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2012年7月6日金曜日

売れたま!特別編Vol.168 2012/07/05 夏休み特別号:密着軸の経営戦略 1

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 ■売れたマーケティング、バカ売れトレーニング:売れたま!■ 
 〜MBAの中小企業診断士がそっと教えるパワフルレッスン〜
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━特別編Vol.168 2012/07/05
購読者:27,439 (まぐまぐ:16,649 メルマ!:955 めろんぱん:9,835)

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 ■■■■__夏休み特別号:密着軸の経営戦略 1__■■■■■
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今日のポイント ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●お客様が、競合ではなく自社を選ぶ理由は3つ。3つの差別化軸は
 それに対応する!


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○公開セミナー 「マーケティング脳を鍛えるトレーニング」

・日程:2012年9月6日(木) 10〜17時
・場所:青学会館  価格:47,250円(税込)

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◆夏の日、高原のペンションにて
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東京はもう蒸し暑い日が続く、夏の某日、某県の避暑地の高原。涼や
かな風が窓越しに吹き抜ける、ログハウスのペンション。

そのテラスの一角にある木の広いテーブルの上にノートパソコン、
A3の紙、サインペン、などが散乱している。

テーブルに一人で陣取った男性が、ぶつぶつとつぶやきながらA3の
紙にサインペンを走らせる。

「マインドフロー的に、これ急がないとまずいよなあ……」

つぶやいている男性は、売多勝(うれた・まさる)。勝は、夏恒例の
「山ごもり」に来ていた。山ごもりと言ってもテントをはってキャン
プをするわけではなく、涼しい高原のペンションに籠もり、一人静か
に集中して考える時間を取るためだ。


勝が「ちょっと戻って、このサイトのBASiCSを考えると……」
などとつぶやいていると、外で車のエンジン音がし、停車した。バタ
ンとドアが閉まる音に続き、けたたましい女性の声が外で響く。

「うわ、来やがったか……外で大声出しやがって、全く……」

ほどなくしてペンションの入り口のドアが勢いよく開き、女性2人が
大きな荷物を抱え、ペンションのダイニングスペースに入ってくる。


「勝さん、いるかな? 多分テラスに……あ、いた!!」

パタパタとスリッパを鳴らして駆け寄る女性は、売多真子(うれた・
まこ)。長い黒髪と大きな瞳が印象的だ。

「勝さん、着いたよ−!」

荷物を置くが早いが、真子が勝の座っているテーブルに駆け寄る。

「もう来やがったか……」

勝が真子を見向きもせず、ペンを走らせ続ける。

「何よー、その言いぐさはあ! こんなにカワイイ女の子が来てあげ
 たっていうのにぃ」

「誰も来て、なんて頼んで無いだろ」

「またまた照れちゃってぇ」と悪びれずに言う真子に続き、見るから
に華奢な細身の女性がテラスに入ってくる。

「勝さん、こんにちは。すみません、お忙しいのにムリ言って……」

透明度の高い声をかけた女性は松井恵利(まつい・えり)。

「あ、恵利ちゃん! よく来たね!」

勝が顔を上げ、恵利に微笑みかける。

「でた、この扱いの差は! もういつもいつも……」

真子が愚痴るが別にイヤそうではない。まあいつものことだからいい
か、とでも言いたげな顔だ。


遅れて、ペンションのオーナーが顔を出した。がっしりとした体格の
男性だが柔和な顔つきをしている。「皆さん、お揃いですね。では、
女性のお二方の部屋のカギがこちらで……エスプレッソやお茶はいつ
もどおり、セルフサービスでどうぞ」

愛想の良いオーナーに、真子と恵利が「はい、じゃあ今回もよろしく
お願い申し上げます」と声を揃える。

「女性陣の方も、もう部屋はお使いになれますので、どうぞ」

「はーい。じゃあ勝さん、すぐ降りてくるからねー」

「いや、降りてこなくていい。ゆっくりしてこい」

真子と恵利が、荷物を持って階段を上がり、2階の客室に向かう。


テラスを涼やかな風が吹き抜け、テーブルの上の紙がかさ、と動い
た。勝は「ふう」と息をはくと、作業に再度没頭し始めた。



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◆登場人物紹介:売多真子 & 売多勝 + 松井恵利
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●「新人OLシリーズ」のヒロイン・売多真子とメンター・売多勝

今回は「新人OL〜」シリーズのヒロイン「売多真子」(うれた・ま
こ)と、その親戚にしてメンター「売多勝」(うれた・まさる)の2
人にご登場いただきます!


