楽しんだ。費用は5000円と有料
 だが、100人が参加。今後は春は花見、夏は花火、秋は紅葉狩り
 といった具合に、シーズンごとにイベントを開催する計画だ』


2013/02/08 日経MJ P.14

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


真子:あー、着物かあ……確かに、最近に若い人はあんまり着ないか
   なあ……

勝 :でもさ、着たくないわけじゃないみたいだな。『女性の95%
   が着物を着たい』ってあるぞ。

真子:成人式とかはわかるけど、他の時にいつ着ればいいのかなあ?

勝 :っていう話だろ、まさに。だから花見、花火、紅葉狩りに着物
   で行こう、っていう使い方提案をしてるわけだ。

真子:なるほどー、「季節」に合わせよう、ってことかー。TPOの
   T、「時間」だね。

勝 :そうそう。季節に合わせれば、無限に用途が作れる。季節のイ
   ベントも色々とあるしな。

真子:じゃーひな祭りなんかどお?

勝 :ひな祭り?

真子:だって、女の子のお祭りじゃん。おひな様と同じ格好した着物
   着て写真撮るとか、どーお?

勝 :なるほどな、それなら、小学生の女の子とかでもいいかもな。
   親が喜びそうだ!

真子:そ、そうなの?

勝 :ああ、七五三って大きなイベントがあって、その後、成人式ま
   でしばらく大きなイベントがないだろ?

真子:なるほど! ひな祭りなら、毎年あるから、毎年がチャンス!

勝 :そういうこと。じゃあ、TPOのP、場所を変えたら、どんな
   提案ができる? 着物を着る場所、だぞ?

真子:えっとね……京都の街を着物で歩けたりしたら楽しそうだよね

勝 :あーなるほどな。そういうツアーを企画してもいいかもな。着
   物が似合う場所で着物を着るツアー。

真子:うん。移動中はもちろん普通の服で動いて、行った先で着付け
   して、楽しんだらまた着替えるの。

勝 :あー、動きづらいよな……じゃあさ、着物を着て、人力車でお
   姫様気分なんてどうだ?

真子:うん、いいかもー! 着物着たイケメンのお侍さんと写真撮り
   たいな!

勝 :そういう発想もいいな……じゃあさ、リアルなお城の前とか、
   天守閣で写真撮れればいいのか。

真子:あ、それでもいいね。

勝 :面白そうだな。京都に限らず、各地にあるお城とかでもできる
   わけだろ。っていうか、そういうの、もうありそうだよな。

真子:T・時間とか、P・場所、を変えるだけで色々とアイディアっ
   て出てくるね。

勝 :そうそう、そう考えると着物を着る機会なんてアイディア次第
   でいくらでも提案できそうだよな。

真子:うん!

勝 :そういう意味では、季節に合わせた提案ができれば、季節の分
   だけ提案ができる。その1つがこれ。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『夏のバナナはシャーベットで──。青果物販売大手、ドール(東
 京・千代田)のシャーベット製造器「ヨナナスメーカー」の販売が
 好調だ』『暑くなると需要が鈍りがちなバナナの消費喚起にもつな
 げたい考えだ』


◇『ヨナナスメーカーはバナナなど凍らせた果物を入れ、押しつぶす
 だけで簡単にシャーベット状のスイーツが作れる』『初年度は販売
 目標の3倍以上の23万台を売り上げており、今年は昨年を上回る
 販売を見込む』


2014/06/20 日経MJ P.14

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


真子:きゃははは、また食べものだー。

勝 :いいから読んで、考えろ。

真子:なーるほどぉ、ドリルを売るには穴を売れ、夏にバナナを売る
   にはシャーベットを売れ、かあ……

勝 :夏にはどんな果物食べる?

真子:んーとね、スイカでしょ、メロンに……桃、とか、かな?

勝 :そこにバナナが入ってこないわけだ。だから、アイスっていう
   か、氷菓として食べよう、っていう季節に合わせた提案。

真子:なるほどー、アイス代わりだ! ヘルシーでいいかも。

勝 :そういう発想なんだろうな。競合は何だ?