○「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著

売多真子が、勝の助力を得てイタリアンレストランの新企画に奮闘!
マーケティングを学ぶ最初の1冊としてオススメ。
http://ow.ly/89pSR


○「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著

上の本の続編。真子が社長になり、ライバルと戦っていく! 戦略構
築から実行プロセスまで、社長の視点を物語で体感!
http://ow.ly/6s63d


○特別ゲスト:松井恵利

特別ゲストは、松井恵利(まつい・えり)ちゃん。真子の大学時代の
同級生であり、CD「経営戦略虎の巻」の特典小説のヒロイン。

http://sandt.co.jp/keieitoranomaki.htm

OL勤めをやめて家業の果物屋を継ぎ、果物及びその加工品販売の
「M'sジューシーヘルシー」の経営陣として頑張っています。



●お詫びと訂正

前回、次号予告で「セグメンテーション特集」と告知させていただき
ましたが、「密着軸の経営戦略特集」に変更させていただきます。

ここにお詫びいたします。楽しみにされていた方がいらっしゃったら
申し訳ございません。中止ではなく、「延期」です。

セグメンテーション特集は、また折りをみてさせていただきます。



●密着軸の経営戦略特集!

今回から、恒例の連載シリーズ開始! 題して「密着軸の経営戦略」
です!

恐らくは、多くの企業、特に中小企業は密着軸を(暗黙のうちに、と
いう場合も含めて)取っていることが多いですし、また、取るべきだ
と個人的にも思います。

ということで、「密着軸」に絞った特集です。

ただ、手軽軸・商品軸と対比させていきますし、また、敵を知る、と
いう意味でも手軽軸・商品軸の会社さんにとっても参考になるかと思
います。


ここまででおわかりの通り、多真子・売多勝の定番メンバーと、ゲス
トの松井恵利、というキャストで進みます。この前の特別編だった
「魅力は魅せ方で決まる」と同じ布陣です。


どのくらいの長さになるのか検討つきませんが、おつきあいください
ませ。


またご感想やご質問をいただけると嬉しいです!

では、始まり始まりぃ!



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◆密着軸特集、開始!
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勝は、また紙にペンを走らせながら、ノートPCを見返す、という行
動を繰り返している。

口ではぶつぶつと何かをつぶやき、そして手は空中をさまよいながら
作業をしている。傍から見ると変人の行動に見える。それを自覚して
いるからこそ、1人で籠もって作業しているのだろう。


「真子と恵利ちゃんが来る前に一区切りつけないと……この場所を教
 えたのは失敗だったか……まあ今さら言っても始まらないな」


勝はこのペンションには平日の空いている日程などを選んで1人で
「山ごもり」によく来ていた。もともとはスキーのために泊まった宿
だったが、オーナーたちの温かいもてなしと、緑が多い環境に魅せら
れ、夏に1人で来るようになった。

真子と恵利に「山ごもり」のことを話すと、「私達も一緒に行く!」
と大騒ぎになり、「ダメだ!」と頑なに拒否した勝もついに折れ、3
人で行うことが恒例のようになっていた。


それでも勝は真子と恵利より1日早く来て、今日から真子・恵利と合
流となった。


上方でバタンとドアが開く音がし、パタパタとスリッパで階段を下り
てくる音がしたかと思うと、真子と恵利がテラスに姿を現す。


真子:勝さん、お待たせ〜

勝 :別に待ってない。

真子:またまた〜

恵利:勝さん、よろしくお願いします!

勝 :うん、恵利ちゃん、頑張ろうね。


勝のあからさまな態度の違いを真子は気にもとめず、自分のノートパ
ソコンやノートなどを勝の向かい側に広げていく。恵利もそれに続く
と、広かったテーブルが一気に小さく感じられる。


勝 :おい、別のテーブルでやれよ。他にも空いてるテーブル、ある
   だろうが。

真子:だって〜、勝さんの顔が見たいんだもん。

勝 :や、め、ろ。

恵利:あ、勝さん、これ何ですか? えっと……密着軸のカギは、個
   別化……って書いてあるんですか?


恵利が、テーブルの上に乱雑に広げられたA3のコピー用紙に興味深
そうに目をとめた。


勝 :へー、恵利ちゃん、よくオレの字が読めたね。

真子:きゃははは、確かにぃ。勝さんの字、ミミズが這ってるとか言
   ったらミミズに失礼だよね!

勝 :うるせーな、自覚はあるんだ。

恵利:密着軸についてまとめてるんですか?

勝 :まあそんな感じ。

真子:また本にでもするの?

勝 :するかもしれない。

真子:あ、じゃあ本の原稿なんだ!? 読みたい読みたい!

恵利:あ、真子ずるい、私も!

勝 :そんなカンタンにできたら苦労するかよ。まとめるのだって、
   すっげー大変なんだぞ。

真子:あ、じゃあさ、私が手伝ってあげるよ!

勝 :はあ? ネコの手は借りたいが、真子のアタマはいらねー。

真子:きゃーははは……って、何でそんなこと言うのよー。私が書け
   るなんて思ってないけど、話相手にはなれるでしょ?

恵利:あ、私も! 勝さんのお話になったことをメモするくらいなら
   できますから……

真子:あ、そうだよ! 恵利はすっごくキレイにノート取るから、後
   でまとめるときに便利だよ!

勝 :そうか……その手があるか……

真子:それに、私みたいなカワイイ女の子が話し相手だと、話す気に
   なるでしょ?

勝 :カワイイかどうかはさておき、話相手はいた方がいいな……そ
   れに君らも知っておいた方がいいから……そうだな、やるか。

真子:やったあ! うちの戦略は密着軸だから、いつかじっくり聞き
   たって思ってたんだ!

恵利:そういう意味では、うちの店も密着軸ですから、ぜひお願いし
   ます!

勝 :そんな話をするんなら、何も高原まで来てすることはないんだ
   けどな……別に真子の店でもできるし。

恵利:そんなことありませんよ、やっぱり気候のいいところでやった
   方がアタマが働きますよ、ね?

勝 :まあそうか。じゃあ、やるか。密着軸講座! この際だから、
   おさらいも含めて基本から徹底的にやろう。

真子:どんどんどんどん、ぱふぱふぱふ……

恵利:ぱちぱちぱちぱちぃ……

勝 :じゃあ、気付け代わりのエスプレッソ飲んでからな。

真子:あ、私いれるよ。この宿、Saecoのエスプレッソマシンが
   置いてあるっていいよね。しかも無料で飲み放題。

勝 :それが常宿にしてる理由の1つ。コーヒーメーカー持ってこな
   くていいからな。アレ、結構かさばるんだよ。

恵利:あ、なるほどぉ。荷物が減る、っていうのがベネフィットなん
   ですね。勝さんは、どこに行ってもコーヒー、ですね。

勝 :そう。だからコーヒーが飲めること、じゃなくて、荷物が減る
   っていうのがベネフィット。



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◆お客様の「3つの選択理由」
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マシンの「ぶぃーん、がががが」という音が何回か響くと、真子がエ
スプレッソの入ったデミタスカップ3つを持ってテーブルに戻った。


勝 :お、真子、ありがと。

真子:私が入れたから、おいしーよ♪

勝 :機械が入れたんだろうが。入れてくれた人に文句は言わんが。

真子:でもボタンを押す手に愛情をこめたもん♪


勝が、エスプレッソをくい、と一口で飲み干す。


勝 :じゃあ早速行くか。復習も含めて、ゼロからやっていこう。

恵利:じゃあ、私がノートを取りますね。

勝 :真子も取れよ。

真子:はーい。

勝 :まずは、真子、前に真子が髪切った美容院と、そこを選んだ理
   由を教えてくれ。

真子:やだー、勝さん、ったら。そんなことまで真子のこと、知りた
   いんだあ♪ もう、真子にむ、ちゅ、う、なんだからぁ!

勝 :言うと思った。じゃあいい、恵利ちゃんに聞こうっと。

真子:あ、もう、答えるってば! あのね、表参道の美容院だよ。

勝 :何で? 真子の会社の近くにも、家の近くにも、美容院はある
   だろ? 何で遠いところに行くんだ?

真子:そうだけど、その店がいいんだもん♪ 今っぽいっていうか、
   はやりの髪型とかよく知ってるし。

勝 :知ってる、っていうか、そこがトレンドを産み出してるんじゃ
   ないか?

真子:あ、そうそう! よく雑誌とかも取材に来てる。

勝 :いくらすんの?

真子:カットとパーマで、2万円は行かなかったと思うけど……?

恵利:えー? 結構するんだねー。

真子:え、でもでもフツーの店でも、1万円超えるでしょ。それに、
   腕もいーんだ♪ 芸能人とかも来るみたい。

勝 :カリスマ美容師、ってことか。優雅だことで。

真子:だって勝さんだって真子がカワイー方がいいでしょ? ここに
   来る前もちゃんと行って来たんだよ! だから、褒めてよー!