真子:「アイス」! 競合が「アイス」だと、バナナの強みはヘルシ
   ーであること、なんだね。



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◆そのTPOが「刺さる」かどうか、チェックしよう
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勝 :でさ、さっき「どんなTPOがいいTPOか」って、真子がま
   とめてくれたヤツ、あるよな?

真子:うん、これだよね。



○用途提案に適したTPO

1)お客様にとって魅力的かつ意外感のあるTPO:「当たり前」で
 はなく「なるほど、やってみたい」という「気づき」のあるTPO

2)お客様にわかりやすいTPO:全く新しいTPOは伝えるのが大
 変。ひきわり納豆の「手巻き寿司」は丁度いい。誰でも知っている
 が意識にはあまり上らないから「なるほど」感がある。

3)売り手から見て、新しい売上が取れるTPO:新規顧客が取れる
 か利用頻度が上がるTPO

4)その商品が選ばれるようなTPO:他の商品が選ばれてしまって
 は意味が無い:手巻き寿司はひきわり納豆ならではの提案。



勝 :それそれ。このバナナシャーベット、チェックしてみようぜ。

真子:あ、なるほど、習ったことは使ってみよう、ってことだね。じ
   ゃあまずは、1)からか……これはOKじゃない?

勝 :なんでっていうか、どのようにOKなんだ?

真子:だって、バナナシャーベットっておいしそうだから「魅力的」
   だし、やったこともないから「意外感」もある!

勝 :そうだな、「気づき」感はあるよな。で、2)は?

真子:んーと、これも、OKじゃない? シャーベット自体はみんな
   知ってるから、わかりやすいよね。

勝 :次の3)はどうだ? 売上は上がるか?

真子:うん! バナナが夏に売れるようになるからOK!

勝 :じゃあ最後、4)は?

真子:どうだろう……バナナシャーベットなら、バナナが選ばれるこ
   とにはなるけど、競合と比べて、だよね?

勝 :そうだよな。シャーベットって言っちゃうと、アイスと競合し
   かねないからな。でも真子、さっき自分で言ってたじゃん。

真子:え? あ! アイス代わりに、ヘルシーなオヤツってことか!

勝 :そうそう。だからそれをきちんと伝えればいい。

真子:なるほどー。じゃあ4)もOK!

勝 :ということは、4条件全てクリア、だな。『初年度は販売目標
   の3倍以上の23万台を売り上げ』た理由がわかるな。

真子:うん! 「刺さるTPO」をうまく選んだんだ! ねー、これ
   実際にやるときには、もっと丁寧にやるんだよね?

勝 :そりゃそうだ。基本的には顧客調査とかをかけるだろうな。ど
   れくらい大規模な調査にするかは別として。

真子:やっぱりお客様に確認、かあ……うん。



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◆TPOと「売り方」:BtoBの用途提案
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勝 :次は、BtoB、つまり法人顧客対象のビジネスの例。今まで
   BtoC、個人顧客対象のビジネスの事例が続いたからな。

真子:BtoCとBtoBで何か違うの?

勝 :いや、考え方は同じ。


−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−

◇『3月下旬、西原商会の東京本店(東京・江東)で開かれた中小飲
 食店向けのセミナー。約10の加工食品メーカーと西原商会がブー
 スを設け、来場した飲食店主らに商品を説明した』


◇『西原商会のブースでは余った食材を有効活用するメニューを提案
 した。例えば焼き鳥の鳥肉を使ったお茶漬けでは、西原商会が取り
 扱うメーカーのダシを紹介。提案を聞いた飲食店関係者からは「余
 った食材が新たなメニューに生まれ変わり、一石二鳥だ」との声が
 あがり、その場で取引が成立するケースも出たという』


◇『西原商会は乾き物や冷蔵食品など約6万点にも及ぶ豊富な食材を
 扱う。「マヨネーズ一本の注文からでも届ける」(西原一将社長)
 をキャッチフレーズに、社員がトラックを運転して食材を配送す
 る』『メニューレシピを載せた「旬彩だより」も季節ごとに配布
 し、新たな需要を掘り起こしている』


2013/04/10 日経MJ P.15

−−−−−−−−−−−< 記事引用 >−−−−−−−−−−−−


真子:なになに……余った食材を有効活用するメニューの提案……
   あ、これいいね。

勝 :そうなのか?