勝 :わー、マコちゃん、すっごくカワイーねー、っと。

真子:やっだー。ホントのこと言っちゃってー。でも、さすがに毎月
   は行かないよ……この値段だからね。

勝 :で、恵利ちゃんは?

恵利:はい、私は自宅近くの美容院です。うちの店がある商店街にあ
   って、昔からずっとそこに行ってますよ。

勝 :何でそこにずっと行ってるの? 真子が行ってるような店はイ
   ヤなの?

恵利:行き慣れてて、変えるのに抵抗あるんですよね……そこなら、
   私の髪質とか、好みとか知ってますし……

勝 :なるほどね。恵利ちゃんを知り尽くしてる、ってことか。

恵利:は、はい、そうですね。話も色々できますし。

勝 :そこはいくらするの?

恵利:カットとカラーで、1万2,3千円ですね。

勝 :まあ相場だね。

真子:勝さんはどーなの?

勝 :オレは基本的に恵利ちゃんと同じ。で、もう1つ選び方がある
   な。

真子:あ、安いお店じゃない? 最近結構あるんだよね。カット、パ
   ーマ、カラーまでやって1万円とかって店。

恵利:へー、安いねー。

真子:そういう店って、「早い」のもウリにしてるよね。そうしない
   と回転率が上がらないから、儲からないだろうけど。

勝 :そうそう。これで出そろったね。美容院を選ぶ3つの理由。
   1)早い・安い、2)腕がいい、3)自分のことよく知ってる

恵利:ええっと……そうですね、はい、3つですね。

勝 :真子と恵利ちゃんが言ったことをまとめてみて。今の順番で。


恵利が手早くノートにまとめていく。


○お客様が美容院を選ぶ「3つの理由」

1)早い・安い
2)腕がいい、トレンドを産み出している(けど、高価)
3)自分のことを知り尽くしている


勝 :まずはこれが原点。モノを買うときとか選ぶとき、多くの場合
   はこの3つに集約できる。

真子:ね、勝さん、BtoBでもそうなの?

勝 :真子がやってるイタリアンレストランで、食材とかの納入会社
   を選ぶ場合、どうやって選ぶんだ?

真子:あ、そっか、それがBtoBだよね。えっと……


真子が、恵利のまとめたノートを見ながら考える。


真子:確かに、これで使い分けてる! 安い会社を使うときもあれば
   そうじゃないときもある!

勝 :例えば、どんな店からなぜ買ってる? この恵利ちゃんのノー
   トと同じ順番で。

真子:どこで買っても同じようなモノは、やっぱり安いところから買
   います。

恵利:そりゃそうよね。どこで買っても同じなんだもんね。

真子:うん。あと、モノがいいっていうか、その会社のはおいしい、
   っていうのは、高くてもそこから仕入れるねー。外せない。

恵利:なるほど……それがこの2番目に当たるのね。

真子:で、最後に、ウチの店のお客さんをよく見てて「こういうメニ
   ューは御社のお客様に合いますよね」っていう提案をする会社

勝 :なるほどね。恵利ちゃん、じゃあ今、真子が言ったのを、さっ
   きと同じ要領でまとめてみて。

恵利:はい。


○BtoB:イタリアンレストランが仕入先を選ぶ「3つの理由」

1)安い(同じようなモノなら安い方がいい)
2)おいしい食材だけど高い
3)自分にあったメニュー提案をしてくれる


真子:確かに、さっきの美容院の場合とほとんど同じだ! BtoB
   でもそうなんだねー。

勝 :そうだな、見え方は違うけど基本的な考え方は同じ。お客様が
   競合じゃなくて自分を選ぶ理由はこの3つになることが多い



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◆「3つの選択理由」と「3つの差別化軸」
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真子:ね、この「3つの選択理由」が、「3つの差別化軸」に対応す
   るんだよね?

勝 :そういうこと。「3つの差別化軸」から入らなかった理由は、
   あくまでも「お客様が選ぶ理由」が優先だから。

恵利:ということは、他にも選ぶ理由があったときは、この軸ではな
   いときもあるっていうことですか?

勝 :全部を検証できないからわからないけど、あるかもしれない。
   でも、大別するとこの3つの理由に入ることが多いけどね。

真子:さっきみたいに、BtoBの場合でも、ってことね。

勝 :お客様の「3つの選択理由」は、お客様側の理由ね。それを使
   って「売り手」が差別化するのが「3つの差別化軸」

真子:「3つの差別化軸」は、手軽軸、商品軸、密着軸、の3つだよ
   ね♪

恵利:それぞれ、こういう理解でいいですよね?


○3つの差別化軸:売り手が差別化する3つの方法

手軽軸:競合より早い、安い
商品軸:競合より品質が高い、技術が新しい。一般的には高価。
密着軸:競合よりお客様の個別ニーズに応える


勝 :おー、さすが恵利ちゃん、言葉が正確でいいね。「競合より」
   というのがポイントだね。

真子:この「競合より」って意外にクセ者なんだよね。誰が競合なの
   って話になるから

勝 :お、真子、いーじゃねーか、その通り。ただ、その話はここで
   はしない。ここでは「3つの選択理由」との対応がポイント。

真子:お客様の側から見ると「その商品を選ぶ理由」であり、売り手
   から見ると「自分の商品が選ばれる理由」ってことだよね?

勝 :えらい。そういうこと。

真子:へっへー。


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◆「差別化」とは、お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由を作ること
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勝 :この「お客様が選ぶ理由が先」っていうのは、とにかく強調し
   ておきたい。

恵利:その理由は、何となくはわかりますが、聞いていいですか?

勝 :うん。「差別化する」っていうと、主語が「売り手」なんだよ
   ね。だから、勝手に差別化していいような感じがしちゃう。

恵利:差別化方法を自分で選んじゃダメなんですか?

勝 :それが「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」になっていれ
   ばOKだよ。

真子:これが、当たり前のようでいて、ムズカシーんだよねぇ……。
   つい、売り手目線で勝手に考えちゃう。

勝 :そう言えれば上等。お客様に意味がないところで差別化しよう
   としてる例なんていくらでもあるぞ。

恵利:例えば?

勝 :名指しは避けるけど、「高機能化競争」は、大抵の場合、お客
   様が使わない無意味な機能で差別化しようとしてるな。

真子:なーるほどねー。○○とか△△とかねー。

恵利:じゃあどうすればいいんですか?

勝 :だから、「差別化」を「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由
   を作ること」と言い換えればいい。

恵利:あれ? 勝さん、BASiCSの「強み」の定義が「お客様が
   競合ではなく自社を選ぶ理由」でしたよね? 同じですか?

勝 :お! 鋭い! そう! 強みと差別化って結局は同じこと。

真子:じゃあそもそも「差別化」なんて言わない方がいいんじゃない
   んですか?

勝 :極端に言えばそういうこと。さらに言えば「強み」という言葉
   も「お客様に選ばれる理由」って言い換えた方がいいな。

恵利:でもそれだとちょっと言いにくいですよね……

真子:そっか。だから強みとか差別化って言われるのかぁ。

勝 :とにかく、強みにしても差別化にしても「自社が」じゃなくて
   「お客様が選ぶ」という意識は忘れないように。

真子:はーい。差別化する努力をするのは自分でも、それに意味があ
   るかどうかを決めるのはお客様、ってことですね。

勝 :そう。そうしないと、「3つの差別化軸」も、すっごい自社視
   点になっちゃう。

恵利:えっと、差別化とは「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」
   ですから、3つの差別化軸、とは……

真子:「お客様が自社を選ぶ3つの理由」、ってなるね。

恵利:あ、あれ? それってさっきの……


恵利が手許にある自分のノートを見返した。

○お客様が美容院を選ぶ「3つの理由」

1)早い・安い
2)腕がいい、トレンドを産み出している(けど、高価)
3)自分のことを知り尽くしている


真子:あれ? これと同じだ! いつの間にか戻った!

勝 :だからさっきからそう言ってるだろ。お客様側の「選ぶ理由」
   が3つだから、売り手もそれに合わせよう、っていうだけ。

真子:そっか! 今までわかっていたようで、何となくわかってただ
   けだったかも。強み=差別化=選ぶ理由、だからなんだ

勝 :何ごとも基本が大事。「当たり前」ですませて、それで当たり
   前のようにできる人なんてまずいないからな。

恵利:はい……「わかる」と「できる」は違うんですよね。

勝 :そう。「できる」になるようには「何となく」じゃなくて、
   「きちんとわかる」ことが必要だからな。

真子:じゃあじゃあ、真子が「きちんとわかる」までやってくれるん
   だよね? このシリーズで?

勝 :う……コイツ……そういうところは鋭いな。まあそうだな。

真子:じゃあ、長くなりそうだなあ、このシリーズ……ははは。

勝 :多分長くなるぞ。

恵利:いーじゃない、真子、私は楽しみだよ。

真子:うん。頑張ってついていこう!