真子:そりゃそうだよ。どうしても廃棄は出ちゃうからね。減らせる
   ものなら減らしたいでしょ。

勝 :余った鳥肉が、ダシを加えるとお茶漬けになる、なんて面白い
   提案だよな。

真子:うん、生鮮品は日持ちしないからね。同じ食材が色んなメニュ
   ーになるのは、有り難いんじゃない?

勝 :まさに「一石二鳥」だよな。新しいメニューはできるし、廃棄
   は減らせる。これは「売上が上がって費用が下がる提案」だな

真子:あ……なるほど! 一石二鳥ってそういうことか!

勝 :なんだよ、気づかなかったのかよ……BtoBで大事なのは、
   まさにそこだろ。売上を上げる提案か、費用を下げる提案。

真子:あ、そういう使い方を提案しろってことかぁ。ね、こういう提
   案って、TPOのどれになるの?

勝 :聞く前に考えろよ。ノート見返してみろよ、何のためにノート
   とってんだよ……

真子:はーい


真子がパラパラとノートをめくり返していく。


真子:あ、TPOの「O」だね。「対象物」。鳥肉が何に使われるか
   ってことか。焼き肉なのか、お茶漬けか。

勝 :それそれ。「加工方法」って言った方がわかりやすいかもな。
   鳥肉が何に「加工」されるか。

真子:それもTPOの「O」なの?

勝 :そうだな。対象物、加工方法、とか。

真子:確かに「加工方法」って言った方がわかりやすいかも。

勝 :で、この会社はきちんと用途提案をしているわけだよな。『メ
   ニューレシピを載せた「旬彩だより」』を配布してる。

真子:うん。レシピのネタはいくらあっても困らないからね。そっか
   BtoBでやるとこうなるのかあ。

勝 :BtoBでのチェックポイントもさっきと同じ。チェックして
   みようぜ。


○用途提案に適したTPO

1)お客様にとって魅力的かつ意外感のあるTPO:「当たり前」で
 はなく「なるほど、やってみたい」という「気づき」のあるTPO

2)お客様にわかりやすいTPO:全く新しいTPOは伝えるのが大
 変。ひきわり納豆の「手巻き寿司」は丁度いい。誰でも知っている
 が意識にはあまり上らないから「なるほど」感がある。

3)売り手から見て、新しい売上が取れるTPO:新規顧客が取れる
 か利用頻度が上がるTPO

4)その商品が選ばれるようなTPO:他の商品が選ばれてしまって
 は意味が無い:手巻き寿司はひきわり納豆ならではの提案。



真子:あ、うん。1)はOKだね。ムダな食材減らせるし、メニュー増
   やせるし。

勝 :次の2)はどうだ?

真子:飲食店にとって、焼き鳥もお茶漬けもわかりやすいからOK!
   そのお茶漬けを作るための「ダシ」の提案だよね。

勝 :じゃあ3)は?

真子:鳥肉を使ったお茶漬け、っていう新しいメニューができて、売
   上が上がるかもしれないからOK。

勝 :そうだな。4)は?

真子:えっと……これって、「鳥肉を使ったお茶漬けを作るためのダ
   シ」を売りたいんだよね?

勝 :そうだろうな。

真子:だったらいいんじゃない? このダシが選ばれるよね。そっか
   BtoBでもチェックポイントは同じかあ……。

勝 :まさにそういうこと。BtoCとBtoBで、見え方はちょっ
   と違うけど、考え方は全く一緒だな。

真子:BtoBでもTPOを考えよう、ってことなんだねー。


「ね、勝さん、おなかへらない?」
「昼飯に大盛りカツカレー食って、これだけオヤツ食べて、何言って
 んだ……」
「だって、バナナとか焼き鳥とか、食べものの話ばっかりなんだも
 ん。もうお腹が気になって気になって、きゃははは」
「オマエなあ……」
「じゃあ勝さん、おなか減ってないの?」
「いや、減ってきたけどさ……」
「きゃははは、やっぱりー。カツカレーだけじゃ足りないよねー」
「真子のハラ、どうかしてるぞ」
「自分だってそーじゃん。どーする? お弁当でも買ってくる?」
「いや、そこまでの気分でもない。どっちかっていうとカフェインが
 切れそうだ」
「えー、それこそさっきコーヒー2杯飲んでたじゃん」
「オマエといると気疲れするんだよ……」
「えー、全然気ぃ使ってくれてないじゃん……あ! わかった!」
「?」
「カワイイ真子ちゃんといるとドキドキしちゃうんだぁ」
「……だから疲れるんだっつーの……」