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◆今日のまとめ
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●「強み」は「お客様が競合ではなく自社を選ぶ理由」。3つの差別
 化軸は、お客様が選ぶ理由の「3つのパターン」に対応する。


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▼今日の日記▲

いつの間にか7月ですね。本格的な夏到来、という気候になってきま
した。今年はオフィスに空気清浄機を入れましたので、それが扇風機
がわりになってくれるといいなあ、という感じです(結構強い風が出
るんですよ)。

夏が来たなあ、と思うのが、セブン・イレブンで赤城乳業の「クッキ
ーバニラ&チョコ」を見たとき。「おーー、出たかぁ!」と思っちゃ
います。ビッグサイズです。このサイズのを他のコンビニで見かけな
いのは、セブン・イレブン限定なのかもしれません。冬も見ないので
(私が行くセブン・イレブンでは、ですが)、夏季限定かもしれませ
ん。別に冬でも、ジムの後なんかには食たいと思いますけど(フツー
の男性はジムの後にはビールらしいんですが、私はアイス)。

アイスクリームももちろんいいのですが、さすがに毎日バクバク食べ
ていると色々心配なので、今年はかき氷にしようかなあ、と。シロッ
プかけても、カロリーは多分減らせますよね。氷自体にはカロリーは
ありませんしね。子供のとき、手動のかき氷器をガリガリ回して作っ
て、明治屋のシロップをかけて食べて、アタマをツーンとさせたのは
懐かしい記憶です。まずはかき氷器、買ってこようっと!



●今日のiPod Tune:Enjoy the Rainy Season! 雨に似合う歌2012

沖縄は梅雨明けしたようですが、本州はまだまだ梅雨……

今日も東京は大分暑くなりましたが、梅雨明けはまだのようです。

ということで、続きます! 雨に似合う歌!


○Hold Back the Rain by Duran Duran


1982年のDuran Duranのアルバム、Rioの5曲目。私の中では、雨
の「定番」の曲の1つです。

シングルカットはされていないようなのですが、このアルバムは、彼
らの出世作であり、代表作と言っていいでしょう。80sの名盤と言
って良いと個人的には思います。もう30年前のアルバムなのに、輝
きを失っていません(と思うこと自体、オヤジなのかもしれませんけ
ど)。

アルバムの中でもリズムのキレが秀逸な1曲。雨の中を駆け出したく
なる、そんな曲です♪



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経営戦略のガイドブック:経営者は必読!
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●「売れる数字 〜組織を動かすマーケティング〜」 
 佐藤義典著 朝日新聞出版

戦略を実行に落とし込み、組織を動かそう!
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──────< 物語でわかるマーケティング >────────

●「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 佐藤義典著
 マーケティング入門:読みやすい小説
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●「新人OL、社長になって会社を立て直す」 佐藤義典著
 上の本の続編。主人公が社長になり、戦略構築から実行プロセスま
 で物語で体感!
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●「白いネコは何をくれた?」 佐藤義典著 フォレスト出版
 物語形式でわかりやすいマーケティング戦略と人生戦略
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─────< マーケティング戦略のベストセラー >──────

●「図解 実戦マーケティング戦略」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略入門:戦略はここから
 日本能率協会マネジメントセンター
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●「マーケティング戦略実行チェック99」 佐藤義典 著
 マーケティング戦略実践:実行のためのチェックリスト
 日本能率協会マネジメントセンター
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●「ことわざで鍛えるマーケティング脳」 佐藤義典著 毎コミ新書
 ことわざだからわかりやすい、伝えやすい、マーケティング戦略
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────────< マーケティングの思考法 >────────

●「実戦マーケティング思考」 佐藤義典著
 日本能率協会マネジメントセンター
 右脳と左脳をフル活用、売れる思考・発想ができるようになる!
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◆次号予告:密着軸の経営戦略 2
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●もちろん続きます。次号から、本格的に解説に入って行きます!


▼飲み会に、数部印刷して行こう。グチ大会より、前向きの話を!

▼彼氏・彼女との、知的な話題づくりに!

▼ご無沙汰していたあの人との会話のきっかけに、転送しよう!

▼お客様訪問の際のおみやげに、プリントアウトして渡そう!


売れたま!があなたのお仕事に少しでも役立ちますように……

〓〓次号の売れたま!でお会いできるのを楽しみにしています!〓〓
◎売れたマーケティング バカ売れトレーニング:売れたま
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