「じゃあさ、ワゴン探してコーヒー買ってくるね!」
「お、ありがと」

早足で駆け出す真子を見送ると、勝は「ふう……」と深くため息をつ
つくと、椅子に深くもたれかかった。


(次号に続きます)


★今日の「アタマに問いかけるべき適切な質問」

あなたが提案している用途は、「刺さる」ものになっていますか?
4つの条件でチェックしてみよう!


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◆今日のまとめ
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●「BtoC」でも「BtoB」でもTPOを使った用途提案の考え
 方は同じ。「刺さるTPO」の条件をチェックしよう!

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▼今日の日記▲

今日は大阪出張。先週大阪から戻ってきて、また大阪へ、という、週
末をはさんでピストン移動。

いっそトランクごとコインロッカーとかに置いてこようか、とも思っ
たんですが、洗濯物とかがありますし、Yシャツの替えも必要ですの
で、そうも行かず…

逆に言えば、その問題さえクリアできれば、荷物をトランクごと置い
てこれる、ということになりますね。高価なホテルとかならやっても
らえるのかもしれませんが、あまり聞いたこともありません。

週末も大阪に泊まり続けるという手もなくはありませんが(新幹線往
復の費用とそんなに変わらないです)、さすがに週末くらいは家族と
過ごしたいですよね。

知り合いのコンサルタントさんなどでは、平日はお客様先に常駐して
週末だけ家族に会いに帰られる方がいらっしゃいますが、その大変さ
がちょっとわかりました。



●今日のiPod Tune:春らしい歌2015

ついに3月! 春、ですね。

今日も東京はかなり暖かい感じで、春らしい陽気になってきました。

ということで、「春らしい歌」特集!

最初はやっぱりこの曲!


○春一番 by キャンディーズ


1976年3月リリース、まさに春らしいヒット曲。オリコン3位ま
であがり、同年の紅白にもこの曲で出場。キャンディーズの代表曲の
1つとなりました。

今年東京にもう春一番が吹いたのかどうかは存じませんが(今のとこ
ろまだでしょうか?)、もうそんな季節になりました。

この曲はリアルタイムで聴いていましたが、もう40年近く前の曲な
んですね。

今は「つくし」なんかは東京区部ではまず見なくなりましたが、76
年当時は、私が住んでいた東京区部でも結構自然が残っていたように
思います。


もうすぐ春! 楽しみですね。



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 佐藤義典著 朝日新聞出版

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──────< 物語でわかるマーケティング >────────

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 上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
 で物語で体感!
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●「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
 物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
http://www.sandt.co.jp/shiroineko.htm

─────< マーケティング戦略のベストセラー >──────

●「図解 実戦マーケティング戦略」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略入門:戦略はここから
 日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/jissen.htm

●「事例でわかる 実戦BtoBマーケティング」 佐藤義典著
 BtoBマーケティング戦略の標準テキスト
 日本能率協会マネジメントセンター
http://ow.ly/7Wvdq


●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
 日本能率協会マネジメントセンター
http://www.sandt.co.jp/check.htm

●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
 ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
http://www.sandt.co.jp/kotowaza.htm


────────< マーケティングの思考法 >────────

●「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
 日本能率協会マネジメントセンター
 右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
http://www.sandt.co.jp/shiko.htm



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆次号予告:年末年始特別号! その20
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●次号も、引き続きTPOを4Pへと落とし込んでいきます! 恐ら
 く、あと2〜3回で終わるかと思われます。


▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!

▼彼氏・彼女・家族との、知的な話題づくりに!

▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!


売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……

〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
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